「新うるし錆」です。聞いたこと無い…と。はい。そんなものありません。でもぜひ作ってみてください。
「ほんのわずかな隙間」問題、これで解決です!(きっと。希望込みで)
懸案事項だった「ほんのわずかな隙間、段差、極小の穴」問題、これまでエポキシペーストを作って、それで対処してくださいとお願いしていたのですが、イマイチうまくいかないケースもありました。
エポキシペーストを刃物で削るときにガバッと取れてしまうことが多く、これが問題でした。エポキシのゴム質っぽい粘り気が原因なのか、うまく削れませんでした。
新うるし錆なら削るときそんなことはありません。サクサク削れます。粘りっ気なし。
ただし新うるし錆は【極薄付けのみ】の使用となります。これ、メチャクチャ重要ですのでご注意ください。
現段階で私が考えているのは
穴、欠け、段差の深さ | 使う素材 |
3㎜以上 | エポキシパテ( ▸ パテの使い方 ) |
2㎜くらい | エポキシペースト( ▸ ペーストの使い方 ) |
1~2㎜ |
新うるし錆を2回に分けて ※ エポキシペーストの方がいいかもしれません。 |
1㎜未満 | 新うるし錆を1回 |
新うるし錆で使う道具と材料
使う道具と材料
- 道具: ③ 練り箆 ④ 作業板
- 材料: ① 砥の粉 ② 新うるし(今回は白色)
砥の粉、持ってますか?…無いですよね。どうしましょうか?
ハンズの金継ぎコーナーに〈 砥の粉 ¥250/100g 〉で売っていました。ご購入いただけますか?
もしくは、もしかしたらシッカロールでもいけるかもしれません。シッカロールの成分に問題はないと思います。まだテストしていないので、今度試してみたらまたこのページに追記しておきます。でもシッカロールを買うなら砥の粉の方が安いですね。家にシッカロールがあればということで使ってみましょうか。
水、テレピンは使用しない方がいいと思います。
厚盛り厳禁!! 1㎜厚未満が無難です。1㎜でも厚くて乾きが悪いです。 2㎜以上だと極めて乾きが悪くなりました。そのうち乾くかもしれませんが。
基本的には「新うるし錆は」厚くなった場合、乾きが悪い…と思っておいた方がよさそうです。
中途半場に深い段差などは「薄目の新うるし錆を2回に分けて盛る」
2回に分けた方がはるかに作業が早くできると思います。
0.7㎜厚(私の勝手な目視で)丸一日経っても乾いていません。2㎜厚くらいでテストした時、1週間経っても乾いていませんでした。(こりゃダメだと思って捨ててしまいましたので、その後乾くのに何週間かかったのかわかりません。捨てちゃダメですよね~)
新うるし錆の作り方
砥の粉を作業板の上に少量出します。
練り箆で砥の粉を潰します。
本漆金継ぎで使う「錆漆」と違って水は使いません。
水を使ったテストをしましたが、具合がよくありませんでした。
砥の粉の横に新うるしを少量出します。
この比率はまだ確定していません。済みません。
どのくらいの比率で混ぜ合わせるのが使いやすいのか探っています。
ひとまず暫定的に
新うるし 7:10 砥の粉
とさせてください。
少量の新うるしをヘラで取ります。
しっかりと砥の粉と練り合わせます。
さらに1/4くらいの新うるしをとって砥の粉に練り合わせます。
さらに。
こんな具合でいかがでしょうか?
ちょっと緩いかもしれませんね。もう少し砥の粉の比率が多い方がいいかもしれません。
新うるし錆は硬化が早いです。
すぐに粘りが出てきて扱いづらくなりますので、新うるしは余分に出しておいて、それを適宜混ぜて錆を緩めます。
テレピンは混ぜない方がいいと思います。テストしてみたところ乾きが極めて悪くなりました。
まだまだ確信をもってお薦めするところまではいっていないところが申し訳ないのですが、いかがでしょうか?
簡易キンツギストの皆様の一助になれば幸いです。
新うるし錆の扱い方
作業板の上で新うるし錆を薄く伸ばします。なるべく均一の厚みで。
付け箆(小さい箆)を使って、伸ばした新うるし錆の横から滑り込ませます。
ズズッと横断させます。
ヘラの先っちょに新うるし錆が付きました。
これを段差や溝にピンポイントで付けていきます。
新うるし錆を使ったケース
パテが入り込まないような隙間やパテでは埋めづらいほんのわずかな段差を埋めます。
厚盛り厳禁です。超薄付けでお願いします。1㎜厚未満です。
24時間後、0.5㎜厚くらいの場所はカリッと乾いていたのですが、1.0㎜厚に近いような箇所はちょっと乾きが悪かったです。
ということで新うるし錆はとにかく「超薄付け」をおススメします。
新うるし錆が乾きました。
乾く時に新うるしに含まれる溶剤が揮発して、「痩せ」ます。
↑画像、ちょっと凹んでいますね。これを修正するにはもう一度、新うるし錆を付けるか、もしくは新うるしの「塗り」の方を重ねていくか。
新うるしは少し厚塗りができるので、私は「新うるしの塗り重ね」をおススメしたいと思います。
新うるし錆が乾いたら彫刻刀で削ります。
本漆金継ぎの錆漆と同様にサクサクと削れます。(錆漆よりちょっと「弱い」感じがしますが、まぁ、しょうがないですよね)
削り終わったら、耐水ペーパーの#400~600くらいで水研ぎを行い、表面を滑らかにします。
完了です。
「新うるし錆」、いかがだったでしょうか?使えそうですか?
試していただいて各々改良していっていただけたらと思います。
金継ぎ図書館でもテスト、カイゼンをしていきたいと思います。
クオリティーを高め、またそのうち「新うるし錆の作り方/改訂版」を出したいと思います。
もう少し充填剤を厚く盛りたい場合
- 厚盛りしたいときはエポキシパテ( ▸ パテの使い方 )
- ちょい盛りしたいときはエポキシペースト( ▸ ペーストの使い方 )