【錆漆の早見表】
漆のペースト(錆漆さびうるし)
砥の粉:生漆 = 10:7~8 ※ 目分量の体積比 作業工程 |
(ちなみに「麦漆(漆の接着剤)」の割合は 小麦粉10:10生漆 )
漆ペースト(錆漆)の作り方
《初心者作業時間/約15分》
金継ぎでは「小さな欠け」「隙間」「段差」を埋める時に使う「ペースト(充填剤)」を漆で作ります。
これを金継ぎ用語では「錆漆さびうるし」と呼びます。
充填材が自分で作れるの?かなり専門的な知識と熟練した技術が必要なのでは??…と思われますよね。でも実はかなり簡単なんです◎
手順としては…
①砥の粉を水で練って…
②漆と混ぜ合わせるだけ!
です。
これだけで「漆のペースト」ができちゃいます。
ただし、注意点としましては砥の粉と漆との割合を「ある程度、正確にする」ことです。
「厳密に」やる必要はありませんが、割合が偏りすぎると、硬度・耐久性が弱くなったり、極めて乾きづらい(もしくはほとんど乾かない)ペーストとなってしまいます。
そこで金継ぎ図書館では「漆と砥の粉との割合をある程度、正確にする」ために、「小型の計量スプーン」を使うことをおススメしています。
これを使えばほぼ「おおよそ正確な分量が測れる」ので、間違いなく「ちゃんと乾いて強度のある錆漆」を作ることができます◎
-1. 錆漆作りで使う道具・材料
道具
③ 作業板 ▸作り方 ⑤ 練りベラ ▸作り方 〇 軽量スプーン(1/4)
材料
① 水 ② 生漆 ⑥ 砥の粉
〈作業盤の掃除用として〉
〇 テレピン 〇 ティッシュ(もしくはウエス)
※ 使う計量スプーンは「1/4」か「1/10」サイズがお薦めです。
よほど大量の麦漆が必要でない限り1/4サイズで十分です。1/10サイズはほんの少し作りたいときに使います。
※ 「作った」錆漆さびうるしについての注意点ですが、”正味期限”は1~2日くらいと考えてください。
作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきますので、基本的に「使うときに作る」が原則です。
保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎
-2. 錆漆を作る
~ ▪錆漆作り▪~
□□□□□□□□
作業工程 作業時間/約10分(慣れれば2~3分程度)
① 計量スプーン1杯分の砥の粉を掬い、軽く上からヘラで押える。その後、ヘラで擦切る。
② 作業板の上に砥の粉を出し、ヘラで潰して細かくする。
③ 砥の粉の脇に少量の水を出す。
④ 砥の粉にちょっとずつ水を加えつつよく練る。水練りした砥の粉が「まとまる」くらいまで徐々に水を加えて、練っていく。
⑤ 計量スプーン1杯分の生漆を水練りした砥の粉の脇に出す。
⑥ 水練りした砥の粉にちょっとずつ生漆を加え、よく練っていく。
⑦ 全ての生漆を練り合わせたら完成です◎
まずは計量スプーンで砥の粉を取り出します。
軽くヘラで押えます。
そしてヘラで擦り切ります。
作業盤の上に出して、ヘラで細かく潰します。
砥の粉の”脇に”水を少量出します。
この時、水入れから直接、砥の粉に水を加えない方がいいです。
というのも直接やると、水を多く加えすぎて失敗しやすいからです。
脇に出した水からヘラで少しだけ、水を掬い取ります。
砥の粉に満遍なく水が行き渡るように、砥の粉を練っていきます。
水が足りなければ、さらに少量ずつ加えて、練り合わせてください。
砥の粉に加える水の量は、「砥の粉がまとまるくらい」です。
↑の写真くらいになればオッケーです◎
次に生漆を用意します。
生漆も計量スプーンで測ります。(慣れてきたらスプーンで計らなくても目分量でいけるようになります)
砥の粉に対する生漆の割合が重要です。
砥の粉10に対して、生漆は7~8です。
砥の粉:生漆 = 10:7~8
※ 目分量の体積比
それで、もし漆の割合が多くなっちゃったり、少なくなった場合、どうなるんですか??といいますと、、
①【漆が多かった場合】
→錆漆がなかなか硬化しなくなります。最悪、1カ月くらいかかります。さらには錆漆の表面に「縮み」が生じます。シワシワになるということです。
②【漆が少なかった場合】
→錆漆の強度が下がります。
「多すぎる」場合と「少なすぎる」場合とでどちらの方がタチが悪いかというと、「多すぎる」方が厄介な感じがします。
ちょっとくらい漆が少なくても極端に錆漆の強度が落ちるわけではないので。
それに初心者の方にとっては錆漆が乾かなかったり、表面がシワシワになる方が精神的にショックかと思います。「せっかくここまでそれなりに順調にきたのに、、、残念」となりますよね。
そういうことで、砥の粉に対して「7分目」くらいの分量の生漆を加えるのがいいんじゃないかな?と思います。
ちなみにもし漆が多すぎて2日経っても錆漆が乾かなかったり、表面に皺が出たりしたら、思い切ってやり直した方が断然、早いです。
刃物(カッターなど)で乾かない錆漆をこそげ取ってください。そして改めてやり直します◎
いや、そういったことってありますよ。僕もたまにやらかします(笑)
計った生漆を作業盤の上に出します。
スプーンからきれいに漆を掻き出すにはヘラの先がカーブしたものも、一本作っておくといいです。
先がカーブしたヘラはスプーンから漆を掻き出すときに使う以外にも、内側のカーブがきつい器に錆漆を付ける時にも重宝します。
錆漆作りを続けましょう。
作業盤に出した生漆の1/3くらいをヘラで取って、水練りした砥の粉に混ぜていきます。
よく練り合わせていってください。
漆と砥の粉がよく混ざりあったら…
さらに1/3くらいの生漆を取って、練り合わせていきます。
この「1/3の生漆を加えたときにどのくらい練り合わせればいいの??」と疑問に思いますよね。
大雑把ではありますが毎回、生漆を加えるたびに15~20回程度で大丈夫です。50回とか100回練り合わせる必要は全くありません(‘;’)
残った生漆を全て加えて練り合わせていきます。
出来ました◎
大雑把な「練り合わせ回数」は分かったのですが、「練り合わせ時間はどのくらいですか?」という質問もあるかもしれません。
これもざっくりとしたお答えになりますが、「2~3分程度」で十分です。10~20分も練る必要はありません。金継ぎで使う量はほんの少量なので、このくらいの時間で作れてしまいます◎
繰り返しになりますが…
「完成した」錆漆さびうるしについての注意点です。
サランラップに包んで保存することができますが、”正味期限”は1~2日くらいと考えてください。
作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきますので、基本的に「使うときに作る」が原則です。
保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎
申し訳ございません。
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2.錆漆と刻苧漆との違い・用途
-1.
金継ぎでは「充填材」として
①刻苧漆こくそうるしと呼ばれる「粘土状のパテ」
②錆漆さびうるしと呼ばれる「泥状のペースト」
の2種類を漆を使って作ることができます。
それぞれに特徴がありまして、、
①刻苧漆…粘土状なので比較的成形しやすい。錆漆より厚く盛れる。
②錆漆…泥状なので小さな穴や隙間に入り込む。極薄に盛ることもできる。
といった感じになります。
今回、直している器の場合、「接着時に生じた隙間や僅かな段差を埋めたい」ので、使うのは②錆漆となります。(欠けている箇所は刻苧漆の方がよかったな~と反省しています)
-2.