辺境図書館、WEBマガジンに掲載◎

 

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 マガジーン!!

 

おう、金継ぎ図書館。最近、「金継ぎ」を載せていないじゃないか。どした?夏休みか?それとも人気が無いから閉館か??

はいー、そうですね。最近、めっきり金継ぎコンテンツを載せていませんでした。近々、再開しますので、しばしお待ちください◎

 

今回はWEBマガジーンに金継ぎのやり方を掲載してもらったので、そのアナウンスです。

団体信用生命保険という保険を扱っているカーディフ生命とカーディフ損保という会社が運営している「スマイルすまい」というウェブマガジンに掲載されました◎

 

出典:https://www.danshin-smile.com/kintsugi-1/

住まいと暮らしのちょっとしたヒントを載せているウェブサイトです。
▸ てづくりの楽しみ 金継ぎ編

作家の吉本ばななさんや、元・暮らしの手帳編集長・松浦弥太郎さんら著名人のインタビューも載っています。スゴイですね~◎

 

出典:https://www.danshin-smile.com/kintsugi-1/

もちろん金継ぎ図書館はそういった有名人と同格のコーナーではありません◎
「手づくりの楽しみや、自分で作ったものを使う幸せ」を皆さんにお伝えする「つくる」というコーナーで扱ってもらっています。

 

出典:https://www.danshin-smile.com/kintsugi-1/

3ページにわたって掲載してもらっています。

載せていただいた記事の特徴としては、金継ぎの具体的な作業の手順を詳しく載せてある…というよりは、「金継ぎ作業ってどんな感じ?楽しいの??」ってところをコンパクトにまとめてある…という感じです。

 

 

取材は私の自宅で行われ、編集者さん、ライターさん、カメラマンさんの三人に来てもらいました。

編集者さんが実際にワークショップ形式で作業をしつつ、ライターさんが私の話を書き留め、カメラマンさんが写真と動画を撮影していきました。

 

出典:https://www.danshin-smile.com/kintsugi-1/

編集者さんの前職が大手家電量販店とのことだったので、「実のところ、3年保証って、入っておいた方が得なんですかね?」とか、「裏事情」の話を伺いました。
カメラマンさんの方は昔、チベットに行ったことがあったということで、チベット話をしたり(僕も昔、行ったことがあったので)、「雑誌などのカメラマンさんの撮影のギャラってどんなもんなんですか??」と、他業種のブラックボックスに見えるところの話を聞くことができました。

だいたいこういった取材の時は金継ぎの話だけになるのですが(それが普通ですが)、今回の取材は金継ぎの話だけではなく、いろいろな話(雑談ですが)も聞くことができ、楽しい取材となりました。
(僕は他業種の方の裏話を聞くのが取材の楽しみなわけです◎)

ご興味がある方はぜひこちらのウェブサイトを覗いてみてください。
▸ てづくりの楽しみ 金継ぎ編

 

 

 

金継ぎのやり方

 

 

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カマチの追い込み!…というか追い込まれました

 

size19ファイツ!!

 

只今、仏像の台座を制作中です。

ひたすら「研ぎ」の毎日…ツラい(泣)

 

研ぎのお供は「サカナクション」!今回のチョイスは「アルクアラウンド」

 

研いでいます。
ん…?何を使って研いでいるの??
はいー、「炭」です◎
え!炭で研ぐの??炭で研げるの???
はいー、研げるのです◎ 不思議ですね。

「駿河炭(するがずみ)」というちょっと特殊な炭を使っています。何の木だったか…忘れました。ノートを見直せばすぐに分かるのですが、サボって見ないことにします。

水を付けながら炭の断面をスリスリ擦りつけると研げるのです。スゴイですよね◎
基本的にはぐるぐる回しながら研ぎます。バターにならないように気を付けます。はい。

Aの白っちゃけている箇所はすでに炭が当たっている部分で、Bの黒くてピカッとしている部分はまだ炭が当たっていません。

 

研ぎ続けます。何時間も…(泣)

Aの箇所が研ぎ終わった部分です。Bの部分はまだ研いでいません。

炭は時々、砥石に当てて平面を維持させます。さらに、炭の底に溝を切ると水捌けがよくなります。これ、やった方がいいと思います。学生のみなさん、メモッといてください◎(このサイトをみている人はいない気がしますがー)。 僕は学生時代、知りませんでした。

 

炭研ぎが終わったら、次は「クリスタル砥石」というもので研いでいきます。名前が怪しいですよね。「クリスタル」って、ちょっと、ね。

クリスタル砥石の#1500、#2000といった細かい番手の砥石を入念に当てていきます。炭の「研ぎ足」を取っていきます。←ちょっと意味わからないですよね。そのうち、詳しくご説明します。ご興味は無いと思いますが、こういうのは一方的に押し付けるのがマナーですよね◎

 

で、今はリアルタイムに↑この作業をしています。
細かい研磨剤で磨いています。歯磨き粉みたいなもので磨いています。

サカナクションに飽きたので、今は録音したラジオ番組(traveling without moving)をエンドレスに流しています。

 

磨き粉を薄く敷いて、脱脂綿を小さくちぎったもので磨いていきます。

脱脂綿は汚れたら、どんどん換えていきます。この作業もエンドレスな感じなので、結構、ツラいのです(泣)

この磨き作業で、クリスタルの研ぎ足を消してきます。消えるまでひたすら研ぎ続ける…ということです。これ、大変なのです。

電動機械のポリッシャーを使えば簡単、楽ちんなのですが…ひたすら「手研ぎ」「手磨き」でやっています。

単純に、「傷一つない綺麗な鏡面に仕上げる」…というのであれば機械の方が圧倒的に優れていると思います。が、「よい磨き」というのは、実はそういうことではないのではないか?と思っているのです。

これは僕独自の見解なので、共感は得られないと思うところなのですが、実は「薄っすらと傷が残って見える方が”よく見える”」のではないか…と考えています。
「傷の残し方」というのがすごく重要になるのですが、例えばデッサンでいうところの「ハッチング」のように残すとしたら、それは魅力的な「線」になると思うのです。

意味、分かりませんよね。そうです、結構、金継ぎ図書館はぶっ飛んでいるのです。スミマセン。(←お気づきのように、この”スミマセン”は謝る気のないすみませんです◎ すみません)

このあたりの説明は長くなるので、またそのうちします。これも一方的に説明させていただきます◎

 

↑こんな感じで曇っている面が…

 

↑ピカっとなります◎

この工程は「胴擦り」という工程です。この後、さらに磨きの工程を重ねていきます。もっとピカッとなります。

納期が迫ってきているので焦りつつの作業です。
「金継ぎ図書館なのに、最近、金継ぎのお話しがないぞ!」と思ってらっしゃいますね。あれ?そうでしたっけ??あらー、そういえば、そうですね◎
また近いうちに再開しますので、ちょっとお待ちください~◎

 

 

 

 

 

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取っ手の壊れた急須の「布着せ」金継ぎ修理04/~布目擦り

 

 

”金継ぎスピリット”とは「モッタイナイ」や「侘び寂び」ではなく、「境界線を超えて他者へ繋がろう」とする想いのこと

 

※ 「取っ手がバラバラに割れてしまった急須」の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の内の〈2回目貼った布のはつり~布目に錆漆さびうるし(ペースト)を擦り込む〉までのやり方を解説していきます。

 

 

前回の作業を見る

▸ Page 03/布貼り二回目まで

 

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  ファイツ!!

 

 

作業を始める前に…

 金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

06 (二回目の)布払い、布目揃え


道具  ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


上記以外で必要な道具… 〇空研ぎペーパー(紙ヤスリです)の#240~320

※ 今回は主に④のカッターナイフの(大)を使いました。持ち手の付け根・内側の布を削るときにはカッター(小)の方が作業がしやすいと思います。

 

布を払う…って何ですか??払う?

はい、払います◎ 端っこの余った布や、はみ出した余計な布端を刃物で削って払い除けます。

 

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

二回目に表側に貼った麻布がしっかりと乾きました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

貼った布が「カリッ」と乾いてれば、削り作業ができます。
けど、もし、「ブヨブヨ」している感じ(柔らかい感じ)がしたら、それは麦漆むぎうるし(接着剤)が乾いていない可能性があります。その場合は、乾くまでしっかりと時間を取ってあげてください。(何週間でもお待ちください◎)

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

今回の削りの「メイン」は↑この「重なり」の部分です。一回目に貼った布の上に重ねた部分を処理していきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「平」の彫刻刀か、もしくはカッターナイフをお使いください。今回はカッターの方が使いやすかったです◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

いつも通り、刃物は「横スライド」させて削っていくときれいに削れます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

で、「何をどのように削っていくの??」と言いますと…

現在、取っ手の裏側は布が二枚重なっている箇所があるわけです。↑図でいうと、水色線が「一枚目の布」で、赤色線が「二枚目の布」になります。
この「二枚目の布」の端っこをそのままにすると、仕上げた時に「段差」になりやすくなります。ですので、その処理をします。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

二枚目の布(赤色線)の端っこを薄く削っていきます。斜めに削る…ってことです。
「えっ!布を斜めに薄く削る??…なんて、できっこないよ~(泣)」と思いますよね。でも、意外や、これが簡単にできちゃうんです◎ 布って思った以上に「厚み」があるものなのです。チャレンジしてみてください。きっとできちゃいますよ◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法カッターナイフでも作業をしてみました。彫刻刀よりもこちらの方が作業しやすかったです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

カッターの刃も同様になるべく「横スライド」させていった方が削りやすいです。

「スライドの方向」としては「布が剥がれない方向に力がかかるように」というのを意識してください。
↑の画像で言ったら、カッターは左の方にスライドさせていきます。布の切れ端の「外側に向かって」です。これを「内側に向かって」作業をすると最悪の場合、布が剥がれてしまうことがあります(あまり無いと思いますが)。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

削りやすいように器の方を動かして(逆さまにしたりして)、作業をします。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

左手(カッターを持っていない方の手)の親指で、押し出すようにして削っていきます。
右手はどちらかというと力を入れるのではなく、刃の進む方向をコントロールするよう意識してください。

 

布の重なった箇所の削りが終わったら、次に「取っ手」の付け根の布を削っていきます。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

こちらも「貼りっ放し」だと布の切れっ端が「段差」になりやすいので、斜めに削ってなだらかに器の素地に繋がるようにします。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

カッターの刃を手前に引く際には、左手の親指は「ストッパー」の役割をしてもらいます。
ちょっと怖いかもしれませんが、左手で押さえることで「うっかり刃が手前に滑ってくる」のを防ぎます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法  手前に引く際も、刃はスライドさせます。
刃は「滑らす」ことで「切れ」がよくなります◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「向こう側」に刃を動かす際は、いつものように左手の親指で押します。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の「内側」は削りづらいです(泣)
こちらも「スライドさせる」ようにして削っていきます。

カッターの刃が「小さい」方が内側の削り作業はやりやすいです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

できました!こんな具合です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

どでしょう??

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

この作業、そんなに「厳密に」上手くいかなくても全く構いません◎ 強度的に問題が出るようなこともありませんので、眉間にしわを寄せて作業をする必要はありません。どうぞお気楽に◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

さ、これで次の作業に移りましょう!と行きたいところなのですが、その前に一仕事します。

 

「布目揃え」という作業をします。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

簡単です◎ すごく。

「空研ぎペーパー」(紙ヤスリです)の#240~320くらいの粗さのもので、軽く研ぎます。

※ 「水研ぎペーパー(耐水ペーパー)」しか持っていない方は、それでやってもらって大丈夫です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

適当な大きさに切ったペーパーを当てて、布の表面を荒らしてきます。

サラサラ、ちょっとだけ当てていけば結構です。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布全体に当てて↑こんな具合になればオッケーです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の内側も同様に研いでいきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

いろいろな方向に研いでください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

この時の注意点としましては「研ぎ過ぎ注意!」ということです。

この作業の「目的」は次の作業(錆漆さびうるし(ペースト)を付ける)の際に錆の「食い付き」が良くなるように…ということです。

ペーパーで布の表面を荒らすことで、錆の食いつきをよくするのです。

ですので、「ペーパー研ぎ」は軽くやるだけで十分です。むしろ「研ぎ過ぎる」と布の繊維が断ち切られて、補強としての強度が落ちます

ご注意ください◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

↑こんな感じで大丈夫です。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

うし、研ぎ終わったから、次の作業に行くぜ!…と思ったら、その前にさらにもう一仕事。(漆作業は面倒ですね~)

 

「研ぎっ放し」だと布の表面に「研いだ粉」が付いていて、錆漆の食いつきが悪くなります。ですので、その粉を拭き取ります。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

いらない布に水をほんの少し含ませ、湿らせます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

↑ほんと、こんなもんです。
「乾拭き」よりも、ほんの少し湿っていた方が粉がよく取れます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

コシコシ拭き取ってください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の内側もです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

拭き取り作業終了◎

粉を拭き取ってみると意外と「黒っぽい」ですね。
これでオッケーです。いよいよ次の作業に移ります。

 

 

 

07 布目擦り


道具 ③作業板 ▸作り方  ④付けベラ ▸作り方  ⑤練りベラ ▸作り方 ○マスキングテープ
材料 ①水  ②生漆  ⑥砥の粉
▸ 道具と材料の値段と売っているお店


 

この作業では布の「織った糸同士の隙間」を錆漆さびうるし(ペースト)で埋めていきます。

 

作業を始める前に修理箇所の周りが汚れないように「養生」をします。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

マスキングテープを細かく千切って、取っ手の付け根の周りに貼っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

個人的にはこの時、布とマスキングテープとの間に1㎜くらいの「隙間」を空けています。
というのも、錆漆を付ける際に錆で布を完全に覆いたいわけです。ということは布の端っこも錆で覆うには、錆は器の「素地」にも付けなくてはならなくなります。(伝わりづらいですか??)

ということで、「隙間」を設けているのです◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

この「養生」作業、面倒ですが、地道にやるしかありません。頑張りましょう◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

マスキングテープは大体の位置に「ひとまず」貼ってしまって、その後、ヘラや竹串などの硬いモノでずらして微調整していくのも手です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

養生作業が終わりました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

↑このくらいできていれば十分です◎

 

続けて、錆漆さびうるし(ペースト)を付ける作業に入ります。

錆漆を作ります。

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

 

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。作ってから1~2日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます。

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

錆をつけていくための「ヘラ」ですが、今回は…

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

ヘラの先っちょに「角度がついている」ヘラを用意してください。

なぜならば…

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の「内側」に錆を付ける際に、角度がついていないと届かないからです。

「えー、そんなヘラ、持ってないよー(泣)」という方、お手持ちのヘラの先をペーパーで少し研いで鋭角にすれば大丈夫です◎
もしくは作るの簡単ですので、ヘラを何本か自作してみてください。愉しいですよ。

 

更に…もう一本、特殊なヘラがあると作業が楽になります。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

ヘラの先っちょが「丸くカーブ」しているヘラです。

取っ手の付け根のカーブよりも「少しきつめのカーブ」のヘラを使うと、その部分に錆漆が付けやすくなります。

 

それではいよいよ錆付けの実践です◎

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)をヘラの先で少量取ります。

 

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

織っている糸と糸の隙間に錆を擦り込んでいきます。ですので、この作業は難しくありません。ひたすら擦り込んでいってください◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

付けた錆を広げていきます。広げるというか隙間に押し込んでいく感じです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

ヘラを動かす方向が一方向だけだと、ほんの僅かな隙間ができやすくなってしまいます。
いろいろな方向にヘラを動かしていってください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の付け根は「先が丸くカーブしたヘラ」を使います。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

地道に地道にヘラを通して錆を擦り込んでいきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手内側の作業でヘラを横に通す場合は「先丸ベラ」を使います。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手内側の作業が終わりました◎

 

続いて、外側です。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

少量ずつヘラで錆を掬って、布目に擦り込んでいきます。

「内側作業」よりも「外側作業」の方が楽です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手のカーブに合わせてヘラも動かしていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

縦横斜め…なるべく多方向からヘラを通します。

 

取っ手の「両端部分」とか「側面」は錆付けがやりづらいかと思います。(そんなことないかな??)

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

そういった場所の作業のやり方です。

まずは作業板の上から少量の錆を掬ってきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手の端っこのエッジに擦りつけるようにヘラを通していきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

斜め向こう側にヘラを通しつつ、ヘラに付いた錆を取っ手のエッジで切っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

錆が足りなくなったら補充して、同じ動作を繰り返します。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

取っ手のエッジに錆が乗りました◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

今度はその錆を広げていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布目に擦り込んでいきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「取っ手のエッジで錆を切る」…というテクニックが使えると作業が楽に早くできます◎ チャレンジしてみてください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

地道に「擦り込み」作業を繰り返して、ようやく終わりました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

今回の作業では錆を厚く付けないようにしてください。あくまでも「布目に擦り込」んで布目を埋める…という作業です。

だけど、少しくらいでしたら厚く錆を付けちゃった部分とか、錆がガビガビと「バリ」のような感じで残ってしまった個所があっても気にせずに行きましょう◎

乾いた後、しっかりと研げば大丈夫です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

はい、できました。

 

 

 錆漆さびうるし(ペースト)はそれ自体に「水分」が入っているので、とくに湿度のある「漆風呂」に入れなくてもしっかりと硬化してくれます。

けど、古い生漆や乾きの悪い生漆を使っていたり、数日、取り置きしておいた錆を使った場合は乾きが悪いかもしれません。その場合は漆風呂に入れて、湿度を与えてください。(湿度65%~)

 

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

もうちょい詳しく見たい方は↓こちらへ

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

 【 お掃除、お掃除 】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

 

 

 

【 次の作業を見る 】

 

 

 

 

金継ぎのやり方

 

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海外情報誌に金継ぎ図書館登場!

 

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ある日、辺境の金継ぎ図書館(エアー図書館ですけど)に海外から一冊の雑誌が送られてきた…

「きらら」…???
はい、「きらら」です◎ かわいいですね。

何?海外から女性誌を取り寄せた…ってこと??
いえ、違います◎

 

ページをめくるとそこには「ドラえもん」が…。しかも何語が書いてあるのか解読できない!

 

旭山動物園…ってことは観光ガイドかな?

 

と、思ったら、「リラックマ」団子の作り方!おー、なぜ、リラックマを団子にするんだ?(いいんですけど、この流れが意味不明!)

 

今度は「退職届」!さらに、お歳暮のようなものまで渡している…。

これ、どうゆうこと??

日本に関する「情報誌」ってことですかね~。さらにページをめくっていくと…

 

なんと、金継ぎ情報まで!

 

確かにどこかで見たような…
あの器、直したことあるぞ。

 

はい◎ そうです。「金継ぎ図書館」、ついに海外進出です!

海外展開第一弾・ベトナム!
通常の文化発信政策がとっているような「欧米中心」ではなく、金継ぎ図書館はアジアから展開していくビジネスプランなのです◎(←うそ)

やっぱ、アジアでしょ◎

 

何が書いてあるのか全くわからないのですが、何となくいいですね~◎英語で書かれた金継ぎ情報は時々、見かけますが、ベトナム語で書かれたものの方がステキですね~◎ 根拠なしですが。

 

今回も残念ながら「鳩さん」は登場していませんので、描き足してあげます◎

金継ぎ図書館が「超メジャー」にならない限り、きっとメディアに鳩さんが登場することはありませんよね。金継ぎ図書館、がんばるしかない!

 

お、またしても意味不明のコンテンツ。「日本語コーナー」でしょうか。でも、「田舎に帰りたい」って…何を教えているのでしょうか??日本に来てホームシックになったベトナム人の人へのアドバイスでしょうか?

  おー、この暑い夏に「お餅」ですかー。季節感が完全に狂いますが、食べてみたくなりますね◎

 

この雑誌ですが、ベトナム国内で配布される、「日本に興味のある人」向けフリーペーパーです。

ベトナムに住む編集者の人(日本語堪能のベトナム人女性)から、ある日、Eメールが届き、「写真を使わせてください」とのオファーをいただきました。

何度か連絡の「断絶」を挟み(笑)、やっと発行に至った感じです。 いやー、なぜか一ヶ月くらい返信が来ないこともあったんです。なので、完全に「話が流れたかな??」って思っていたら、また返信が来たり(笑)

これはベトナムの「ペース」ってことですかね?

 

日本のメディアに取り上げてもらえるのは当然、有り難いことなのですが、こうやって海外のメディア、特にアジアのメディアに興味を持ってもらえて、意外な「やりがい」を感じました。

どこの国、民族にとっても「壊れた物を直す」というのは、本来は何がしかの意味合いを持っていたものだと思います。「死者の世界」から連れ戻すことですからね。
そういったことに霊的な感覚を抱くということは、人間中心主義の近代化の中で失われていったと思います。前近代的だということで。

「金継ぎ」という技法は、それぞれの民族が持っている、自分たちの土着の感覚をもう一度思い出すきっかけを提供できると思っています。

 

ベトナム語がわかる方はこちらのサイトでチェックしてください◎
▸ Kilalaホームページ

 

 

 

 

 

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「スミアシ」は楽ちんよ

↑なんか現代アートの杉本博司さんの「アーキテクチャー」シリーズの写真のようですね~。

 

size19ファイツ!!

 

 

スミアシ…??初耳だけど、それって何?漆の業界用語??

いえ、「机」業界用語なんでしょうかね?ちょっとわかりませんが。
「角足」とか「角脚」とか書きます。机の「脚」のことです。現在、仏像の台座を作っているのですが、その台座の下に着ける短い脚のことも「角足」と呼ぶんです。

ふーん、でも仏像の乗っている台座に「脚」なんてあったっけ?そういうイメージってないんだけど。

 

ほら、見てごらんなさい。台座の下に「影」があるでしょ?影があるってことは「隙間がある」ってことです。
この隙間は台座が「空中浮遊」しているってわけじゃないんです。仏像だったら浮いててもいい気がしますが、諸事情からそういうわけにはいかないんです。(重力とか、みんなが怖がるとか)

 

スミアシって何で付けるの?必要なの??

角足を付ける理由としては実際的な機能面と、ビジュアル的な面との二つがあります。

機能面としては、框を移動させる際、台の下に指が入るようにする…ということです。
台の下に指が入らないと台を持ち上げることができません。さらに、漆塗りをして、磨き上げると、ツルツルするので、台の横っ面を持って持ち上げるというのが難しいのです。ツルッと滑って落としたら…悲しいですよね。ということで、やっぱり指が下に入らないとマズいのです。

 

もう一つの理由として…ビジュアル的機能ですが、角足を付けることで、台の下に「影」が落ちます。影が薄っすらと見えるということは「浮いている」「隙間がある」…ということで、そうすると無意識的にでも「軽やかさ」を感じてしまうものなのです。

黒い塊がドスンと置いてあると、その空間全体が「重~く」なります。框という黒い塊が「重苦しさ」を演出してしまうのです。だけど、できたら「仏像の台座の足元を強い黒でキュッと引き締め」ている…というように感じてもらえるようにしたいわけです。

ですので、框の下には風の通り抜ける空間を設けることによって、ちょっとした「軽やかさ」を作り出すのです。
ですが、この空間も広すぎると(角足が高すぎると)、足元が不安定な印象になってしまい、見る人の意識の中にも「不安な感情」を作ってしまうことになります。

キリンのような、脚が高くてシュッとしたフォルムの台だと不安定な印象を与え、カメのような、脚が低いフォルムだと、安心感を与えるわけです。

人々の様々な心(不安だったり、悲しみの感情など)を受け止める仏像が乗る台としては、やっぱり「安心感」を与える、どっしりとした台座にした方がよいのです◎

 

 

只今、框かまち(仏像が乗る台)を作っているのですが、その台の下に着ける角足も作っています。

漆を一回、塗ったところです。

今、やっている工程としては「漆の塗り→研ぎ」を繰り返して、「平滑な面」の精度を高くしていきます。

研ぎ面の大きさ、長さに合わせて様々な大きさの砥石を用意します。砥石屋さんに「ちょうどいい大きさの砥石」が置いてある…なんてことは、ほぼほぼありませんので、大きな砥石を買ってきて、それを自分で切ります。
砥石って「切れる」んですか?!って思いますよね。
切れます◎ けど、めちゃ大変です(苦笑) 金属用の鋸を使って切ったりするのですが、えらく時間がかかるし、鋸の刃がすぐに切れなくなります。どんどん刃を替えて(替刃式なので)、それで切っていきます。
私はその作業に嫌気が差して、小さな「バンドソー」を買いました◎ 1万円くらいのダイヤモンドチップの付いた刃を装着させると、砥石も切れるのです◎
これ、便利ですよ~。

 

角足の側面を研いでいきます。全体を研いでいきます。

一か所だけ集中して研いでしまうと、そこだけ凹みます。だからまずは全体を満遍なく研いでいきます。

 

あらかじめ水に浸しておいた砥石を使って、さらにちょっと水をつけつつ研いでいきます。

 

研ぎに使っている砥石を、さらに大きな砥石に当てることで、小さな砥石の平面を保たせます。これをやらないと意外と砥石の研ぎ面が凹んだり出っ張ったりします。
それじゃ、その「大きな砥石」の平面はどうなるの??凹まないの?…うーん、そうですね、だんだん形が崩れてきます。なので、他の砥石とすり合わせます◎
なんか面倒そうですね~(笑)

ところで、なんで「釘」が刺さっているの?

「ワンポイント」です◎ うそです。
漆を塗るときに「取っ手」として持ちやすいようにです。

 

研ぎつつ、ちょくちょく研ぎ汁をスポンジで拭き取って、「面のチェック」をします。

 

グレーになっているところは砥石が当たっているところで、黒色のところは凹んでいて、まだ砥石が当たっていないところです。

 

さらに研いでいきます。

研ぎ続けると…まだ黒色のところがちょっと残っています。と同時に、茶色いところも出てきました。この「茶色」は漆塗りの下の層の「錆漆さびうるし(ペースト)」の層です。研ぎ破っちゃった…ってことです。
でも、この段階ではこの「研ぎ破り」は全然、気にする必要はありません。ガンガン研いでいきます。「平滑な面を作ること」を優先させます。

 

研ぎ破りも出てきてしまいましたが、全体に砥石が当たりました。

 

「平滑な面」が出ているか?のチェックもします。

定規を当てて、その隙間から差し込む「光」を見ます。これで側面の形をチェックするわけです。
角足の側面の形も「框かまち」と同様に、少し「R」をつけます。(丸みを付けるってことです)

形をチェックして、出っ張っているところがあったら、その周辺だけ重点的に砥石で研いで、形を修正していきます。これが結構、手間がかかるし、難しいのです。

 

研ぎ終わったら、漆塗りの二回目を行います。
幅の狭い小さめの漆刷毛を使います。この「漆用の刷毛」って女性の髪の毛を使っているんです。江戸時代から「髪の毛」を使うようになったらしく、それ以前は獣毛を使っていました。
ちなみに「漆刷毛」は値段が高いです。

 

塗る面積に合わせた分量の漆を刷毛の先で掬い取ります。

 

この「漆の塗り方」は十人十色です。つまり綺麗に塗れればどうやったって構わない…ってことです◎

私はまずは刷毛を横滑りさせつつ、漆を配っていきます。

刷毛の先の漆を「ちょんちょんちょん」と点付けしていく塗り方をしている人も時々いるのですが、ちょっとそれは効率が悪いし、刷毛の動かし方としても「きれいじゃないなー」って感じるので、私はこうしています。

動作に無駄がなく、道具の持つ能力を上手く引き出す動きができたら、それってきっとすごく美しいだろうなーって思いますよね。
一流のスポーツ選手の動きと同じような感銘を受けそうですよね。

 

横一直線に配った漆を今度は広げていきます。
まずは小刻みに刷毛を斜め下に動かしていきます。

 

次に斜め上に動かしていきます。

 

全体に漆が配れたら、今度は刷毛を通します。

 

反対方向にも通します。

 

刷毛の「入り」と「抜け」の部分はどうしても「刷毛目」が残りやすく、さらには漆が厚く溜まったり、薄くなったりしやすいので、最後に直角方向に刷毛を小さく通します。

 

裏と表にはみ出した漆をヘラで切っていきます。

 

4面とも塗り終わったら、塗りの作業は終了です。

漆を乾かすために適当な冶具を見つけて、それにクリップで止めます。宙に浮くようにするわけです。

 

漆風呂に入れて一昼夜。

 

7月の関東の気候だったら、一日で乾きます◎

この後、さらに「研ぎ→塗り」…と繰り返しつつ、さらに面の精度を高めていきます。

 

すごく大雑把な説明になりましたが、こんなふうに「塗り→研ぎ」を繰り返しています◎

 

 

 

 

 

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框(カマチ)はツライなー

 

size19ファイツ!!

 

なんか、最近、金継ぎ図書館の更新頻度が下がったよねー。何やってんのかしら、アホ館長は?(サボり??)

 

いやー、サボっているわけじゃないんです。只今、「框かまち」っていうものを作っているんです。
カマチ???って何?って感じですよね。框かまちというのは仏像とかが乗っている「台座」のことです。

 

↑こういうことです。こういうの、作っています。鬼の下にある「台」です。はい。
自主制作?
いえ、そんなもの自主制作するわけありません(作っても意味ないしー)。福井の方のお寺さんからの「依頼」です。

 

依頼されたものは「ただの四角形」です。けど、デカい!この「大きい」っていうのがすごく厄介なのです(涙)

木地は秋田杉の目の細かい良材を使って、三枚を貼り合わせています。貼り合わせた接着箇所に刻苧漆こくそうるし(パテ)を充填し、その後、布を2枚着せています。

 

現在、錆漆さびうるし(ペースト)を塗って、それを研いでいます。「平滑な面」が出るまで、研いだり錆を付けたり…を繰り返しています。

このくらいの大きさになると「平滑な面」を作るのが相当ハードになります。ゲンナリするくらい嫌になります(涙)

5年くらい前まで、この「框かまち」というのを年に4,5個作っていました。正直、値段と労力とが全く見合わない仕事でして、時給でいうと¥500-みたいな感じでやっていました。仕事というよりかは自己鍛錬のための「苦行」としてやっていた感じです。(いや、ほんとツライですよ~)

当たり前なのですが、ただの「台座」なので、仕事としての単価がすごく安いんです。その上に乗せる仏像にはナンボでもお金を掛けますが、僕の作っていたのはただの黒い漆塗りの台座ですからねー。「こんなもの、安く作らせろ」…ってことになるわけです。
しかも、何となく自分自身の「立場」も弱いんです。仏像を作る人の方が「エライ」感じになるわけです(「エラそうな人」もすごく多いです(苦笑))。当然と言えば、当然な感じもしますが。
それに、手間ひまかけて丹念に仕上げたとしても、台座なんて誰も見向きもしない。当たり前なのですが。

で、「こんな仕事してちゃダメだ!」って思うわけです。修行にしかならない。ってことで、5年くらい前に、一切、框の仕事は受けないことにしました◎

「もう、二度とやるものか!」って決めていたのですが、懇意にしている人がわざわざ「鳩屋くん、そこを何とかやってくれないか?」とまで言ってくれたので、これは断るわけにはいかないなと思い(実は何度か断りましたが)、「人生最後の一個」としてお引き受けすることにしたのです。

けど、久しぶりに作ってみて、「やっぱり、これはキツイな~」って感じています(苦笑) (もう、二度とやらないぞー)

 

なんで、そんな「ただの四角形」を作るのが大変なの?簡単そうに思うけど。…って思いますよね。
いやー、これが死ぬほど大変なのです。あまり仕事の愚痴をこぼすのも情けないのですが、これは「やっちゃいけない仕事だなー」ってつくづく感じます。
「きれいな平滑な面」を作るのって大変なのです。実は。

 

僕が作り続けて、考えてきた「きれいなカマチ」を説明させてください。かなりマニアックですが。
ちなみに、上に乗せる仏像によって雰囲気を微調整させます。

まずは「台の上面」を「甲盛り」にします。ちょい、「山」のようにもっこりさせる…ってことです。(「もっこり」じゃなくて、「ふっくら」ですね◎)

 

その「もっこり」具合ですが、全体を均一にもっこりさせると、ダサくなります。端っこは「急もっこり」、内側は「ゆる・もっこり」にします。
一つの平滑な面の中に「形の変わり目(稜線)」を作ります。こうすると形が「締まり」ます。ふっくらの「リズム」に変化が出るからでしょうか。きっと音楽なんかとも共通することですよね。

 

(↑側面図)

台の側面についても同じ要領で面を作っていきます(カーブに変化を持たせる)。
あとは、「上面」から「下面」にかけて、「すぼまる」形にします。上の面の方が大きくなるわけです。

 

さらに、その「すぼまり方」も場所によって変化させます。端っこの方は「急」にすぼまり、中央になるにしたがって「緩やか」にすぼまります。

 

ただの「四角い台」なのですが、雰囲気としては↑のような「蓮の花」を感じられるものにしたいと思っています。(鳩は感じません)

これらのフォルムの「変化」はぱっと見では全く気付かない程度にします。よーく見て、定規でも当てた時にやっとわかる程度です。

「それって意味あるの?」と思いますよね。それ、100%、意味あります◎ 人が「意識の上」では認識できなくても、「無意識的」に感じている領域はすごく広いと思います。実はその領域で「何となく、これ、いいなー」って感じたり、「これ、何かイマイチ」って感じているのだと思います。
「周りの環境」や、「出会う人」に対しても、この「意識に上らない意識」で判断することがすごく重要なのだと思います。(通常、意識できないので難しいですが)
だけど、そこにしっかりと「届けたい」と思って、「たかが、台座」を作っています。(もう、絶対に作りませんがー)

 

こういったカーブの具合だとか、すぼまり具合、あとは「面取り」の幅の広さなどは上に乗せる仏像の雰囲気によって変えます。「微妙に」ですが。
厳しい雰囲気の像やシュッとした像が乗る場合には、台座の方も「シャープな感じ」になるように心がけます。柔らかい感じの像が乗る場合は、それなりに「ソフトな感じ」になるようにします。

 

「パルテノン神殿の柱」と「法隆寺の柱」とでは、そのラインのもたせかたが少し違うようです。このあたりは民族性というかその自然環境に長年、住み続けてきた感覚の違いから来るのかな、と考えています。

 

こんな感じで台座の制作はまだ続きます。八月一日、納品!

 

 

 

 

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日本の3rdプレイス

 

 

 

サード・プレイスとは、コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す。サード・プレイスの例としては、カフェ、クラブ、公園などである。
by Wikipedeia

 

小耳に挟んだこと


楠本修二郎さんというかっこいい社長さん(カフェ・カンパニー社長)が ▸YouTube (1:36:00~くらいから)の中で「人が集まる場所」について話していたことのなのですが、それぞれお国柄で「サードプレイス」にちょっとした違いがあるようなのです。

  • フランス→カフェ
  • イギリス→パブ

なるほど、納得(かな)。何となくイメージができる。
で、日本は?というと…「カフェ」ではないです。実は。
それじゃ何処??というと、

  • 日本→本屋・図書館(!)

なのだそうです。おー、日本人って真面目ね◎っと思うと同時にどうして日本ではサードプレイスが「本のある場所」なんだろう?って思ったわけです。
何ででしょうね?分かりません。
けど、きっと日本では昔から識字率が高かったことと関係しているのではないかと思うのです。文字が解読でき、本が読めた(きっと本は高価なものだったのでしょうから、どこかの場所に集められていた?)。
で、「本が読めた」ということが、単純に「本から情報を取り出すことができ、知識を増やすことに日本人は心地よさを感じていた」とか、「物語りの中に没入でき、その世界観で安らいでいた」っていう話じゃないと思うんです。
本が読めた…というのが、本の中で「先人」とリアルに出会ったり、「中国の賢い人」と生きた対話をすることができた…ということだと思うのです。

「本=”私”というフレームの外にいる”他者”」…として、出会っていた。そういうのが他の国の人に比べると得意だったのではないのかと思うのです。得意というより、それは歴史的な経緯や地理的な条件によって(日本は島国で、文物制度を中国から輸入するしかなかったから)、必然的にそうならざるを得なかった(←この辺りは内田樹先生の「日本辺境論」の受け売りです◎)。

人は「人の集う場所」に行きたくなる…という理由が、「他者」と出会い、自己を解体し、智や情報の流れの中に身を浸すことが目的であるとするならば(←お話がぶっとんでいますかね?)、西洋では「直接、人と交流する」ことに重点が置かれた。
一方、識字率が高い日本ではそれを「本の中」に見出すことができた。「本=他者」であって、「本のある場所」は「過去の人たちが集まっている場所」であり、「膨大な叡智が”流れている”場所」であった。
そしてその叡智は過去から現在、そして未来へと途切れることなく繋がる大きな流れであることを無意識的にでも体感していた。
だから日本ではサードプレイスが「本のある場所」になったのかな…と推測しているところです。

もちろん、西洋やエジプトなんかでも「図書館=本のある場所」って昔から重要な場所だったし、一方、日本でも「人の集まる場所」は重要であったと思います。井戸端とか洗濯場、お寺、茶屋とか。

ウェブサイトを立ち上げる時(約2年前)に「金継ぎ図書館」って名前をつけたのですが、結構「アタリ」かもな~◎ と一人ほくそ笑むのです。

 

Wikipediaで「サードプレイス」を調べてみたら説明がすごく魅力的でした。以下、全部Wikipediaの引用です。(こんなに引用してもいいのかしら?ダメ??) ▸ Wikipedia サードプレイス

概要
アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグは、“ファースト・プレイス”をその人の自宅で生活を営む場所、“セカンド・プレイス”は職場、おそらくその人が最も長く時間を過ごす場所。そして、“サード・プレイス”はコミュニティライフの“アンカー”ともなるべきところで、より創造的な交流が生まれる場所

 

オルデンバーグが定義する“サード・プレイス”の8つの特徴

中立領域

サード・プレイスの構成者は義務感からそこにいるのではない。彼らは、経済的、政治的、法的に縛られること無く、喜んでやってくる。

平等主義
サード・プレイスは、個人の社会における地位に重きをおかない。経済的・社会的地位は意味がなく、ありふれていることが許容される。サード・プレイスでは参加するために、何も必要条件や要求がないこと。
会話が主たる活動
遊びココロや楽しい会話がサード・プレイスの活動のメインフォーカスである。会話のトーンは気軽で、ユーモア、ウィットがあり、優しい遊びココロは高く評価される。
アクセスしやすさと設備
サード・プレイスはオープンで、みなが訪れやすい環境。柔軟で親切で、集まる人のニーズにこたえるところ。
常連・会員
サード・プレイスは、常連がいて、空間やトーンを形成する。その場所らしさを彼らがつくる。新たな訪問者を惹きつけて、新参者にも優しいところ。
控えめな態度・姿勢
サード・プレイスは、健全である。その中には無駄遣いや派手さはなく、家庭的な感じ。偉ぶったり、排他的であってはいけない。いかなる個人、あらゆる階層の人を受け入れる。
機嫌がよくなる
サード・プレイスでの会話のトーンは、けっして緊張や憎悪を生んではいけない。その代わり、陽気でウイットに富んだ会話、気さくな冗談は歓迎される。

第2の家

サード・プレイスにいる人たちは、しばしばあったかい感情を共有する。あたかも同じ家に暮らす者同士のように。この場所に根ざしている感情を持ち、精神的に生まれ変わることを得る。

 

なんだかすごく魅力的なことが書かれていますね。
カフェ・カンパニー社長の楠本さんが言っていたのですが、「全ての業態はカフェ化する、必然的に」と言っていました。
「人々が集い、繋がる場」を作る。実技系の教室もその想いが「ある教室」と「ない教室」があると思います。ぜひ、みなさん、それが「ある教室」を見つけてください◎

 

 

金継ぎのやり方

 

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取っ手の壊れた急須の「布着せ」金継ぎ修理03/~布着せ2回目

 

 

”金継ぎスピリット”とは「モッタイナイ」や「侘び寂び」ではない
「自我を超えて他者へ繋がろう」とする渇望にも似たその志向性のことである

 

※ 「取っ手がバラバラに割れてしまった急須」の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の内の〈一回目に貼った布のはつり~布貼り二回目(持ち手の外側に布を貼ります)〉までのやり方を解説していきます。

※ 今回は非常に画像が多いです。非常にです。何で多いのか?それは滅多に「布を貼って補強する修理」が無いので、くどいくらいに画像を載せて説明させてもらいました。ご理解の程、よろしくお願い致します◎

 

【金継ぎ図書館クライシス!】
私事ですが、先ほど大量の豆乳をノートPCの上にこぼしたので、いろいろ不具合が出てきています(涙) キーボードタッチが硬くなってきたし(多分、時間が経って、キーボード内に入り込んだ豆乳が乾いて固化してきたのだと思います)、CDを入れるところが勝手に開くし…(何も入れるものなんてないのにー!)。これってお店に持って行った方がいいんですかね?お店の長期保証に入っておけばよかった~。でも豆乳こぼすなんて思ってなかったしなー。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法 うー、キーボードがマズイぞ~。おのれ、豆乳め~(しかも”特濃”だから固化障害が強く出てます◎)

 

 

さてと、そんなアホな金継ぎ図書館はほっておいて、説明に入りましょう◎

 

前回の作業を見る

▸ Page 02/一回目布着せまで

size19  ファイツ!!

 

 

作業を始める前に…

 金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋はマストです◎

 

06 (一回目の)布払い、布目揃え


   道具  ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


上記以外で必要な道具… 〇空研ぎペーパー(紙ヤスリです)の#240~320

※ 今回は主に④のカッターナイフの(大)を使いました。持ち手の付け根・内側の布を削るときにはカッター(小)の方が作業がしやすいと思います。

 

布を払う…って何ですか??払う?

はい、払います◎ 端っこの余った布や、はみ出した余計な布端を刃物で削って払い除けます。

あ~、また私の苦手な「刃物」使うんですね~(泣)

いやいや、これは難しいことはありませんよ◎ カッターナイフで地道にジョリジョリ削っていけばいいんです。意外とこういう単純で細かい作業って、やっていると面白いですよ◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 今回使ったのは↑この「カッターナイフ(大)」です。彫刻刀よりもカッターの方が作業しやすかったです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 布の「はみ出し」ってなに??かと言いますと、↑この部分です。周りにはみ出した「ビロビロ」です。

 

 この「ビロビロ」と、それから右画像の「持ち手の付け根に貼った布の余り」を削っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 まずは持ち手・サイドのびろびろから削ります。

カッターを持っていない方の手(右利きの場合は左手)の親指でアシストします。画像のA方向(斜め後方)に親指で押し出します。カッターの持ち手はB方向 (後方)に引く感じです。カッターの刃自体はC方向にスライドするようにします。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 カッターは↑この方向にスライドです。斜め後方。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「器の素地」と「カッターの刃」で布を挟み込むような感じにカッターを動かして削っていきます。↑画像の左側の画は布を挟み込んでいます。右側は布が挟まっていません。この位置関係で削ると布が剥がれる場合があります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法何となく「ハサミで切る」イメージでしょうか。下の刃が「器の素地」で、上の刃が「カッターの刃」と考えと分かり易いかと思います。(伝わりますか??)

 

そうすると、布にストレスがかかりづらくスムーズに削ることができます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 付け根部分のサイドは片手で削りました。この時もカッターの刃と器の素地とで「ハサミ」のように「挟んで切る」ような感じにカッターを動かしてください。

 

持ち手のサイドのびらびらが削れたら、今度は持ち手の付け根の余計な布を切ります。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

↑この部分です。布を削るときに、短く切り過ぎて、補強効果が無くならないように気を付けてください◎ この布は「補強」のためにしていますのですー。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

カッターで削っていきます。この持ち手の内側は「小さい」カッターの方が作業がやりやすいと思います。刃が大きいと、持ち手に当たっちゃって少し作業しづらかったです。
カッターは手前に引くように刃を動かしていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

この時の注意点としましては布に対して「垂直」に刃を入れると布の断面も垂直に「バツン!」って感じの面となります。ですので、そうではなく、「布が薄くなっていくように斜めに刃を入れる」ようにしてください。端っこの1~2㎜幅分です。

なんでか??この後の作業で錆漆さびうるし(ペースト)で布を「埋めて」表面をきれいにしていくのですが、布の「切れ端」というのは結構、表面に「ぴょこっ」と出てきやすいのです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法垂直に布が断ち切られていた場合は図の左のようになります。ペーストを付けて、それを研いでいる時に、布の「エッジ」が出てきやすくなります。
布を斜めに薄くなるように削った場合は図の右のように「布目」が表面に出づらくなります◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布は僅かな厚みですが、それを斜めに薄くなるように削っていきます。「こんなに薄い布を”斜めに”なんて、ムリムリ!」って思いますよね。でも、やってみると「あ、なんだ、こういうことか◎ できちゃった」ってなりますよ。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

刃が入りづらい部分もなるべく「斜めカット」を心掛けます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

できました!

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

余計な布を削り取ったので次の錆漆さびうるし(ペースト)作業に移りたいところですが、もうちょっとだけ事前作業をしておきます。

 

何をしておくのか?といいますと、軽く布の表面にペーパーをかけておきます。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

空研ぎペーパー(紙ヤスリ)の#240~320くらいを用意してください。「空研ぎ用」がなかったら「耐水用」でも構いません。(空研ぎするときは「空研ぎ用」の方がペーパーの目詰まりがしづらいと思います)

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

麻布を研いでいきます。

 

取っ手の内側も満遍なく研いでいきます。「軽く」研いでください。「思いっきり」研いじゃダメです◎

これは何のための作業かといいますと、この後に付ける錆漆さびうるし(ペースト)の食いつきをよくするため(←これがメインです)と、布の表面を滑らかにするためです(時々、布目に”ダマ”のような箇所があったり、麦漆が厚盛りになってしまった個所などがあるので、それを平均化します)。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

↑こんな感じになるくらいで結構です。「軽く」です。研ぎ過ぎると布が薄くなってしまいます。そうすると布の強度が落ちて「補強効果」も弱くなりますので、ご注意ください。

布が麦漆むぎうるし(接着剤)で表面コーティングされていて、「テカっ」としています。これをペーパーで荒らして布地を出し、食いつきをよくするのです◎

 

こんな具合です。

  取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

研いだ粉が表面に残っていると、錆漆さびうるし(ペースト)の食いつきが悪くなるので(サラサラパウダー状の上に何か塗っても剥がれてしまいます)、布で拭き取ります。

布は軽く湿らせて使います。その方が粉が拭き取れます◎

 

持ち手の内側も拭き取ります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法 できました!
…おー、やっと終わった。説明が長い~。でも、次の作業もこのページで書いちゃいます。よろしくどうぞ。

 

 

 

07 布着せ(二回目)


  道具  ②作業板 ▸作り方 ③練りベラ ▸作り方 ④付けベラ ▸作り方 〇先丸ヘラ(先っちょがカーブしているヘラ) ⑦マスキングテープ
  材料  ①水 ⑤生漆 ⑥小麦粉
▸ 道具・材料の値段/販売店 


 

今回は持ち手の「表側」に麻布を貼っていきます。やり方は一回目の布着せと同じです。

接着剤は何を使うの?かといいますと、いつも使っている麦漆むぎうるし(接着剤)です◎

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方麻布(目が細かいもの)」と「布を切るためのハサミ」を用意してください。

麻布は 1m×1m/¥2,000くらい(だったかな??)です。漆屋さんで購入できます。
目の細かい麻布は手に入りづらい(扱っているお店があまりない)ので、「綿布(ガーゼなど)」でもいいと思います。かなり布としての「強度」は落ちますが、それでも張った方が全然いいです。お値段、入手の容易さを考えると「ガーゼ」が程よい「落としどころ」かなーと思います。
※ 基本的には金継ぎ図書館は「最高級の直し」をやろう…ってことでは運営していません。多くの方がちょっと頑張ってできるくらいの「落としどころ」を見つけることが最重要課題だと考えています。ですので、道具・材料・工程など「いい案配」のものをご紹介していきます。

 

それでは布を貼るための接着剤を作ります。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
 ▸ 麦漆むぎうるし(接着剤)の詳しい作り方

そう、漆と小麦粉で「接着剤」が出来ちゃいます。料理??

※ 麦漆むぎうるし(接着剤)の”消費期限”は2~3日くらいと考えてください。基本的に「使うときに作る」が原則です。保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきます。

【 麦漆むぎうるし(接着剤)漆の作り方 】

【体積比/目分量】… 小麦粉 1:1 生漆  ※水は適量


  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます(ガムみたいに粘るまで)。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)の作り方動画 】

初めのうちは失敗しないように、小さな計量スプーンを使うといいです。
(ベストは1/4サイズです。けど、滅多に売っているお店がありませんー)

 

持ち手に貼る布を切っておきます。持ち手の幅を計っておいて、その幅よりも広めに布を切ります(今回は左右の糊代を2~3㎜にしておきました)。
「長さ」も長目に切っておきます。

ここで重要なのは布を「バイアスになるように切る」ということです。糸の織ってある方向に対して、「斜めに切る」ということです。せっかくの布に使わない「無駄な部分」が出てしまってもったいないのですが、ここはより良い仕上がりのために我慢してください◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

実際に持ち手に布を当ててみて、長さを決めます。鋏で切ってください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布は以下のようになっているかチェックしてください。

  • Aの箇所…持ち手の接着箇所ギリギリで布が終わらないように、余裕をもって長めにする。
  • Bの箇所…持ち手の幅よりも広め

これで布の準備ができました。

 

 

布を貼る場所にあらかじめ麦漆を薄く塗っておきます。今回の布貼りの手順としては、次の3ステップを考えています。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

  1. 素地に麦漆を薄く塗る
  2. 布を置いて、ヘラで上からしっかり押さえつつ、密着させる
  3. 布の上から、さらに麦漆を塗る

 つまり「布を麦漆で挟む」感じでしょうか。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

少量の麦漆をヘラの先に取ります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

それを付けて…

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

延ばしていきます。
これを繰り返していきます。麦漆が足りなくなったら付け足して、延ばしていきます。

 

破片を接着した時のように「極薄」にする必要はありませんが、「やや薄目」に塗っていってください。厚塗りすると極端に乾きづらくなりますのでご注意です。

なるべく「均一の厚みで、薄く」です。

     取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布を持ち手の内側に少し織り込んで貼るので、内側にも麦漆を付けていきます。

ヘラに取った少量の麦漆を、持ち手のエッジに擦りつけるようにして、切ります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

その麦漆をヘラの面で延ばしていきます。

これを繰り返してください。

薄目、均一…です◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「取っ手付け根」部分は普通の「平」のヘラだと麦漆を付けられないので、↑このような「先っちょがカーブ」したヘラを使います。
ぜひみなさんも作ってみてください。普通の「付けベラ」を作るのと同じ要領です。最後に先っちょを削ってカーブさせるだけです◎ ▸作り方

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

「ピタっ」と嵌まる形にする必要はありません。その隙間に入り込めばいいので、ちょい「小さめ」にしてください。

 

少量の麦漆をヘラで取って、急須の付け根に置きます。それを延ばしていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

これで全部、塗り終わりました。「薄目」ですが、薄すぎないように気を付けてください。↑この画像くらいです。って言われてもよくわかないですよね~。「てんこ盛り」しなければ、大体、乾きますのでビビらずにやってくださいね◎
↑意外と漆作業の許容範囲は広いのです。と思っていると失敗する。けど、ビビらずに◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 

私には「ヘラ」でこんな作業をやるテクニックはないの…(泣) という方、大丈夫です◎ 「筆」でやりましょう。簡単にできますよ。

↑”固めの毛(豚毛など)”の筆で塗ることもできます◎ 筆は100均で大丈夫です。3本組とか5本組のものでオッケー。
豚毛でしたら毛が硬いので、麦漆の粘りにも負けず「引っ張る」ことができます。この後おこなう「布を押える作業」もできます。
柔らかい毛質のものだとこれらの作業がやりづらいので、ご注意ください。使用後は他の筆と同じように「サラダ油」で洗って下さい◎

漆の塗りで使う平筆の洗い方▸ 平筆の洗い方

 

 

麦漆を「薄く、均一に」塗り終わったら、次に麻布を貼っていきます。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

この麦漆を塗った上に麻布を「パサッ」と置きます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

皆さんはゴム手袋をしてくださいね。素手で麦漆に触るとカブレる可能性が高くなりますので。

まずは布をパサッと置いて、それからヘラで位置をずらしてちょうどいいポジションにします。
ゴム手袋をした手でつまんで布を置いてもオッケーですし、もうちょっとカッコよく作業をしたいのでしたら、ヘラを使って布を置きます。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 ヘラの先にちょっとだけ麦漆つけ、置いてある布をその部分で引っ付けて持ち上げます。意外とこんなんで出来ちゃうものです◎

 

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

布を置きます。一応、持ち手の下の部分まで布が間違いなく届くか、確認します。
一回、取っ手に沿うように布を下まで軽く押さえていきます。それで布の位置を確認してください。ズレているようでしたら、ヘラで正しい位置にずらしていってください。

ポジションが決まったら、今度は布を「本押し」していきます。しっかりとヘラで押して、あらかじめ塗っておいた麦漆が浸み込むようにします。

しかりと布を押えていきます。この時、なるべく布を引っ張らないように注意してください。
それで、順番に布を押えている最中に、既に抑えたはずの部分の布が「ペロリ」と浮いてきてしまう場合があります(複雑な形状や、今回のようなきついカーブの形が場合)。
そういった場合は部分的に上から麦漆を付けてしまって、ある程度固定させてしまってください。

 

徐々にジョジョに、取っ手の下の部分へとヘラを移動し、布をしっかりと密着させていきます。
※ この「布押さえ作業」も硬い毛の筆で出来ます◎

 

布全体が間違いなく予定のポジションに密着していることが確認できたら、次は布の上から麦漆を塗っていきます。麦漆を塗った後に布のズレを修正しようとすると結構、面倒なので、この時点でしっかりとズレを直しておいてください。

 取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

麦漆を塗っていきます。少量ずつ布の上から麦漆を塗り込んでいきます。布の目が完全に埋まるように、ヘラはいろいろな方向から通してください。

 

持ち手の表側を塗り終えてしまいます。
塗り終わったら、今度は持ち手の両サイドです。

 

   取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

このサイドの「糊代」を折り込んでいきます。
まずは麦漆は付けずに、ヘラだけで折り込んで急須の素地に密着させたいところですが、角度が急なため、布がめくれ上がってきてしまいました。
ということで、ここは麦漆を付けつつ、折り込んでいきます。

 

ヘラで折りつつ、素地に密着させます。浮かないように要チェックです。

 

   取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

織り込んだ布は↑こんな感じで、重なります。
布を重ねないで、ピタッと隙間なく「一枚張り」ってやり方でもいいと思いますが、今回は「強度アップ」(布が重なった方が強度は上がります)とこの後の作業(ペースト付け)で布が見えなくなるので、重ねるやり方でいきます◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

密着させたはずの布がぺろりとめくれてしまうことがありますので、時々、チェックして、またヘラで押さえ付けます。
最初は布が上手く形に密着してくれていなくても、時間が経つと、布に麦漆が沁みて、柔らかくなってきます。そうすると案外、しっかりと形に沿って密着してくれます。粘り強く作業をしてください◎

 

ひたすら麻布を織り込んで密着させていきます。

 

反対サイドも同様に布を織り込んでいきます。

 

サイドが貼り終わったら最後、持ち手の付け根部分の作業をします。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

同様に麦漆を布の上から付けます。

 

ヘラでしっかりと延ばしつつ、布の目に入れ込んでいきます。

 

  取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

ようやく作業完了です!!長かった~(苦)

最後に全体のチェックです。(←これ忘れずに!)

  • 浮いてきている箇所がないか?
  • 麦漆が付いていない箇所がないか?
  • 麦漆が厚くなり過ぎているかしょがないか?

などを確認しながら、いろいろな角度からみてください。

 

麦漆の「厚み」としては↑こんな感じになります。厚く付け過ぎないように気を付けてください。でも大体、何となく上手くいくものです◎

   取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

今回は長かった~。最近のページ作りは何か大変だはぁ(苦笑)

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理の方法

 

 

 

 

 

 

【 次の作業を見る 】

▸ page04 乞うご期待

 

 



 

金継ぎのやり方

 

Pocket

取っ手の壊れた急須の「布着せ」金継ぎ修理02/~布着せまで

 

”金継ぎスピリット”とは「モッタイナイ」や「侘び寂び」ではない
「自我を超えて他者へ繋がろう」とする渇望にも似たその志向性のことである

 

※ 「取っ手がバラバラに割れてしまった急須」の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の内の〈接着剤の削り~布を貼り付ける〉までのやり方を解説していきます。

 

前回の作業を見る


▸ Page 01 /パーツの接着まで

 

size19  ファイツ!!

 

私、金継ぎ初めてなんですけど、どんな道具とか材料が必要なんですか?という方へ

↓ こちらのページを参考にしてください◎

▸ 本漆金継ぎで必要な道具と材料/そのお値段と買えるお店のご紹介

 

 

 

作業を始める前に…

 金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

前回は麦漆むぎうるし(接着剤)で壊れた急須の取っ手を接着したところで終了しました。
あれから、そう、2週間ほど経ちました。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ついに完成!…していません!まだ、全然終わっていません。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

麦漆でしっかりと取っ手がくっついたようです◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

しっかりときれいなアーチに戻っています。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

接着に使った麦漆がちょっとはみ出しています。これをこの後、刃物で削っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

内側もちょいはみ出しです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はい、全然完成していません。これからが長いのです。気を引き締めていきます◎

 

 

03 接着剤の削り


  道具  ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


※ 今回は取っ手の内側の麦漆削りに「彫刻刀の丸刀」も使いました。

上記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がやりやすくなります。

おススメは 【①と②の彫刻刀】ですが、「研ぐ」ことができないと、使い捨てになってしまいますので、現実的な初心者用の刃物チョイスとしては 【③と④のカッター】を用意してもらえたらと思います。

③ の障子用丸刃カッターはホームセンターの「障子貼りコーナー」にありました。刃先がRなので(丸味が付いている)、器の曲面部分、特に「器の内側」部分の削りにもある程度ですが、対応できます。

 

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はみ出した麦漆を削っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 彫刻刀の刃を器にペタリと付けて、はみ出しを削っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 削るときは刃を持っていない方の手(右利きの場合は左手)の親指を使います。親指は「横方向」に押し出します。「よこ」ですか?!はい、「横」です。刀を持っているの方の手は「軽く前方」に進めます。「軽く」です。
どちらかというと、補助しているように見える「親指」の方で削っていく感覚です。普通は刀の「持ち手」の方で、力を入れて「えいっ!」と削っていくイメージがありますよね。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

↑の画像でいうと、補助している左手親指が「右方向のベクトル」、持ち手の右てが「左方向のベクトル」、それが合わさって「赤いベクトル」になります。
対象物に対して、ベクトルを細かく分けられるようになると、削りがさらに滑らかにいくようになります。「この2方向以外にどうやってベクトルが分けられるっていうの?」といいますと…分かりません(笑) だけど、これを探っていくというのは「工藝」のかなり重要なポイントなんです。
身体感覚を細かくして、削っている時の感覚を微細に感じてください。そうしたら、「あれ?何か、今、気持ちよく削れた…。何だろう??でも、どうやったか分からない(泣)しょうがない、もうちょっと探っていってみよう」ってことが起こるかもしれません。

こうゆう「微細な身体感覚を探る」ことこそが重要な「学び」です。だけど、小、中学校ではそんなお話、聞いたことがないですよね?僕も聞いたことがありません。「美大」ではそういったことが教えてもらえるの?いえ、「そういうお話し」はありません。
それじゃ、どうすればいいの?と言いますと、「そういったことに気が付いている”師匠”」を探し求めるしかありません。こちらが必死で探し求めた時にはじめて、「ん?何か分からないけど、この人?かな?」ってセンサーにヒットする可能性が出てくる。そういうものだと思います◎

 あっ、話が長い、金継ぎ図書館。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 取っ手の内側のはみ出しも削ります。この内側部分は彫刻刀の「丸刀」を使って削りました。彫刻刀の平刀では無理だったのですが、カッターナイフだったら「刃」が横についているので、削れるかもしれません◎

 

今回は、取っ手の部分に「欠け」がなく、接着の際に「隙間」もできていなかったので、次の「素地の研ぎ」の工程に進みます。
もし、「欠け」や「隙間」があったら刻苧漆こくそうるし(パテ)や錆漆さびうるし(ペースト)を充填し、それを削ってから次の工程に進んでください。

刻苧漆こくそうるし(パテ)を使う場合は ▸こちらのページへ
錆漆さびうるし(ペースト)を使う場合は ▸こちらのページへ

 

 

04 素地を研ぐ


  道具  ①リューターのダイヤモンドビット ▸ 作り方 ②ダイヤモンドやすり
▸ 道具・材料の値段/販売店


 今回は↑の②を使いました。「半丸」のヤスリです。片面は「平」で、もう片面は「丸」です。取っ手の内側をやするときに「丸」じゃないと、ヤスれませんのです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ダイヤモンドヤスリで研いでいきます。この作業の目的は陶器の釉薬に「傷」をつけて(荒らして)布を貼る時の接着をよくするためです。

 

研ぐ前に、「どこまで研ぐのか=どこまで布を貼るのか」を決めて、鉛筆で目印を書いておきます(黄色いライン)。
その写真も撮ったと思うのですが、見当たらない…(泣) 最近、もろもろの「管理」に混乱が生じてくるようになってきました。館長の脳みそのキャパを超えているのかもしれません。

で、この時に気をつけなくちゃいけないことは(話、くどいですか?)

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

↑こういうことです。
「パーツ同士を接着した箇所から余裕を持って広めに布を貼る」ってことです。接着箇所ギリギリで布補強を終わらせてしまうと、その補強効果が弱くなります。「それじゃ、どのくらい”余裕”を持てばいいの?」…そうですね、「よりけり」です。(おっ、逃げた)
今回は接着断面が広かったので、接着のみでも結構な接着強度が出ていると思うのです。さらに今回の急須のボディーは小さくて軽目なので、それほど「がっつり」と補強する必要はないと判断しました。
これが「取っ手が細い(=接着面が小さい)」とか、「支えなくちゃいけない重量が大きい」などの条件だった場合は、もうちょっと強度の出る補強を考えたいところです。

さらに気を付けたいのが、補強ヵ所が「どん臭い」見え方にならないようにする…ということです。(「どん臭く」見える…というのは、「自分の都合」しか考えていなくて、「対象物」が置かれているもろもろの要素との「関係性」が見えていないってことです。つまり相手への「想いやり」が足りていないってことかもしれませんね~)
布補強をした箇所は一回り「厚く」なりますし、「色」も他の周りとは変わります。どうしても「変化」が大きく見える…といことです。なので、どこならその「変化」が違和感なく収まるのか、もしくはもう一歩進められるのであれば、どこにその「変化」をもってくれば、それ自体が魅力的に見えるのか…を考慮します。(←これ、難易度高いですよね。ちょっと私にはそういったセンスがないから…という方でも、少し考えてみてください。そうするとこれまで使ってこなかった部分の「感覚」が少しずつ研がれていきますよ◎)

▸ 壊れた取っ手の直し方(細い取っ手のマグカップ)

この時の僕の「返答」は↑こんな感じでした。もちろん、これが「唯一の正解」ってわけじゃありません。いくつもの回答の仕方があると思います。

とはいえ、実際にやってみないと「見え方」なんて分かりません。なので、あまり考え過ぎずにやってみてください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

鉛筆で描いた内側をやすっていきます。この「付け根」部分は研ぎづらいです。やすりの「丸」の方を使って研いでいきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

アーチの外側はやすりの「平面」の方で研いでいきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ヤスリの種類はいろいろありますが、やはり「ダイヤモンド」がいいです。ゴリゴリ研げます。「粗目」のものを選んでください。100均でも売っています。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

アーチの内側はやすりの「丸面」の方で研ぎます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

取っ手の付け根はやすりがかけづらいので入念に。鉛筆で描いたラインからなるべくはみ出さないように気を付けてください。

研ぎ終わったら、研いだ細かい粉を堅絞りした布で拭き取ってください。

 

 

 

05 布着せ(一回目)


  道具  ②作業板 ▸作り方 ③練りベラ ▸作り方 ④付けベラ ▸作り方 〇先丸ヘラ(先っちょがカーブしているヘラ) ⑦マスキングテープ
  材料  ①水 ⑤生漆 ⑥小麦粉
▸ 道具・材料の値段/販売店 


 

この工程では修理部分に「麻布」を貼って補強します。接着剤は何を使うの?といいますと、いつも使っています麦漆むぎうるし(接着剤)です◎

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方今回はさらに↑の「麻布(目が細かいもの)」と「布を切るためのハサミ」を用意してください。

麻布は 1m×1m/¥2,000くらい(だったかな??)
漆屋さんで購入できます。

布は「麻」じゃないといけないのですか?「綿」じゃダメなんですか?ガーゼとかだったらドラッグストアでもすぐに手に入るし。
そうですね、「麻」の方が繊維一本一本が長いので、それで補強した方が頑丈です。「綿」は短い繊維が縒り集まっているので、糸自体が切れやすいのです。実際に漆で固めた麻布と綿布とを「折る」実験をしてみたことがあるのですが、結構、その耐久性に違いがありました。綿布の方が明らかに折れやすかったです。
とはいえ、薄くて目の細かい「麻布」を手に入れようとすると漆屋さんくらいしか僕は聴いたことがないので、ちょっと不便ですよね。価格も結構するし。なので、ご自分の器を直すのであれば「綿布(ガーゼなど)」も考えていいと思います。綿布であっても貼ると貼らないとでは大きな強度差が出ますので、ぜひぜひ「布着せ」をやてみてください◎

 

それでは布を貼るための接着剤を作ります。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
 ▸ 麦漆むぎうるし(接着剤)の詳しい作り方

そう、漆と小麦粉で「接着剤」が出来ちゃいます。料理??

※ 麦漆むぎうるし(接着剤)の”消費期限”は2~3日くらいと考えてください。基本的に「使うときに作る」が原則です。保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきます。

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)漆の作り方 】

【体積比/目分量】… 小麦粉 1:1 生漆  ※水は適量


  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます(ガムみたいに粘るまで)。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)の作り方動画 】

初めのうちは失敗しないように、小さな計量スプーンを使うといいです。
(ベストは1/4サイズです。けど、滅多に売っているお店がありませんー)

 

  取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布を貼る場所の大きさを計っておいて、その幅に合わせて布を切ります。ここで重要なのは布を「バイアスになるように切る」ということです。糸の織ってある方向に対して、「斜めに切る」ということです。せっかくの布に使わない「無駄な部分」が出てしまってもったいないのですが、ここはより良い仕上がりのために我慢してください◎

今回は「取っ手の幅」にジャストになるくらいの幅を取りました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 ↑こんな感じに糸が通っている「帯」になります。何で「バイアス」にするの?かと言いますと、「斜め方向に糸が通っている」帯ですと、縦横に伸び縮みしやすいからです。三次曲面に貼る時、伸び縮みする方が、断然貼りやすくなります◎
それから今回は「陶器」に布を貼っているわけですが、漆芸の場合、多くは「木地」を使います。木というのは空気中の水分を吸ったり吐いたりするので、「動く」わけです。そうすると、木地が多少動いても、布の方がその「動き」を吸収できるべく状態にあった方が望ましいわけです。ご了解いただけましたでしょうか?
でも、今回は「陶器」ですから、これ、関係ないのですが。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

それでは最初にアーチの内側に布を貼っていきましょう。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 まずは布を当てがって、「長さ」を決めます。長さに合わせて布を切ります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ちょっと余裕を持った長さをとります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布を貼る場所にあらかじめ麦漆を薄く塗っておきます。
内側の「取っ手付け根」部分は普通の「平」のヘラだと麦漆を付けられないので、↑このような「先っちょがカーブ」したヘラを使います。ぜひみなさんも作ってみてください。普通の「付けベラ」を作るのと同じ要領です。最後に先っちょを削ってカーブさせるだけです◎ ▸作り方

今回の布貼りの手順としては、次の3ステップを考えています。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

  1. 素地に麦漆を薄く塗る
  2. 布を置いて、ヘラで上からしっかり押さえつつ、密着させる
  3. 布の上から、さらに麦漆を塗る

 つまり「布を麦漆で挟む」感じでしょうか。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 鉛筆で目印を描いた内側=やすりで研いだ部分に塗っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 なるべく薄く、均一に塗っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

「取っ手の付け根部分」は はみ出さないように気を付けてください。はみ出したら、ヘラでなるべく綺麗に麦漆をとってから、綿棒+エタノールで拭き取ってください。
それ以外の取っ手の部分(取っ手の表側)などに麦漆が付いてしまっても全く問題はありません。どのみち、そこには後日、布を貼りますので。ベッタリと付いてしまったら、さすがにそれはヘラで取ってくださいね◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

内側に麦漆を塗り終わりました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 こんな感じです。そんなに神経質にならなくても大丈夫です。案外うまくいきますよ◎

はーい、ハーイ!質問。 割れた破片をくっ付ける時には、麦漆を塗った後できたら「半乾きになるまで待った方がいい」って言ってましたけど、布を貼る場合も同じようにした方がいいのですか??

なるほど、ね。布の場合はすぐに貼っちゃってください◎ 乾きを待つ必要はありません。
破片の接着の場合には、パーツ同士をくっ付けるとその後、外気に触れないので乾きがすごく悪くなるのです。なので、あらかじめギリギリまで乾かしておいた方がいいのです。
布を貼る場合は空気に触れているので、布を貼った後も乾きはよいです。4~5日くらい乾きを待ちたいところですが。

 

あの、あのですね、あたし、「ヘラ」が苦手なんです。こんな複雑な形のところにヘラで塗るなんてできなそう…(涙)
という方、いらっしゃるかと思います。でも意外とできちゃうものですよ◎と言いつつ、そんな苦手意識を持っている方の救済方法です。

↑”固めの毛(豚毛など)”の筆で塗ることもできます◎ 筆は100均で大丈夫です。3本組とか5本組のものでオッケー。豚毛でしたら毛が硬いので、麦漆の粘りにも負けず「引っ張る」ことができます。この後おこなう「布を押える作業」もできます。
柔らかい毛質のものだとこれらの作業がやりづらいので、ご注意ください。使用後は他の筆と同じように「サラダ油」で洗って下さい◎

漆の塗りで使う平筆の洗い方▸ 平筆の洗い方

 

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 まずは布をパサッと置いて、それからヘラで位置をずらしてちょうどいいポジションにします。
ゴム手袋をしているようでしたら(ゴム手、してくださいね。漆、ナメちゃダメですよ◎)、指でつまんで布を置いてもオッケーですし、もうちょっとカッコよく作業をしたいのでしたら、ヘラを使って布を置きます。

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 ヘラの先にちょっとだけ麦漆つけ、置いてある布をその部分で引っ付けて持ち上げます。意外とこんなんで出来ちゃうものです◎

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布のポジションが決まったら、ヘラで押えます。押さえて、麦漆の中に沈めるような感じというか、麦漆を布に浸み込ませていくというか。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 布の一か所を厳密にズレがないようにして、それから次の箇所に進む…のではなく、まずは布全体を軽く押さえてズレを修正します。それからしっかりと押さえていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

取っ手の付け根部分もしっかりと押さえます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布の両端の「耳」の部分を押さえていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

押えて、麦漆に馴染ませて…です。この時、布がどうしても浮いてきちゃうんですけど(泣)…となってもあまり気にしないでください。この後の作業でしっかりと接着させていくので大丈夫です◎

ひとまず、布全部を押えました。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

次に布の上から麦漆を塗っていきます。布を麦漆で挟んでしまう感じです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

このバイアスになった「布の目」 の中に確実に麦漆が入り込むように、いろいろな方向からヘラを通してください。どんどん麦漆を塗っていきます。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

「耳」の部分もしっかりと上から麦漆を塗り込んでいきます。この時点ではもう、布が浮いていないようにしてください。基本的に布は水分(麦漆)が浸み込めば「ヘナヘナ」となってくれると思います。そうしたら、しっかりと素地に密着できるはずです。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

取っ手の付け根ヵ所は「先丸ベラ」で麦漆を塗ります。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 できました!麦漆が厚くつき過ぎた所があったら、ヘラで余分な麦を取ってください。麦漆が薄すぎて「白っぽく(布の色が見えている)」なっている箇所があったら、そこには麦を塗り足してください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 全体をチェックして、塗り残しなどがないか確かめます。麦漆は「厚過ぎず、薄過ぎず」です。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

わかりづらいとは思いますが、↑こんな感じの「見え方」になるようにしてください。

 

取っ手の壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

4~5日くらい乾きを待ってください。
漆風呂は入れても入れなくてもどちらでも大丈夫です。(勝手に乾くはずです◎)

 

 

【 次の作業を見る 】

▸ page03/布着せ2回目の作業

 

 



 

金継ぎのやり方

 

 

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取っ手の壊れた急須の「布着せ」金継ぎ修理01/~接着まで

 

”金継ぎスピリット”とは「モッタイナイ」や「侘び寂び」ではない。「自我を超えて他者へ繋がろう」とするその飽くなき志向性のことである

※ 「取っ手がバラバラに割れてしまった急須」の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

このページでは金継ぎ工程の内の〈素地固め~パーツの接着〉までのやり方を解説していきます。

 

 

金継ぎ図書館  ファイツ!!

 

 

作業を始める前に…

金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

直す器 information


壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 information 

  • 器の作り手: 村上躍むらかみやく
  • 器の釉薬: 銀彩
  • 器のサイズ: 直径75 ㎜、高さ80㎜、最大幅120㎜
  • 破損状態: 割れ(本体+破片=5パーツ)
  • 仕上げ希望: 耐久性の高い修理

今回の依頼品は「中国茶用の急須」です。

 

うう…。壊れちゃった…(涙)
これって直るのでしょうか?壊れた「取っ手」も直せますか?

 壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 大丈夫っす◎バッチ直せます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

特に今回の依頼品の急須は、取っ手が「太い」ので直しやすいです。「接着面積」が大きくなりますので「耐久性」も出ます。

  壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ただ、「取っ手」というのは接着面積に対して掛かる「負荷」が大きい…というのが、ちょっとネックなんです。
いつも通りの「割れ」の直し方でも、多分、接着強度としては大丈夫だと思います。なのですが、数十年経った時、果たしてその接着修理だけで大丈夫なのだろうか??と不安を覚えてしまうのです。(「数年」で取れてしまうなんてことは無いと思うのですが)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

今回の依頼品の急須は取っ手の「断面」が大きいので、接着面積=接着強度も大きくなります。さらに「本体」の方が、比較的「小さくて軽い」(中国茶用の急須です)ので、「普通に接着しただけの割れの修理」でも大丈夫だと思います。
が、何の確証もないです。ということで、「万が一」にも(18年後くらいに)使っていたら突然、取っ手が取れちゃってお茶会が台無しになった…(涙)なんてことにならないように、今回は「麻布を使った補強修理」をすることにしました。

 ちなみに、「麻布補強」をした方がいいと思う場合というのは↓のように、取っ手が薄くて接着面積が小さく、「接着強度」が保てなさそうだな…という時です。

▸ 薄い取っ手の直し方

 このへんの「感覚」というのは、人それぞれだと思います。「補強」しない修理人も多いかと思います。布を貼ると、随分と手間がかかってしまうので、それだけ値段も高くなってしまいます。
 私の場合は、こういった損傷の場合は二通りの方法(「接着のみ」と「布着せ」)の見積もりを提示します。「リスク」に関しても説明します。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 「まぁ、なんだかんだ言って、10年ももてばいいような気がするし…(いつまで経っても問題ないという可能性もあるわけですし)」と考えて、「接着のみの修理」という選択もすごく「アリ」だと思います。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 修理を始める前に、バラバラになったパーツを一度、マスキングテープで借り付けしながらくっ付けてみて、「足りない箇所」や「隙間の具合」、「パーツを接着する順番」を確認します。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 この「中国茶用の急須」というのが、日本の急須と比べて小ぶりで、なかなか可愛らしいのです。今まで中国茶に全く興味が無かったのですが、「意外といいな~」と思いはじめています。
そう言えば2年前くらいに台湾の人にお茶を頂いて、まだ使っていないのですー(苦笑) 呑んでみましょう◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 今回はこの取っ手の「布着せ修理のやり方」に力を入れてご紹介していきます◎

 

 

 

01 素地固め


この作業は何のためにやるかというと、次の工程で行う「接着作業」の
接着力がより大きくなるようにです。 …が、この「固め」作業に関しては職人さんによって意見の分かれるところでもあります。「やっちゃダメ」という方もいます。
 金継ぎ図書館の見解としては「どっちでもいいんじゃないでしょうか?」です。一応、「セオリー」として固めのやり方を載せておきます◎

 

  道具  ③小筆 ⑤練りべら(大き目のヘラ) ▸作り方 ⑥作業板(ガラス板) ▸作り方
  材料  ①テレピン ②ティッシュ ④生漆 ⑦サラダ油
▸ 道具・材料の値段/販売店


 ※ この作業で使う「小筆」は安価な筆にしてください。陶器の断面に擦り付けるので、毛先が痛みやすいのです。蒔絵筆だとモッタイナイです。

 

 まずは筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

※ 何で「油を洗い出す」の?…かといいますと、漆を塗った筆は作業が終わった時に「油で洗う」からなのです(ナント!)。その油を作業前に洗い出します。

 【 作業前の筆の洗い方 】

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しく押さえる

 

 

 

 次に、浸み込みやすくするために生漆をテレピンを混ぜて希釈してください。作業板の上でヘラを使ってよく混ぜ合わせます。

 

 【 生漆の希釈 】

【体積比/目分量】… 生漆 10:3 テレピン ※おおよそ

※ テレピンの代わりにアルコール、灯油でもオッケーです◎

 

 

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

 

 

  それでは実践に入ります。でもカンタン、カンタン◎ 塗って、拭き取るだけです。

 壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

本体の方は、↑画像の取っ手が付いていた箇所の断面に生漆を塗ります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

筆に生漆を十分に含ませて、塗っていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

修理箇所からなるべくはみ出さないように気を付けます。万が一、周りの部分に漆が付いてしまった場合、ウエスかティッシュにアルコールを含ませて、それでしっかりと拭き取ってください。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

全ての断面に漆を浸み込ませていきます。

塗り終わったら、今度は表面に残った漆をティッシュを押し当てて、拭き取ります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

4~5回折り畳んだティッシュを…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

漆を塗った箇所に当てて…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

余分な漆を吸い取ります。これをティッシュの面を変えて、3回くらい繰り返してください。ほとんどティッシュに漆が付かなくなるくらいです。が、そんなに「神経質」にやらなくても大丈夫です◎「そこそこ」きちんとしていればオッケーです。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はい、こんな感じになりました。写真で見てもよくわかりませんね。漆が残り過ぎて「テカテカ」している…というようにはならないように、ご注意ください。

 

急須のバラバラになった「取っ手」の、それぞれのパーツの断面にも漆を塗って、ティッシュで拭き取っていきます。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方塗って…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方塗って…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方ティッシュで拭き取ります◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

漆を拭き取り終わったら、「漆風呂」に置きます。その際、板などの上に細かいパーツを置いておくと、修理品を移動するのが楽ちんです。

 

漆は湿度の高い場所(65%~)に置くと硬化していきます(それを私たちは「漆が乾く」と呼んでいます)。そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。不思議な樹液ですね◎

湿度が高い場所…って、お風呂場にでも置けばいいんですか??

 おー、風呂場…でもいいのですが、風呂場って湿度が100%近くにまでなるので、漆を乾かすにはちょっと「どぎつい」環境だと思います。(漆は急激に硬化すると「やけ」「縮み」といった厄介な現象が起こりやすくなります)

もうちょっとソフトな環境を用意してあげましょう◎ そう、実は漆は”やさしさ”で乾くのです。よ◎

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

湿度が保てる空間を用意します。
※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

 はい、大丈夫です◎「段ボールなんてダサくて嫌!」という方は↓のページを参考にバージョン・アップさせていってください。

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

今回の素地固めの作業に限っては、湿度のある場所(65%~)6時間くらい置いて軽く漆を硬化させてください。

 理想的には「漆の乾きかけ」のタイミングで次の接着作業に入れたらステキです。けど、そのタイミングで次の作業に入るのが難しいようでしたら、なるべく1,2日後くらいに次の作業に取り掛かるようにしてください。

 とはいえ、↑これは「厳密に言うと」ということですので、1~2週間空いてしまっても「ヤバイ!」ってことにはなりませんのでご安心ください◎

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

※ 油で洗わないと筆の中に残った漆が硬化するので次第に筆がゴワゴワしてきてしまいます。

【 終わった後の筆の洗い方 】

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする
    (こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しく押さえる
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 最後に綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

※ 極々、ソフトに押さえるようにして筆の中の漆と油を掻き出すようにしてください。強くしごいてしまうと、筆の毛先が痛んで「カール」してしまします。

 

 

 

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方はこちらを参考にしてください。
 ▸ 筆のキャップの作り方 

 

 

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

 厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

02 破片の接着


  道具  ②作業板 ▸作り方 ③練りベラ ▸作り方 ④付けベラ ▸作り方 ⑦マスキングテープ
  材料  ①水 ⑤生漆 ⑥小麦粉
▸ 道具・材料の値段/販売店 


 

※ 麦漆むぎうるし(接着剤)の”消費期限”は2~3日くらいと考えてください。基本的に「使うときに作る」が原則です。保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきます。

 

漆を使って接着剤を作ります。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
 ▸ 麦漆むぎうるし(接着剤)の詳しい作り方

そう、漆と小麦粉で「接着剤」が出来ちゃいます。料理??

【 麦漆むぎうるし(接着剤)漆の作り方 】

【体積比/目分量】… 小麦粉 1:1 生漆  ※水は適量


  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます(ガムみたいに粘るまで)。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)の作り方動画 】

初めのうちは失敗しないように、小さな計量スプーンを使うといいです。
(ベストは1/4サイズです。けど、滅多に売っているお店がありませんー)

 

※ 割れたピースが多い場合は…

麦漆むぎうるし(接着剤)を塗布する前にあらかじめどのパーツがどの部分に来るか確認しておきます。

【 破片が多い時の接着時の注意 】

  1. 接着する前に一度、組み立てます。
  2. そのまま「展開」します。(この置いたポジションをなるべくキープしてください)
  3. 混乱防止のために番号を書いたマスキングテープを貼っておきます。
    番号は何となく「隣合うパーツが連番になっていくように」してください。
    ランダムにナンバーをふったら意味ないです。よ◎
  4. 接着剤を塗ったあと、元あった位置に順番通りに並べていきます。

↑これ、やっておかないと「カオス」になります(涙)

番号をふっておけば、万が一、「並び順」が崩れてしまった時もどこにくる破片か予想がつきやすくなります。

 

今回の「割れ修理」はピースが4つなので、わざわざ↑この作業をやらなくても大丈夫だと思っていたのですが、実際に作業を始めようとしたら割れた破片がみな同じような形で、「どのパーツがどの場所にくるのか?」、かなり分かりづらいことに気が付きました。ですので、マスキングテープでナンバリングをしました。

 

 

器の割れた断面に麦漆を塗っていく麦漆の乾き具合をチェックするためにいらない紙やハガキなどに麦漆を薄く付けておきます。「壊れたパーツの多い、複雑な割れ」の場合、作業始めと、終わりに結構、「時差」ができるので(1時間くらいかかる場合があります)、それぞれのタイミングで麦漆を付けておくといいと思います。

 

 

実践です。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

割れた全ての断面に麦漆を塗っていきます。※使うのは「竹付けベラ(細い方のヘラです)」

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

なるべく薄く、均一な厚みになるようにします。
何で「薄く」つけなきゃいけないの??…といいますと、パーツとパーツの間に挟まる接着剤の厚みが厚いほど、パーツ同士の「ズレ」が大きくなるからです。もともとパーツの間にはそんな異物は無かったものですから、それは確かにズレますよね◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

急須本体の両方の断面に塗り終わりました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

塗った直後はまだ「艶っぽい焦げ茶色」です。これが時間が経つにつれて「黒」になり、さらに時間が経つと艶も引けてきます。

 

次に取っ手の細かいパーツの断面にも麦漆を塗っていきます。
えー、全部塗らなくちゃダメですか?面倒~。
はい、塗っていください◎

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

パーツを接着する順番に並べて置きます。今回はこれ重要でした。
パーツ一つずつも「上下」などの方向が分かるようにしておきます。(「文字」の上下が「パーツ」の上下に連動しています)

今回はですね、それぞれのパーツが「相似形」だったので、これをやっておかないと結構、混乱しました。特に、実際に麦漆を塗って、「さぁ、接着だ!」って時に、パーツを嵌める順番や、その上下がわからないと、結構、テンパります。ご注意、ご注意◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

こんな小さなパーツの断面にも面倒くさがらずに麦漆を塗っていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

こちらもできるだけ「薄く、均一に」です。

塗り終わったら、パーツが置いてあった位置に戻します。こちらもいちいち面倒ですが、これをきちんとやっておいてください◎

 

パーツの方も麦漆を塗り終わりました。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

さぁ、接着!でもいいのですが、お時間と心の余裕があるようでしたら、しばし「待ち」を入れます。

ここで、できたら麦漆むぎうるし(接着剤)が乾き始めるまで待ちます。1.5~3時間程でしょうか。これはみなさんが持っている生漆自体の乾きの早さ、麦漆の配合具合、温度、湿度…などなどによって変わってきます。
もし、「この後、友達と合う予定が…」といったご予定がありましたら、接着しちゃって構いません◎

 器の割れた断面に麦漆を塗っていく

作業始めと終わりに紙に付けて置いた麦漆で乾き具合をチェックします。時々、竹ベラでつついてみて、「わずかにベタつく感じ」にまで表面が乾いてきたら「接着どき」です。
麦漆の場合、表面が乾きかけていても、そのすぐ一層下は全然乾いていません。ですので、「表面が乾き過ぎているようだけど、本当にくっつくの??」って不安になるかもしれませんが、全くもって大丈夫です◎

 

このあとは「くっつける作業」のみですので、掃除・片付けをしてしまいます。

 【作業板のおそうじ】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

 厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 時は過ぎ、あれから3時間…

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

おっ、何か黒いぞ。そうです。黒いです。だけど、この黒さはあまり「指標」にはなりません。「乾きがくる」遥か前に黒くなってしまうからです。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 どちらかというと、「表面の艶」の感じの方が参考になると思います。けど、塗ったばかりの「艶っぽさ」なんて覚えてませんよね~(笑) なので、

器の割れた断面に麦漆を塗っていく↑こういった紙に「付け」をとっておいて、それをヘラでつついてみるのがいいと思います◎

 

さぁ、いよいよパーツをくっ付けていきます。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

今回は急須を横に寝かせて接着作業を行いたいので、急須が安定するように「冶具ジグ(補助具)」を急拵えします。
レンガ?に見えますが、レンガじゃありません。「木」です。たまたま家にあった角材です。(普通の家にはありませんよね。あるわけがない。そしたら、厚い本を何冊か重ねる…ってのはどうでしょうか?辞書とか。でもデジタル時代ですからね~。本ももう持っていない方も多いかもしれませんね)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布を敷いて急須が傷つかないようにします。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

急須をセット。安定しているか確かめます。鳩が乗っても大丈夫◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 接着スタート!
パーツの「向き」と「順番(=ってことはつまり”嵌める場所”)」を確認してから、くっ付けていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 パーツをくっ付けたら、少しグリグリして、パーツとパーツの間の麦漆が少し外にはみ出るようにします。こうした方が、隙間が空きづらくなります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

この小さいパーツ2つですが、今回は先にこのパーツ同士をくっ付けてから、本体の方に接着しました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

このパーツ二つが嵌まる箇所が向き(重力)の関係上、一つ一つ付けていくと、 下に落ちちゃいそうなので、先に接着しました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

トモダチの「ワ!」…輪?はい、わ。
ありったけのトモダチ・パワーを注入してください◎

 全部のパーツをくっ付けたら、再度、全体のズレの微調整をします。できれば「ズレなし」で行きたいところですが、ほんのちょっとはズレてしまいます(接着剤という”異物”が間に挟まっているだから、しょうがないですよね)。ですので、そのズレが一か所に集中しないように(意図的に一か所だけ大きくズラす…というハイレベルの見せ方もあると思いますが)チェックします。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はい!できました◎

このアーチが重力に耐えられるかどうかは、ひとえに皆さんの「オトモダチ力」次第です。みなさん、「トモダチ100人」いますか?

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

鳩屋は「トモダチ力」がないので、マスキングテープで補強しておきます。(オトモダチがたくさんいるひとも一応、マスキングテープ補強をしておくと安心です。というか、本当に「トモダチ力」って必要なの??はい、すごく必要です◎)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

この「マスキングテープ貼り」って意外と「曲者」ですよね。貼る時に少し「テンション」をかけたいところなのですが、だからといって引っ張り過ぎると接着箇所がズレる。それならばと、少しも引っ張らずに緩めに貼ってしまうと、「ズレ防止のための仮止め」の効果がない。

少し「引っ張りめ」にテープを貼り、全ての箇所にテープを貼り終わったら、最後にもう一度、ズレが生じていないか、接着箇所すべてを調べ直す…という手順がいいかと思います。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

説明終了です。お、終わった~…。

 

なんか、最近の金継ぎ図書館は説明が長くて細かいですよね。そういう方向に意図的に持っていっているのですが、ちょっとここらへんで見直してみます。
始めてこのサイトに訪れた人にとっては「懇切丁寧」に全ての説明が網羅されている。だけど、ちょくちょく見ていただいている「お得意さん」にとって「解説がジャマだなー」ってことにならないように、余計な説明を削ったり、必要な説明があったとしてもこのページ上では簡単な「ヒント」みたいなものだけを提示して、詳しい解説はリンクで他のページに飛ぶなどの仕掛けを入れていこうと思います。
ページ作りがこれまでのコンテンツ作りの「単純トレース」にならないように、常に、「もちっといい見せ方があるんじゃないのか?」「説明の仕方はこれでいいのか?分からない人、失敗している人がいるんじゃないか??」って危機感を持ちつつ、油断なく進化させていきます。
金継ぎ図書館はまだまだ進化しなければいけない責任がある。と勝手に思います。
 

 

 

 

【 次の作業を見る 】
▸ page02/布着せ一回目

 

 

 

 

金継ぎのやり方

 

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【ダイジェスト版!】 割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理

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ファイツ!!

 

口元が割れた蕎麦猪口の金繕い修理のやり方の「ダイジェスト版」を作ってみました。

  • 金継ぎ初心者さんにとっては金継ぎ作業の「全体の流れ」が分かります。
  • 中級者さんにとっては自分が知りたいコンテンツがどこのページに載っているのかが分かります。
  • 結構慣れているキンツギストにとっては度忘れしてしまった作業手順や配合比率を手っ取り早く調べることができます。

もっと詳しく(ややしつこく)やり方を知りたい方は各ページへのリンクが
途中途中に用意してありますので、そこから飛んでください◎

それぞれのページを詳しく調べたい方へ

 

※ 本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

 

 

 

「割れた器」の直す手順は…


  1. 割れた破片を漆の接着剤でくっつける
  2. 破片の接着時にできた隙間、段差を漆のペーストで埋める
  3. 漆を2~3回塗り重ねる
  4. 金属粉を蒔く(蒔絵) → 完成

です。意外とできちゃいそうですよね。

 

 

 

  Page 01      ▸ 破片の接着まで Page 01


器 information  ▸ 詳しいページへGo


口元の割れた蕎麦猪口

  • 器: 明治時代(?)の蕎麦猪口
  • 器の特徴: 磁器の絵付け、ややピカピカの釉薬
  • 器のサイズ: 直径77㎜、高さ63㎜
  • 破損状態: 口元 割れ2ピース+本体(割れの長さ 総計約850㎜)

 

 

口元の割れた蕎麦猪口の破片

 

こちらを直していきます。「本体+2ピースの破片」の【割れ】の修理です。このパターンはよくりますよね。

「割れ」た器はさらに「ひび」も入っている場合が多いので、チェックを怠りなく◎

 

 

 

01 漆で器の素地を固める  ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・小筆 ・練りベラ ・作業板
 材料  ・生漆 ・テレピン(エタノールでも可) ・サラダ油 ・ティッシュペーパー  

 

生漆をテレピンで少し希釈します。
体積比(目分量)生漆 10:3 テレピン

作業を始める前にテレピンで筆の中の油分を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

 

器の割れた断面に漆を塗っていく

 割れた断面全てに生漆を塗布してきます。

 

器の割れた断面に漆を塗っていく

ティッシュを押し当てて、ほぼほぼ拭き取ってしまいます。(でもほんの「僅か」に漆が残りますので大丈夫)

 

器の割れた断面に漆を塗っていく

 

 

作業後に筆を油で洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

 

 漆風呂に入れます。6h~半日、湿度の高い状態(65%~)にします。

 

 

 

02 割れたピースを接着  ▸ 詳しいページへGo


 道具   ・練りベラ ・練りベラ ・作業板
 材料  ・生漆 ・小麦粉 ・水

 

体積比(目分量)小麦粉 1:1 生漆 ※水は適量
▸ 麦漆の詳しい作り方ページへ

 

器の割れた断面に麦漆を塗っていく

 薄く、均一に塗布していきます。

 

金繕いの麦漆接着作業

できたら「乾きかけ」を狙って接着作業をします。私は2~3時間、放っておいてから接着します。

 

金繕いの麦漆接着作業

しっかりと押し込んで、なるべく圧着させます。

破片が多い場合は接着する間に所々ズレが生じてしまいます。
全部のパーツがくっついたら、全体のズレを微調整して、なるべく「おおきくズレている」箇所がなくなるようにします。

 

金繕いの麦漆接着作業

 なるべく「自重」で圧着するポジションをとります。

麦漆の乾き待ち3~4週間
※ 乾きかけのグッドタイミングで接着できた場合は
1~2週間でしっかりと硬化します。

 

 ここまでの作業手順を詳しく知りたい方はこちらへGo↓

割れた器の金繕いの方法

▸ 破片の接着まで Page 01

 

 

 

  Page 02      ▸ ペースト削りまで Page 02


03 漆パテの充填   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・練りベラ ・刻苧こくそベラ ・作業板 ・サランラップ
 材料  ・生漆 ・木粉 ・小麦粉 ・水

 

麦漆むぎうるし(接着剤)漆に木粉を適量混ぜる。
ヘラが「ぱっ」と離れるくらい

▸ 刻苧漆こくそうるし(パテ)の詳しい作り方

 

割れた蕎麦猪口の隙間に刻苧漆を詰める

 大きな隙間、深い隙間に刻苧漆こくそうるし(パテ)を詰めていきます。

 

割れた蕎麦猪口の隙間に刻苧漆を詰める

少しずつ刻苧漆こくそうるし(パテ)を詰めていきます。

 

割れた蕎麦猪口の隙間に刻苧漆を詰める

周りの器のラインと滑らかに繋がるように(出っ張らないように)なるべく「ジャスト」の量を詰めていきます。

 

 漆風呂に入れます。(入れなくても大丈夫)1~2週間、硬化を待ちます。

 

 

 

04 漆パテの削り   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・彫刻刀(平丸刀、平刀) ・障子紙用丸刃カッター ・カッターナイフ(大)

↑これらの中の使いやすいものを使ってください。ベストは彫刻刀の2種をもっているといいです。が、「研げない」場合は、カッターナイフの2種を使うといいです。

 

 

詰めた刻苧漆を彫刻刀で削る

 

 

詰めた刻苧漆を彫刻刀で削る

器のラインから飛び出した部分を削ります。

 

 

 

05 漆ペースト付け   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・練りベラ ・付けベラ ・作業板
 材料  ・生漆 ・砥の粉 ・水 

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10:8 生漆 ※水は適量
 ▸ 錆漆さびうるし(ペースト)の詳しい作り方ページへ

 

接着した箇所に錆漆を付けていく

小さな穴、細かい隙間にペーストを入れていきます。

 

接着した箇所に錆漆を付けていく

複数方向からヘラを通して、隙間に錆が入り込むようにします。

 

接着した箇所に錆漆を付けていく

 

接着した箇所に錆漆を付けていく

器の内側も錆を付けます。

 

 

 漆風呂に入れます。(入れなくても大丈夫)1~2日硬化を待ちます。

 

 

 

06 漆ペーストの削り・研ぎ   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・彫刻刀(平丸刀、平刀) ・障子紙用丸刃カッター ・カッターナイフ(大)

↑これらの中の使いやすいものを使ってください。

 

乾いた錆漆を彫刻刀で削る

 接着箇所の錆を削ります。

 

乾いた錆漆を彫刻刀で削る

「埋めた」箇所の錆も削ります。

 

 

 研ぎ


 道具  ・水入れよう容器 ・ ウエス ・ハサミ(ペーパー切り専用にしたもの)
 材料  ・耐水ペーパー(今回は#600) ・水

※ 耐水ペーパーとは「水を付けながら研げる紙ヤスリ」です。これの方が研ぎの効率が断然よいです◎

 

耐水ペーパーで研いで、錆漆の表面を平滑にする

1×1㎝にハサミで切ったペーパーをさらに三つ折りにして使います。

 

耐水ペーパーで研いで、錆漆の表面を平滑にする

器の内側も研ぎます。

 

金繕いの錆漆研ぎが完了

 

 もし、この時点でまだ凹んでいる箇所や小さなピンホールなどが見つかったら、もう一度「錆漆」を頑張ってください◎
私はだいたい2回、錆付け、錆研ぎをします。

 

 

 ここまでの作業手順を詳しく知りたい方はこちらへGo↓

 soba-choko06_ab006▸ ペースト削りまで Page 02

 

 

 

  Page 03      ▸ 蒔絵・完成まで Page 03


07 漆の下塗り   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・ティッシュペーパー ・練りベラ ・小筆 ・作業板
 材料  ・サラダ油 ・精製漆(今回使ったのは弁柄漆) ・テレピン

 

作業を始める前にテレピンで筆の中の油分を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

接着箇所、充填箇所の全てに漆を塗っていきます。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 「厚塗り」にならないように気を付けます。

※ 厚く塗り過ぎると、塗膜に「縮み」というシワシワ現象が生じます。
ご用心ご用心。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

作業後に筆を油で洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

 

 漆風呂に入れます。2~3日、湿度のある所(65%~)に置いてください。

 

 

 

08 下塗り研ぎ   ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・水を入れる容器 ・ウエス ・ハサミ(ペーパー切り専用にしたもの)
 材料  ・耐水ペーパー(今回は#800) ・水

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 水を付けながら研ぎます。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

「平滑な面」がでるまで研ぎます。

 

この後、塗りをもう1,2回行うと「ふっくら」とした柔らかい漆の塗面になります。好みに依りますが、「ふっくら仕上がり」をご希望の方は「塗り→研ぎ」を繰り返してください。

 

 

09 漆の上塗り    ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・ティッシュペーパー ・練りベラ ・小筆 ・作業板
 材料  ・サラダ油 ・精製漆(今回使ったのは弁柄漆) ・テレピン

 

 

作業を始める前にテレピンで筆の中の油分を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 接着箇所、充填箇所、それらすべてをカバーするように塗っていきます。

薄目、均一を心掛けてください。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

作業後に筆を油で洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

 

漆風呂に入れます。30分程度、湿度のある所(65%~)に置いてください。

 

 

 

10 蒔絵    ▸ 詳しいページへGo


 道具  ・柔らかい毛質の筆 
 材料  ・蒔絵紛(今回は真鍮粉を使用)

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

十分な量の蒔絵紛を乗せます。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

ソフトタッチで蒔絵紛を掃いていきます。紛が少なくなって来たら、適宜足します。

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

 

漆風呂に入れます。1週間ほど湿度のある所(65%~)に置いてください。

 

 

 ここまでの作業手順を詳しく知りたい方はこちらへGo↓

soba-choko11_aa010▸ 蒔絵・完成まで Page 03

 

 

金繕い完成


割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

 

 

 それぞれのページを詳しく調べたい方へ

割れた器の金繕いの方法Antique Soba Cup 2016-07-30 
Japan 蕎麦猪口


Page 01 素地の研ぎ~麦漆接着
Page 02 
刻苧飼い~錆漆研ぎ
Page 03 漆塗り~蒔絵・完成

 

 

 

 

 

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大人のおしゃれ手帖 「大切なものを直して長く使う本」で金継ぎのやり方を解説しました!

size19  マイド!!

 

 

はい、そうです、金継ぎ図書館がムック本に載りました!

注意点としましては、雑誌に載ったからといって、えっ?もしかして「金継ぎ図書館」、フィーバーしているの?!ってことではありません◎ (つうか、相変わらず全然、マイナーだし)

「金継ぎの技法」のみがフォーカスされています。そう、金継ぎ図書館は永遠の「アングラ図書館」なのです◎(そのくせ、”金継ぎワールド・ツアー”を妄想していますけど。進め!金継ぎ図書館)

 

 

今回はムック本の中で、「”欠け”の本漆金継ぎ方法」「スプーンに漆を塗るやり方」を解説しました。

ムック…ムック?「ムック」って何だ??

 

ムック(mook)とは、雑誌と書籍をあわせた性格を持つ刊行物のことである。
magazineのm-とbookの-ookの混成語、和製英語

by wikipedia

おー、ナルホド◎ 全く知りませんでした。確かに「雑誌」より一つ一つのコンテンツが詳しい。でも「本」よりかはカジュアルな感じ。なるほど、「ムック」ですね◎

 

金継ぎ図書館in雑誌

 ↑ こちらのムック本です。(2017) 5月22日発売予定です◎ 本屋さんに行ったら、ちょっと覗いてみてください。

 

このムック本のトップ記事で取り上げられている「美濃羽さん」という方ですが、先日、 ▸ 美濃羽さんのブログ記事の中 で「金継ぎ図書館というサイトもひとつひとつの工程がていねいに紹介されていて、とても参考になりました」…と、サイトの紹介 + リンク を貼っていただきました。(ども、ありがとうございます◎)

Eテレ(かな?)で講座を持っている方(だったと思う)なので、有名な方だと思います◎(中川ちえさんを差し置いて、「ポールポジション」を獲った方なので、その知名度が伺い知れます。スゴイ)

なのですが、いかんせん、金継ぎ図書館には10年前からTVがないので、世の中の流行やいわゆる「有名人」が分からないのです~。これ、ちょっと問題ですよね。

 

さらに2番目の記事で紹介されている「長谷川(中川)ちえさん」(以前、東京の蔵前にあった「in-kyo」という生活工芸のお店の店主&エッセイスト)ですが、この方と ▸ 宮下智吉先生 が仲良しなんです◎

 

で、中川さんの紹介ページを見ていくと…

金継ぎ図書館in雑誌

 何処かで見た弁当箱…おっ!これ、みやっちの「二段弁当箱」でしょ。さらに何処かで見た「金継ぎセット」…これ、みやっちの金継ぎセット!宮下さんの器、結構ちょこちょこと雑誌に出てますよね~◎

ちなみに黄色の矢印のところのストールの直しは「天才・横尾香央留さん」です。ぶっちぎりの天才っぷりです、この方。驚異的にステキな「服直し」をする方です。(やっぱり天才は違う!)
ご興味のある方は「ほぼ日刊イトイ新聞」にお面白いWEBコンテンツがあるので、そちらを覗いてみてください◎
 ▸ 横尾さんの「お直しとか」
本も何冊か出ています。本屋でチェックしてみてください。

 

で、肝心の金継ぎ図書館が出ているコーナーは??というと…

 

金継ぎ図書館in雑誌

P34~P39までです。(なんと6ページ!…といっても、「やり方の解説」だけですが)

前半4ページが「欠けた金継ぎの直し」の解説です。後半2ページが「木のスプーンに漆を塗っちゃおう」の解説です。

そうそう、世の中、若くてきれいな金継ぎ先生がたくさんいるのに、ふざけた鳩のいる金継ぎ図書館でもいいのでしょうか??

なかなかメディアの方もやんちゃなチョイスをしますよね。

 

金継ぎ図書館in雑誌

 はいー、真面目な館長さんのご紹介もしてもらいました。これを書いていただけると、「ふざけた図書館だと思っていたけど、案外、信頼できるかもしれない」って思ってもらえます。間違いない◎

いつか、ハトさんも「金継ぎ公認キャラクター」としてメディアに出れるといいですね。(ナイと思いますが)

 

金継ぎ図書館in雑誌

 ↑ こちら「欠けた青いカップの修理方法」を詳しく載せてもらいました。(斎藤さん、写真掲載のご協力、どうもありがとうございました◎)

さらに詳しく(ややしつこく)解説してあるWEBページをご覧になりたい方はこちらへ↓

 

▸ 欠けた青いカップの直し方

いやいや、ハトさん。その解説は「ムック先生」がしたんじゃなくて、
わたくし、館長がしたんですよ。

 

金継ぎの修理方法に続いて…

 

金継ぎ図書館in雑誌

↑ こちらでは「家にある市販の木のスプーンに自分で漆を塗っちゃいましょう◎」という企画です。

そうそう、できますよ◎特に、金継ぎをやっている方でしたらお手持ちの技術・材料・道具でできてしまいます。

ちなみにこちらのコンテンツの詳しいやり方を解説したWEBページは
こちらです↓

 

 

既製品のスプーンに漆を塗るやり方  ▸ 市販の木のスプーンに漆を塗るやり方 

 ↑ こちらの注意点ですが、2点

  • 漆を塗る前の「研ぎ」は#240~320くらいで、もともと塗ってある塗料が剥がれるくらいしっかりと研いでください。(そうしないと、塗った漆が剥がれやすくなる場合があります)
  • 「漆塗り仕上げ」をご希望の方は、3回くらい漆を塗り重ねてください。(…できれば)1回塗り仕上げだとゴミだらけになりやすいです。3回重ねると漆特有の「ふっくら感」が出ます。きれいです◎

 

 

金継ぎ図書館in雑誌

 久しぶりにかんざしにも脚光が◎(小山さん←かんざしの持ち主、写真掲載のご協力、どうもありがとうございましたー)

 

 

簪の金継ぎ蒔絵修復 色漆仕上げ

▸ かんざしの修理…概略ですが

棗の金継ぎ修理▸ 棗の修理…こちらも概略

 

ほほう、そうやって「たいせつなものを直して長く使うのね◎」とパラパラ雑誌を読んでいって、最後、閉じようとしたら…

 

金継ぎ図書館in雑誌

 なんと雑誌の背開きにあるのは…「みやっち金継ぎセット」でした◎

宮下先生と一緒のムックさんに載りましたー。ふふふふ、俺たち、仲いいじゃん◎

 

金継ぎ図書館in雑誌

次回は「WEBメディア」に載ります!(仕事やれ!金継ぎ図書館!いやいや、これもお仕事よ)

 

それでは皆さま、ごきげんよー◎

 

 

 

 

 

 

 

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【割れの金継ぎ修理】 松模様の白い湯呑 Page 03 / 隙間のペースト付け

 

size19ファイツ!!

※ 口周りが割れてしまった湯飲み茶わんの金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい
 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

 

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方今回は金継ぎ工程の内の〈漆の接着剤の削り~ペースト付け〉までのやり方を解説していきます。

 

 

 

 【 前回の作業を見る 】

▸ page02 破片の接着まで

 

 

 

【 作業を始める前の「心得」  】

漆をナメちゃいけません◎
「漆なんてへっちゃらよ。素手で作業しちゃおうっと」なんて無用な冒険心、もしくは慢心があなたに猛烈な痒みをもたらすかもしれません。
しっかりとガードを固めてから作業に入りましょう◎

 

 必ず「ディフェンシブ」に。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

03 接着剤の削り


  道具  ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


上記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がやりやすくなります。

おススメは 【 ①と②の彫刻刀 】ですが、「研ぐ」ことができないと、使い捨てになってしまいますので、現実的な初心者用の刃物チョイスとしては 【 ③と④のカッター 】を用意してもらえたらと思います。

③ の障子用丸刃カッターはホームセンターの「障子貼りコーナー」にありました。刃先がRなので(丸味が付いている)、器の曲面部分、特に「器の内側」部分の削りにもある程度ですが、対応できます。

 

 

前回、破片を接着した「麦漆むぎうるし(接着剤)」ですが、おそらく「はみ出している」箇所があると思います。それを刃物で削ってきれいにします。

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

麦漆むぎうるし(接着剤)が乾いています◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

はみ出た麦漆を彫刻刀で削ります。カッターナイフでもオッケーです◎(だけど、器の内側のカーブしている部分は削りづらいかもしれません)

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

「はみ出し」を削ります。

彫刻刀の刃を器に当ててください。「なんか、怖いわ…。器が削れちゃいそう~」って思うかもしれませんが、大丈夫です◎ 刃物よりも器の方が硬いので、むしろ刃物のほうがガリガリと削れちゃいます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

刃物は滑らせるようにすると、スムーズに切れます。

左手の親指で横に押し出す感じにすると、刃が斜めにスライドしていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

器の表側が削れたら、今度は器の内側も削っていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

内側はちょっと削りづらいですが、地道に削っていってください。
時々、指で触ってみて、はみ出した麦漆むぎうるし(接着剤)が残っていないかチェックしてください。

削り終わったら、ウエスなどで麦漆の削りカスを拭き取ります。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

削り作業終了◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

器の内側も綺麗になりました◎

 

 

 

 

04 漆ペースト付け


 

道具 ③作業板 ▸作り方  ④付けベラ ▸作り方  ⑤練りベラ ▸作り方
材料 ①水  ②生漆  ⑥砥の粉

▸ 道具と材料の値段と売っているお店


 

麦漆むぎうるし(接着剤)を削り終わったら、接着箇所の僅かな「隙間」や「段差」を漆のペーストで埋めていきます。

 

 

錆漆さびうるし(ペースト)を作ります。

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。作ってから1~2日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます。

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

錆漆を付ける作業は、修理箇所の「周り」も汚れてしまいます。
修理している器の「肌」が「ザラザラしている」とか、「デコボコしている」…などという場合は、汚れてしまうと、それをきれいにする作業にすごく手間がかかります(場合によってはきれいにならないこともまあります)。
その場合は、錆漆の作業に入る前にあらかじめ「養生(マスキング)」して、汚れを防止します。

 

  1. 短く切ったマスキングテープを接着ラインの両側に貼っていきます。
    接着ラインとの「隙間」ですが、なるべくない方がいいです。が、接着ラインが多い場合、この作業はうんざりします(涙) そういう場合は、「そこそこ」隙間がないくらい…でいいと思います◎
  2. 養生し終わったら、錆漆を付けていきます。こうすると周りが汚れません◎

 

詳しくは↓こちらのページを参照してください。▸ 詳しいマスキングのやり方講座

 

今回修理している器は釉薬が「ツルツル」しているので、「養生無し」でこのままいきます。(ツルツルしている場合は、錆で周りが汚れても、乾いた後、楽に掃除ができます)

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

錆漆はちょっとずつ付けていきます。

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)をヘラの先で少量取ります。

 

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

接着ラインに沿って、ヘラを横滑りさせつつ、錆を置いていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

再び作業板の上の錆を取って、付け足していきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

ほどよい範囲に錆が置けたら、接着箇所の隙間に入れ込むようにヘラで通していきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

段差も埋めていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方それで、この「段差」を埋める場合、どのくらいの「幅」で錆をつけたらいいのか??というご質問があるかと思います。
「どのようであってもいいのではないでしょうか?」というのがお答えです◎(お、何か冷たいぞ!)

上図のように接着した破片がズレて、僅かな段差ができたとします。錆でその「段差」を埋めるわけですが、この時、二通りの考えがあります。

Ⓐ…錆はなるべく「狭く(最小限)」付ける。
なぜなら、器の釉薬の上は基本的には「剥がれやすくなる」ので、なるべく接着箇所の食いつきのよい場所のみ、必要最小限にとどめる。

Ⓑ…上記のⒶが「原則」だと思うが、幅が狭い場合、段差が「急激」に見えて、「見た目」が悪くなる可能性がある。「段差」が「カッコ悪い段差」に見えるようであれば、錆の幅を少し広めにし、「なだらか」にすることでその段差をきれいに見せる。

このⒶⒷの両方を考慮しながら、「程よい落としどころ」を探る…ってのがよろしいと思います。ルール設定して、「単純に割り切る」方が考えたり悩まずに済むので楽ですが(例えばⒶルールのみ採用する)、どのような事象においても融通無碍にその都度「いい案配」を見つけようとする…という姿勢の方がいいですよね◎

段差の具合、接着ラインの全体のバランス、器の表情、持ち主の性格、器の想い出…などなど、そいうったもろもろのファクターを無視せずに、取り込んであげながら、「こんな感じの幅がいいかな…」って探っていってください。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

錆漆は乾きが早いので、作業をサクサクと進めてください。

で、少し余裕があるようでしたら、接着ラインの隙間にしっかりと錆を入れ込むために、ラインに対して「直交」する方向にもヘラを通してください。
この場合は「小刻み」にヘラを通します。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

反対方向にもヘラを通します。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

最後にラインに沿ってヘラを通して、錆を整えます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方

こんな具合になります。
おっけーおっけー◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理のやり方 器の内側も同様に作業します。ちょっとやりづらいですが、地道にやってください◎

 

 錆漆さびうるし(ペースト)はそれ自体に「水分」が入っているので、とくに湿度のある「漆風呂」に入れなくてもしっかりと硬化してくれます。

けど、古い生漆や乾きの悪い生漆を使っていたり、数日、取り置きしておいた錆を使った場合は乾きが悪いかもしれません。その場合は漆風呂に入れて、湿度を与えてください。(湿度65%~)

 

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

もうちょい詳しく見たい方は↓こちらへ

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

 【 お掃除、お掃除 】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

 

 

 

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【欠けの金継ぎ修理】 東南アジアの茶碗 04 / 錆削り~漆塗り

 

size19    ファイツ!!

 

※ 口周りが欠けてしまったお茶碗の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の〈 錆漆さびうるし(ペースト)の削り~漆の下塗り 〉までのやり方を解説していきます。

 

 

 あり?前回はどんな作業をしたんだっけ??と忘れてしまった方はこちらをチェックしてください↓

【前回の作業を見る】

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方▸ Page 03 / パテを削り、ペーストを付ける

 

 

【 作業を始める前の「心得」  】

漆をナメちゃいけません◎「漆なんてへっちゃらよ。素手で作業しちゃおうっと」なんて無用な冒険心、もしくは慢心があなたに猛烈な痒みをもたらすかもしれません。
しっかりとガードを固めてから作業に入りましょう◎

 必ず「ディフェンシブ」に。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

05 漆ペーストを削る


  道具  ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


上記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がやりやすくなります。

 

おススメは 【 ①と②の彫刻刀 】ですが、「研ぐ」ことができないと、使い捨てになってしまいますので、現実的な初心者用の刃物チョイスとしては 【 ③と④のカッター 】を用意してもらえたらと思います。

③ の障子用丸刃カッターはホームセンターの「障子貼りコーナー」にありました。刃先がRなので(丸味が付いている)、器の曲面部分、特に「器の内側」部分の削りにもある程度ですが、対応できます。

 

 

乾いた錆漆さびうるし(ペースト)を刃物で削っていきます。

乾いたのか乾いてないのか、よくわからないんですが…という方は↓こんな感じでチェックしてください。

【 乾いた 】

「カリカリ」している。焼けた食パンみたいに。
※ 怒っていません◎

・ 棒で押す→ 凹まない、硬い
・ 引っ掻く→ 白い線が残る

【 乾かない 】

「しっとり」している

・ 引っ掻く→ 白い線が残らない
・ 棒で押す→ なんだか「弾力」を感じる
(↑この状態は全然、乾いていません!)

 

 

引っ掻いてみる→引っ掻いた線が白くなる→乾いている ◎

しっかりと乾いている場合、「カリカリ」っとして、爪や棒で引っ掻くと引っ掻いた場所が「白く」線が残ります。それから強く押しても「弾力」を感じません。

 

※ 万が一、錆漆さびうるし(ペースト)が乾いていない場合は…

  • 湿度をかなり高めにした場所に置いて2~3週間待つ
    (2~3日経っても乾かなかった錆漆は乾くのにすごく時間がかかります。「やり直し」をおススメします
  • 錆漆を取り除いて、やり直す

上記のいずれかを選択してください。

やり直す場合は…

詳しくはこちらへ ↓

▸ 錆漆が乾いていない(ような気がする)時の対処方法

 

前置きが長くなってしまいました!それでは(やっと)作業の方に入ります。

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

「ちゃお!」…か。「ちゃお」って何処の挨拶だっけ??

それでは錆漆さびうるし(ペースト)の削りに入ります。前回、刻苧漆こくそうるし(パテ)の上に錆を塗り重ねました。その錆漆を成形していきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

刻苧漆こくそうるし(パテ)を削った時と同じ要領で削ります。

削るときの「コツ」としては

  • 刀を持っていない方の手の親指で刀を「送り出す」ように「横スライド」させます。そうです。「横」スライドです◎
  • 刃の半分を器に当て、もう半分を錆漆に当てて削っていきます。この「刃を半分、器に当てる」…がミソです。

錆漆を付けた箇所が、周りの器の素地に比べると少し盛り上がっています。目標としてはこの「盛り上がり」をきれいに削って、周りの器の素地からなだらかに続くラインを作りたいわけです。できれば「目をつぶって指を通した時、違和感を感じないくらい」

※ もちろん、「あたしは”もっこり派”なのよね」という方は好みのもっこり具合にしてください◎

で、「器の素地から続くライン」にするためにはその基準面より彫り過ぎて凹まないように「ガイド」が必要です。そのために「刃の半分を器に当て」て、レベル・ガイドとするわけです◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

↑の赤丸の部分ですが、刃の半分くらいを器に当てています◎

さらに注意点としては「刃の角度」です。

 

錆漆さびうるし(ペースト)を削るときの「刃の角度」としては始めは①のように角度を付けます。(錆漆側の刃を少し浮かし気味にする)

ちょっとずつ削りつつ、ちょっとずつ刃の角度を〈②→③→④〉と、器のラインと平行にしていきます。こうすると失敗が少なくなります。(たまに失敗しますが)

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 

何で「角度」を付けるの??

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方錆漆を彫るときは削り過ぎて凹まないように注意したいわけです。
(この作業で凹んでしまった場合は、もう一度「錆漆さびうるし(ペースト)」を付けてちょっと凹んだところをリカバリーしてください◎)

いきなり、器のラインと刃を平行にして削ると「食い込んで」削り過ぎる可能性が高まります。(↑図の「Aコース」になるわけです)

器の面は基本的に「湾曲」しているので、その「丸味」を意識して削っていかなくてはいけません。何となく削っているといつの間にか食い込んでいて、「削り過ぎた!…(涙)」となることが多いのです。(特に初心者)

 なので、その対処法としては「刃を斜めに当てる」です。刃の「器側」の部分は器の素地に当てます。一方、「錆漆側」は少し斜めに「浮かす」ようにします。(↑図の「Bコース」になるわけです)

この「浮かし」によって、「彫り過ぎ(涙)」を防止します。ちょっとずつ、ちょっとずつ斜めに彫っていくわけです。

 

 欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

器の内側の錆漆も削っていきます。

こちら側は凹面になっているので、刃物も丸味を持ってカーブしているものが使いやすいです◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

作業のコツとしては同じです。

刃物の半分くらいを器に当て、はじめ、錆漆側は少し「浮かし気味」に削っていきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

それじゃ、「口周り部分」はどうやって削るの??かと言いますと…

これも同様の手順で削っていきます。

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方刃の半分くらいを器に当て、錆側は少し浮かす。

左側からある程度、削っていったら、途中で、今度は右側からも削っていく。

徐々に器のラインと平行にしていく。

 

 

それじゃ、それじゃ、錆漆を埋めた部分が大きい場合はどうやればいいのですか??と言いますと…錆漆の「四方八方の周辺から」地道に攻めていってください◎

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方先ほどと同じ図ですが、考え方・手順は全く同じなんです。

先ほどと手順は一緒です。刃を斜めに浮かしつつ、錆漆の左側から攻め、次に右側から攻める。上からも下からも攻める。ちょっとずつ、ちょっとずつ、全体のラインをチェックしながらです。

周りを大体攻めたら、徐々に内側も攻めていきます。こうすれば「彫り過ぎて凹む」可能性がグンと少なくなります。

途中、幾度も指で触って、「出っ張り具合」を確かめつつ作業を進めてください。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

できました◎どうでしょう?なかなか上手に削れました。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

いやー、刃物ってちょっと苦手なんです。小学校の頃から。という方は無理せず、刃物で「ある程度」削ったところで止めて、あとは紙ヤスリに頑張っていただきましょう◎

 

 

 

 

06 漆ペーストを研ぐ


道具  ②紙ヤスリ(耐水ペーパー) ③ウエス(布切れ) ④ハサミ(いらなくなったもの) ⑤豆皿(水受け)
 材料  ①水
▸ 道具と材料の値段/販売店


※ ハサミは紙ヤスリを切るのに使います。紙ヤスリを切るとハサミが「ばか」になります。他のものが切れなくなりますので、要らなくなったものか、100均で安いものを買ってきてください◎

※ 彫刻刀であまり削れていない(きれいなラインが出てない)場合は、まずは耐水ペーパーの#240くらい(←粗目)を使って研いでください。それで「形」を作ります。

形ができましたら、仕上げに#600~#800程度で軽く研いで、
表面の肌を整えてください。

 

  1. ペーパーを1㎝×1㎝くらいに切る
  2. 三つ折り(二つ折りでもオッケー)にする
  3. 水をちょっとつける

なんでこんなに「小っちゃくして」使うの??しかも「三つ折り」って。
(鳩屋さんってかなり神経質な人なの?1㎝を三つ折りってことは約3㎜でしょ。やりすぎじゃない?)

理由は2つです。

  1. 研ぎ面を極力少なくするため
  2. 平面保持力を高めるため

えーっとですね、「紙ヤスリ」って研磨力が強いんです。器の釉薬を傷つけてしまうのです。研いだ後、周りの釉薬が薄っすらと曇っているのは、あれは「細かい傷」が付いたからなのです。

なので、「なるべく」ですが、周りの釉薬が傷つかないようにペーパーを小さくして使うわけです◎

それから「三つ折り」っていうのは、ペーパーの「平面保持力」を高くするためです。ペーパー1枚で研いでいると「へなへな」なわけです。紙なので柔らかいですよね。

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

普通にペーパー1枚で研いでいると「Aコース」になるわけです。紙一枚だと「研ぐ方のもの」が柔らかいので、錆漆(←硬いもの)の形を拾ってしまう。「カクカク」していた錆漆の「山の部分(エッジ)」は軽くさらうことはできるのですが、研ぎによって錆漆を「形作る」ことは難しくなります。

一方、「Bコース」のペーパー3枚重ねだと、「研ぐ方のもの」の「硬さ」が3倍になるわけです。元々の錆漆の形に引っ張られずに錆漆の形を研ぎによって作っていくことが可能になります。
(※ ペーパー1枚に比べて…という話です。平面維持強度をもっと上げて、きちんとした「形と作る」作業がしたかったら「小さな砥石」を使うのがいいと思います)

 

と、さんざん説明したくせに今回、使っているのは「木賊とくさ」という植物です◎

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

木賊を使う場合は、もともとカピカピに乾いていて「硬い」ので、使う前にしばらく水に浸して柔らかくしておきます。

柔らかくなった木賊で、水をちょっと付けつつ、研いでいきます。

 

ん?柔らかくするって、それじゃ平面保持力が下がっちゃうんじゃないの??

そです、そです◎ 下がりますね~。えーっとですね、「研ぐ方のもの」の平面維持力が高すぎても研ぎづらいわけです。特に三次曲面は。

なので、「研ぐ相手」の形態、硬さ、求める面の精度…などに合わせて、「研ぐ側のもの」も最適なものを選ぶことが大切かと思います。

金継ぎの場合、器という三次曲面に盛られた錆漆さびうるし(ペースト)を研ぐことが多いので、「硬すぎず、かといって柔らかすぎず」…というのが「研ぐ側のもの」に求められる性質となります。

ということで、今のところ、「ペーパー三枚重ね」が程よい「落としどころ」かと考えています◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

↑ 木賊は折り曲げて「2重」にして使っています。(ん?これって皮の枚数でいうと「4重」ってことになるのかな?)

 

だけど、前の作業のとき、彫刻刀できれいに成形したのに何でわざわざペーパーで研がなくちゃならないの??(この作業、抜かしちゃっていいですか?)

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

そうですね、研がなくても怒られませんよ◎

ただ、「刃物で削った跡」というのが、錆漆の形に残っているわけです。大袈裟に言うと、「ちょっとカクカクしている」ってことになります。それをペーパーで研ぐと、キレイな平滑面ができるわけです◎

ちなみに ② で黄色で描かれているのは「耐水ペーパー」です。(ナメクジじゃありません。ちょっとしくじりました。そのうち描き直します◎)

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

器の内側も同様に水を付けつつ、研いでいきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

できました!

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

これで「下地作業」は御終いです◎

いよいよ漆の「塗り」に入ります!

 

 

 

 

07 漆の下塗り


道具  ②ティッシュぺーパー ③面相筆 ④蒔絵筆(赤軸根朱替わり) ⑥練り竹ベラ ▸作り方 ⑦作業板 ▸作り方
 材料  ①エタノール(テレピン、灯油など) ⑤精製漆(今回は”赤口漆”) ⑧サラダ油
▸ 道具と材料の値段/販売店


 

 

 「生漆」しか持っていないのですが、どうしたらいいですか?
はい、それではこちらへどうぞ ↓

▸ 精製漆の作り方

 

↑ この茶色半透明の漆でも「漆塗り」はできるのですが、半透明だと「どこを塗ったのかわかりにくい」のです(涙)漆に色を付けたい方はこちらへ ↓

▸ 色漆の作り方

 

 

作業に入る前に、筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

※ 何で筆に「油」がついているの??かと言いますと、作業が終わった後に、油で筆を洗っているからなのです◎ヘンですね、漆って。

 【 作業前の筆の洗い方 】

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しく押さえる

 

 

 

筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。

  1. 漆のチューブの蓋を開ける。
  2. 作業板の上に少量の漆を出す。
  3. 筆に漆を馴染ませる。
  4. 作業板の上に何本か線を引き、漆の量を調節しつつ、
    含み具合をチェックする。

漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは濾し紙で漆を濾してきれいにします。必要な方はこちらをご覧ください ↓

urushiway ▸ 基本的な漆の扱い方・濾し方

 

 

 漆塗りの実践に入ります。

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 ビビることはありません。これ、失敗する人はほぼいませんので◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 修理箇所は全てをカバーするように塗っていきます。塗り残しがないように気を付けます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 注意点としましては、「漆は厚くならないように、かつ、均一になるように塗っていく」です。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 「厚くならないように」…と言われても…。ですよね。

ということで、漆の塗り厚の「感覚」がつかめるまでは、気持ち、「薄く」塗っていってください◎

 

もし、漆を厚く塗りすぎた場合…

こんな感じになります。シワシワになるわけです。塗膜表面と塗膜の中の方との乾くスピードに「差」があり過ぎるとこうなるのだと思います。多分。

げっ!ホント!? やだー。縮んじゃったらどうすればいいの?

えっとですね、そのまま見て見ぬ振りして1ヶ月くらい放置。(縮んだ箇所の乾きは時間がかかります)
しっかりと中まで硬化した後、研いで塗り直す。です。

もしくは、縮んだ箇所を竹べらや彫刻刀でこそげ取って、テレピンを含ませたウエスできれいに拭き取る。その後、研いで塗り直す。です。はい。

どちらにしろ、すごく面倒です。呪いです。呪われないように気を付けてくださいね。

 

ちなみに、この「シワシワ現象」は湿度が高すぎて、「急激に乾かした場合」にも起こります。漆風呂の湿度を高くし過ぎたり、塗れた布を漆塗りした箇所のすぐ脇に置いたりしないようにしてください。(↑濡れた布のすぐ脇は、そこだけ局所的に”超・高湿度”エリアになります◎)
ご注意、ご注意◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

塗り終わりました!御終い◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方 

ハトさん、それ「国破れて山河在り…」なんだけど…。ま、いっか。鳩だし。

 

作業が終わったら湿度の高い場所(65%~)に置いて漆を硬化させます。そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。不思議な樹液ですね◎

湿度が高い場所…って、お風呂場にでも置けばいいんですか??

風呂場…でもいいのですが、風呂場って湿度が100%近くにまでなるので、漆を乾かすにはちょっと「どぎつい」環境だと思います。(漆は急激に硬化すると「やけ」「縮み」といった厄介な現象が起こりやすくなります)

もうちょっとソフトな環境を用意してあげましょう◎そう、実は漆は”やさしさ”で乾くのです。よ◎

 

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

湿度が保てる空間を用意します。※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

はい、大丈夫です◎「段ボールなんてダサくて嫌!」という方は↓のページを参考にバージョン・アップさせていってください。

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

※ 油で洗わないと筆の中に残った漆が硬化するので次第に筆がゴワゴワしてきてしまいます。

 

 【 終わった後の筆の洗い方 】

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする
    (こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しく押さえる
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 最後に綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

※ 極々、ソフトに押さえるようにして筆の中の漆と油を掻き出すようにしてください。強くしごいてしまうと、筆の毛先が痛んで「カール」してしまします。

 

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方はこちらを参考にしてください。
 ▸ 筆のキャップの作り方 

 

 

 

 【 お掃除、お掃除 】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

 

 

 

 

 
 
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【割れの金継ぎ修理】 松模様の白い湯呑 Page 02 / 破片の接着

 

size19ファイツ!!

※ 口周りが割れてしまった湯飲み茶わんの金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい
 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

 

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

今回は金継ぎ工程の内の〈麦漆むぎうるし(接着剤)で破片を接着〉までのやり方を解説していきます。

 

 

 【 前回の作業を見る 】

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法▸ page01 素地の漆固め

 

作業を始めるその前に…

金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必須アイテムです◎

 

 

02 破片の接着


  道具  ②作業板 ▸作り方 ③練りベラ ▸作り方 ④付けベラ ▸作り方 ⑦マスキングテープ
  材料  ①水 ⑤生漆 ⑥小麦粉
▸ 道具・材料の値段/販売店 


 

※ 麦漆むぎうるし(接着剤)の”正味期限”は2~3日くらいと考えてください。基本的に「使うときに作る」が原則です。保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきます。

 

 

漆を使って接着剤を作ります。
 ▸ 麦漆むぎうるし(接着剤)の詳しい作り方

そう、漆と小麦粉で「接着剤」が出来ちゃいます。料理??

【 麦漆むぎうるし(接着剤)漆の作り方 】

【体積比/目分量】… 小麦粉 1:1 生漆  ※水は適量


  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます
    (ガムみたいに粘るまで)
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)の作り方動画 】

初めのうちは失敗しないように、小さな計量スプーンを使うといいです。
(ベストは1/4サイズです。けど、滅多に売っているお店がありませんー)

 

 

※ 割れたピースが多い場合は…

麦漆むぎうるし(接着剤)を塗布する前にあらかじめどのパーツがどの部分に来るか確認しておきます。

 

【 破片が多い時の接着時の注意 】

  1. 接着する前に一度、組み立てます。
  2. そのまま「展開」します。(この置いたポジションをなるべくキープしてください)
  3. 混乱防止のために番号を書いたマスキングテープを貼っておきます。
    番号は何となく「隣合うパーツが連なっていくように」してください。
    ランダムにナンバーをふったら意味ないです。よ◎
  4. 接着剤を塗ったあと、元あった位置に順番通りに並べていきます。

↑これ、やっておかないと「カオス」になります(涙)

番号をふっておけば、万が一、「並び順」が崩れてしまった時もどこにくる破片か予想がつきやすくなります。

 

今回の「割れ修理」はピースが2つなので、わざわざ↑この作業をやらなくても大丈夫だと思います。

私…極度のパズル音痴なのです!という方は必ず番号をふっておいてください◎

 

 

器の割れた断面に麦漆を塗っていく麦漆の乾き具合をチェックするためにいらない紙やハガキなどに麦漆を薄く付けておきます。作業始めと、終わりに付けておくといいかと思います。

 

 

それでは実践です◎

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

麦漆むぎうるし(接着剤)を破損部の断面に付けていきます。

注意点としては「ヘラの先に麦漆をちょっとずつ取って、付けていく」です。

いやいや、「ちょっとずつ取って…」と言われても、どうやればいいのですか?

 

なるほど、そうですね◎ヘラを↓のように使って、麦漆をヘラの先で掬ってください。

 

【 麦漆の掬い方 】

  1. ヘラで麦漆を均一に薄く伸ばす。
  2. 伸ばした麦漆の右側にヘラをスタンバイする(ヘラは少し寝かせる)。
  3. ヘラを左側にスライドさせる。
  4. ヘラの先っちょに麦漆が少しつく。

どうでしょうか?できそうですか??最初はできなくても、繰り返しやっているうちにスムーズにできるようになります。リズムよくできるようになると気持ちいいですよ。なぜか◎

 

【 接着の手順動画 】…見づらいですが

 

 

 割れた箇所の断面、全てに麦漆むぎうるし(接着剤)を付けていきます。

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 注意点としては接着剤を「薄く延ばしていく」です。

  ヘラの先に付けた少量の麦漆を器の断面に乗せ、それをヘラで薄く延ばしていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

なるべく全面に麦漆がつくように、ヘラを往復させます。

厚みなるべく均一になるように気を付けてください。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 できました◎

 

 本体の方ができたら、破片のそれぞれにも同様に麦漆むぎうるし(接着剤)を付けていきます。

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

麦漆を破損個所の断面に付ける…ということは、つまり接着した時のその隙間に「異物」を挟みこんでいる…ということになります。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

↑ヘラを横にスライドさせながら、ヘラの先に付けた麦漆を置いていきます。これも最初はちょっとやりづらいと思いますが、できるようになると気持ちがいいのです◎

 

接着の隙間に挟まる「異物」の厚みが厚いほど、接着した時の「ズレ」が大きくなります。ですので、なるべく「薄く」を心掛けてください◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 ヘラの面を使って、麦漆を薄く、均一に延ばしていきます。ヘラは往復させて、全面に隙間なく麦漆が付くようにします。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 麦漆付け作業終了◎

 

 インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

厳密に言うと、きれいに拭き終わった作業板の上にも「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、完全に全ての作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 待ちます。ひたすら待ちます。麦漆が乾き始めるのを待ちます。

麦漆の表面が乾いてきて、少しマットになってきます。1~2時間といったところでしょうか。(かなり時間の幅がありますね。これじゃ、参考にならないかな)

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 ↑少-し、麦漆の表面の艶が引けて、ちょいマットになっています。
けど、この画像だけでは分かりませんよね?済みません。

ヘラでチョチョッとツッついてみて、ほんのちょっとぺたつくくらいがいいです。(本当のことを言うと、ほぼぺたつかないくらいがいいのですが、これだと失敗する可能性があるので、安全パイで行きましょう◎)

 

器の割れた断面に麦漆を塗っていく

待っている時間がない!とか、性格上「待つ」のは無理です…という人は「乾き始めていない」状態で接着しても大丈夫です。(普通の金継ぎ教室ではすぐに接着していると思います)

なのですが、「乾き始め」のちょうどよいタイミングでくっつけると、

  • 接着作業がやりやすい
    (接着剤が半乾き状態で接着力が強くなっているので、作業をしている最中に接着した破片が「ポロッ」と落ちづらい)
  • その後の麦漆の乾きも明らかに早い

のです◎

ですが、接着剤が乾いちゃいそうな気がしてちょっと不安なのね、という方は少し早めに接着作業を行ってください。(すぐに接着しちゃってもいいです◎)

麦漆で接着したら2~3週間、硬化待ちしてください。長いな~。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

実は今回は 3時間くらい放っておきました。結構、待つ場合は、うっかり作業をし忘れないようにしてください。

これがですね、時間が空き過ぎるので「接着作業中だった」ことをいつの間にか忘れてしまうのです(涙)。ご注意ご注意◎

 

  割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 破片を一つずつ嵌めていきます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 ピースを嵌めたらグリグリ押し込んでいきます。「歯ぎしり」するように接着箇所を小刻みに動かします。

しっかり圧着させてください。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 残ったピースを順番に嵌めていきます。

 ピースを一つずつ嵌めていくわけですが、嵌めていくときに一片一片の「ズレ」に対して、あまり神経質になり過ぎないようにしてください。

なるべく正確に嵌めていきたいところですが、結局、次のピースを嵌めた時に他のピースがズレます(涙)。そりゃ、押し込んでいるわけですから、どうしたってズレますよね。

なので、あまり一つ一つに対して、厳密になり過ぎる必要はありません。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

ひとまず全部のピースをしっかりと押し込んで、くっつけてしまいます。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 ここからが「微調整」で頑張るところです。

押し込みつつ、ズレを修正していきます。あらゆる角度から接着箇所をチェックして、なるべくズレが生じないようにします。

でも…あちらのズレを直してたら、こちらがズレ…、それならばと、こちらのズレを調整していたら、いつの間にかあちらが再びズレている…

ということになります。そうなります。はい。ツライです。

なので「一か所をメチャクチャ正確にズレなく嵌める」よりかは「全体を見た時に、個々のズレをお互い融通しあって、”まあまあ”うまく収まっている」…という感じがいいと思います。「つまり全体がほんのちょっとずつズレている」…ということです。何か「共同体論」にも通じますね。(←と思うのは私だけ?)

 もちろん、一か所にズレを集中させて、そこだけは大幅に「ズラす」ことで、敢えて「ズレたからこそ現れた”見せ場”」とするのも魅力的な在り方かと思います。

 「ズレ」というのは「割れた」ときにこの世に生じた現象なわけです。でもいつの間にか、金継ぎ修理する人たちにとっては「ズレ」を拒絶する態度が普通になっています。壊れたラインは金で目立たせるのに、「ズレ」は見えちゃダメ!…これって何か、すごく排他的な態度ですね(笑)

やっぱり「受け容れる姿勢」の方がいいですよね。人としても◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 …と言いつつ、はい、「ズレ」がなるべく見えないように調整しました!排他的人間(笑)

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

湯呑は 口を付けて使うものなので、「口周り」にズレがなるべくなくなるようにしました。

口を付けた時に「ん?」って不快な違和感を感じないように。
 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 でもこれもさっきの話ですが、口元がちょっとズレていることで、呑むときに「かすかな”引っ掛かり”を感じさせる」というのもありだと思います。

その引っ掛かりは”ちょっと不快”かもしれません。けど、そのことで意識は「ここ」「この瞬間」に引き寄せられる。使っている人が「ああ、これは壊れたものを直したのか…」って認識する。

その時、実は意識の深いところでは「そうだよな…、ズレててもいいんだよな。世間がダメだとか言っている部分があったっていいんだよな。
意外とこのズレが可愛いじゃん」って感じていたり、「ああ、人もモノも壊れていくんだな…。でも何かしらの遺志がこうやって引き継がれていくのかもな…」って感じているかもしれない。

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 この「ズレ論」ですが、多分、私の考えは世間一般の金継ぎ先生とはズレているので、ご注意ください。

もし金継ぎ教室で習っている方が、先生にこんな話をしたら、「この人はおバカなのね」白い目で見られるか、なかったこととして滑らかにスルーされると思いますので、取り扱い注意です◎

 

割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 はい、終了です◎ ではまたお会いしましょうー。

  割れた湯呑の金継ぎ修理の方法

 

 

 

 【 次の作業を見る 】

▸ page03 接着の隙間にペーストを付けるまで

 

 

 

 
 
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【割れの金継ぎ修理】 松模様の白い湯呑 Page 01 / 素地の漆固め

 

 

size19  ファイツ!!

※ 口周りが割れてしまった湯飲み茶わんの金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい
 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の内の〈素地固め〉までのやり方を解説していきます。

 

 

 私、金継ぎ初めてなんですけど、どんな道具とか材料を買えばいいんですか?どこで買えるんですか??という方へ

↓ こちらのページを参考にしてください◎

▸ 本漆金継ぎで必要な道具と材料/そのお値段と買えるお店のご紹介

 

 

 

作業を始める前に…

 金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

直す器 information


割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

 information 

  • 器の入手先: 京都の PASS THE BATON (←祇園でしたっけ?)
  • 器の特徴: ガラス質のツルツル釉薬
  • 器のサイズ: 直径 70㎜、高さ 50㎜
  • 破損状態: 割れ(本体+破片2パーツ) / ひび 
    割れの長さ合計 62㎜ / ひびの長さ 15㎜
  • 仕上げ希望:  

この模様は「松」でいいんですよね?違うかしら?

 なるほど。「PASS THE BATON」で手に入れたのですかー。社長の遠山さん、カッコイイですよね◎ 「ファッショナブルおじさん」でお茶目で、それでいて「男気」がある。
 周りを「巻き込んでいく熱量」がありますよね(だけど、決して暑苦しくない)。ご存知ない方は、ぜひぜひ、YouTubeで「遠山正道」って検索して、動画を見てみてください。思わず、「おおー、この人についていきたい!」って思っちゃいます。
 僕はすぐに本を買って、さらに表参道の「パスザバトン」に再訪してきました。あのコンセプト、それを「ビジネス」として着地させた情熱がスゴイです。聖地巡礼◎

遠山さんの、あの「ちょっとズラしたファッションセンス」も素敵なんですー。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

この「割れパターン」、よくありますよね。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

今回は「ひび」も入っています。

「欠け」のある所に「ひび」あり…これ、金継ぎの格言です。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

器の内側にもひびが入っています。

 この「ひび」を見落とさないように、入念にチェックしてください。初めは気が付かなかったんだけど、修理しているうちに…とか、修理し終わってから(!)とか、ふとした時に目に飛び込んできます。

 「う~、何でこんなところにひびが入っているんだ…(涙)」ってならないように要チェックです◎

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

割れの破片はこの2パーツです。

 破片が小さいと麦漆むぎうるし(接着剤)が塗りづらいのですが、
このくらいでしたら問題なくできます。

 もし、破片が「すごく小さい」の場合は、「その破片を使わないで直す」でもオッケーです◎

  割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

器に使われている釉薬はガラス質のツルツルしたものです。

 ですので、もし修理箇所以外に漆が付いてしまったとしても簡単に除去することができます。

 

 

 

01 素地調整


※ この部分のコンテンツを作るのを完全に忘れていました!写真がない!!他の修理ページから画像を借りてきていますが、許してください◎

  道具  ①リューターのダイヤモンドビット ▸ 作り方 ②ダイヤモンドやすり
▸ 道具・材料の値段/販売店


 

 ダイヤモンドビットは市販のものを購入したままだと使いづらいので、簡単なカスタマイズをすると使いやすくなります。
▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法 

 

今回使うのは↑こちらです。これで「ひび」の箇所を細くなぞって「傷」をつけます。

何で傷つけるのよ??

 はい、ガラス質の釉薬の上に直接、漆を塗ってもツルツルしているので剥がれやすいのです。なので傷をつけて漆の食いつきをよくします。

 

 

 

ひびの入った器をやすりで研ぐ いきなり力を入れてやするのではなく、ゆっくりとなぞるように軽く2,3往復させてから少し力を入れて研ぎます。

 

ひびの入った器をやすりで研ぐ ひびが見えづらい場合は目印として鉛筆や油性マジックで線を引いてください。その上をゆっくりとダイヤモンドビットでなぞっていきます。

細い線で修理を仕上げたい場合は、この「傷つけ作業」もなるべく「細い線」になるようにしてください。

 もし、「ぶっとい線で仕上げたいわ!」という場合はそれ相応のぶっとい線になるように傷をつけてください◎

 

ひびの入った器をやすりで研ぐ内側も同様に作業を行います。

 

ひびの入った器をやすりで研ぐうっすらと白っぽく「傷」がついたら素地調整作業が完了です。

 

 

 

02 素地固め


 この作業は何のためにやるかというと、次の工程で行う「接着作業」の
接着力がより大きくなるようにです。

 …が、この「固め」作業に関しては職人さんによって意見の分かれるところでもあります。「やっちゃダメ」という方もいます。

 金継ぎ図書館の見解としては「どっちでもいいんじゃないでしょうか?」です。一応、「セオリー」として固めのやり方を載せておきます◎

 

  道具  ③小筆 ⑤練りべら(大き目のヘラ) ▸作り方 ⑥作業板(ガラス板) ▸作り方
  材料  ①テレピン ②ティッシュ ④生漆 ⑦サラダ油
▸ 道具・材料の値段/販売店


 ※ この作業で使う「小筆」は安価な筆にしてください。陶器の断面に擦り付けるので、毛先が痛みやすいのです。蒔絵筆だとモッタイナイです。

 

 まずは筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

 【 作業前の筆の洗い方 】

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しく押さえる

 

 

 

 次に、浸み込みやすくするために生漆をテレピンを混ぜて希釈してください。作業板の上でヘラを使ってよく混ぜ合わせます。

 

 【 生漆の希釈 】

【体積比/目分量】… 生漆 10:3 テレピン ※おおよそ

※ テレピンの代わりにアルコール、灯油でもオッケーです◎

 

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

 

 

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

それでは固め作業に入ります。実践 ◎

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

割れたすべての断面に漆を塗っていきます。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

 今回はツルツルしたガラス質の釉薬なので、漆がはみ出しても大丈夫です。乾いてから簡単に削り取ることができます。

もし、直す器が素焼きのものや焼き締めのものでしたら、なるべくはみ出さないように塗ってください。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

ひびの箇所にも漆を浸み込ませます。と言っても、ほとんど浸み込みませんが。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

断面すべてに塗り終わったら、表面に残った漆をティッシュで吸い取ります。

ティッシュを折り畳んでください。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

それを漆を塗った部分に優しく押し当てます。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

「念写」成功◎ 器の「霊」が写し取られます。(うそ)

漆を吸い取ります。

 この作業を3~4回繰り返します。その際、毎回、ティッシュの吸い取る面を変えてください。漆のついていない、新しい折り面を広げてその面で押さえます。

 

割れた湯呑茶碗の金継ぎ修理方法

割れた小さな破片の方も同様の作業をおこないます。

 

 

 拭き取り作業が終わったら湿度の高い場所(65%~)に置いて漆を硬化させます。そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。不思議な樹液ですね◎

湿度が高い場所…って、お風呂場にでも置けばいいんですか??

 風呂場…でもいいのですが、風呂場って湿度が100%近くにまでなるので、漆を乾かすにはちょっと「どぎつい」環境だと思います。(漆は急激に硬化すると「やけ」「縮み」といった厄介な現象が起こりやすくなります)

もうちょっとソフトな環境を用意してあげましょう◎ そう、実は漆は”やさしさ”で乾くのです。よ◎

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

湿度が保てる空間を用意します。
※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

 はい、大丈夫です◎「段ボールなんてダサくて嫌!」という方は↓のページを参考にバージョン・アップさせていってください。

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

湿度のある場所(65%~)に6時間くらい置いて漆を硬化させてください。

 理想的には「漆の乾きかけ」のタイミングで次の接着作業に入れたらステキです。けど、そのタイミングで次の作業に入るのが難しいようでしたら、なるべく1,2日後くらいに次の作業に取り掛かるようにしてください。

 とはいえ、↑これは「厳密に言うと」ということですので、1~2週間空いてしまっても「ヤバイ!」ってことにはなりませんのでご安心ください◎

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

※ 油で洗わないと筆の中に残った漆が硬化するので次第に筆がゴワゴワしてきてしまいます。

【 終わった後の筆の洗い方 】

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする
    (こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しく押さえる
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 最後に綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

※ 極々、ソフトに押さえるようにして筆の中の漆と油を掻き出すようにしてください。強くしごいてしまうと、筆の毛先が痛んで「カール」してしまします。

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方はこちらを参考にしてください。
 ▸ 筆のキャップの作り方 

 

 

 

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

 厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

【 次の作業を見る 】

▸ page02 破片の接着作業

 

 

 
 
 
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〈色漆〉を自分で作る方法~これでカラフルな色塗り自由自在!

size19  ファイツ!!

 

 う~ん、なんかさ、「金継ぎ」ってさ、やっぱさ、「金」で直さなきゃダメなの??これ、あまり聞いちゃいけないことなんですかー??

 

yunohana_a004-2 はい、そのご質問、実はよく訊ねられます。そうですよね、「金」じゃなきゃいけないんですかね?どうなんでしょうね?金継ぎ先生によっては「ダメ」みたいですね。そんなことを先生に聞くだけで「御咎め」を受けるようです(涙)

 

tentoumusi-sara_005でも、漆にもいろいろな色があるなら使ってみたいですよね。

 

kiiro-mag_008

cross-mag_006そこで、ご自分でも「色漆」が作れるように、そのやり方をご紹介します。

なっ!?「色の着いた漆」って自分で作れるんですか??うそっ!

 

 いえす、作れます◎ちょっと手間がかかりますが、簡単です。面倒だな~って思う方は、あらかじめ出来上がったものが漆屋さんや東急ハンズで売っています。

 

toritobusa_005

「漆」ってお店に行くといろいろな種類のものが売っているのですが、大別すると以下のような感じです。

◉ 生漆…こげ茶色 (樹から採れた樹液のまま)  
◉ 透き漆…半透明の茶色 (精製したもの)
※ 木地呂、素黒目などとも呼ばれます

→これに色の粉を混ぜると

・ 黒い漆(呂色)

・ 赤い漆(弁柄漆、朱漆など)

・ 他、様々な色の漆(黄色、青色、緑色など)

 

※ 透き漆=木地呂漆=素黒目漆(お店、地方、産地によって呼び名が違います)

生漆
 ↓
精製して「透き漆」になる
 ↓
さらに色の粉を混ぜて「色漆」(赤い漆や黒い漆)になる
* 「黒い漆」は実は鉄粉を入れて、化学反応で黒くなっています。けど、ややこしいので。

 

 

色漆 = 透き漆(精製漆) + 顔料(色の粉)

ということで、まずは生漆を精製して「透き漆」を作ってください。(もしくは「透き漆」を購入してください)

▸ 透き漆の作り方

 

 

弁柄漆作りに使う道具・材料


生漆から素黒目漆を作るときに使う道具と材料

 道具  ②練り箆 ③先丸箆 ④計量スプーン1/4 ⑥作業板
 材料  ①透き漆 ▸透き漆の作り方 ⑤顔料(今回は赤弁柄)


その他に必要な道具は…時間を計るタイムウォッチ

弁柄…箕輪漆行で 50g/¥237- で売っています。
※ 弁柄は他の色の粉よりも安いです◎

レーキ顔料… 箕輪漆行で 50g/¥1,300-

 漆と顔料の量を計量スプーンで測るのですが、その際、計量スプーンから掻き出すのに便利なのが「先の丸い箆」です。

 「付け箆」として使っている竹製の箆の先っちょを↑画像のように丸くし、厚みも(かなり)薄くしてしなりやすくすることで、計量スプーンから掻き出しやすくなります。

 

 

素黒目漆に弁柄(赤)を混ぜて色漆を作る


生漆から弁柄漆を自分で作る今回は弁柄(赤)の顔料を使います。

 ※ ちなみに「顔料を混ぜずに”素黒目漆”で漆塗りをしてはいけないんですか?」とご質問があると思います。
オッケーです。大丈夫です。

ですが、以下のデメリットがあります。

  • 素黒目漆は半透明なので、塗り作業をしていて、どこまで塗ったのか分かりづらい。特に「キワ」の部分は「塗れてる?塗れていない??あー、もうわかんない!」ってなります。
  • 蒔絵をしたときに、蒔いた金属粉が漆の中に沈みやすくなる。つまり、多くの蒔絵紛を消費することになります。

 

 

漆に対しての弁柄の分量ですが、何回かテストした感じだと

透き漆 1 : 1.3~1.5 弁柄 (体積比)

 くらいがいいのかな…と今のところ考えています。顔料の比率が多いと粘りが出て塗りづらくなります。少ないと筆が滑ったり、蒔絵紛が沈みやすかったりします。(←意味わからないですよね)

ご自分で使ってみて、その結果を踏まえて改善していってください。私もちょっとずつ変えていくと思います。

 

黄色の漆左側:顔料比 1.0  右側:顔料比 1.5

このページの下の方で作業手順を説明しています。

 レーキ顔料(黄色、緑、青など)の場合は
※ 弁柄ではない

透き漆 1 : 1.0~1.3 レーキ顔料 (体積比)

がおススメです◎

顔料比が 1.5 まで入れると色の発色は良くなるのですが、「ドロドロ」した感じになります。塗りづらそう。

 

素黒目漆から色漆を作るやり方

まずはスプーン1杯目。摺り切り一杯です。

 

素黒目漆から色漆を作るやり方

作業板の上に出します。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

さらに1/2杯を加えます。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

先丸の箆でスプーン内に残った顔料を綺麗に掻き出します。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

それでは弁柄漆に素黒目漆を練り合わせていきます。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

顔料の方に少量の漆を加えます。漆の方に顔料を加えないように気を付けてください。

この 〈漆・少量練り〉 の段階がすごく重要です。この段階でしっかりと顔料と漆を合わせていきます。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

少量の漆だけでまずはしっかりと練り込んでいきます。

 

2016-07-15 追記
ふと気が付いたのですが、↑画像の「往復矢印」だけじゃ、どうやってヘラを動かしているのかわかりませんよね。あの矢印だけじゃそのまま往復運動していることになっちゃいますね。いや、違いますよ。ヘラを表・裏と返したりしながら動かします。けど、わかりませんよね。

近々、「ヘラの使い方」ページを作ります。多分。きっと。しばしお待ちください。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

練って、練って…

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

途中の段階ではこんな感じの粘りが出ています。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

さらに練っていくと顔料に漆が浸み渡っていって、少し滑らかになりました。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

この 〈漆少量練り〉 を5分程度行います。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

漆を少量ずつ加えていきます。

少量の漆を加えつつ、しっかりと練り込んでいきます。

 

この作業も5分くらいかけてじっくりゆっくりと進めていってください。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

とろみがつきました。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

弁柄漆の完成です。

 

素黒目漆から金継ぎで使う色漆を作るやり方

 

 この「漆の精製」につきましては、まだまだ改善の余地があるというか改良していかなければいけないと思っています。

 ですので、みなさんもこのコンテンツを一つの参考程度と考えて、ご自分でも研究していってください。「自分で研究してみる」ってきっと面白いと思います。

 

 

レーキ顔料の色漆の作り方(黄色バージョン)


 

レーキ顔料も作業は全く同じなので、わざわざ説明する必要はないのですが、それでもやっぱりあると喜んでくれる方がいるので◎

 

①小分けで売っているもの ②箱売り ③これは「水銀朱」です(レーキ顔料とは違います)

 

レーキ顔料(緑色とか黄色、青色など)は

透き漆 1 : 1.0~1.3 レーキ顔料 (体積比)

がおススメです◎

顔料比が 1.5 まで入れると色の発色は良くなるのですが、「ドロドロ」した感じになります。塗りづらそう。

 

今回は↑この黄色のレーキ顔料を使います。

 

手順は弁柄と一緒です◎

 

漆に練り込む顔料を用意する


顔料の入った小袋に計量スプーンを突っ込んで粉を取り出します。

 

粉の量は 「スプーンちょい山盛り」…ってところでしょうか。

なんとなく「フェルメール」っぽいですね~

 

作業板の上に顔料を出します。

 

先っちょがR(丸まった)になったヘラを使って、スプーン内に残った顔料を掻き出します。

 

 ヘラに着いた顔料は作業板に擦り付けます。

 

 最後に他のヘラで掻きとります。

 

 

少量の漆で顔料をしっかりと練る


 まずは少量の漆で顔料を固練りします。

 

 ちょっとだけ漆をとって、それでしっかりと顔料を練り込んでください。

ちょっと作業がやりづらいですが。

 

ヘラを擦りつけるようにぐるぐる回したり…

 

 練ったものをまとめて、また伸ばしたり…

 

時々、ヘラにこびりついた固練り顔料をもう一本のヘラでこそげ取ってください。

ってことは練りベラも2本あるといいですね。

この作業を5分くらい続けて、しっかりと漆と顔料を練り込んでください。

 

 

固練りした顔料に漆を足していく


 固練りしたものに少しずつ漆を足していきます。

 

 漆を少量足して→練って→足して→練って…です。

 

 ぐるぐる回したりして…

 

 オッケー◎
修了です。「黄漆」できました!

 

 

練り終わったらサランラップにくるんで保存してください。

▸ ラップで漆を保存するやり方

 

 

ちなみに色漆は塗った直後は色の発色がいいです。

↑塗った直後

 ですが、乾いていくうちに発色が悪くなります(ちょっと”茶色”がかります)。というのも、漆の樹液自体が半透明の「茶色」だからです。その影響が出るので、どうしてもワントーン暗くなります。

 

発色を良くする方法としましては

  1. ゆっくり漆を乾かす
  2. 顔料の含有比率を高くする
  3. 漆屋さんで日本産の透明度の高い漆(比較的ということですが)を指定して買う

 

 

金継ぎ図書館はあなたの金継ぎスピリットを全力で応援します。ファイッ!!

 

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【欠けの金継ぎ修理】 東南アジアの茶碗 03 / ペースト付け

 

size19ファイツ!!

 

※ 口周りが欠けてしまったお茶碗の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。
本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ作業工程の〈 刻苧漆こくそうるし(パテ)削り~錆漆さびうるし(ペースト)付け 〉までのやり方を解説していきます。

 

 ※ 今回、「削り」解説が異様に詳しくなってしまいました。「もう!金継ぎ図書館は相変わらず”くどい”わ!」って思わずに、「フフフフ、熱いわね◎」って受け取っていただけたらと思います。
※ 性格が優しいほど、金継ぎも上手くなります◎ 多分。間違いない◎

 

前回の作業を見る

お茶碗の金継ぎ修理の方法▸ Page 02 / 刻苧漆こくそうるし(パテ)を詰める

 

 

 

作業を始めるその前に…

金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

03〉 刻苧漆(パテ)を削る


道具 ①彫刻刀(平丸刀) ②彫刻刀(平刀) ③障子紙用丸刃カッター ④カッターナイフ(大)
▸ 道具と材料の値段/販売店


上記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がやりやすくなります。

おススメは 【 ①と②の彫刻刀 】ですが、「研ぐ」ことができないと、使い捨てになってしまいますので、現実的な初心者用の刃物チョイスとしては 【 ③と④のカッター 】を用意してもらえたらと思います。

 

③ の障子用丸刃カッターはホームセンターの「障子貼りコーナー」にありました。刃先がRなので(丸味が付いている)、器の曲面部分、特に「器の内側」部分の削りにもある程度、対応できます。

 

 

乾いた刻苧漆こくそうるし(パテ)を刃物で削っていきます。

 

乾いたのか乾いてないのか、よくわからないんですが…という方は↓こんな感じでチェックしてください。

【 乾いた 】

「カリカリ」している。焼けた食パンみたいに。
※ 怒っていません◎

・ 棒で押す→ 凹まない、硬い
・ 引っ掻く→ 白い線が残る

【 乾かない 】

「ボヨボヨ」している

・ 棒で押す→ 凹む

・ 引っ掻く→ 何も残らない

 

引っ掻いてみる→引っ掻いた線が白くなる→乾いている ◎

しっかりと乾いている場合、「カリカリ」っとして、爪や棒で引っ掻くと引っ掻いた場所が「白く」線が残ります。それから強く押しても「凹む感触」はありません。

 

※ 表面はしっかりと「カリカリ」しているのに内側は乾いていない…という場合もあります。

万が一、刻苧が乾いていない場合は刻苧に「小さな穴」を数カ所あけるか、刻苧を取り除いて、やり直してください。

 

詳しくはこちらへ ↓

▸ 刻苧が乾いていない(ような気がする)時の対処方法

 

 

それではカリカリ乾いている刻苧漆こくそうるし(パテ)を削っていきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

彫刻刀を使う場合でも、カッターナイフを使う場合でも左手(刃物を持っていない方の手)の親指を刃の根元に当て、刃が横斜めに滑るように軽く押していきます。

刃物の「持ち手」の方に力をいれて削るのではなく、じつは「持っていない方の親指」でスライドさせて削るのです。(なんと!)

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

刃の半分を器に当て、もう半分を刻苧に当てて削っていきます。

この「刃を半分、器に当てる」…がミソです。おみそな訳です。◎

刻苧で盛った箇所が、周りの器の素地に比べると少し盛り上がっています。
目標としてはこの「盛り上がり」をきれいに削って、周りの器の素地からなだらかに続くラインを作りたいわけです。できれば「目をつぶって指を通した時、違和感を感じないくらい」

※ もちろん、「あたしは”もっこり派”なのよね」という方は好みのもっこり具合にしてください◎

で、「器の素地から続くライン」にするためにはその基準面より彫り過ぎて凹まないように「ガイド」が必要です。そのために「刃の半分を器に当て」て、レベル・ガイドとするわけです◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

それで、彫るときは削り過ぎて凹まないように注意したいわけです。
(実際はこの後の作業で「錆漆さびうるし(ペースト)」を付けるのでちょっと凹んでもリカバリーできます◎)

いきなり、器のラインと刃を平行にして削ると「食い込んで」削り過ぎる可能性が高まります。(↑図の「Aコース」になるわけです)

器の面は基本的に「湾曲」しているので、その「丸味」を意識して削っていかなくてはいけません。何となく削っているといつの間にか食い込んでいて、「削り過ぎた!…(涙)」となることが多いのです。(特に初心者)

 なので、その対処法としては「刃を斜めに当てる」です。刃の「器側」の部分は器の素地に当てます。一方、「刻苧側」は少し斜めに「浮かす」ようにします。(↑図の「Bコース」になるわけです)

この「浮かし」によって、「彫り過ぎ、涙」を防止します。ちょっとずつ、ちょっとずつ斜めに彫っていくわけです。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 刻苧漆こくそうるし(パテ)を削るときの「刃の角度」としては始めは①のように角度を付けます。(刻苧側の刃を浮かし気味にする)

ちょっとずつ削りつつ、ちょっとずつ刃の角度を②→③→④というように、
器のラインと平行にしていきます。

こうすると失敗が極めて少なくなります。(たまに失敗しますが)

 

それじゃ、それじゃ、刻苧を埋めた部分が大きい場合はどうやればいいのですか??

と言いますと…

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方刻苧の「四方八方の周辺から」地道に攻めていってください◎

先ほどと手順は一緒です。刃を斜めに浮かしつつ、刻苧の左側から攻め、
次に右側から攻める。上からも下からも攻める。ちょっとずつ、ちょっとずつ、全体のラインをチェックしながらです。

周りを大体攻めたら、徐々に内側も攻めていきます。こうすれば「彫り過ぎて凹む」可能性がグンと少なくなります。

途中、幾度も指で触って、「出っ張り具合」を確かめつつ作業を進めてください。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

お茶碗の「口周り」も基本的には同じ要領です。

周りの器に刃を当てながらちょっとずつ削っていきます。始めは刃は斜めに浮かせながら削り、徐々に器のラインと平行にしていきます。

「えーい、めんどくさい!一気にやったれ!!」って、やっちゃうと、意外と失敗しますので、やっぱり地道に作業を行ってください。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

ここでも「刃物の持ち手でない側の手の親指」でプッシュします。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

できました◎

鳩より館長さんの方が説明が上手いです。やっぱり。

 

 

器の内側も基本的には同じ要領で作業をします。

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

ただ、器の内側は基本的には「凹面」になりますので、刃物も「カーブ」している刃物の方がいいです。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

内側のコクソを削る時も、刻苧側の刃は浮かし気味にして削っていきます。それから徐々に器のラインに平行にしていきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

できました。きれいです◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 

どうでしょうか?何となく分かりましたでしょうか??

実際、刻苧を削るときに「そう言えば金継ぎ図書館が”刃を斜めに浮かすのね”ってくどくど言っていたな…」と思い出してもらえたらと思います。

作業を繰り返すうちに体感として身に付くものだと思います◎

 

 

 

 

04〉 錆漆(ペースト)を充填する


道具 ③作業板 ▸作り方  ④付けベラ ▸作り方  ⑤練りベラ ▸作り方
材料 ①水  ②生漆  ⑥砥の粉

▸ 道具と材料の値段と売っているお店


 

 

錆漆さびうるし(ペースト)を作ります。

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

 ▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

 

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

 

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。作ってから2~3日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

【錆漆の作り方動画】

 

 

錆漆さびうるしという細かいペースト状のものを付けていきます。

ん?ってことは刻苧漆こくそうるし(パテ)で凹んでいても大丈夫なんじゃない??

そうです。正解◎でもやっぱり、錆漆の前段階で下地が綺麗にできていた方が、仕上がりも綺麗になりやすいです。

 

  欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

↑この刻苧を充填した箇所を錆漆さびうるし(ペースト)でコーティングします。

僅かな段差、ピンホールなどを埋めます。

 

※ ちなみに「刻苧の後に錆漆ってやんないとダメなんですか?」「刻苧がキレいに盛れていたら、錆は要らないんじゃないですか?」というご質問があろうかと思います。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

刻苧に混ざっている「木粉」は基本的に粒子が「粗い」です。錆に混ざっている「砥の粉」はかなり「細かい」微粒子です。

なので、刻苧に直で漆を塗り重ねた場合、しばらくはキレイに見えたとしても、時間が経って、漆の塗膜が痩せてきたときに、その下地の木粉の「ゴリゴリ感」が影響してきてしまいます。

刻苧と漆塗りの間に「砥の粉の微粒子」を噛ませておくことで、漆自体が痩せた時にも木粉の影響が軽減され、キレイなフラットな塗りが維持されやすくなります◎

もちろん、「あたし、そんなん気にしないもんね」という方は刻苧に漆を直で塗っても構いません◎

 

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 錆漆はちょっとずつ付けていきます。

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)をヘラの先で少量取ります。

 

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 器の口周りを利用して、錆漆さびうるし(ペースト)をヘラから「切ります」。

器のエッジに擦りつけるようにヘラをスライドさせて錆を置いていきます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 置いた錆をヘラの面で潰すような感じで広げていきます。刻苧漆こくそうるし(パテ)でできた隙間や小さな穴を埋めます。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 反対方向にもヘラを通します。

ヘラを複数方向に通すことで、「錆を動かし」ます。動かすことによって、刻苧と錆の間にできているかもしれない隙間(空間)を潰します。密着度も上がります。

 ※ 錆はペースト状のものなので、素地との間に意外と空間ができているのです。ご用心、ご用心。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 内側も同様に錆を付けます。

 

 もう一か所の欠け部分も錆付けをします。今度は鳩さんなしで◎

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 ヘラの先にちょっと錆をとり…

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

エッジで 錆を切って…

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 ヘラの面で押えつつ広げていく。

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 できました◎

 

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方

 

 錆漆さびうるし(ペースト)はそれ自体に「水分」が入っているので、とくに湿度のある「漆風呂」に入れなくてもしっかりと硬化してくれます。

けど、古い生漆や乾きの悪い生漆を使っていたり、数日、取り置きしておいた錆を使った場合は乾きが悪いかもしれません。その場合は漆風呂に入れて、湿度を与えてください。

 

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

もうちょい詳しく見たい方は↓こちらへ

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

 【 お掃除、お掃除 】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

 

【次の作業工程を見る】

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方 ▸ Page 04 / ペースト削り~漆の下塗りまで

 

 

 

 

 
 
 
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初心者でもノミで彫っていくスプーン作りはできるのでしょうか?

       レッツ DIY !

 

先日、親友の漆芸家&金継ぎ師・宮下智吉さんの作業場をお借りして、スプーン作りの研究会をしてきました。

 

スプーン作りには僕がこれまで「こだわってきたテーマ」がありまして、それが初心者の方々や一般の人にとっても応用が可能かどうかのテストも兼ねた研究会をしました。
(実行可能かどうか?ではなく、どうやれば可能になるか…です)

そのこだわりとは「ノミで叩いて作る」ということなんです。

 

なかなか皆さん、「ノミを叩いたことがある」という体験はないですよね?

小中学校で使う刃物は基本的には「彫刻刀」だと思います。もしかしたら、「工芸」みたいな授業で箱などを作り、その時ほんのちょっとノミを使ったかな?というおぼろげな記憶がある方もいるかもしれません。

けど、そういう体験がある人にしても、ちょこちょこっと穴を開けたくらいで、こう、「がっつり」ノミを叩いてガンガン彫っていった!!ってことは体験したことがないですよね。

 

ノミも彫刻刀も同じ刃物でしょ?木を彫るもんなんだから、大して違いはないでしょー。と思っている方も多いかと思います。

でもそれ、結構、違うんです◎全然違うと言ってもいいくらいです。

何と言ったってノミは「打撃系」なんです!(←格闘技っぽい語り口になっている)全身を使って、その打撃の衝撃を体感しながら彫っていきます。
一方、彫刻刀は彫の表面仕上げに使うものなのです。「彫る」というより、「削る」という感じです。サラサラと。

ノミは「身体」を使ってダイナミックに彫っていく。彫刻刀は「指先」で繊細に削っていく。全く「異質」なわけです。

 

それで、一般の方にもこの「打撃系」のフィジカルな体験をしていただくカリキュラム制作に向けて、そのテストをしてみました。

 

今回の参加メンバーは

(左)プロカメラマン:彩さん、(中)木工家:臼井さん、(右)木工&林業:久恒さん

カメラマンの彩さんは以前、金継ぎワークショップに参加してくれた方です。スプーン作りに興味があるとのことだったので、今回、「素人代表」としてご参加をお願いしました。

臼井さんは今年の3月まで東京藝大の木工の助手さんをしていた「専門家」です。最近、数年ぶりにインスタで連絡を取り合ったのを機にお誘いしました。
大学の2つ下の後輩です。

久恒さんは只今、金継ぎ図書館の「WEB金継ぎ教室」の生徒さんをしてくれています。武蔵美の木工出身で、今、ご実家の林業会社の経営立て直しに尽力されています。

 

↑ 漆芸家&金継ぎ師:宮下さん

学生時代からの親友です。ばりばり、漆塗のスプーンも作って売っています。売れています◎ 本気のプロです。

 

 

今回は「鳩屋」の考える「スプーン作りの手順」を皆さん(専門家と初心者)に体験してもらい、気が付いた点などがあったらアドバイスしてもらおうということで、お願いしました。

 

手順、道具、冶具、説明の仕方、使う木材の種類、などなど逐次、改善していき、近いうちに初めての人向けの「ノミを使ってスプーンを作るワークショップ」を開催したいと考えています。

 

まずは鋸ノコギリで「切り込み」を入れてもらいました。…けど、いきなり失敗!

切り込みが深すぎて、この後、作業しているうちに折れてしまいました(涙)

このあたりの「要注意のポイント」を分かり易くどう説明するか…課題ですね~。

 

初心者の方にとっては「打撃面」が大きい方が使いやすいかな?と考えて、彩さんにはまずは大き目の「ゴムハンマー」を使ってみてもらいました。

けど、意外や、「ちょっと使いづらい」と。

 

で、こちらの「普通の」カナヅチを使ってみてもらいましたら、「こっちの方が使いやすいかも」

意外や、彩さん、「ハンマー慣れ」しているのかも。(どこで訓練したの?)

 

 話は反れますが、木工をやっている人は「金槌かなづち」とか「トンカチ」とは呼びません。「玄翁げんのう」と呼びます。なぜでしょう?ちゃんと調べていないのでわかりません。

ちなみに↑の玄翁のヘッドは「正行まさつら」さんという職人さんが作ったものです。

ん?…職人さん??って、まさか「玄翁職人」っているんですか?

そうです、そうです◎ そんな世界があるのです。マニアックですよね。ちゃんとした道具屋さんに行くと、玄翁の「ヘッド」だけで売っています。1万円とかで。柄はまた別で買って(600円くらいだったかな?)、自分で挿げるのです。「持ち手」は自分の使いやすい形状に加工します。

ヘッドの挿げる「角度」は職種や職人さん個人によって変わります。欄間らんまの彫り師さんなんかはヘッドは角度を付け、柄は短めにしたりします。

 

 

隣で僕も作業をします。僕はピコピコ・ハンマーで(笑)でも意外と使いやすいのです◎(ゴムハンをなめちゃイケない!)

 

 

 

「粗彫り」はノミを叩きます。それで大体のスプーンの形ができたので、今度はもうちょっと繊細な加工をしていきます。

ノミを握って彫っていきます。その「握り方」をアドバイス。

 

↑ちょっと変わった「持ち方」に見えると思います。これは福井県の井波という彫り物の街の職人さんたちの持ち方です。

井波の職人さんたちは朝から晩まで彫っているので、持ち方が独特です。「疲れにくい持ち方」ということです◎

 この持ち方がカッコイイ。と僕は思うわけです。(マニアックですね)

 

けど、やっぱり初めての方にとってはちょっと「違和感」があるようです。

 

臼井さんは黙々と作業。

 

深澤は姑のように逐一指摘し続ける。ちょっと小うるさかったかもしれません。彩さん、済みません~(苦笑)

 

久恒さんはナタで割った木の板から彫っています。けど、この材がやたらと硬かったので苦戦中。

今回はいろいろな材を用意しました。生の桜(伐ったばっかり)、乾燥した桜、漆の木、朴ほおの木、ブナの木、などなど。ナタで割った木と、ハンズで買った四角く製材された木など。

 

臼井先生、静か…。

臼井さんと彩さんがもともと同じ大学出身だということが判明。しかも同じ時期にキャンパスにいた可能性が大。
二人とも普通大学を卒業した後、臼井さんは藝大に、彩さんはカメラマンの道に入られたそうです。

 

今回、僕が用意した「冶具じぐ」だけではイマイチ作業がやりづらいようでした。※ 冶具…作業しやすいよう、補助するために作られた道具

僕の方針としては「なるべく道具、冶具ともに最小限にする」。そして「手順」や「道具の扱い方」「身体の使い方」を改善することで制作をやりやすくする。…と考えています。
けど、あまり無理をし過ぎても初心者の人がうまく作業ができず、嫌になってしまうかもしれませんよね。もう少し、冶具のバリエーションを増やした方がよさそうだね、という話になりました◎

 

ミヤッチ先生がお茶を淹れてくれました。宮下さんは気が利くので、よくお茶が出てきます◎

 

臼井さんと久恒さんがお土産で買ってきてくれたお菓子もいただきました。

さすが、気が利く◎

 

スプーン…スプーンが自分の家で、好きに作れたらいいですよね◎

僕は、「誰でも作れるスプーンの作り方」そのコンテンツ作りに勝手な使命感を持っているのです。

「どうやら日本人は自分でスプーンを作るらしい。それが普通らしい」という、海外から見たら意味のわからない文化が根付いたらいいな~と思っています。必ずいいやり方を見つけます◎(皆さんのお力をお借りして!)

 

彩さん、何とか完成!と言っても、実はすでに2本失敗しています(笑)。 原因は僕の準備不足やナビの仕方がイマイチだったからなのですが。

この一本はあらかじめ、僕が粗削りしておいたものです。それを彩さんにお渡しして、仕上げてもらいました。

 

このあたりのオペレーションをどうするかが結構、課題です。ノミで叩くというのは結構、ダイナミックな作業なので、彫刻刀や小刀でチマチマ削っていくよりかは失敗のリスクがちょっと高くなります。

ワークショップをするなら、「失敗した人用」にあらかじめ何本か粗彫りしたスプーンを用意しておいた方がいいかも…という話になりました。

 

宮下さんは漆の木で彫ってみました。

 

さすが手慣れています◎

 

 

それで、今回は「ノミで叩く」ということにこだわったわけなのですが、(と言うより僕はいつもそこにこだわっているわけですが)それって普通じゃないのですか??と思われますよね。

いやいや、それがそんなことはなく、木工作家のほとんどが「バンドソー」という機械でアウトラインを挽いて成形しています。(それが悪いと言っている訳じゃありません。よ◎)

一般の人相手のワークショップでもバンドソーを使うか、もしくは「糸鋸いとのこ」を使います。(当図書館のスプーン作りコンテンツでも糸鋸を使っています)

 

で、これがいけないのか?というと、いけなくはありません。(木の”繊維”を考えると、本当は、ベストではないと思いますが)作り手さんはなるべく手間をかけずに「量産」しないと商品の値段が跳ね上がりますから、「機械化」はいたしかたないと思いますし、ワークショップ参加者の方にとっては糸鋸は扱いやすいので、これも一つの「解」だと思います。

でも私としましては「素材や道具を相手に”コミュニケーション感度”を上げる」という非日常体験を一般の人にもしてもらえたらと思うわけです。

道具を相手に?素材で?それってどうゆーこと?

普通、現代生活の中では素材や道具というのは「人にとって便利」に加工され、作られているわけです。
ですので、基本的に使い手は「ご主人様」のポジションにいて、道具や素材のご機嫌や体調を伺ったりする必要はありません。「意のままに操る」「自分の考えに沿って指示する」ことになります。

 

 

「コミュニケーション力」とは何か?というと、端的に言えば「言葉だけでなく、
それ以外の様々な情報を感知し、それらを総合して相手の”真意”を読み取る」ということかと思います。

人間相手であれば、”相手の”ちょっとした仕草、声のトーンの変化、前の話からの文脈…などから類推して、今、ここで話されている会話の「真の意味」を探っていきます。

 

 その際に重要になる能力というのが、相手に同化したり、共振したりする能力だと思います。
自分の考え方、感じ方をいったん脇に置いて、相手の立場で、「相手の頭」で考える「相手の感性」で感じる…ってことです。

普通、人がついついやっているのが「もし相手の立場に立ったとしたら”自分ならどう考えるかな?”」って思考方法だと思います。どうしても、そうゆう思考をしてしまいます。だけど、それでは相変わらず「自分の思考癖」で考えていることになります。「立ち位置(場所や状況設定)」だけ移動して、「私の立場」で考えている。これではまったく相手に同化できない。

 

本当にやらなくてはいけないのは、自分の思考のフレームを手放し、そこから離れて、相手のフレームに入り込んでしまって考える…という練習。

 

 

「扱い易い」道具はどうしても「私」を「主」として、その立ち位置を変えないまま、道具を「しもべ」として扱ってしまいます。(特に近代において作られた道具《=主に機械類》はその”思想”に貫かれていると思います)
その関係性のままで制作しても何の支障もない。

もっと言えば、機械を使うと「自然の摂理を無視して」も素材を加工するとこができます。
素材や、道具とコミュニケーションを取らずとも自分の好きな形が作れてしまう。
いつの間にかそれがモノ作りの「当たり前」になっている。

自分の立ち位置を変える必要がないから、「私のイメージ」の延長線上で道具が扱えてしまい、素材も使えてしまう。「私」は「私」のままでいて何の問題もない。

 

これが「ちょっと扱いづらい」「扱ったことのない」道具となると日常の身体の扱い方自体を改変する必要に迫られる。そうしないと上手く道具・材料が扱えない。

その「ちょっと厄介な状況」に身を置き、それまでの「私」をとりあえず「脇に置いて」道具や素材の「道理」に従う立場に、私を位置づける。

これが意外とこれまで味わったことのない考え方、姿勢なのではないでしょうか?でもこれって、工藝の魅力の大部分を占めている気がします◎

 

「私」と「道具」と「素材」との三者の中間あたりに「”私たち”のようなもの」、もしくは「作品のようなもの」を立ち上げていく。そこにはきっと「私」と呼ばれる主体は存在しない。

 

 

 

 

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【欠けの金継ぎ修理】 東南アジアの茶碗 02 / パテ埋め

 

size19ファイツ!!

 

※ 口周りが欠けてしまったお茶碗の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい
油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎ工程の内の〈刻苧漆こくそうるし(パテ)を詰める〉までのやり方を解説していきます。

 

【前回の作業を見る】

欠けたお茶碗の金継ぎ修理のやり方▸ Page 01 /  素地を漆で固める

 

 

作業に取りかかるその前に…

金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

02〉 刻苧漆(パテ)を充填する


道具: ①サランラップ ②作業板 ▸作り方  ③刻苧ベラ ▸作り方 ④練りベラ ▸作り方
材料: ⑤生漆 ⑥小麦粉 ⑦木粉 ▸作り方 ⑧水

▸ 道具・材料の値段と売っているお店


 

↑ これらの材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。
  ▸ 刻苧漆こくそうるし(パテ)の詳しい作り方
はじめての方はしっかりと↑こちらのページをお読みください。失敗をしなくて済みますよー◎

 

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

今回、直す器の「欠け」の深さが「2㎜」ほどなので、刻苧漆こくそうるし(パテ)を充填することにしました。

傷が「浅い」場合は ▸ 錆漆さびうるし(ペースト) で充填してください。

 

刻苧を使うのか、それとも錆漆を使うかジャッジする際のご参考までに。

傷の深さ 使う充填材
深い(2㎜以上) 刻苧漆こくそうるし(パテ)
※ 一回の盛り厚は3㎜程度まで
それ以上の深さに充填する場合は
数回に分けて充填する
どっちつかず(1~2㎜) どちらでもお好みで◎
※ 錆漆を使う場合は1回で厚盛しない。
一回の盛り厚は1㎜程度まで。
それ以上の深さに充填する場合は
数回に分けて充填する
浅い(1㎜未満) 錆漆さびうるし(ペースト)

 

 

【 刻苧漆こくそうるし(パテ) = 麦漆むぎうるし(接着剤) + 木粉 】

なので、まずは麦漆むぎうるし(接着剤)を作ります。
▸ 麦漆の詳しい作り方

 

体積比(目分量)… 小麦粉 1 : 1 生漆 ※ 水は適量

  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます
    (ガムみたいに粘るまで)
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

 

詳しく動画で見たい方は↓

 

初めのうちは失敗しないように、ちゃんと計量スプーンを使ってやってみてください◎

作った麦漆に木粉を入れていきます。

 

  1. 麦漆むぎうるし(接着剤)漆を1割くらい横に取っておきます
    (失敗した時のために)
  2. 木粉を少しずつ足しつつ、練っていきます
  3. ちょっとずつ様子を見ながら木粉を足していきます
  4. ヘラがぎりぎり「ぱっ」と離れるようになったらオッケーです。
    (まだ「べたっ」とくっつくようだったら、もう少し木粉を足してください)

 

※ 木粉が少ない(麦漆の分量が多すぎる)といつまで経っても乾かない刻苧漆こくそうるし(パテ)になってしまいます!

▸ 刻苧漆こくそうるし(パテ)の詳しい作り方
はじめての方はしっかりと↑こちらのページをお読みください。

 

 

 

作った刻苧漆こくそうるし(パテ)を充填していきます。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

まずはサランラップを小さくちぎったものを器の外側から当てて、その後ろから指で抑えます。

欠けた箇所に指が来るようにします。指で「壁」を作ります。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 内側から刻苧を詰めていきます。一度に大量に詰めないで、ちょっとずつ詰めてください。

器の素地に密着するように押さえます。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 刻苧漆の盛り具合は修理箇所の周りとフラットな面になるくらいか、もしくはほんのちょっと盛り気味にします。

 お茶碗の金継ぎ修理の方法この「刻苧」作業の後に「錆漆さびうるし(ペースト)」を付ける作業をおこなうので、
「フラット気味」でも「盛り気味」でもどちらでもいいと思います。(ちょい凹んでいても大丈夫です)

結局、今現在、僕の思う所は「”多すぎず、少なすぎず”であれば、オッケー◎」
という感じです。(いい加減かしら?)

どっちだって大して変わらないのだから、あまり神経質にならずにいけばいいんじゃないでしょうか?

 

※ ちなみに「刻苧の後に錆漆ってやんないとダメなんですか?」「刻苧がキレいに盛れていたら、錆は要らないんじゃないですか?」というご質問があろうかと思います。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

刻苧に混ざっている「木粉」は基本的に粒子が「粗い」です。錆に混ざっている「砥の粉」はかなり「細かい」微粒子です。

なので、刻苧に直で漆を塗り重ねた場合、しばらくはキレイに見えたとしても、時間が経って、漆の塗膜が痩せてきたときに、その下地の木粉の「ゴリゴリ感」が影響してきてしまいます。

刻苧と漆塗りの間に「砥の粉の微粒子」を噛ませておくことで、漆自体が痩せた時にも木粉の影響が軽減され、キレイなフラットな塗りが維持されやすくなります◎

もちろん、「あたし、そんなん気にしないもんね」という方は刻苧に漆を直で塗っても構いません◎

 

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 内側から刻苧漆こくそうるし(パテ)を詰め終わったら、サランラップを内側に被せます。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 外側のラップをそーっと剥がして、外側からも刻苧を詰めていきます。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 ちょっとずつ、隙間がないようにチェックします。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 刻苧をヘラで押さえて、器の素地に密着させます。

しっかりと押さえて、素地に密着させないと時間が経った時に剥がれる場合があります。ご用心、ご用心◎

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 表側からも刻苧を詰め終わったら、ラップを再び外側までぐるっと巻いて、
その上から指でギュっギュッと押さえます。

まちがいなく素地に密着させます。

あと、器の周りのラインに合うように成形もします。微調整します。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 サランラップをそーっと剥がしたらお終いです。

 

 ↓ こちらが刻苧の充填のやり方を説明した動画になります。

 

※ このページも刻苧漆の使い方を詳しく説明していますが、もうちょい(くどいくらいに)説明したページを作りました。ご興味のある方は覗いてみてください。
 ▸ 刻苧漆こくそうるし(パテ)のつけ方・使い方 

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

こんな具合です。どでしょう?

 

 

 もう一か所の欠けも同様の作業をおこないます。こちらはダイジェストでどうぞ◎

 

 はい、終わりました。

慣れちゃえばこの作業は意外と簡単になってきます◎

 

【作業板のお掃除】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。テレピン、エタノールなどを垂らして、ウエス、ティッシュできれいに拭き取ってください。

厳密に言うと、作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。
ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板も含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

お茶碗の金継ぎ修理の方法

 それはまた次回、お会いしましょうー◎

 

 

次の作業工程を見る

page 03 / ペースト付け

 

 

 

 

 
 

 

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