ファイツ!!
● 2020.6 出版
皆さんお困りの「紛らわし過ぎる蒔絵の手順」をまとめました!
今回は一番細かくて、一番手間のかからない「消し粉」です!
※ 「平極粉」についての手順はこちら↓のページをご覧ください。
▸【平極粉】の蒔き方
※ 「丸粉」についての手順はこちら↓のページをご覧ください。
▸【丸粉】の蒔き方
※ 3つの粉の特徴と比較をまとめてみました。
「丸粉/平極粉/消し粉」って何が違うの?どういう特徴があるの??…が知りたい方はこちらのページをご覧ください↓
蒔絵の工程が紛らわしい!
消し粉、平極粉、丸粉…って!
どれも似てるから
作業手順が頭の中で
ごちゃごちゃになっちゃう!
仰る通り!
鳩さんも
未だに混乱することあるのね◎
紛らわし過ぎるんじゃ!!
たまにしか金継ぎをやらない方は覚えられなくて当然◎
蒔絵作業に入る前にサッとこのページに目を通し、手順を思い出してから作業に取り掛かってください。
2020-06-05
この2年、蒔絵師の「かめ先生」に教えていただいたお陰で、金継ぎ図書館のコンテンツの中で圧倒的に弱かった「蒔絵」部分について、ようやく納得がいくレベルでまとめることができました。
今、思えば、「蒔絵部分」についてはあまりよくわかっていなかったので、あやふやに誤魔化してきました~。スミマセンでした (T_T))
「蒔絵の手順」に関してはどの金継ぎ本を読んでも、いまいち曖昧な解説しかなく(Web上の情報は皆無)、これじゃ一般キンツギスタは困っているだろうな…と感じてきました。
これでようやく、「蒔絵で遭難している」皆様に、きちんとした「蒔絵指南書」をお渡しすることができたと自負しています。
蒔絵に関して、かめ先生の教えがなければ、皆様のお役に立てるだけの「水準」に辿り着くことは決してなかったと確信しています。
(どう考えても、自分一人で研究していたら永遠に無理だったと思います~)
改めて「本物の伝統を引き継ぐ者」の偉大さに敬意を抱くとともに、それをお伝えいただいたことに感謝しています。
※ 「もっと詳しく蒔絵を知りたい!」「他の蒔絵技法についても勉強したい!!」という方は、ぜひ、かめ先生の金継ぎ教室に通われてください。
今まで確信が持てなかった「蒔絵のやり方」について、多くの部分を解決するきっかけになると思います◎
【漆工房 皎月 こうげつ】(Facebook)↓…かめ先生の金継ぎ教室
消し粉の特徴
- 蒔絵粉のなかで最も細かく、薄いもの
- 厚さ約0.3μ(0.0003㎜)、横方向は平均3μ(0.003㎜)程度
※ 1μm=0.001mm、1mm=1000μm - 基本的には研がない、磨かないで、蒔きっ放しで使う
- 粉に厚みがないので、他の粉と比べると摩耗して下地が出てきやすい
- 光沢が弱く、マットな表情
他の粉と比べるとちょっと「白っちゃけた」感じ - 蒔絵粉の中では一番扱いが簡単◎
蒔き方解説
作業手順
- 1.弁柄漆(または黒漆)を「極薄に」塗る(←地塗り)
- 2.漆を塗った脇に、多目の消し粉を乗せる
- 3.消し粉を真綿で押しながら移動させ、くるくると回転させながら、塗った漆の上を手早く何度も通過させる
- 4.全体に蒔き終わったら、3∼4分待って、もう一度、消し粉を蒔き詰める
- 5.気持ちしっかりめに真綿を擦りつけ、立っていた粉を倒す
- 6.息を吐きかけた真綿で、器に残った微粉を絡め取って、蒔き詰める
- 7.湿し風呂に入れて10日間待つ
- はみ出した蒔絵箇所を削る
- 完成
■ 地塗り
塗り残しが無いように「弁柄漆(または黒漆)」を「極薄に」塗ります。
これを「地塗り」と言います。
- 金粉を蒔く場合は→ ● 赤弁柄漆
- 銀粉を蒔く場合は→ ● 黒弁柄漆(もしくは黒呂色漆)
■ 地塗りに関する詳しい解説はこのページの下部をご覧ください。
▸ 詳しい地塗りの解説
「はみ出さない」ように、かつ、「塗り残しが無い」ようにします。
とにかく「超・極薄」です!!
自分が考える薄さよりも「3倍くらい」薄く塗ってください。
塗り終わったら、「塗り残しがないか」を必ず「ルーペ・チェック」してください。
塗り残しがあると、そこには蒔絵粉が付きません (T_T)
悲劇です。
この時点で気が付かないと、蒔絵粉を蒔いた後、再度、その箇所だけタッチアップ(補修塗り)をすることになります。
▸ タッチアップのやり方
結構、面倒だし、仕上りがちょっと汚くなる場合があります。
必ず「チェックチェック」や!!!
■ 漆を半乾きにする
※ 初心者さんはやらなくて大丈夫です◎
湿し風呂(湿度:70~85%/温度:20~30℃ 前後の環境)に15∼30分くらい入れ、青息がかかる程度に半乾きにします。
塗った漆が「半乾き」状態の時に蒔いた方がいいと言えばいいのですが…。。
地塗りが「超極薄」にできていれば、直ぐに蒔いて大丈夫 ◎
■ 粉を蒔く〈下準備〉
使う道具 …下記のいずれか
① 漆塗りのお盆(30×30㎝以上がおススメ)
② クッキングシート(30㎝幅がおススメ)
③ 粉鎮(重石のこと)
粉入れ作業中に落ちた蒔絵粉を回収するために「粉盤」を用意します。
(↑“トレー”ってことです)
粉盤としては「漆塗りのお盆」や「ツルツルした紙(クッキングシートなど)」を使います。
- 要するにツルツルして、「蒔絵粉がくっ付かなければ」オッケーです◎
- クッキングシートも、さすがに消し粉くらい細かい粉になると、少しくっ付いてしまいます。
クッキングシートを使う場合は30㎝くらい出します。
粉盤(今回はクッキングシート)の上で消し粉の包み紙を開けます。
包み紙の両端に「粉鎮」(←重石のことです)を乗せて、紙を押えます。
粉鎮は何でもオッケーです◎
小さ目で、ある程度重量があるもの…
- ガラスもの、金属もの、石など
ただし、蒔いた粉が「粉鎮」の上にも降りかかることが多いので、「ツルツル系」のものがおススメです。
粉鎮がツルツルしていれば、粉入れ作業後に、粉鎮に着いた蒔絵粉を払い落として、回収しやすくなります。
■ こちがら「粉を蒔く下準備」の参考になる動画です↓
0:47~1:23まで再生
■ 粉入れ
使う道具・材料
① 真綿
② 消し粉
「消し粉」は通常「真綿」を使って蒔きます。
真綿を使って蒔絵粉を蒔くことを「綿蒔き」と言います。
真綿まわたは「絹=シルク」でできてます。
綿めん(綿花)でできた綿わたは使えません。(「脱脂綿」とかはダメです)
※ 使う真綿は「粉ごと」に分けてください。
例:金の丸粉3号用、銀の平極粉用、金の消し粉用…などなど、1種類の粉につき、真綿も分けてください。
※ 「あしらい毛棒」で蒔くこともできますが、このあとで説明するような「粉を倒す」作業と「微粉を絡め取る」作業ができません。
なので、消し粉を蒔く時は「真綿」の方がベターです◎
■ 消し粉を「あしらい毛棒」で蒔きたい場合は【「丸粉」の蒔き方ページ】を参考にしてください↓
やり方は同じです◎
それでは詳しく作業の解説をしていきます。
気合い入れろ!
① 真綿で粉を取る
「イチゴ(?)」くらいの大きさにまとめた「真綿」を使います。
真綿の中央を押し出すように摘まんで使います。
■ 詳しい【真綿の仕立て方ページ】↓
包み紙の中の消し粉に直接、真綿を付けて、掬い取ります。
真綿の押し出した部分に、「多目」に消し粉を付けます。
② 漆を塗った脇に粉を付ける
漆を塗った脇に、消し粉が沢山ついた真綿をポンっと軽く叩き、消し粉を落とします。
→ 塗った漆の脇に「蒔絵粉の山」ができます。
実際に↑こんな感じに真綿を当てて、消し粉を器の上に落とします。
③ 漆の中に粉を入れていく
器の上にできた「蒔絵粉の山」を、真綿を使って漆の上を「手早く通過」させます。
“粉の山”自体を真綿で押して、移動させる感じです。
真綿で消し粉を移動させながら、地塗りした漆の上を何往復もさせて、漆の中に蒔き詰められるだけ蒔き詰めます。
地塗りした漆の上を真綿が通過しているときは、「地塗りした漆」と「真綿」の間には常に「蒔絵の粉」が挟まれている状態なので、真綿は直接、漆に触れません。
実際は、↑このように真綿を「くるくる」と円を描きながら一気に手早く漆の上を通過させていきます。
漆の上を何度も通過させ、しっかりと蒔き詰めます。
※ 粉の蒔き詰め作業をしている間に、器に乗っている「消し粉の山」が少なくなってきます。
そうなると、真綿の繊維が直接、漆に付いてしまいます。
ですので、消し粉が少なくなってきたら補充して、真綿が漆に触れないようにします。
粉を蒔く時「ゆっくり作業」をしていると、粉の付き方に差ができて、仕上がりが凸凹しやすくなります。
ゆっくり粉入れ作業をしていると「すでに粉を蒔かれた箇所」と「まだ粉を蒔かれていない箇所」とにライムラグが発生します。
先に蒔かれた粉は、周りの漆を吸い上げてしまうので(微々たるものですが)、粉が厚く定着してしまいます。
先に蒔いた粉に漆を吸い取られた箇所は漆が薄くなっているので、蒔絵粉も薄くしか付きません。
すると先に蒔かれた箇所は粉が厚く付き、その周りは粉が薄く付く…というように、凸凹した粉の付き方になってしまいます。
■ こちがら参考になる動画です。
「包み紙から真綿で粉を取って」→「粉を器に乗せ」→「真綿をクルクル通過させながら、漆の上に粉を付けていく」までの作業です。
8:36~10:09まで再生
2:50~3:46まで再生
粉入れ時に気を付けたいポイントです↓
Poin 01
「真綿に付いている粉」を直接、漆に付けない。
- 粉の付き方に「厚い⇆薄い」が生じやすくなる。
- 真綿に漆が付きやすい。
→漆の付いた真綿で粉入れ作業を続けると、蒔いた粉を擦って引っ掻いてしまう。
「器の上に落とした粉の山」を真綿を使って移動させ、漆に着けていく。
Poin 02
地塗りした漆の上に消し粉を「掃き込んで、置きっ放しにしない」(掃き込んで盛り上げない)
→ 粉を盛り上げたまま置きっ放しにすると、粉が漆を吸い上げてしまい(毛細管現象?)、上に乗っかっている余計な粉までも定着させてしまう。
→ 粉の付き方に「厚い⇆薄い」が生じやすくなる
消し粉を、地塗りした「漆の上を一気に手早く通過させる」(漆の上に置きっ放しにしない)
→何往復も通過させる
地塗りした漆の上の、その時点で定着していない粉は払ってしまう。
(余計な粉が乗っていない状態にする)
④ もう一度、粉を入れる
3∼4分待って粉が沈んだら、もう一度、真綿を使って消し粉を蒔きます。
先ほどと同じ作業です。
多目の消し粉を地塗りした箇所の脇に付け、真綿をくるくると回転させながらその粉を移動させ、蒔き詰めていきます。
⑤ 粉を倒す
消し粉を2回蒔き、しっかりと漆の中に粉を蒔き込めたら、次にしっかりめに真綿を擦りつけ、「立っている」消し粉を「寝かせ」ます。
「消し粉」の形状が「平たい」ので、真綿で普通に蒔いた状態では「立っている粉」があります。
この立っている粉を「倒す」ために、気持ちしっかりめに真綿を擦りつけるわけです。
粉が立っている状態では当たった光が乱反射するので、「艶消し気味」に見えます。
粉が倒れてフラットになると光が正反射しやすくなるので、「(ほんの少しですが)光沢が上がり」ます。
⑥ 微粉を入れる
消し粉の入っている包み紙の上で、人差し指で真綿を叩いて「粗い粉」を落とします。
そのあと真綿に湿気を含ませた「息」を吐き掛けます。
湿気が加わった真綿で器の表面に残っている「微粉」を絡め取り、さらに擦りつけ、蒔き詰めます。
「消し粉」といっても、実際のところ「完璧に均一な大きさ」ではなく、その中には「微粉」も混入しています。
真綿でしっかりと擦っても、器の表面に薄っすらと残っている消し粉は、そういった「微粉」だと推測できます。
真綿に息を掛け、湿気を与えると、それらの微粉が絡め取りやすくなります。
※ 息を掛けた真綿で完全に微粉が絡め取れるわけではありません。
やっぱり「超・微粉」は残ってしまいます。
■ こちがら参考になる動画です。
「立っている粉を寝かせ」→「微粉を絡め取って、蒔き入れる」までの作業です。
8:36~10:09まで再生
2:50~3:46まで再生
■ 粉が付かなかった箇所のタッチアップ
蒔絵作業完了!
…と思ったら、、、粉を蒔いた所に「黒い点(もしくは黒い筋)」が見える…。
「これ、何だろう??」と思って、よーく見たら…「消し粉が付いてない」箇所!!!
蒔絵粉が付かなかった箇所…
- 塗り残しのせいで消し粉が付かなかった箇所
- 擦ってしまって消し粉が取れちゃった箇所
…の「タッチアップ=補修塗り」をします。
この「漆を乾かす前」の時点でタッチアップしておいた方が、仕上がりが綺麗になります。
が、「ちょっと怖い」「自信がない…」というようでしたら、「漆が乾いた後(粉を固める前)」におこなうのも有りです。
極細筆(蒔絵筆の場合は「黒軸根朱替り筆」)で漆をピンポイントに差します。
差し込む漆の厚みは地塗りの時と同じ「極薄」です。
かなり細かくてシビアな作業なので、ルーペ―で拡大しながら作業します。
「ルーペ片手に、覗きながら塗り作業」…って結構、やりづらいです。
ピンポイントに塗ります。
↑こんな感じです。
「極薄」です。
同じ蒔絵粉(今回は消し粉)を蒔きます。
蒔き方はこれまでと同様です。
修理箇所の脇に粉を落とし、そこから真綿で移動させていきます。
くるくる回しながら優しく撫で付けます。
蒔絵粉が付いてないかった個所に、しっかりと粉が埋まりました◎
■ 湿し風呂に入れる
湿度の高い場所に入れて漆を乾かします。
【漆が乾く最適条件】
前後の環境に置く
※ 最適条件より下回っても、少しゆっくりになりますが乾きます◎
漆の乾きに1週間~10日ほど待ちます
蓋を閉めて
湿度を上げてくださいね~◎
■ 蒔絵粉の後片付け
蒔絵粉の回収
真綿に絡みついている消し粉を、包み紙の上で、指で叩いて落とします。
粉盤(漆塗りのお盆やキッチンペーパー)の上に落ちた消し粉を真綿で絡め取って回収します。
息を吐きかけ真綿を湿らせると、微粉まで回収しやすくなります。
再度、包み紙の上で叩いて消し粉を落とします。
蒔絵粉の保存方法
作業が終わった真綿は「小さな容器」や「チャック付きの小袋」に入れて保管します。
真綿は捨てちゃダメです!真綿の中に意外と蒔絵粉が含まれているので捨てると勿体ないです。
繰り返し使ってください。
繰り返し使っているなか、知らず知らずのうちにちょっとずつ漆が付いてきちゃうと思います。
使っていて、「蒔いた粉を引っ掻いちゃう」場面が出てくるまで繰り返し使ってください。
100均で売っている4個セットの小さな容器に、真綿と蒔絵粉を一緒に入れて保管します。
もしくは、このように↑「チャック付きの小さなビニール袋」に入れて保管します。
「蒔絵粉」と「真綿」の両方とも袋に入れてもいいし、「真綿だけ」ビニール袋に入れてもオッケーです。
真綿だけ入れる場合は、他の粉を使った真綿と見分けがつくように、袋に「使った蒔絵粉の種類」を記入しておきます。
■ こちがら参考になる動画です↓
■ 「消し粉」の掃除・片付け動画
8:01~9:00まで再生
■ 「丸粉」の掃除・片付け動画
9:09~から再生
■ 粉が付かなかった箇所のタッチアップ
消し粉を蒔いた時点で「タッチアップ」をしなかった場合は、このタイミングで補修作業をしてください。
- 塗り残して消し粉が付かなかった箇所
- 擦ってしまって消し粉が取れちゃった箇所
…の「タッチアップ=補修塗り」をします。
■ 詳しくは上部の解説をご覧ください。
▸ タッチアップの解説部分
タッチアップした場合は、「湿し風呂」に10日間入れて、乾かしてください。
■ はみ出し箇所を修正
使う道具
① ルーペ
② 竹木砥
竹を削って作った「削りベラ」です。
これを「竹木砥たけきど」と呼びます。
「平竹串」からでも作れます。
㊧:竹の内側/㊨:竹の皮側
竹は「皮側」の繊維が「硬い」ので、皮側を残すように削ります。
㊧:竹の内側/㊨:竹の皮側
先端に行くにしたがって細くなるように削ります。
ただし、先っちょをあまり細く削り過ぎると、蒔絵を削っていて直ぐに摩耗してしまいます。
このへんの「塩梅」は実際に使いながら微調整していってください◎
「刃物」と同じで、使っていると先っちょが磨り減って、丸くなってきます。
そうすると蒔絵を削ろうとしても引っ掛かりが弱く、「ツルっ」と滑る感じになってきます。
その場合は、先端だけ削って鋭くしてください。
(鉛筆を削る感じです)
↑こういった「はみ出した箇所」を竹木砥で削ります。
かなり「厳密」な作業なので、ルーペ(虫眼鏡)を使うことをおススメします。
100均で売っているルーペでも結構、使えそうな気がします。
(使ったことはありませんが)
● ポケットルーペを使う
- 地塗りの塗り残しチェック
- 漆の塗り厚チェック
- 下地の凹み、ピンホールのチェック
…などなど、かなり頻繁に使います。
値段はピンキリですが、安いものだと¥500~くらいからあります。
購入する場合はレンズの径が大きめのものがおススメです。
僕は径36㎜と28㎜の2種類を使ってます。
竹木砥の先っちょでガリガリと削っていきます。
結構、簡単に削れてしまいます。
ですので、他の箇所をうっかり削ってしまわないように十分注意してください。
蒔絵の先端部分の形を少し丸く処理してみました。
少し柔らかな印象になったかと思います。
(微々たる影響ですが)
■ こちがら「蒔絵の修正作業」の参考になる動画です↓
9:00~から再生
※ 「漆の板」に蒔絵をしたものを修正している動画です↓
■ 完成!
乾いたらお終いです◎
※ 消し粉は漆で粉を固めたり、磨いたりしません。蒔きっ放しで完成です。
※ 平極粉についての手順はこちら↓のページをご覧ください。
▸【平極粉】の蒔き方
※ 丸粉についての手順はこちら↓のページをご覧ください。
▸【丸粉】の蒔き方
【蒔絵粉別の工程早見表】
オケオケ!
「消し粉」のやり方は分かった◎
…けど、丸粉・平極粉のやり方を
思い出そうとしたら
結局、他のやり方と
ごちゃごちゃになっちゃった~(T_T)
3歳児が覚えるには
まだ早い!
そんな君たちのために「早見表」を
ご用意しました~◎
金継ぎで使う場合の「消し粉」「平極粉(平粉)」「丸粉」の作業工程の比較を簡単にまとめておきます。
※ 詳しくは下の方でご説明しています。
※ 1μm=0.001mm、1mm=1000μm
工程 |
【丸粉】3号 | 【平極粉】 | 【消し粉】 |
粉の 特徴 |
・厚い |
・消し粉よりも厚い ・平たい |
・一番細かい ・薄い・平たい |
地塗りの 塗り厚 |
極薄 | 超極薄 |
超極薄 |
蒔き 時 |
直ちに蒔く |
青息(半乾き) |
青息(半乾き) ※ 極薄に塗れていれば 直ぐに蒔いてもオケ |
蒔く 道具 |
あしらい毛棒 |
真綿 | 真綿 |
乾き 日数 |
1~3日 |
1~3日 ※ 常時高湿度なら 1日でもオケ |
1週間~10日程度 |
粉 固め |
2回(もしくは1回) |
1回 ※ しっかりと拭き切る |
※ 粉固めしない 磨かない 蒔きっ放しで終了 |
乾き 日数 |
1週間 | 1週間 | |
炭 または ペーパー 研ぎ |
▲ |
× ※粉が薄いので研げない |
|
胴摺り 磨き |
〈鳴滝砥の粉など+油〉を付けて布などで磨く |
〈鳴滝砥の粉など+油〉を付けて指orゴム磨く ※ 粉も油も極少量! |
|
擦り 漆 |
1回 |
1回 ※ しっかりと拭き取る |
|
乾き 日数 |
1日 | 1日 | |
呂色 磨き |
〈呂色磨き粉+油〉を付けて指でちょちょっと磨く |
〈呂色磨き粉+油〉を付けて指でちょちょっと磨く ※ 粉も油も極少量! |
|
完成 |
中性洗剤+柔らかいスポンジで洗って完成 |
地塗り(蒔絵の時の漆塗り)
地塗りに使う漆の「色」
使う蒔絵粉の材質(金や銀)によって、「地塗り」の漆も変わります。
[使う粉の種類] | [地塗りの漆の色] | |
● 金粉/真鍮粉 ● 銅粉 …を蒔きたい場合 |
● 赤弁柄漆など |
|
● 銀粉/錫粉 |
● 黒弁柄漆や ● 白漆など (無彩色の漆) |
これが「基本」となります。
▪▪▪
● 地塗りの厚み
「超・極薄」に塗っていきます。とにかく薄くです。
かすれちゃいけませんが、そのくらい薄くという感じです。
プレパラートに塗ると向こう側が透けるくらい薄くです。
● 地塗りの手順
①「極細筆」で輪郭部分を括っていきます。
②「小筆」で内側を塗り潰します。
③ 全体に漆が塗れたら、最後、上下左右に小筆を通して、なるべく塗り厚を均一に揃えます。
地塗りの手順
▪▪▪
始めは「極細筆」↑を使用
㊧ 塗りの手順は「広い面」も「狭い面(線)」も同じです。
1.㊨ まずは「極細筆」で輪郭を塗っていきます。
キワキワまで塗り残しが無いように気を付ける。かつ、なるべくはみ出さない◎
ここからは「小筆」↑を使用
2.「小筆」輪郭の内側を塗り潰します。
とりあえず内側全体に漆を配ってしまいます。
3.㊧ 修理箇所の「短手方向」(例えば左→右)に小筆を細かく通す。
「隙間」が空かないように、「筆を通した跡」に少し被せるようにして次の筆を通す。
※ 下図を参照してください。
線が細過ぎて、「短手方向に」筆が通せない場合は無理せずスルーしてください。
(Ⓑの細い箇所)
4.㊨ 反対方向の短手側に筆を通す。
これら作業の際、「漆の塗り厚」がなるべく均一になるように意識して、筆を通してください。
ちょっと「漆の厚いところから、薄いところに移動させる」ような感覚です。
つまり、漆の表面を「撫でるように」筆を動かすのではなく、もうちょっと筆圧を上げる感じです。
「筆を通した跡」に少し筆を被せて通す…とは↑こうゆうことです◎
(伝わりますか??)
5.同様に「長手方向」にも筆を揃えて通します。
線が細過ぎて、「短手方向に」筆が通せなかった部分でも、「長手方向」になら通せることが多いので、できるだけ筆を通して、漆の厚みを均一にしておきます。
特に最後の「通し」では、「筆跡(筆を通した筋)」を消すような感覚で、撫でるような筆圧で通してください◎
この手順で塗っていきます。
【個人的なちょいメモ】
その①
【消し粉蒔絵(消し粉絵)】
■■■
模様を漆描きし、その乾燥の度合いを測って消し粉を真綿で蒔き付け、蒔き締めして、金色の模様をあらわす手法。
消し粉は非常に細かいため、早蒔きするをすると金粉の使用量も多くなり、発色も悪くなるし、乾き過ぎて蒔けば金粉が付着しなくなる。漆の乾きかげんを見分けるのが消し粉蒔絵のコツである。
その②
「消し粉」は「漆で粉固めをおこなわない」し、「磨きもしない」と書きましたが、実は「粉固め→磨く」やり方もあるようです。(ナント!)
↓会津(福島)のやり方なのでしょうか。
【磨き蒔絵(磨き絵)】
■■■平蒔絵の場合も、高蒔絵の場合も、消し粉をいくらか早目に蒔き付けて、よく乾かした後、数回擦り漆をして乾かし、鹿の皮などで磨いたもので、金色の光沢がよいうえ強靭である。
p111 日本漆工/会津漆器 No.389
消し粉を「いくらか早目に蒔き付け」…というのは、早めに蒔くことで、塗った漆の中に粉を沈めて「消し粉の厚み」を付けたい…ってことなんでしょうかね?
最後に「磨く」ので、その磨きに耐えられるだけの厚みを付けてこうという狙いなんでしょうか?
それから「鹿の皮などで磨く」とあるのですが、これは角粉や呂色磨き粉などの研磨剤を付けて磨くのか、それとも「鹿の皮だけ」で擦れば磨かれてしまうものなのか…。ちょっとわかりません。
研磨剤を付けて磨いたら、粉が簡単に研ぎ切れてしまうと思うのですが。かといって研磨剤なしで磨けるものなのか??ナゾです。
会津の職人さんに聞いてみたいです。
(誰か知っていたら教えてください。宜しくお願い致します!)
いや、実際に自分でやってみればいい…ってことですね (*_*)
本日の講義はここまでです◎
お疲れ様でした。