【 金継ぎ お悩み相談室 】~ちょっとずつ、たまに鳩屋がお答えしていきます 

本漆金継ぎ

こまっちゃうな~♪size19 ファイツ!!
  くじけちゃダメだぜ

 

※ ちょっとずつ「お答え」を増やしていきます。
※ ある程度コンテンツが増えてきたらページ内リンクを張ります。

 

目次


1.漆に関して

2.錆漆に関して

3.麦漆に関して

4.刻苧漆に関して

5.「カブレ」に関して

 

 

こちら、金継ぎトラブル119番です


なんで、漆が乾かないのよ…?う…うるし、意味わかんない…(涙そうそう)

わかります。そのお気持ち。
そう、漆、「意味わからん」。ですよね~。

いや、でもちょっとずつ分かっていきます。みんなそんなもんです。
地道に慣れていきましょう。
僕も最初のころは「トラブル」が起きてもその原因が分からなくて
「まじ、うるし、アホ」と思いました。(今もたまに)

金継ぎをはじめたみなさんが躓いて、途方に暮れたときの
お役立ちページになるよう、少しづつコンテンツを増やして
いきたいと思います。

※ ちょっとずつ、ちょっとずつ増えていくと思います。
漆仲間に聞いたり、初心者の方からのアドバイスだったりを少しずつ反映していきたいと思います。

 

 

 

まとめる前の「おなやみ」箇条書きメモ・コーナー


本来、しっかりとカテゴリー別などにまとめてから情報発信をすべきところですが、そういっているといつまでもまとめきれず、お伝えできない怖れがあるので、ひとまずこちらに箇条書きメモ書きしていきます。

 

【question】
”蒔絵後の「(蒔絵)粉固め」がうまくいかない”問題
※今回は「真鍮粉」です!金粉、銀粉、錫粉とは条件がちょっと違います。

「真鍮粉」の蒔絵固め後にどうしてもくすんだ金色に仕上がってしまいます。

〈質問者の作業条件〉

  • 蒔絵時点では鮮やかな金色に仕上がっている。
  • 粉固め後にどうしてもくすんだ金色に仕上がってしまう
  • 蒔絵粉固めに生漆をテレピン油(10:1程度に希釈)
  • 生漆は購入して間もなく、冷蔵庫保存しておるチューブのものを使っている
  • ティッシュでのふき取りも丁寧にしているつもり
  • 湿度80%程度の室に入れ二日ほど待った後は黒っぽくなってしまいます

これは生漆の分量が多い?希釈の割合がよろしくないのでしょうか?
また、最終的に地固めには生漆よりも透漆等を使用した方が綺麗に仕上がるのでしょうか?


【answer】
なるほど、このトラブルはよくあるかと思います。
せっかく、蒔絵終了時にはきれいな「金色」だったのに、「粉固め」をしたら、「こげ茶色」になっちゃった…(涙)。

今回の件に、関しては「漆が早く乾き過ぎている」のが原因ではないか?と思われます。
中国産の生漆の乾きは「すごく早く」、日本産の生漆はそれと比べると「ゆっくり」乾きます。
基本的に漆は「早く乾く→色が暗くなる(茶色が強くなる)」です。
中国産の生漆の場合(新しいもの)は結構、湿度が低くても乾きます。湿度50%以下でも乾きます。おそらく漆に含まれる酵素の働きが活発なのだと思います。
もともと「早く乾く漆」に、「湿度80%程度」と、かなり高湿度条件を与えてしまうと、「めちゃ早く乾く」ことになり、かなり「色が暗く」なります。
これが主要な原因ではないかと思います。
あとは、希釈の割合をもう少し上げてもいいかなと思います。テレピン3割くらいで。

あと、「もしかしたら」なのですが、「”冷蔵庫”にしまっておいた生漆をすぐに使う」…というのが影響している可能性があるかもな、と思うところなのです。
高温(35度くらい?以上)になると漆の酵素の働きが弱っていってしまうので、そういった場合は冷蔵庫や冷暗所に置いておくことをおススメしています。
ただ、「冷蔵庫(低温状態)に保管しておいた生漆を、すぐに常温のところで使った」場合、乾きが異常に早くなる傾向がある気がするのです(これは僕の少ない経験上の話のなので確証はとれていないのですが)。
冷蔵庫で低温状態にあった漆を作業場にもっていくと、液体自体がゆっくりと常温へと温度変化をしていく。この時、低温で活動が鈍っていた酵素が、温度変化とともに次第に上り調子になっていく。そのところに「湿度」を与える。→「酵素が一気にハイパーアクティブ状態になる」→漆がすごく早く乾く…という可能性があるかなと考えています。
「温度変化の大きなギャップ」が乾きを早くしている…ということでしょうか。
この対策としては、使う分量の生漆を作業板に出したら、5分くらい練って遊んでいる…とか。
漆を常温状態に慣れさせて、漆の活動を安定させるようなイメージでしょうか。練っていると、少し漆の透明度も上がりますし◎
とはいえ、これは僕個人の「考察」に過ぎませんが。

生漆よりも透漆等を使用した方が「透明度」が高いので、真鍮粉そのものが持っている「色味」が出やすいと思います◎

 

  • 木賊(とくさ)… 漆研ぎに使える植物ですが、「花屋さん」で売っている木賊はあまり「研磨力」が無いようです。もしかしたら品種改良して、あまり「ガサガサ」しないようになっているかもしれません。
    ということは家の庭とかにちょっと植えている木賊よりも、野生の木賊の方が研磨力があるかもしれませんね~◎
    (どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください)

 

  • 【question】
    金継ぎ修理したものを食洗機(食器洗浄機)に入れるとどうなるの?よ?

    【answer】
    実際に依頼主が、うっかり食洗機にかけたところ、修理部分が剥がれ、くっつけた所がパックリ取れてしまいました。(真っ二つに割れた茶碗の修理だったのですが、それが修理前のバラバラ状態になってしまいました)
    ですので、食洗機は「×」です。

 

  • 【question】
    割れた器を漆で直したのですが、キレイに接着せず、かなりズレてしまいました(涙)
    これってやり直すことができるのですか?それとももう、無理ですか??

    【answer】
    できます。はい。
    グツグツ鍋で煮てください。どのくらいの時間ですか?
    そですね、個別に違うと思います。
    磁器のもの(白っぽくて、ツルツルした器)は比較的はやく剥がれます。20分~30分も鍋にかければいいと思います。
    陶器のものは(ゴリゴリした器←意味不明ですね)はもう少し時間がかかると思います。

 

  • 【question】
    金粉を漆に混ぜてから使用するのと、
    漆を直接塗って、金粉をまくのとでは、どう違いがあるのでしょうか?

    【answer】

    本漆の場合は漆の樹液自体が「茶褐色」なので(透明ではありませんので)、
    それに金粉や真鍮粉を混ぜると、その「塗料」はほとんど「茶色」になってしまいます。
    「新うるし」などの合成うるしはほとんど漆が入っていないか、全く漆が入っていないようなので、
    「透明」に近い飴色が作れます。「本透明」という名前などで売っています。
    それでしたらあらかじめ金属粉を混ぜても、「茶色」になることはなく、
    ほとんどその金属粉の色が出せます。つまり「金色」になります。
    ということで、普通、本漆を使う人 は漆自体に金属粉を「混ぜる」のではなく、
    漆を塗った後に金属粉を「蒔く」という作業の方を選択します。
    本漆に金属粉をあらかじめ混ぜて、「ちょっと変わった茶色」を作るのもまた面白いとは思います。
    僕もやったことがありますが、それはそれで「まぁ、面白い」といった感じがしました。
    といった感じのお答えとなりましたが、いかがでしょうか??
     
     

 

  • 【question】
    いわゆる「漆塗り」のときに、「生漆」で塗るのはいけないのですか?やっぱり「黒い漆」とか「赤い漆」じゃなきゃダメですか?

    【answer】
    え、ーっと。いいです◎
    でもあまりきれいな仕上がりになりません。
    漆は「生漆」を精製することで→「塗り用の漆(黒い漆や赤い漆)」になります。


    水分を飛ばすことで粘度が高くなり、また攪拌することで漆の粒子が細かくなって漆特有の光沢がでます。
    ↑こういった漆の特徴に特にこだわりがないようでしたら、「生漆」でいくのも「あり」かもしれません。
    僕自身、そういった研究をしていないし、追求していないので、あまり的確にお答えできません。済みません(涙)

 

 

  • 【question】
    あと、「生漆」を塗って「蒔絵」っていけないのですか?

    【answer】
    これも上の質問と同様のお答えになるかと思います。
    「生漆」でもいけると思います。が、「ふっくらとした」感じとかは出ないと思います。
    あまり「美しさ」とかは気にしない…という方は「生漆」でもいいかもしれません。
    あと、漆に「色」がついていないと、どこまで塗ってあるのか?キワまできちんと塗れているのか?がかなり分かりづらいです。ので、やっぱり「色」が付いている方が扱いやすいです◎
    あと金色の蒔絵紛を蒔く場合は、その下に塗る漆の色は「赤」などの「暖色系」がいいです。わずかながら、下に塗った色が蒔絵の「色味」に影響します。
    赤を塗ると「鮮やかな金色」に見えます。逆に黒を塗ると「落ち着いた感じのワントーン落ちた金色」に見えます。
    銀や錫粉を蒔く場合は、その下に漆の赤を塗ると、蒔絵の見え方も少し「赤味」が差した感じになります。なので、「赤味」が嫌な場合は、黒い漆を塗ります。一般的には銀色系の場合は黒い漆を塗ることが多いです。

 

  • 【question】
    「黒い漆」と「赤い漆」ってなにか違うんですか?

    【answer】
    漆に混ぜる「色の粉」の色が違います。
    (正確には江戸時代以降、「黒漆」は漆に「鉄粉」を混ぜることによって黒色に科学反応させています。そのあと鉄粉は取り除きます。…と説明するとややこしいので、「色の粉の”色”の違い」と憶えておいていいと思います)


    精製した漆に何色の粉を混ぜるかによって、「漆の色」が変わります。
    なので、「黒色漆」だろうが「赤色漆」だろうがどちらも同じです。

  • 【question】
    「黒い漆」の上に「黒い漆」を塗ったらいけませんか?

    【answer】
    もち、オッケーです。
    僕も黒の上に黒を塗り重ねて漆の厚みを出していくことが多いです。
    ですが、最後の「蒔絵」をするときの漆は色を変えます
    というのは同じ色だと「どこまで塗ってあるのか?」「キワまでしっかりと塗れているのか?」がすごくわかりづらいからです。
    うっかりキワに塗り残しがあると、かなり格好悪いです。依頼のモノの場合はやり直さないといけなくなります。ので、基本的には色味を変えて分かり易い色の漆で塗ります。
     
  • 【question】
    鳩屋おススメの「ヒノキべら」を作ったのですが、折れてしまいました(涙)
    何か対策はありませんか??

    【answer】
    そうですよね。済みません(涙)…ホームセンターやハンズののヒノキは「割って」作っていないので、正確にいうと繊維が通っていません。なので、ちょっと折れやすいのです。
    あと、どうしても初心者さんは力を入れてしまいがちなので、折ってしまう可能性が高くなります。
    なので「ちょっと厚め」に加工していただくか、
    ▸ 「竹の割り箸」で作るヘラの作り方
    ↑こちらの「竹のヘラ」を作ってください。これ、めちゃおススメです◎

     

     
    【question】


    【answer】

     

 

 

 

1.漆に関して


 

ⓐ 漆が乾かないよー(涙)

【症状 01】
「ピンポイントで漆が乾かなかった(スポット状で)/指の痕、指紋の痕のような形で乾かなかった!」

【原因 】 油分/脂分が塗る部分についてしまった可能性が大

  • 【事後の対処】
    ひとまず、乾かなかった部分をアルコールを含ませたウエスで拭き取る → 全体と耐水ペーパーで研ぐ→中性洗剤で洗う
  • 【事前の対策】
    汗っかきの人は器を素手で触らないようにする/ゴム手袋をする/作業前に石けん等で手を洗って油分を取る

 

 

【症状 02】
「いつまで経っても漆全体が乾かない/乾きがすごく悪い」

原因がいくつか考えられます。

  • 【原因 01】 漆が古すぎて乾く力が弱まっている
  • 【原因 02】 乾かす場所の湿度が低すぎる/温度が低すぎる
  • 【原因 03】 漆のチューブを高温(35度以上)のところに(しばらく)置いてしまっていた/漆のチューブを凍るくらい低温のところに(しばらく)置いてしまっていた
  • 【原因 04】 漆を購入してからしばらく時間が経っているため、チューブ内で漆の成分が分離してしまっている

 

【原因 01】 漆が古すぎて乾く力が弱まっている

  • 【事後の対処】
    ひとまず、乾かなかった部分をアルコールを含ませたウエスで拭き取る → 全体と耐水ペーパーで研ぎ→中性洗剤で洗う
  • 【事前の対策】 
    新しい漆を買いましょう◎
    ※ でも「古い漆」を捨てる必要はありません。「新しい漆」に「古い漆」を混ぜて使うことができます。「新しい漆」の乾きが早すぎて「もうちょっとゆっくり乾かしたいのよね~」って時に、その「古い漆」を何割か混ぜて「乾きの調節」をします。
    なので、古い漆もそれはそれで「すごく役立つ」のです◎

 

【原因 02】 乾かす場所の湿度が低すぎる/温度が低すぎる

  • 【事後の対処】
    もっと「ホット」で「ウェット」な場所に器を置きましょう。
    (もう少し暖かい場所で作業をして、乾かす”漆風呂”の中を湿してください)
    湿度65%~以上、温度15度以上…くらいあれば乾いていってくれるはず。
    ベストな状態は
  • 【事前の対策】
    「ホット&ウェット」な環境を用意する◎

 

【原因 03】 漆のチューブを高温(35度以上)のところに(しばらく)置いてしまっていた/漆のチューブを凍るくらい低温のところに(しばらく)置いてしまっていた

  • 【事後の対処】
    ひとまず、乾かなかった部分をアルコールを含ませたウエスで拭き取る → 全体と耐水ペーパーで研ぐ中性洗剤で洗う
  • 【事前の対策】
    漆は高温/低温の所に置いておくと、漆の中の酵素が「ご臨終」します(涙)
    なので、そういった場所には置かないようにします。
    夏場は冷暗所、もしくは「冷蔵庫」に入れてください。
    ※ 「冷”凍”庫」に入れたらアウトです!ご注意ください◎

    ※ 「乾かない漆」を捨てる必要はありません。「新しい漆」に「乾かない漆」を混ぜて使うことができます。「新しい漆」の乾きが早すぎて「もうちょっとゆっくり乾かしたいのよね~」って時に、その「乾かない漆」を何割か混ぜて「乾きの調節」をします。
    なので、「乾かない漆」もそれはそれで「すごく役立つ」のです◎

 

【原因 04】 チューブ内で漆の成分が分離してしまっている

  • 【事後の対処】
    ひとまず、乾かなかった部分をアルコールを含ませたウエスで拭き取る → 全体と耐水ペーパーで研ぐ中性洗剤で洗う
  • 【事前の対策】
    チューブ入りの漆を(使っていると思いますので)、お茶碗にあけて箆でよく混ぜます。
    そうすると漆の中の成分がよく混ざり合って、乾く漆となります。
    しばらく使わなかった時など、よく混ぜてから使うことをおススメします。

    ※ お茶碗に漆をあけたら、サランラップを被せて(密着させて)「蓋」にします。「サランラップ」じゃなくちゃダメです。クレラップでもダメです。

 

 

 

ⓑ 漆がしわしわになるよー (ど涙)

 

 

ⓒ 色漆の発色が悪いよー

 

 

 

 

 

 

 

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