欠けた斎藤裕美子さんブルーカップの金継ぎのやり方 3/4 漆塗り後の錆漆やり直しまで

size19
  ファイツ!!

※ 口周りが欠けてしまったカップの金継ぎ(金繕い)修理
やり方を説明していきます。
本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります
ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに
「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい

油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。
その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

 

 

 

【 前回の作業工程を見る 】


 

 

▸ Page 02 / 錆漆の削り・研ぎまで

 

 

今回は金継ぎの工程のうち、
〈漆の下塗り~塗り後にやり直しの錆漆付け〉
までのやり方を解説していきます。

 

作業を始める前に…

 

私、初めてなんですけど、どんな道具とか材料を買えばいいんですか?
どこで買えるんですか??

 

↓ こちらのページを参考にしてください◎

 

 

▸ 本漆金継ぎで必要な道具と材料/そのお値段と買えるお店のご紹介

 

 

 

金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。
ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

STEP 01 漆の下塗り



 【 漆の下塗りで使う道具・材料 】   ▸ 道具と材料の値段と売っているお店


  • 道具: ② ティッシュ  ③ 小筆  ④ 蒔絵筆  ⑥ 練り竹ベラ ▸ 作り方  ⑦ 作業板 ▸ 作り方
  • 材料: ① エタノール  ⑤ 精製漆  ⑧ サラダ油

 

 

まずは筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

 

【 作業前の筆の洗い方 】

 

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しく押さえる

 

 

 

 

 

 

 

それでは金継ぎの漆下塗り作業に取り掛かります。

 

錆漆を削ってからペーパーで研ぐ

#400くらいの耐水ペーパーで研いだ錆漆に漆を塗っていきます。

 

 

筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。

 

  1. 漆のチューブの蓋を開ける。
  2. 作業板の上に少量の漆を出す。
  3. 筆に漆を馴染ませる。
  4. 作業板の上に何本か線を引き、漆の量を調節しつつ、
    含み具合をチェックする。

 

 

漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは
濾し紙で漆を濾してきれいにします。
必要な方はこちらをご覧ください。
 ▸ 基本的な漆の扱い方・濾し方

 

 

金継ぎの下塗りこうていでは漆を薄目に塗っていく

漆が厚塗りにならないように注意します。
作業板の上で筆の中の漆の含み具合を調節してから、
錆漆に塗っていきます。

 

錆漆の上に漆を塗っていく。はみ出さないようにキワまでしっかりと塗っていく

錆漆をついている面はすべて覆うように漆を塗ってください。
塗り残しのないように気を付けます。
赤点線部分の器とのキワを特に注意してください。

 

金継ぎの下塗りでは漆は気持ち厚目に塗っていく

塗ります。塗ります。

 

器の外側の錆漆も漆を塗っていく

器の外側も漆の塗り残しがないように注意しながら塗っていきます。
これで金継ぎの漆下塗り作業が完了です。

 

 

作業が終わったら湿度の高い場所(65%~)
に1~2日、置いて漆を硬化させます。

そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。
不思議な樹液ですね◎

湿度が高い場所…って、お風呂場にでも置けばいいんですか??

風呂場…でもいいのですが、風呂場って湿度が100%近くにまでなるので、
漆を乾かすにはちょっと「どぎつい」環境だと思います。
(漆は急激に硬化すると「やけ」「縮み」といった厄介な現象が
起こりやすくなります)

もうちょっとソフトな環境を用意してあげましょう◎
そう、実は漆は”やさしさ”で乾くのです。よ◎

 

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

 

湿度が保てる空間を用意します。

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

 

 

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

はい、大丈夫です◎
「段ボールなんてダサくて嫌!」という方は
↓のページを参考にバージョン・アップさせていってください。


▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

塗り作業が終わったら筆を洗います。
筆は油で洗います。(なんと!)

 

【 終わった後の筆の洗い方 】

 

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする
    (こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しく押さえる
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 最後に綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

 

※ 極々、ソフトに押さえるようにして筆の中の漆と油を
掻き出すようにしてください。
強くしごいてしまうと、筆の毛先が痛んで「カール」してしまします。

 

 

 

 

洗い終わった筆は付属のキャップを嵌めて保存します。
キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方は
こちらを参考にしてください。
 ▸ 筆のキャップの作り方 

 

 

 

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室

 

全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 

テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

 

  caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には
「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。
ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、
ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて
漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

 

 

 

 

STEP 02 漆の下塗り研ぎ



 【 錆研ぎ作業で使う道具と材料 】   ▸ 道具と材料の値段と売っているお店


  • 道具: ③ ウエス(ボロ布)  ④ はさみ(安物、使えなくなったものでオッケー)  ⑤ 豆皿(水を入れる容器)
  • 材料: ① 水  ② 耐水ペーパー (#600くらい) 

 

 

 

  1. ペーパー研ぎで使う道具たち
  2. ペーパーを1㎝×1㎝くらいの大きさにハサミで切る
  3. 三つに折る
  4. 少量の水を付ける

 

今回はなぜか乾燥させた木賊を使いました。
特に理由はありません。木賊は植物です。

 

塗った漆を研ぐ木賊を用意する

木賊です。昔からヤスリとして使われています。
今でも刀剣の鞘師さんなんかは使っているようです。

漆の世界で使っている人はいるのでしょうか?
今のところ私の周りで一人も出合ったことがありません。

 

金継ぎの漆を研ぐときの木賊

節のところでくねくね折り曲げてから、
ぽきんと千切ります。

 

漆を研ぐ前に水に浸して木賊を柔らかくしておく

水に浸けて柔らかくします。
柔らかくしないと折り曲げて使うことができません。

 

金継ぎの下塗り作業で塗った漆を研いでいく

前回の金継ぎの下塗り作業で塗った漆がしっかりと乾いています。

 

器の外側も漆がしっかりと乾いている。

器の外側もしっかりと漆が乾いています。

 

木賊を使うときは折り曲げて使う

柔らかくなった木賊を折り曲げて使います。

折り曲げて二重にした方が、平面精度が出せますし、
折り曲げ部分の先っちょを使って細かいところもピンポイントで研げます。
なかなか優れものです◎

 

器の内側欠け部分の漆を研いでいく

器の内側の欠けから研いでいきます。

 

金継ぎの漆研ぎ作業では木賊やペーパーで研いでいく

水を少し付けて研ぎます。前後左右に動かします。

 

研ぎの途中でウエスで汚れを拭き取って漆の研ぎ具合を確かめる

時々、研いだ汚れをウエスで拭きとって研ぎ具合をチェックします。
↑の画像ではまだまだ研ぎが当たっていません。
テカテカしている部分が研げていない箇所です。

なるべく平滑な面を作るように意識しながら研ぎます。

 

金継ぎの錆漆作業で処理しきれなかった凹みとピンホールがよくわかる

ひとまずこれくらいで漆の研ぎをやめることにしました。

どうも、錆漆の段階で「面」が凸凹していたり
ピンホールができていたようです。

漆を塗って、それを研いでみたときに
はっきりと症状がわかる場合も多いです。

こうなった場合、この後の行動としては2通りのアクションが考えられます。

  1. このままガンガン研いでいって平面を作る
  2. 漆を何回も塗り重ねる
  3. 錆漆付けにもどる

の2つです。いや、3つでした。
どれを選んだ方がいいかはケースバイケースです。

今回は凹みが少し深めで、しかもピンホールがあります。

「1.平面になるまで研ぐ」…
ではむしろ全体が凹んでしまいそうです。
ピンホールもどこまで深いかわからないので、
研ぎのチョイスはなしです。

「2.漆を塗り重ねる」…
は、この凹みを埋めるのに3,4回は塗り重ねないといけなそうなのと、
ピンホールがうまく塗り潰せないような気がします。
のでこれもなし。

ということで今回は「3.錆漆に戻る」です。

 

「えー!なんでえ―!も一回戻るの?やだー」と思うでしょう。
わかります、その気持ち。私もやです。

でも意外とこの方が早く事が進むのです。急がば回れなのです◎

錆付けに戻るといっても
凹んでいるところとピンホールだけ埋めればいいので
簡単です。

 

 

 

 

 

step 03 錆漆を付ける(追い錆)



 【 錆漆(ペースト)作業で使う道具と材料 】   ▸ 道具と材料の値段と売っているお店



 

錆漆さびうるし(ペースト)を作ります。

 

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

 ▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

 

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

 

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。
作ってから2~3日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、
残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

錆漆の作り方動画

 

錆漆さびうるしという細かいペースト状のものを付けていきます。

 

 

もう一度金継ぎの錆漆付け作業に戻る

がっくりしていないで作業に取り掛かりましょう。
大丈夫です。すぐに終わります。

まずは①のピンホールから埋めます。

 

ヘラの先端にのせた錆漆をほんのちょっと付ける

ヘラ先にちょっとだけ錆漆を取って、それで埋めます。

 

 錆漆はちょっとずつ付けていきます。

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)を
ヘラの先で少量取ります。

 

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

 

再び錆漆をヘラ先にのせて今度は凹んだ部分に錆漆をのせる

次に②の凹みを埋めます。
こちらはヘラにもうちょい多くの錆を取っておきます。

 

金継ぎの錆漆付けのやり直しでは凹んでいる部分だけに錆漆を付ける

凹みに錆漆を付けます。

 

器の欠け部分にのせた錆漆をヘラを使って左右に広げる

付けた錆漆を左右にヘラを通して凹み全体を埋めます。

 

金継ぎの錆付け方法ではヘラ先で隙間を埋めていく

凹み部分の錆漆がちょっと盛り気味になってしまいましたが
少ないよりかはいいです。
乾いたら削ったり研いだりできますので。

 

 

錆漆が乾くのを1~2日待ちます。

錆漆さびうるし(ペースト)はそれ自体に「水分」が入っているので、
とくに湿度のある「漆風呂」に入れなくても
しっかりと硬化してくれます。

けど、古い生漆や乾きの悪い生漆を使っていたり、
数日、取り置きしておいた錆を使った場合は
乾きが悪いかもしれません。
その場合は漆風呂に入れて、湿度を与えてください。

 

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

 

湿度が保てる空間を用意します。

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

 

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

はい、大丈夫です◎


▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

 

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室

 

全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 

テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

 

  caution ! 

厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には
「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。
ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、
ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて
漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

この後は通常の金継ぎ工程に戻ります。次は漆の塗りです。

 

 

 

【 次の作業工程に進む 】


 

 

 ▸ Page 04 / 蒔絵完成まで 

 

 

他の修理工程を見る

 

 

 

 
 
 
 

<番外ヘン> 金継ぎについてちと気になったこと


「字通」の白川先生が提唱した「サイ」説。

私たちが「『右、吉』などの字に含まれている『口』という形を、人の『口』だと考えてきたが、それは間違いで神への祈りの文である祝詞を入れるの形の(さい)をあらわしたものである。

そして、中国の殷での占い(ウィキペディアより)

骨・甲羅などの裏側に小さな穴を穿ち、熱した金属棒(青銅製であったといわれている)を穴に差し込む。しばらくすると表側に卜形のひび割れ が生じる。事前に占うことを刻んでおき、割れ目の形で占い、判断を甲骨に刻みつけ、爾後占いの対象について実際に起きた結果が追記された。その際に使われ た文字が甲骨文である。

ひびや割れ目を異界や天からのメッセージとして読み取る。

この二つを考えると(特に白川先生のサイ説)、器のひびや割れ目に何かのメッセージを読みだそうとするのは人間の抗いがたい本性的な行いのような気がしてきます。古代中国でもそうだったのですから。

 

 

 

 

Pocket