ファイツ!!
2020.5 全面リニューアル済み
artist 韓国人作家さんの器
超・初心者向け
難易度:
使用粉:真鍮粉(金色の金属粉)
仕上げ:簡単・お手軽
今回のシリーズはあまり「完成度の高さ」にこだわらずに、「そこそこ」に仕上げます◎
※ 口元が欠けたお椀の「伝統的な金継ぎ修理」のやり方を説明していきます。
今回は金継ぎの工程のうち〈錆漆(2回目)削る/研ぐ~真鍮粉を蒔いて完成まで〉のやり方を解説していきます。
金継ぎ修理を始めるその前に…
本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。
油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。
※ もし、かぶれてしまい、それがひどくなるようでしたら、医者に行って処方してもらってください。
【道具・材料と購入先を見る】↓
作業を始めるにあたって、まずは装備を…
金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。
ゴム手袋は必需品です◎ 漆をなめちゃいけません◎
※ 作業後、油分多めのクリームを手、腕など、肌が露出していたところ(夏場は脚・足にも)に塗っておくと、カブレにくかった…というコメントをいただきました。
(塗り忘れたときは、毎回、痒くなった…そうです)
気になる方はやってみてください◎
注意:
修理箇所に油分をつけてしまうと、その箇所だけ漆が乾かなくなります。(手脂でも乾かなくなります)
ご注意ください!
※ 修理箇所に油分が付いてしまった場合は、エタノールで入念に拭きあげるか、台所用中性洗剤で洗えば大丈夫です◎
【錆漆(2回目)を削る】
作業の目的
盛り過ぎた箇所を削り、器に沿った形に成形していきます。
それと同時に修理箇所周辺についてしまった錆漆を削り落とします。
刃物での「錆削り」後に「耐水ペーパー/駿河炭」などで研ぎますが、その際、刃物でどこまできれいに削れているかで「研ぎ作業」に掛かる時間がかなり変わってきます。
最終的な仕上がり具合も「刃物での削り」が大きく影響します。
「削り」と「研ぎ」
の違い
▪▪▪
●「刃物での削り」の特徴
・「大きな面」を作ることができる
・一気に錆漆の「量」を落とせる
(錆漆の体積を減らすのに「研ぎ」よりも効率が良い)
・ただし、「角」は残る
少し広い範囲の形状を成形していくのに優れている
●「ペーパー/駿河炭での研ぎ」の特徴
・小さな形の修正
・角を取って滑らかにすることができる
・基本的に大きな形、面は作れない
小さい範囲を滑らかにする(ヌルッとさせる)のに優れている
▪▪▪
例えば欠けた箇所に錆漆を付けていくとします↓
↑かなり大袈裟な「凸凹」になっちゃいましたが、これを刃物で削ります。
㊧:刃物での削りがあまり上手くいかず、削った錆漆の形状がガタガタした状態だった場合
→「この後、ペーパーで研ぐから、それできれいな平滑面にすればいいや◎」と思ったとしても、、、
㊨:ペーパーで研いだとしても、「出っ張っている箇所」や「角」を滑らかに、ヌルッとさせることはできるのですが、「全体の形(大きな形)」の修正は難しく、凸凹のままそれが滑らかになる…という感じになります。
㊧:刃物でしっかりと「大きな形」としてきれいに削り、、
㊨:残った角をペーパーで研ぐと、小さな凸凹はなく、全体的に滑らかな形状に仕上げることができます。
錆漆が乾いたか?の確認
錆漆は通常1日でしっかりと乾きます。
(条件がいいと5、6時間で削れる硬度になります)
「時間」以外で乾きのチェックをするやり方ですが、こんな感じ↓で判断してください。
【乾いた】 |
「カリカリ」している。焼けた食パンみたいに。 |
【乾いていない】 |
「しっとり」している |
(6:35~7:00まで再生)
しっかりと乾いている場合、「カリカリ」っとして、爪や棒で引っ掻くと引っ掻いた場所が「白く」線が残ります。それから強く押しても「弾力」を感じません。
※ 万が一、錆漆が乾いていない場合は…
・湿度をかなり高めにした場所に置いて1週間程待つ
・錆漆を取り除いて、やり直す
…上記のいずれかを選択してください。
※ 1週間待ってもあまり硬化していなかった場合は、錆漆を除去してやり直す。
※ 2~3日経っても乾かなかった錆漆は乾くのにすごく時間がかかります。
しばらく待っても、乾かない場合もあります。さらには乾いても「強度が極端に低い」場合もあります。
「やり直し」た方が断然、効率的だし、強度的にも安心できます。基本的にはやり直しをおススメします
やり直す場合はこちらのページ↓を参考にしてください。
〈使う道具/材料〉
道具: 下記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がしやすくなります。
①〈平丸〉の彫刻刀
②〈平〉の彫刻刀
③〈カーブ刃〉のカッター
④ 普通のカッター(大)
※ その他、本漆金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
▸ 本漆金継ぎで使う道具・材料ページ
★ ベストな組み合わせは「①〈平丸〉の彫刻刀+②〈平〉の彫刻刀」です。
が、彫刻刀は砥石で研ぐ必要があります。←これって普通の人には厳しいですよね?
ということで、ベストではありませんが「落しどころ」として…
★ 初心者さんには「③〈カーブ刃〉のカッター+④ 普通のカッター(大)」をおススメしています。
▪実作業▪
●「小さく欠けた」個所に盛った錆漆を削る時の参考になる動画です↓
(0:34~1:35まで再生)
●「中くらいに欠けた」個所に盛った錆漆を削る時の参考になる動画です↓
(0:49~2:54まで再生)
●「幅広に欠けた」個所に盛った錆漆を削る時の参考になる動画です↓
7:00∼10:31まで再生
口元のラインを削るときは彫刻刀の裏側を周りの器の縁に当てて、それをガイドにします。
器の外側を削るときも基本的には彫刻刀の裏側を器に当てながら作業をおこないます。
彫刻刀は進行方向に対して斜めに構え、スライドさせながら削ります。
錆漆を削るときのコツは「なるべく彫刻刀の一部を器の方に押し当てる」です。
削りのコツ
▪▪▪
刃の「半分くらい」を器に当てて、器の面を基準面のガイドとして利用します。
さらに注意点としては削る時の「刃の角度」です。
※ 刻苧漆も錆漆も削る時のポイントは一緒です。
削るときの「刃の角度」として…
1.始めは①のように「角度を少し大きめ」につけます。(「刻苧/錆漆側の刃」を少し浮かし気味にする)
2.ちょっとずつ削りつつ、ちょっとずつ刃の角度を〈②→③→④〉と、器のラインと平行にしていきます。こうすると失敗が少なくなります。(たまに失敗しますが)
何で「角度」を付けるの??かと言いますと…
刻苧/錆漆を彫るときは、削り過ぎて凹まないように注意したいわけです。
Aコース
いきなり、刃を器のラインと平行にして削ると「食い込んで」削り過ぎる可能性が高まります。
器の面は基本的に「湾曲」しているので、その「丸味」を意識して削っていかなくてはいけません。何となく削っているといつの間にか食い込んでいて、「削り過ぎた!…(涙)」となることが多いのです。
(特に初心者さんは失敗しがちです)
Bコース
なので、その対処法としては「刃を斜めに当てる」です。
刃の「器側」の部分は器の素地に当てます。
一方、「刻苧/錆漆側」は少し斜めに「浮かす」ようにします。
この「浮かし」によって、「彫り過ぎ(涙)」を防止します。ちょっとずつ、ちょっとずつ斜めに彫っていくわけです。
今回の依頼品はテクスチャーがゴツゴツしているので、欠けの直しも「きれいに」というよりは少し凹凸のある感じにしてみます。
※「きれいに仕上げたい」という場合は、もう一度、錆漆を付けて凸凹を埋めてから、漆塗りに入ってください。
彫刻刀で削ってきれいなラインが出たら、続いて耐水ペーパーなどで水研ぎします。
【錆漆(2回目の)を研ぐ】
〈使う道具/材料〉
道具:
③ ウエス→スポンジの方が使いやすい
④ 要らなくなったハサミ
⑤ 小さな水入れ
〇 水桶(もあった方がベター)
材料:
① 水差し
② 耐水ペーパー(使うペーパーの番手は下で説明します)
→実は駿河炭が断然おススメ
※ その他、本漆金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
▸ 本漆金継ぎで使う道具・材料ページ
※ 「要らなくなったハサミ」は耐水ペーパーを切るのに使います。
ペーパーを切るとハサミが「ばか」になって他のものが切れなくなります。
要らなくなったものか、100均などで買った安いものを使ってください◎
● 使う耐水ペーパーの番手(荒さ)について
耐水ペーパーっていろいろな番手(荒さ)がありますが、どの状況で何番くらいを使うのが適しているのか??…ちょっとわかりませんよね。
↓このくらいを一応の基準と考えてください。
錆漆は
何番のペーパーで研ぐ?
▪▪▪
● 削り作業できれいに成形できている場合、#320~400程度で研いでください。
● 先ほどの「削り作業」で、あまりきれいに削れていない(まだまだ凸凹している)場合
↓
まずは耐水ペーパーの#240~320くらい(←粗目)を使って研いでください。
粗い方がどんどん研げますので、効率がいいです。
粗いペーパーで「きれいな曲面の形」を作ります。
↓
滑らかな形ができましたら、仕上げに#320~400程度で軽く研いで、
表面の肌のキメを細かく整えてください。
● 耐水ペーパーの仕立て方
ちょっと面倒ですが、研ぎ面をよりきれいな形に仕上げるためと、修理箇所以外を傷付けないために、ペーパーにひと手間加えます。
耐水ペーパー
の使い方
▪▪▪
耐水ペーパーを小さく切って使います。
切れ味の落ちたハサミで、耐水ペーパーを1×1㎝くらいに小さく切ります。
それを「三つ折り」にします。
(↑ペーパーを三層構造の「硬い」板にして使います)
ペーパーは少量の水をつけながら研ぎ作業をおこないます。
理由は2つです。
1.研ぐ面積を極力少なくするため
2.平面保持強度を高めるため
【1の理由】
「耐水ペーパー」って研磨力がとても強いので、器の釉薬(表面)を傷つけてしまうのです。
研いだ後、修理箇所周辺の釉薬が薄っすらと曇っているのは、あれは「細かい傷」が付いたからなのです。
なので、「なるべく」ですが、周りの釉薬が傷つかないようにペーパーを小さくして使いたいわけです◎
【2の理由】
「三つ折り」するというのは、ペーパーの「平面保持強度」を高くするためです。
なるべく「研ぐ方の道具」の平面を維持したいわけです。
ペーパー1枚で研いでいると「へなへな」してしまいます。紙なので柔らかいですよね。
それを使って研いでいると↓この「Aコース」のような仕上がりになります。
↑ペーパー1枚で研いでいると「Aコース」になるわけです。
紙一枚だと「研ぐ方の道具」が柔らかいので、「研がれる方のもの=錆漆(←硬いもの)」の形に沿ってしまい、その形通りに研いでしまいます。
錆漆の「山の角の部分(エッジ)」は軽くさらうことはできるのですが、「綺麗な曲面に形作る」ことは難しくなります。
一方、「Bコース」のペーパー3枚重ね(三つ折り)だと、「研ぐ方の道具」の「硬さ」が3倍になるわけです。
「研がれる方のもの=錆漆」の形に引っ張られず、研ぎによって錆漆の形を作っていくことが可能になります。
※ ペーパー1枚に比べて…という話です。
平面維持強度をもっと上げて、「きれいにな形を作る」作業がしたかったら
「漆研ぎ用の“駿河炭”」が断然おススメです。
● 駿河炭の仕立て方
「研ぎ道具」としては、実は「駿河炭」が最強のアイテムです◎
何といっても、耐水ペーパーと違って器に傷が入らない!
できれば使ってみていただきたいです!
‣駿河炭が断然おススメな理由
駿河炭
の仕立て方
▪▪▪
炭は大きな塊で売っているので、自分で小さく切って使います。
① まずはカナノコ(金鋸)の刃で厚さ15~20㎜程度に輪切りにします。
② 次に薄い板状になった炭の塊りを、大き目のカッターナイフで「割っていきます」
③ さらにカッターで割って、大小さまざまな面積のものを用意します。
使う際は炭の「研ぎ面」を砥石(または耐水ペーパー)の上で研いで、平面にします。
少量の水を付けながら修理箇所を研いでいきます。
修理箇所を研いでいると炭の研ぎ面が崩れてきますので、ちょこちょこと砥石(またはペーパー)に当てて、研ぎ面を修正します。
詳しくはこちらのページをご覧ください↓
● 木賊の仕立て/使い方
今回は「木賊」という植物を耐水ペーパーの代わりに使います。
- 道具: 豆皿
- 材料: 木賊(とくさ)、水
特徴
昔から「研ぎ」に使われている材料です。
金継ぎで使った場合、耐水ペーパーと違って、「器が傷付かない」そうです。
実際に僕が使った感覚ではあまり研磨力は高くないな~という感じでした。
(#400∼#600くらいに感じました)
ただ、研磨力に関しては木賊の個体差もありそうなので、研磨力の高いものもあるのではないか?と思います。
金継ぎで使われる以外に、木地のものを研ぐ時に、乾燥させたものをそのまま水を付けずに「空研ぎ」で使ったり、根付の制作でも仕上げの「水研ぎ」をする時に使われます。
※ 個人的には、金継ぎには「駿河炭」の方が遥かに適していると感じます。
木賊の仕立て方
簡単です◎
1:10~2:02まで再生
▪実作業▪
前の作業で、刃物できれいに成形したのに
何でわざわざペーパーで研がなくちゃならないの??
この作業、抜かしちゃっても大丈夫?
そうですね~。。
理由はこんな感じです↓
図 ①
「刃物で削っただけ」というのは、実は無数に小さい「角」が立っている状態なんです。
精密に見ると「面が繋がっていない」のです。
ちょっとカクカクしている。
図 ②③
それをペーパーで研ぐと、角が丸まって、面が繋がり、きれいな平滑面ができるわけです◎
● 「小さく欠けた」個所の錆を研ぐ時の参考になる動画です↓
2:08~3:15まで再生
●「中くらいに欠けた」個所の錆を研ぐ時の参考になる動画です↓
2:54~5:38まで再生
● 「幅広に欠けた」個所の錆を研ぐ時の参考になる動画です↓
10:37~12:20まで再生
今回は「木賊(トクサ)」を使っています。何となく使いました。
植物です。独特な研ぎ心地です。
いろいろな角度からチェックして出っ張った部分を中心に研ぎます。
そこそこきれいに研げました。
【地塗り(漆の上塗り)】
いよいよ「蒔絵作業」に入ります。
「蒔絵粉」というのはただの「粉」なので、それ単体では定着してくれません。
修理箇所に定着させるための「接着剤」が必要となります。
「漆(そのもの)」を蒔絵粉の接着剤として使います。
ご注意!
本来、「きれいに仕上げよう」と思ったら、漆を何度か塗り重ねてから蒔絵をするものなのですが、今回は「ちょっとゴリゴリした感じ仕上げ」にしたいと思ったので、いきなり蒔絵をしました。
〈使う道具/材料〉
道具:
② ティッシュぺーパー
④ 蒔絵筆またはインターロン筆
⑥ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
⑦ 作業盤(ガラス板など)
‣作り方ページ ‣作り方の動画
○ ゲル板 ○ サランラップ
材料:
① アルコール(テレピン、灯油など)
⑤ 精製漆(今回は”弁柄漆”…赤茶色の漆)
⑧ サラダ油
※ その他、本漆金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
▸ 本漆金継ぎで使う道具・材料ページ
● 使用する筆
「蒔絵筆」がベストなのですが、1本¥4,000∼¥7,000-してしまいます。
初心者さんにこの値段はちょっとハードルが高いですよね。
安価な筆でおススメなのは「インターロン」というナイロン製の筆です。
・超極細筆
・小筆
ひとまずこの2本があればほとんどのケースがカバーできます◎
使用「前」の筆の洗い方
※ 蒔絵筆(高級な筆)の場合は「漆」で洗ってください。毛が痛みづらくなります。
‣ 蒔絵筆の洗い方の動画
まずは筆をテレピン(または灯油)で洗って筆の中の「油」を洗い出します。
▸ 詳しい作業前の筆の洗い方
どうして筆に「油」が付いてるの??…かといいますと、漆作業で使った筆は最後に油で洗っているからなのです。油で洗うと筆の中に残った微量な漆が乾きません。
漆と油とは相性が悪いのですが、それを利用して、保管するときには油で洗います。
逆に、使う時にはその油を除去します。
作業工程
① 畳んだティッシュに筆を包む
② ティッシュをギュッと摘まんで、筆の中の油を吸い取る
③ 作業板の上に数滴テレピンを垂らす
④ その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる
⑤ 筆をティッシュで包む
⑥ ティッシュをぎゅっと押えて、「油+テレピン」を絞り出す
⑦ 「4→5→6」を2~3回繰り返す
① 折り畳んだティッシュに筆を包みます。
② ティッシュの上に筆を置きます。
④ これを3,4回繰り返して、しっかりと油を搾り取ります
⑤ 作業盤の上にテレピンを数滴、垂らします。
⑥ 筆にテレピンを含ませます。
筆は作業盤の上で捻ったりして、しっかりとテレピンと馴染むようにします。
⑦ ティッシュの上に筆を乗せます。
⑧ ティッシュの上からギュッと摘まんで、「油+テレピン」を絞り出します。
この後、「⑥→⑦→⑧」を2~3回、繰り返します。
この作業で筆のなかの油分をしっかりと除去します。
筆の中に油が残っていると漆が乾かないことがありますのでご注意ください。
「エタノール」などの揮発性の強いもので洗うと、テレピンよりも油分がしっかりと除去できますが、その分、筆への負担も大きくなり、傷みやすくなります。
ですので、金継ぎ図書館では筆が傷みにくいテレピン、灯油などをおススメしています。
ちなみに筆が一番、痛まないのは「漆」で洗うことです。
‣ 漆での筆の洗い方動画
特に高価な「蒔絵筆」を洗う際には漆で洗ってください。
筆に漆を付けて、いきなり塗り始めると、初めのうち、テレピンの影響で薄くなる可能性があります。
ですので、「塗り始める」前に一度、筆に漆を含ませて、筆と漆とを馴染ませてください。
漆の準備
筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。
漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは「濾し紙」で漆を濾してきれいにします。
必要な方はこちらをご覧ください↓
地塗りに使う漆の選択
今回は蒔絵粉に「真鍮粉(金色の金属粉)」を使うので、「地塗り」の漆には「弁柄漆」を使います。
● 地塗りに使う漆の選択
・「●金粉」(または真鍮粉)を蒔く場合⇆地塗りは「●弁柄漆(赤茶色)」を使う
・「●銀粉」(または錫粉)を蒔く場合⇆地塗りは「●黒弁柄(黒色)」(または●白漆)を使う
これがベーシックな選択です。
● 根本的な考え方
地塗りに使った「漆の色味」が蒔いた「粉の色味」にも影響します。
例えば、地塗りに「赤色」を使えば、蒔いた粉にほんのり赤味が差します。
▪【金粉(真鍮粉)の場合】
粉自体の色味としては「●黄色=暖色」なので、同系色の「暖色系」の漆を使うと、金色の彩度が高くなって映えるわけです。
もちろん、地塗りに「●黒色」を使ってもいいです。その場合は、仕上げた金色がワントーン暗くなった感じに仕上がります。
▪【銀粉(または錫粉)の場合】
粉自体の色味としては「●白っぽい色=無彩色」なので、その地塗りに使う漆の色としても無彩色系の「●黒または●白」を使うと、銀色がシックで落ち着いた感じに仕上がるわけです。
こちらの方も、もちろん他の色を使っても構いません。
赤色の漆を地塗りに使えば、仕上がった銀色に赤味が差します。
▪実作業▪
金粉や銀粉などを使った通常の蒔絵では、地塗り(粉を蒔く前の漆塗り)は「超・極薄」に塗っていきます。
が、今回は「真鍮粉」を蒔くので、いつもの地塗りより厚目(普通の「漆の塗り重ね」で塗るときくらいの厚さ)に塗ってください。
私の実感値としては「真鍮粉」と「錫粉」を使うときは通常の地塗りよりも厚目に塗らないと、粉が定着しづらい…と感じています。
塗っていきます。
まずは「極細筆」を使って「輪郭」を括っていきます。
塗りの手順
▪▪▪
始めは「極細筆」↑を使用
㊧ 塗りの手順は「広い面」も「狭い面(線)」も同じです。
1.㊨ まずは「極細筆」で輪郭を塗っていきます。
キワキワまで塗り残しが無いように気を付ける。かつ、なるべくはみ出さない◎
ここからは「小筆」↑を使用
2.「小筆」輪郭の内側を塗り潰します。
とりあえず内側全体に漆を配ってしまいます。
3.㊧ 修理箇所の「短手方向」(例えば左→右)に小筆を細かく通す。
「隙間」が空かないように、「筆を通した跡」に少し被せるようにして次の筆を通す。
※ 下図を参照してください。
線が細過ぎて、「短手方向に」筆が通せない場合は無理せずスルーしてください。
(Ⓑの細い箇所)
4.㊨ 反対方向の短手側に筆を通す。
これら作業の際、「漆の塗り厚」がなるべく均一になるように意識して、筆を通してください。
ちょっと「漆の厚いところから、薄いところに移動させる」ような感覚です。
つまり、漆の表面を「撫でるように」筆を動かすのではなく、もうちょっと筆圧を上げる感じです。
「筆を通した跡」に少し筆を被せて通す…とは↑こうゆうことです◎
(伝わりますか??)
5.同様に「長手方向」にも筆を揃えて通します。
線が細過ぎて、「短手方向に」筆が通せなかった部分でも、「長手方向」になら通せることが多いので、できるだけ筆を通して、漆の厚みを均一にしておきます。
特に最後の「通し」では、「筆跡(筆を通した筋)」を消すような感覚で、撫でるような筆圧で通してください◎
この手順で塗っていきます。
そんなのわかっとるワイ!
と言われちゃいそうですが、一応、「縁取り」の手順を載せておきます↓
「キワ」塗りの手順
▪▪▪
「極細筆」でキワを塗るときの手順です。
「極細筆」↑を使用
※ 修理箇所の部分だけを「塗り残し&はみ出し無く」きれいに塗りたい場合の話です。
漆がはみ出しても気にしない方針でやっている人は読まなくて大丈夫です◎
↑最初からキワキワを攻めて一発で塗れたら、めちゃくちゃオッケーです◎
ですが、「一発」で「はみ出し&塗り残し」なしで塗るのは至難の技ですよね。
一発でキワを塗ろうとすると下図のように↓
所々、はみ出してしまう箇所が出てきやすくなります。
ですので、「はみ出さないで塗りたいな~」という人は、塗りの一発目からキワのぎりぎりを攻めすぎない方がいいと思います。
(特に技術がついてきていないうちは)
まずは上図↑のようにキワの「ぎりぎり内側を塗る」ような感覚を意識します。
キワの「境界線の内側」を強く意識します。
所々、キワに「塗り残し」があってもいいです。
「はみ出す」よりも「塗り残す」方がいいです◎
もちろん、きわきわまでピタッと塗れたら、それが一番いいです。
次にキワの塗り残しを、筆を何度か通して塗り潰していきます。
筆を何度も通しつつ、修理箇所の「内側から外側(「キワ」の境界線)に向かって」、徐々に漆で塗り潰していくようなイメージでキワ塗りの作業をおこないます。
参考になりそうな「塗り」動画です↓
0:50~2:57まで再生
輪郭の「きわきわ」を塗っていきます。
ちょっとでも「塗り残し」があると結構、ダサく見えし、自分でもすごく気になってくるので、細心の注意を払います。
● どう頑張っても「キワに塗り残しがある」…という方は「メガネ型ルーペ」を掛けながら作業するのがおススメです↓
僕の場合、年齢が40代になって、いつの間にか細部が見えなくなっていたので、現在「ハズキルーペ」を購入して使っています。
いつの間にかキワの部分の塗り残しが自分の目では判別できなくなっていたのです。
地塗りの段階で、自分では「完璧にきれいに塗れたつもり」が、実際に金粉を蒔いて仕上げてみると、キワの一部にほんのわずかな塗り残しがあったりするのです。
これは「自分の技術・努力が足りないから」であり、修練あるのみだ!と思ってしばらく頑張っていたのですが、ふと、「これってもしかして僕の目が見えていないのかも??」と思い、思い切っていくつかのルーペ類を試してみたのです。
結果、ハズキルーペでほぼほぼ解決しました◎
技術・努力ではなく、「拡大鏡」が必要だったということです。
ハズキルーペの1.85倍のレンズを使っているのですが、対象物が大きく見えて、断然、描きやすくなりました◎
キワの塗りの精度も格段に高くなりました。
効果絶大ですので「キワの塗り残しが見えない…」という方には100%おススメです。
(ハズキルーペの宣伝みたいですね~)
● 一周、ぐるっとキワを塗り終えたら、僕の場合、「ポケットルーペ」で最終確認します。
これでチェックすると100%近く、塗り残しを発見することができます◎
ポケットルーペは結構、頻繁に使いますので、僕にとってはマスト・アイテムです。
1枚あたり倍率4倍のレンズで2枚ついています。レンズが大きめのもの(径36㎜)を使っています。
金継ぎでは径の大きいレンズの方が使いやすいと思います。
地塗りの漆が
はみ出した時
の掃除
▪▪▪
● 地塗りのはみ出し
▪【塗っている最中の場合】
・アルコールを付けたウエス/ティッシュで全面拭き取ってやり直し
・朴の木ベラでピンポイント掃除
(ルーペで見ながら作業するとやりやすい)
※ かなりしっかりと拭き取らないと、蒔絵粉が張り付いてしまい、粉が無駄になる。
(拭き取ってもごくわずか漆が「拭き漆状態」で残っているので、蒔絵粉が付いてしまいやすい)
※ テレピン/灯油などの揮発性が遅い溶剤で拭き取ると、漆が薄っすらと残りやすいので、蒔いた粉もくっつきやすい。なのでアルコールを使う。
↑
この「くっついた粉」は乾いてからの掃除はやりやすい。
拭き漆状態のほんのりとした漆で引っ付いているだけなので、磨き粉で軽く取れる
▪【乾いた後(粉固め前)の場合】
・竹木砥or針砥で乾いた蒔絵粉を削る
(ルーペで見ながら作業するとやりやすい)
「竹木砥たけきど」はただ、竹の「皮側」を削って「尖らせる」だけで出来ます。
簡単に作れます。
竹木砥の作り方の解説ページ/動画は近いうちに用意したいと思います。
済みません。
この↑写真、全然、上記で説明した「塗りの手順」通りにやっていません。
これ、真似しないようにしてください。
みなさんは手順通りにやってくださいね◎
輪郭が塗り終わったら、その「内側」を普通の小筆で塗っていきます。
全体にどんどん漆を塗っていきます。
全体に漆を塗り終わったら、最後に「筆を通し」ます。
参考になりそうな動画です↓
2:57~3:21まで再生
上下左右に筆を通し、なるべく漆を均一な厚みにします。
今回は錆漆に凹凸を残しているので、漆を塗ってもゴリゴリしています。
このテクスチャーを生かした仕上がりになればいい味がでそうかなと。
梅干しみたいでいいですね。
塗り終わりました。
塗り終わったばかりの状態は「筆跡が立って」いて、塗り面が少しガタガタしている場合があります。
空風呂(湿していない場所)に10∼20分程度放置して、筆跡が沈むのを待ちます。
「直ちに蒔いた方が良い」理由ですが↓こちらのページで詳しく解説しています。
放置している合間に筆を洗ってしまいます。
使用「後」の筆の洗い方
漆を使った筆は作業後、「油」で洗います。
油で洗わなで、アルコールやテレピンで洗うと筆の中に僅かに残った漆が硬化するので、次第に筆がゴワゴワしてきて使い物にならなくなります。
作業工程
① 折り畳んだティッシュで漆の付いた筆を包む。
② ティッシュを摘まんでギュッと漆を絞り出す。(数回おこなって、しっかりと絞り出す)
③ 筆に油を含ませる。
④ 作業盤の上で捻ったりしながら油を馴染ませる。
⑤ 筆の根元からヘラで「油+漆」を「優しく」しごき出す。
(特に毛先はヘラが強く当たらないようにする。強く当てると毛先が劣化してカールしてきたり、まとまらなくなってきます)
⑥ ヘラで廃油を掬い、ティッシュに吸わせる。
⑦ 再び油を含ませる
⑧ 作業盤の上で、ヘラを使って絞り出す
⑨ 廃油の中に漆分が(ある程度)含まれなくなるまで…つまり「透明度」が高くなるまで繰り返す。
⑩ 最後に綺麗な油を筆に含ませ、軽くティッシュに吸い取らせます。
⑪ 洗い終わった筆は付属のキャップをして保管する
使う道具/材料
・サラダ油
・ゲル板
・ティッシュペーパー
・エッジが鋭くないヘラ(筆洗いベラ)
① 折り畳んだティッシュの上に漆の付いた筆を置きます。
② 両側から筆をティッシュで包んで、ぎゅっと摘まみ、漆を絞り出します。
③ これを数回おこなって、しっかりと絞り出します。
この時点でしっかりと漆を絞り出してしまった方が、この後の「油で洗う」時、筆が早く綺麗になります◎
③ 油の入った瓶に筆を入れて、油を含ませます。
④ ゲル板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりして、筆に油を馴染ませます。
(こんな表現でいいんでしょうか?)
⑤ ゲル板の上で筆の根元からヘラで「油+漆」を「優しく」しごき出します。
※ 「優しく」しごかないと筆が痛みやすくなります。特に「毛先」が痛みやすいので、毛先は軽く触る程度にしてください。
※ 根元に漆が残りやすく、それが影響して、筆先が割れてくると思われますので、入念に掻き出します。
⑥ 筆の中の「油+漆」の廃油がしごき出せたら、ヘラで廃油を掬い、、、ティッシュに吸わせます。
こうして廃油をどかしておくと、作業盤の上が常にクリーンな状態で筆の洗い作業ができます◎
この後は「③→④→⑤→⑥」を繰り返します。
廃油の中に漆分が(ある程度)含まれなくなるまで…つまり「透明度」が高くなるまで繰り返します。
⑦ 最後に綺麗な油を筆に含ませ、軽くティッシュに吸い取らせます。
⑧ 付属のキャップを被せて終了です◎
※ キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方はこちら↓を参考にしてください。
▸ 筆のキャップの作り方
使用後の筆の洗い方でもっと詳しく知りたい方は↓こちらのページをご覧ください。
▸ 使用後の詳しい筆の洗い方
【 お掃除、お掃除 】
全ての作業が終わったら作業板を掃除します。
テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。
caution !
厳密に言うと、掃除をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。
ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。
【粉入れ(蒔絵粉を蒔く)】
いよいよ「蒔絵粉」を蒔いていきます。
緊張するかもしれませんが、そんなに難しい作業ではありませんので、きっと大丈夫です◎
〈使う道具/材料〉
道具:
② ティッシュぺーパー
③ 絹の真綿 ⑤ 粉鎮
⑥ あしらい毛房
⑦ 筆洗いベラ
材料:
① アルコール(テレピン、灯油など)
④ 蒔絵粉(今回は真鍮粉)
※ その他、本漆金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
▸ 本漆金継ぎで使う道具・材料ページ
今回は「あしらい毛房(毛先の柔らかい筆)」を使って金粉を蒔きます。
真綿を使ってもオッケーです。その場合の注意点です↓
※「絹」じゃなくちゃダメです。「綿めん」を使うと、その繊維が引っ掛かって、汚い仕上がりになります。
● 真綿の仕立て方の解説ページがありますので、初めての方はご覧ください↓
金粉、銀粉で蒔絵をやりたい方はこちらのページをご覧ください↓
かなり詳しく解説しています。
○ そもそも「丸粉」とか「消し粉」とかって何??という方はこちらをご覧ください。
→▸ 蒔絵粉の種類とその特徴
■「消し粉」について→▸【消し粉】の蒔き方
■「平極粉」について→▸【平極粉】の蒔き方
■ 「 丸粉 」について→▸【丸粉】の蒔き方
▪実作業▪
※ 今回は「あしらい毛房(毛先の柔らかい筆)」を使います。
「真綿」を使ってもオッケーです◎
5:09~10:04まで再生
この動画で使っている金粉は【丸粉3号】です。
● 真綿で粉を蒔く時の参考動画です↓
8:36~から再生 ※この動画では「消し粉」という細かい粉を使っていますが、真綿の使い方は「丸粉2号」も同じです◎
今回は「真鍮粉」を使います。
あしらい毛棒の穂先で蒔絵粉を掬います。
地塗りした箇所の「脇」に乗せてください。
ここはビビらずに「多目」に乗せてください。
付ける真鍮粉が少ないと、筆の毛先が表面に出てしまい、そのせいで漆を引っ掻いてしまいます。
毛先で優しく軽やかに履いて、漆の上に乗せていきます。
蒔絵粉を包んでいた紙の上で作業をすると、落ちた蒔絵粉がそのまま回収できます。
口元の縁にも蒔きます。ちょっとやりづらいですが。
筆で掬った真鍮粉をのせていきます。
蒔き終わりました。
終了です◎
周りに付いた真鍮粉はなるべくあしらい毛房で払い落とします。
残った粉はそのままにして、乾かします。
乾いてから洗い流します。
漆を乾かす
作業が終わったら湿度の高い場所に置いて漆を硬化させます。
そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。不思議な樹液ですね◎
【漆が乾く最適条件】
え~!
「高」湿度!の場所??
はい、その通りです◎
漆が乾く上記の条件を作るために「箱」を用意します。
手っ取り早く手に入る「段ボール」を例にご説明します。
① まず下にビニール袋を敷いて、段ボールが濡れるのを防ぎます。
次に濡らして「固く絞った」キッチンペーパー(もしくはウエス)を中に置きます。
② 作業が終わった器を入れます。できればウエスから少し離した場所に置きます。
(上の画像よりも、もう少し離れた場所に置いた方がいいです)
③ 蓋を閉めて、湿度が逃げないようにします。
④ 鳩は入らないようにします◎
漆の乾きがよくないようでしたら、こまめに湿度を与えます。(5時間おきとか)大体の場合は、初めに湿度を与えてあげればしっかりと乾きます。
※【箱】…段ボール、コンテナ、発泡スチロール…等々、何でも構いません。
要するに湿度が逃げない(逃げにくい)ように「閉じた空間」が作れればオッケーです。
※【布類】…水を含ませておくためのものですので、何でも構いません。
使っているうちにカビが生えたり、匂いがしてきたりするので、「キッチンペーパー」が使い勝手がいいようです。(匂ってきたら捨てられますから)
これで完成です。
どうぞ食卓でお使いください。
※ 3,4種類の真鍮粉を試したのですが、「粉固め(蒔絵粉を蒔いた後、その上から薄く漆を摺り込んでコーティングする作業)」をすると、どうしても「黒っぽく」なっちゃいました。
ですので、金継ぎ図書館では「真鍮粉は蒔きっ放しで完成」ということにしています。
(「消し粉」と同じですね)
あしらい毛房を洗う
蒔絵作業時にほんの少し、毛棒の毛先に漆が付くことがあります。
1回、2回はほとんど影響がありませんが、繰り返し作業をしているうちに
毛先に「玉」のようなものが形成されてしまいます。
(歯ブラシの「毛先が球」状態になります。)
なので、作業後はアルコールで軽く筆を洗って、毛先の漆分を除去します。
【金継ぎ完成】
これで器の修理はお終いです◎
長い間お疲れ様でした。
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