韓国作家さんの欠けた茶碗金継ぎ 1/2 錆漆付け1回目まで

 韓国人の作家の欠けた茶碗

※ 縁が少し欠けたお碗の金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち、〈欠けた個所の素地調整~錆漆で欠けを埋める1回目まで〉のやり方を解説していきます。

 

 

金継ぎとは


金継ぎとは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

 

 

金継ぎする器 information


  • 器の作家: 韓国の作家さんとのことです。
  • 器の特徴: 硬そうな印象です。釉薬はガラス質ではありませんが、ザラザラでもなくです。
  • 器のサイズ: 直径140㎜、高さ73㎜
  • 破損状態: 口元の縁に欠けが2か所
  • 欠けのサイズ: 11㎜×10㎜.  13㎜×10㎜

 

韓国人の作家の欠けた茶碗

 今回は欠けが二カ所です。

 韓国人の作家の欠けた茶碗

最近、「ひび」の見落としが2回あったので、注意してチェックします。
「”欠け”あるところに”ひび”あり」は格言ですね。基本的に疑いのまなざしでチェックします。

  韓国人の作家の欠けた茶碗

 釉薬はボツボツと気泡のような穴があいていますが、ガサガサしている感じではなく、締まっていて少しツルッとしています。
これでしたら錆漆がこびりつくようなこともなさそうです。
マスキングなしでいきます。

 

 

 

金継ぎstep 01 素地調整 


金継ぎの素地調整工程で使う道具の画像

素地調整で使う道具: 

②砲弾型のリューターのダイヤモンドビット (ホームセンター等で入手可能/価格 \200~)

▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法

 

 

金継ぎの素地調整作業では軽く欠け周りのエッジにヤスリをかけます。 

金継ぎの素地調整作業ではダイヤモンドやすりを使って欠けた部分をやする

 とんがっているところを中心に軽く研ぎます。

金継ぎの素地調整作業ではダイヤモンドやすりを使って欠けた部分をやする

 

 

 

金継ぎstep 03 素地固め


金継ぎの素地固め工程で使う道具の画像

素地固めで使う道具と材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ⑥小筆、⑤付け箆 
  • 材料: ⑦生漆、①テレピン、②サラダ油、②ティッシュペーパー、③作業板(クリアファイル)

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
 ▸ 詳しい筆の洗い方

生漆 10 : 3 テレピン
くらいの割合で生漆を希釈します。

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

金継ぎの素地固め作業では薄めた漆を浸み込ませる

 生漆を塗っていきます。十分に浸み込ませます。

薄めた漆を浸み込ませる

 器の生地や釉薬によっては周りに滲んでいってしまうようなものもあるかと思います。
多少が仕方がないことだと思いますが、その被害を最小限にするために生漆を塗る面積を小さくする(欠け部分の中の方だけ塗る。周辺部分は塗らない)か、もしくは生地固めは「パス」でいいと思います。

「生地固めはやってはいけない」と仰った凄腕の輪島の職人もいらっしゃいました。
私も経験上「その可能性も高い」というスタンスでいます。

なので、現状では私はやったりやらなかったりです。器を見て、何となくの肌感覚で判断しています。

塗布した漆をティッシュペーパーで拭き取る

 漆の塗布が済んだら、ティッシュペーパーで浸み込まなかった漆を拭き取ります。
「拭き取る」といってもゴシゴシとティッシュを動かしてしまうと周りまで漆がついてしまいます。
ティッシュペーパーを3~5回、折り畳んで、それをやさしく漆を塗った個所に押し当てます。

ティッシュペーパーの当てる面を変えつつ、何回か押し当てて、余分な漆を吸い取ります。

塗布した漆をティッシュペーパーで拭き取る

 ティッシュにほとんど漆が残らなくなったらオッケーです。

この後、湿した場所(湿度65%~)に置いて、漆を乾かします。
私は1~2時間して半乾きの時(すこしベタついてきて接着力のありそうな時)に次の錆付け作業を行います。

一日置いてからでも大丈夫ですが、あまり日数を空けない方がいいと思います。漆が乾いて硬く締まりすぎてしまうと、ツルツルして次の作業の食いつきが悪くなります。
と言っても、断面がざらざらした陶器でしたらそれほど神経質になる必要もないかもしれません。

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

 

 

 

金継ぎstep 04 錆漆付け1回目


金継ぎの錆漆付け工程で使う道具の画像

金継ぎの錆付けで使う道具と材料(▸ 錆漆付けで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ①プラスチック箆、②付け箆(▸ 付け箆の作り方)、
  • 材料: ④生漆、⑤砥の粉、⑥水、③作業板(クリアファイル)

錆漆を作ります。 ▸ 詳しい錆漆の作り方

 

器の欠けの凹みに錆漆を充填していきます。

その前に錆漆をヘラで取る方法をご説明します。

  1. 錆漆を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

これも一つのやり方だとらえていただけたらと思います。ほかのやり方も無数にあると思います。
こういった「型」のような動きは最初は面倒に感じてもやり続けているうちに上達していきます。
リズムよくヘラ付けができるようになるとこんなことでも楽しくなってきます。
「工藝的」な愉しみですね。

 

錆漆を器の欠けた個所に充填する

 ヘラの先に錆漆を取ります。
そ錆漆を欠けた個所に置いていきます。

錆漆を器の欠けた個所に充填する

 欠けた部分の上側のエッジを利用して錆漆を切っていきます。
ヘラをエッジにひっかけるようにして右側へとスライドさせていきます。

錆漆を器の欠けた個所に充填する

 次にヘラを左から右へと通します。先ほど置いた錆漆をヘラの「面」で広げつつ、少し押し込むような感覚でかけ部分に密着させます。

錆漆を器の欠けた個所に充填する

 次にヘラを右から左へと返します。錆漆を少し「動かす」ことで、欠けた箇所との間にわずかにできてしまった(可能性のある)隙間を消していきます。

金継ぎの錆漆付け1回目が完了

錆漆がつけ終わりました。

金継ぎの錆漆付け1回目が完了

ちと凹んでいます。

金継ぎの錆漆付け1回目が完了

 今回は少し欠けの凹みが深かったので2回に分けて錆漆を充填することにしました。

ついつい、「これ、1回でいけるでしょ」と見切り発車をしてしまいがちなのですが、そういう時は往々にして失敗します。経験的に言って。

錆漆が「膿んで」乾かなくなってしまう時がありますので、錆漆の厚盛は十分ご注意ください。

  ▸ 錆漆付けの失敗例

金継ぎの錆付け作業が終わったら1~2日、硬化を待ちます。

 

 

 

金継ぎstep 05 錆漆の削り・研ぎ


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錆漆1回目の削り・研ぎ作業で使う道具と材料

 

本当にごくごく軽く削り・研ぎを行います。

乾いた錆漆を刃物で削る

1回目の錆漆がガサガサしていると(突起とか出ていると)、2日目の錆漆をキレイにつけるのが難しくなります。

乾いた錆漆を刃物で削る

 刃物で錆漆の突起などを削ります。サササッと。

乾いた錆漆を耐水ペーパーで水研ぎする

 研ぎもあっさりとでいいです。あくまで次の作業の下拵えと考えてください。

金継ぎの錆研ぎ作業が完了

 きれな平滑な面を作るに越したことはないのですが、まぁ、このくらいでもいいとしましょう。

 次は錆漆付けの2回目になります。

 

 

 

次の作業を見る ▸ ② 蒔絵完成まで

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  金継ぎ図書館はあなたの金継ぎスピリットを全力で応援します。ファイッ!!

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