ファイツ!!
※ バラバラに割れてしまった器の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。
油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。
今回は金継ぎ工程の内の〈刻苧(漆で作ったパテ)埋め~刻苧の削り〉までのやり方を解説していきます。
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<金継ぎの工程 04> 刻苧漆の充填
使う道具・材料(▸ 刻苧漆の充填で使う道具・材料の入手先・値段)
↑の材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。
▸ 詳しい刻苧漆の作り方
※ このページも刻苧漆の使い方を詳しく説明していますが、もうちょい(くどいくらいに)説明したページを作りました。ご興味のある方は覗いてみてください。
▸ 刻苧漆のつけ方・使い方
麦漆(漆の接着剤)に木粉を混ぜて、刻苧漆(漆のパテ)を作ります。
▸ 詳しい麦漆の作り方
刻苧漆の作り方
2~3週間経って、麦漆が乾きました。
そして、隙間が…空いている…。
そうです。隙間があるのです。
あちこち隙間だらけ。
隙間から光が透けます。
すこぶる大きな隙間も。
これをしっかりと塞いでいきましょう。
ふざけてる場合じゃありません。
鳩、遊びすぎ。
接着したときの麦漆がはみ出しているようでしたら、彫刻刀やカッターなどの刃物で削ってください。でもこのくらい器に深さがあるとカッターの刃が当たらない箇所が出てきそうですよね。
ちなみに今回はほぼほぼ麦漆がはみ出していなかったので、そのまま刻苧漆の充填作業に入ります。
サランラップを利用して漆のパテを充填していきます。
↑よくある「欠け」の充填方法です。参考にしてください。
まずは器の内側から隙間の部分に、
小さく切ったサランラップを当てがいます。
鳩が挟まりました。けど、無視。
サランラップの上から(鳩の上から)
しっかりと指を当てます。
器の外側から…
刻苧漆を少しずつ充填していきます。
鳩が…ちょっと酷いかしら??
器の内側からはしっかりと指で押さえつつ
刻苧漆を詰めていきます。
鳩は…大丈夫です。
彼はしぶといので、どうせ何処かに逃げています◎
いつものこと。
はい!ひとまず器の外側からは
刻苧の充填が終わりました。
そうしたら、内側のサランラップを剥がして、
今度は器の外側からサランラップを当てます。
そして、サランラップの上から
指で押さえます。
今度は器の内側から
刻苧漆を少しずつ詰めていきます。
隙間が無いように気を付けます。
内側からも刻苧の充填したら、
最後に再び内側にサランラップを被せ、
器の内側と外側の両方から
ギュッと押さえます。
ギュッと押さえて
刻苧漆が器の断面と密着するようにします。
ギュッと。
両側から「圧」を加えます。
この後、刻苧漆が乾くまで3週間くらい待ちます。
漆は「待ち」の時間が多いですね~。
<金継ぎの工程 05> 刻苧漆の削り
錆漆削りで使う道具(次のいずれか、もしくは複数) ▸ 金継ぎで使うおすすめの刃物のご説明
- 道具: ① メス(先丸型) ② オルファのアートナイフプロ(先丸型) ③ カッターナイフ(大) ④ 彫刻刀(平丸) ⑤ (下の画像)障子紙用丸刃カッター
おススメは<④平丸の彫刻刀>です。かなり作業が楽にきれいに、さらには楽しくできます。(言い過ぎかしら) ▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ方法
次善策としては<⑤障子紙用丸刃カッター>です。近所のホームセンターでは「障子の貼り替えコーナー」にありました(カッターナイフ・コーナーにはありませんでした。ご注意!)。ホームセンターにあるってことは、きっとハンズにもあるのではないでしょうか。(未確認です)
↑基本的な刻苧漆の削り方です。
器のラインからはみ出している
(盛り上がっている)部分を削っていきます。
彫刻刀は斜めにスライドさせるように動かしていきます。
右手で押すのではなく、
左手の親指でずらす感じです。
彫刻刀のエッジの部分なども使うと
繊細な作業がやりやすくなります。
あ、鳩がいた◎
器の内側のはみ出した刻苧漆も
刃物で削っていきます。
内側、削り終わりました。
外側も削り終わりました。
多少、凹んでいる箇所がありますが大丈夫◎
この次の工程で漆のペースト(錆漆)を充填します。
それではまた次回、お会いできる日までご機嫌よ~。
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