〈金継ぎTECHNIQUEシリーズ〉04 刻苧漆のつけ方・使い方パート2(大きめの欠け)

テクニック・コツ

※ 金継ぎ修理刻苧付けやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※このページでは「大き目」の欠けを成形していく方法を説明します。「小さ目」の欠けの修理の仕方はこちらを参考にしてください。 ▸ 刻苧漆のつけ方・使い方パート1(小さめの欠け)

 

step 01 刻苧漆を用意する

金継ぎの刻苧付けで使う道具と材料

まずは刻苧漆を作ってください ▸ 刻苧漆の詳しい作り方

 

 

step 02 サランラップをスタンバイする

まずはサランラップを用意します。

刻苧漆を盛る際にサランラップを使うので、ラップを小さく切る

  手ごろな小ささに切ります。はさみで切ってもいいし、手で切ってもオッケーです。今回は適当に5㎝×10㎝くらいに切りました。

 

step 03 ヘラで刻苧を盛る。

 それではサランラップを器の内側に当てます。そのサランラップを上から指で押さえます。指で押さえて防波堤を作る感じです。

器の外側から刻苧漆をヘラで盛っていく

 指で防波堤を作っている箇所に器の外側から刻苧を盛っていきます。少しずつ盛ります。

金継ぎの刻苧飼い作業ではヘラでしっかりと刻苧を欠け断面に密着させる

 刻苧を盛るたびに、上からヘラでしっかりと押さえます。押さえつけて器の断面と密着させます。

刻苧ヘラで刻苧漆を押し込む

器の内側でラップを押さえている指は動かさずに、防波堤の役目を果たしてください。

外側からの刻苧飼い作業が終了

 一度、サランラップを剥がします。

刻苧の外側はヘラで押し付けたのでしっかりと密着していますが、内側はまだ密着が甘いです。多分。

器の外側にサランラップを当てる

 今度は器の外側からサランラップを当てて、その上から指で押さえます。防波堤のごとく。

金継ぎの刻苧飼い作業では、器の内側からヘラで押し込んでいく

内側から刻苧をもりつつ、しっかりと欠けの断面に押し付けて密着させます。 

器の内側から刻苧をヘラで盛る

 モリモリ刻苧を盛っていきます。

 

step 04 サランラップを巻いて成形する

 

サランラップを器の外側から内側へと巻いて、刻苧を覆う

 サランラップを外側から内側にぐるっと巻きます。刻苧漆を覆います。

サランラップの上から刻苧を押さえて、圧力を加える

 親指と人差し指(中指でも小指でもオッケーです)の2本で刻苧を挟みます。
挟む圧力をかけます。さらに挟んだまま下へ(欠けの断面に向かって)も圧力をかけます。断面と密着するようにします。

金継ぎ修理の刻苧飼う作業ではサランラップを当てて、その上から指で押しつぶして圧力をかける

 挟む圧力と下へ押し下げる圧力の二つの圧力をかけて、刻苧同士と器の欠け断面との密着度を高めます。

大き目の欠けを刻苧で成形する時はそれほど「形のきれいさ」にこだわる必要はないと思います。というか、きれいに作るのはなかなか難しいと思います。
「きれいさ」にこだわるよりも、「強度」にこだわった方がいいと思います。しっかり密着させることです。

大きな欠けの刻苧飼い作業が終了。

 大き目の欠けの場合は2回に刻苧付けを分けたり、1回目の刻苧でベースの形を作って、あとは錆漆を盛ってきれいにしていく…というやり方でいいと思います。

無理して一発で仕上げる必要はありません。

金継ぎ工程の刻苧飼い作業が終了

一回目の刻苧付けはこんなもんでどうでしょうか?

金継ぎの刻苧付け作業が終わった。

 刻苧の乾燥には1~2週間くらいを見ていてください。特に湿した場所に置く必要はありません。