割れた破片のエッジと角っこをヤスリで削る理由

 

 ファイツ!!

 

今回は
割れた破片を接着する前に「エッジ」や「角っこ」をヤスリで削っておく
その理由についてご説明します。

 

【素地の調整】

 

 

割れた断面のエッジをヤスって「面」を作ったり…

 

 

「口周り」の角っこ↑をヤスリます。

 

 

「面取り作業」の参考になる動画ですのでご覧ください↓


 
0:53~2:29まで再生

 

 

〈使う道具〉

道具 :
 リューターのダイヤモンドビット
▸作り方ページ
 半丸のダイヤモンドやすり


※ 本漆金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。

‣本漆金継ぎで使う道具・材料ページ

 

ダイヤモンドビットのカスタマイズのやり方は↓こちらのページをご覧ください。

 

 

 

 

作業の理由

 

 

接着した際に、その接着したラインが「狭すぎる(細すぎる)」箇所というのは、漆を塗ったとしても非常に剥がれやすくなります。

 

 

なので、接着したラインが「平均的に少しだけ広く(太く)」なるようにする。
※ 細すぎると蒔絵をしても剥がれやすいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

これって、
「接着してから→狭くなり過ぎたきたところだけを削って太くする」
じゃ、ダメなんですか??
 
その方が効率がいいような気がすんですが~。

それでももちろんオッケーです◎

㊧:接着する

㊨:極端に幅が狭い箇所だけビンポイントで溝を彫っていく

↑このやり方の方が、器を無駄に傷付ける(削る)ことはないですし、一番良いやり方のような気がします。

が、しかし、このやり方って結構な手間になる場合が多いのです。
特に「器の内側」は大変です。

結局、接着する前に全部の破片のエッジを落としておくのが効率がよい気がしています。

 

 

・基本的に、割れた破片を接着した時、割れたピースが多いほど「ズレ」が生じやすくなります。

「口元」が割れたカップなどを直していると、接着した口元に「段差(ズレ)」ができる場合があります。口(舌)といのはすごく敏感なので、その段差に口を付けた場合、すごく違和感を感じてしまいます。

この「段差」というのは角度が「急」だと違和感を強く感じ、「緩やか」だと弱く感じるものです。

 

なので「口元」が割れた器を修理する場合は、「素地調整」の段階で、割れた破片の口元周りの「エッジ」を「多目に削っておく」ことをおススメしています。

 

エッジをヤスらなかった場合

㊧:割れたピース
㊨:割れた断面に麦漆を塗る

 

㊧:接着すると「段差」ができる場合がある

㊨:「エッジの処理」をしていない場合、その段差を錆漆(漆のペースト)で埋めても段差の角度が「急」なので、口を付けた際に強い違和感を感じる

 

その「急な段差」は
錆漆を付けるときに
「緩やか」にしちゃえばいいんじゃない?

 

確かにそうしたいところなのですが、「器の釉薬の上」に直接、錆漆を付けた場合、そんなに「食いつきが」よくなくて、剥がれやすいのです。

 

 

エッジをヤスった場合

㊧:「口周り」のエッジをあらかじめヤスって、落しておく
㊨:接着して、先ほどと同じだけの「段差(ズレ)」が生じたとしても…

 

その段差を錆漆で埋めると、段差の角度が「緩やか」になるので、口を付けた際にも違和感を感じづらくなる。

ただし、その「緩やかさ」とトレードオフに「修理箇所の面積」は大きくなることになります。

 

これって、
「接着してから→段差ができたところだけをヤスる」
じゃ、ダメなんですか??
 
その方が効率がいいような気がすんですが~。

もちろんそのやり方でもオッケーです◎

 

㊧:エッジの処理をせずに接着してから…

㊨:「段差」の程度に応じてヤスる
・段差ができなかった箇所→削らない
・ちょっとだけの段差の箇所→軽く削る
・大きな段差の箇所→深く削る

↑このやり方の方が器を無駄に傷付ける(削る)ことはないですし、一番良いやり方のような気がします。
が、、、「手間」を考えた場合、現在の私の感覚値では「接着する前にエッジを落としておく」がベターな気がしています。

 

 

 

 

本日の講義はここまでです◎
お疲れ様でした。

 

 

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