注ぎ口が欠けた「ピッチャー岡田直人」の金繕い修理のやり方 01

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岡田直人のピッチャーの金繕い修理

※ 口周りが欠けたピッチャーの金繕い修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金繕い工程の内の〈素地調整~刻苧漆の充填〉までの方法を解説していきます。

 

「ピッチャー、岡田直人!」
…と書くと、野球のようです。

↑のタイトル【「ピッチャー岡田直人」の金繕い修理のやり方】って…。
もし、岡田さんに会ったら怒られるな。(会うことはないでしょうが)

すごく久しぶりの「修理方法コンテンツ」です。
ども、お久しぶりです。金継ぎ図書館です。かなり極端に更新頻度が落ちた金継ぎ図書館です。(廃館してませんよ~)
ご無沙汰していました。済みませんでした。

 

 

金継ぎ(金繕い)とは


金継ぎ(金繕い)とは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

えーっと、実は「金」で接着や穴埋めをするわけじゃありません。ベースは全て漆を使っての作業になります◎

 

 

 

金繕いする器 information


岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

カッコイイです。
ギリシャ彫刻のようです。石膏デッサンを思い出してしまいます。

岡田さんの数ある器の中でもピカ一かもしれませんね◎

  • 器の作家: 岡田直人
  • 器の特徴: 白マットの釉薬。
  • 器のサイズ: 直径100㎜、高さ206㎜
  • 破損状態: 欠け4か所…口周り(注ぎ口など)
  • 修理料金: ¥7,200- + Tax
  • 仕上げ: 金粉仕上げ
  • 依頼主: N.Mさん

 

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

【 器 story 】


 昨年、関西から関東へと引っ越してきたMさん。

ご夫婦2人共、コーヒーが好きで色々なお店の豆を試すのが趣味。

関西にいた時は行きつけのお店のものを使っていたけど、東京は比べものにならないくらい沢山の店があって、嬉しさ反面、周りきれずお気に入りのお店を決めかねているところ。

 
陶芸家・岡田直人さんの作る器が大好き。
ちょうどピッチャーを探していたところ、この岡田さんのピッチャーに出会い一目惚れ。
 
関西の器ギャラリーで働いていた時に「器を育てる」ということを教えてもらった。
大好きなものは毎日使いたい。だけど、「欠けたまま」だと出番がなくなりそう…。
これから先、これ以上素敵な物に出会えないような気がする…。
 
ということで、思い切って「金継ぎ図書館」へ。確かに少し値段はかかりますが(笑)

毎朝コーヒーを淹れるとき
2人が揃う休みの日の食後の一杯のとき
そこあるのはもちろんこのピッチャー ◎

 

     岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 「注ぎ口の欠け」です。これがなかなか難しい。
しっかりと「水切れ」しないといけない。切れが悪くてだらだらと「おつゆ」が垂れたら…(涙)

是が非でも「キレキレ」にします。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 「欠け」の箇所は4カ所。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 この時点では
「注ぎ口くらい、余裕でしょ~」
って思っていました。

 岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 けど、「意外と大変なのよ」
ということに後程、気が付きました。

 

 

 

 

 

<金繕いの工程 01> 素地調整


金継ぎの素地調整で使う道具と材料

簡漆金継ぎの素地調整で使う道具: ②③ リューターのダイヤモンドビット (ホームセンター等で入手可能/価格 \200~)、① ダイヤモンドのやすり

▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法

 

まずは欠けた箇所のエッジをやすりで軽く削ります。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

私はたいがい、やすることにしています。やすらない人も多いと思います。

何故、やするのか…??
いろいろと理由が思い浮かびますが、説明が面倒なので(伝わりづらい気がするので)また今度。…隠しているわけじゃないですよ~◎

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

かるくずりずりと。
ずりずり。

 

 

 

 

<金繕いの工程 02> 素地固め


金継ぎの素地固め工程で使う道具の画像

素地固めで使う道具と材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ⑥ 小筆 ⑤ 付け箆 
  • 材料: ⑦ 生漆 ① テレピン ② サラダ油 ② ティッシュペーパー ③作業板(クリアファイル、ガラス板など)

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
 ▸ 詳しい筆の洗い方

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。

次に、浸み込みやすくするために生漆をテレピンを混ぜて希釈してください。
作業板の上でヘラを使ってよく混ぜ合わせます。

生漆 10 : 3 テレピン
くらいの割合で生漆を希釈します。

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

 岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

塗ります。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

はみ出しちゃダメですよ。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

欠けた箇所すべてに漆を浸み込ませました。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 ティッシュで吸い込まなかった余計な漆を拭き取ります。

 岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

折り畳んだティッシュを押し当てます。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

余分な漆がティッシュに吸い取られました◎

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

これを2,3回繰り返します。
ティッシュにほとんど漆が付かなくなるまで繰り返します。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 オッケーです。漆の拭き取り作業終了です。

器を湿した場所(湿度65%~)に置いて、漆が半乾きになるまで待ちます。
2~3時間といったところでしょうか?(かなりあてずっぽ)

「固め」の漆が硬化し過ぎると(1ヶ月置くとか)、錆漆の食いつきが極めて悪くなります。ですので「半乾き」は無理だとしても、1,2日後くらいに次の作業に取り掛かってください。

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方 

 

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする。(こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しくしごく
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに ▸ 筆のキャップの作り方 ページを作りましたので、ご覧ください。

 

 

 

 

<金繕いの工程 03> 刻苧漆こくそうるし(パテ)の充填


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使う道具・材料(▸  刻苧漆の充填で使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ① プラスチック箆 ② 刻苧(こくそ)箆(▸ 刻苧箆の作り方) ③ 作業板(クリアファイル) ⑧ サランラップ
  • 材料: ④ 生漆 ⑤ 木粉(▸ 木粉の作り方) ⑥ 小麦粉 ⑦ 水

↑の材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。
  ▸ 刻苧漆の作り方

※ このページも刻苧漆の使い方を詳しく説明していますが、もうちょい(くどいくらいに)説明したページを作りました。ご興味のある方は覗いてみてください。
 ▸ 刻苧漆のつけ方・使い方

 

今回は「造形」の必要な「注ぎ口」

「深い欠け」
を、刻苧漆で充填します。

「小さい欠け」は錆漆で埋めます。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

充填箇所の後ろからサランラップを当てがって指で押さえます。(←意味、伝わりますか??)

※ 皆さんはゴム手袋をしてくださいね。オフェンシブにいきたい方はもちろん素手でもオッケーです◎ でもオフェンシブに行く必要はないと思います。

少しずつ、刻苧漆を盛っていきます。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

↑画像ではこの時点でもきれいに造形できているように見えます。
が、もちろん四苦八苦しながら形を整えました。
写真写りがいいように「見栄」を張っています。

指で抑えつつ、箆で少しずつ盛っていきます。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

サランラップをぐるっとひと巻してから
指でぎゅっとつまみます。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

様子を見ながら形を整えていきます。

一回の「ぎゅっ」ではうまくいきません。(上手くいったら達人です。そんな人はこのコンテンツを見る必要はありません◎)

何度も指を話し、形をチェックし、そして微調整します。

器の方にも刻苧漆がしっかりと密着するように押し込みます。

 

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

こんな感じでどうでしょ??

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

8.5~9割方、形が整っている…という感じでしょうか。

刻苧が乾いたあと、彫刻刀で削って、さらに錆漆でも成形ができますので、
それを計算すると9割方、形が整っていれば「御の字」かと思います。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

ちょっと「ライン」がおかしいですね。

でも、ひとまず「よし」としましょう◎

 

「次の作業」、「次の次の作業」というように先を見通せるようになると、この時点でどこまでの精度がでていればいいのかが分かるようになります。(←おっ!エラソーじゃん)

 

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

やや深めの欠けにも刻苧を充填します。
錆漆を2,3回に分けて盛っていく…というのでもオッケーです。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

箆で刻苧を詰めて、サランラップを巻き、指で「ぎゅっ」と押さえる。

 

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

刻苧漆の盛り厚は、器のラインと「フラット」か、もしくは「ほんのちょい盛り目」です。

 

岡田直人のピッチャーの金繕い修理のやり方

 これはちょい盛りです。

乾いたら彫刻刀で削りますので大丈夫です。

 

刻苧漆の乾きに2,3週間待ってください。
(刻苧に含まれる漆の割合、木粉の割合、漆自体の活力、気温などによって乾きのスピードが異なります)

 

 

 次の工程を見る

▸  Page 02 / 錆漆削り・研ぎまで

 

 

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