欠けた八角小鉢の簡易金継ぎ方法 1/2 診察/素地調整

簡易金継ぎ
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「合成接着剤」や「合成うるし」を使った【簡易(簡単)金継ぎ】のやり方を説明していきます。
本物の漆は使っていませんのでご注意ください。

今回は簡単金継ぎの工程のうち、〈欠けた縁をやすりで削る~新うるしで仕上げるまで〉のやり方を解説していきます。

 

【必要な道具・材料を見る】↓

‣簡易金継ぎで使う道具・材料ページ

 

新うるしの安全性について

 

画像元:Amazon

「新うるし」の安全性についてのメーカー側の説明:

・本品は毒性の強い物質ではありませんが念の為、食器等口に含む恐れの有る物に塗装しないでください

※ 新うるしの安全性について、詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください↓
‣新うるしって何?安全なの??

 

当図書館としては、新うるしなどの「合成うるし」の安全性について、「黒寄りのグレー」と考える立場をとっています。ので、下記の使い方をおススメします。

合成うるしで壊れた器を直してもOK!

ただし、「合成うるし」を使って直した器は直接、修理箇所に口を付けない使い方を強くおススメします。

 例えば 
・食器として使わない(大切な思い出の品として飾っておく・小物入れとして使う)
・食器として使う場合は「乾きもの」を入れる程度の使い方に限定する(菓子器として使うとか)

金継ぎ図書館ではこのような使い方を前提にして、「簡易金継ぎのやり方」を解説しています。

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STEP01 診察

器 information

  •  器の特徴: ややマットな釉薬…ちょっと柔らかそうな釉薬
  •  損傷箇所: 器の下の角
  •  損傷状況: 欠け1箇所 2㎝×2㎝
  •  器の大きさ: 直径7㎝ 高さ5㎝ 

 

 

まずは破損した器の状態をチェックします。

 

器の欠けのチェック

 

釉薬が白マットで少し柔らかそうです。

 

器の下の角に欠けがある

 

刃物での削りに負けることはないと思いますが、ペーパー研ぎは負けちゃいそうなので必要最低限にしておいた方がよさそうです。

 

器の内側からも欠けをチェック

 

欠けが内側まで貫通しています。

 

陶器の欠け修理

 

 内側の作業がやっかいそうですので十分こころしてかかります。

 

 

 

 

STEP02 素地調整

 道具: 
① ダイヤモンドのヤスリ
②③ リューターのダイヤモンドビット 


※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料の一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。

‣簡易金継ぎで使う道具・材料ページ

 

ダイヤモンドビットのカスタマイズのやり方は↓こちらのページをご覧ください。

 

 

それでは作業を始めていきます◎

 

欠けた部分の角を削る

 

ガリガリとエッジを研ぎます。

 

リュータ―でエッジを削る

 

ほんの少し研げればいいと思います。0.1㎜とか0.2㎜とか。

 

欠け部分の面取り

 

意味あんの?と思うでしょう。

多分あります。

 

欠けの内側も面取りをする

 

内側のエッジの面取りもお忘れなく。

  ファイツ!!

 

 

STEP03 エポキシパテの充填作業

 道具:
① サランラップ
② ゴム手袋
③ 作業板(クリアファイルなど)
④ 刻苧箆 ▸作り方ページ ‣作り方の動画
⑤ 豆皿 ⑦ 水差し

 材料:
⑥ テレピン
⑧ エポキシパテ


※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。

‣簡易金継ぎで使う道具・材料ページ

 

 

今回使っているエポキシパテは「セメダインのエポキシパテ木部用」です。
柔らかくて使いやすいです。

エポキシパテで深い穴や大きな欠け部分を補修します。

極小の穴や、わずかな隙間はエポキシペーストを使います。
▸ エポキシペーストの作り方と使い方ページ

 

① 二層式のエポキシパテです。「木部用」が使いやすいです◎
② 中心部の「白色の材」と周辺部の「茶色い材」のパテを等量取ります

 

③ 二材が混ざり合うように、しっかりと練り込みます。3~5分程度。
※ 素手でやると結構、べたつくのでゴム手袋をしてやったほうがいいです。
④ 二材が混ざり合って「一色」になったらオッケーです。

 

エポキシパテは2剤をよく練り合わせます。詳しく見たい方は
▸簡単金継ぎのエポキシパテの使い方

 

※ エポキシパテは二材を等量、しっかりと混ぜ合わせないときちんと硬化しないパテになってしまいます。1日経っても硬化しない場合は分量ミスの可能性が高いです。
そうなると硬化しません。諦めてパテを剥がし、やり直しです(T_T)

※ 僕の経験上、1回に作る量が「少なすぎる」と分量ミスが起こりやすく、硬化しないことが多いと感じています。
作業上は「少量」しか作る必要がないとしても、分量ミスを避けるために、少し多めに作っておいた方が無難かな~と思います。

 

 

それでは作業をしていきましょう。

 

サランラップを小さく切る

 

サランラップを用意します。

 

陶器の内側からサランラップをあてがう

 

小さく切ったサランラップを器の内側から欠けた部分の穴に当てます。

 

さらに内側から指で押さえる

 

そのサランラップを内側から指で押さえます。

 

サランラップをあてがっているのを器の外側から見る

 

 器の外側から見るとこんな感じになります。

 

エポキシパテを埋める

 

器の内側から指で押さえつつ、外側からパテを充填していきます。

使っているヘラは竹製の「刻苧こくそベラ」と呼ばれるヘラです。
割り箸でも簡単に作れますので、ぜひ下記のページ/動画を参考に自作してみてください。

▸作り方ページ 

‣作り方の動画

 

さらにパテを埋める

 

 隙間があかないように気を付けてください。

特に欠け部分と器素地との「キワ」にしっかりパテを押し込めてください。

 

刻苧箆でしっかり押さえる

 

はい、しっかり詰めていきます。

 

器の外側からサランラップをあてて指で均す

 

外側からもサランラップを当てて、その上から指で整形しつつ均してデコボコをなるべくとります。

 

刻苧箆に水を少しつける

 

刻苧箆に水をちょっとつけます。

 

パテの表面を滑らかにする

 

水をつけるとパテの箆離れがよくなり、ツルツルと表面をきれいにすることができます

 

パテ表面の箆跡を消す

 

はい、きれいになりました。

表面がきれいになると充填箇所の形やラインが見やすくなります。

チェックして修正します。

 

いろいろな角度から見て出っ張りやへこみがないかチェックします。

なかなかきれいにラインが出せました。

これなら次の削り作業が楽になります◎

 

 

器の内側に当てていたサランラップは硬化するまで剥がさない

 

あてがったサランラップですがこの時点で剥がそうとするとパテを引っ張って形を崩してしまいやすいので
完全に硬化してから剥がします。

パリッときれいに剥がれますよ。

 

※いや、ラップがついているのは気に食わんという方は気を付けて剥がしてください。

 

簡易(簡単)金継ぎのエポキシパテ充填作業終了

 

はい、パテ埋め完了しました◎

 

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