「合成接着剤」や「合成うるし」を使った【簡易(簡単)金継ぎ】のやり方を説明していきます。
本物の漆は使っていませんのでご注意ください。
今回は簡単金継ぎの工程のうち、〈エポキシパテを削る~新うるしで上塗り・完成まで〉のやり方を解説していきます。
前回の作業を見たい方は↓こちらのページをご覧ください。
〈step 05〉パテ削り
道具:下記のいずれか
① 〈平丸〉の彫刻刀
② 〈平〉の彫刻刀
③ 〈カーブ刃〉のカッター
④ 普通のカッター(大)
※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
初心者さんには「障子用のカーブ刃」のカッターが扱いやすいかと思います。
替刃式なので、切れ味が落ちたら刃を変えられますし◎
「普通のカッターナイフ(大)」も100均で購入できるので、できれば「障子用カッター&普通のカッター」の二刀流で作業してもらえたらはかどると思います。
刃物を砥石で研ぐことができる方におススメの刃物は「平丸」の彫刻刀です。かなり作業が楽にきれいに、さらには楽しくできます。(言い過ぎかしら)
▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ・ページ
前回、盛ったパテを刃物で削っていきます。
器の凹んでいる曲面部分は彫刻刀の「刃表」を使って削っていきます。
削りすぎないように少しずつ慎重に削っていってください。
器の「平面」になっている箇所を削るときは彫刻刀の刃裏を使います。
削り作業が終わりました。
イマイチ綺麗になっていませんね。
細い隙間などパテでは埋めづらかったところを次の作業で埋めていきます。
〈step 06〉新うるし錆付け
道具:
③ 付けベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
③ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
④ 作業板(クリアファイルなど)
材料:
① 砥の粉
⑧ 新うるし(今回は「白色」)
⑥ ペースト状のパテ
(現在の考えとしては↑これを使った方がいいと思います。2020-04-04)
※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧を↓こちらのページにまとめました。
今回は細い隙間や凹みを埋める素材として、「新うるし錆」でやってみたいと思います。
新うるし錆とは「新うるし」と「砥の粉」とを混ぜたペースト状のものです。
詳しい「新うるし錆」の作り方の説明ページ↓
このちょっとした隙間、ちょっとした段差を「新うるし錆」で埋めていきます。
新うるし錆を付けるときのヘラの使い方です。
- 作業板の上で錆漆を薄く均一に広げる。
- ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
- 右側から左側へ通す。
- そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。
ヘラ先に新うるし錆をとります。
取っ手の接着した隙間の部分に新うるし錆を置いていきます。
ヘラを横スライドさせながら新うるし錆を付けます。
「スライド」です。
初めはうまくつけられなくても、何個もやっているうちに気持ちよくスライドできるようになってきます。うまくスライドできなくても別に構いませんので、どんどん付けていってください。
一定範囲に新うるし錆を置いたら、今度はそれを溝に入れていきます。
まずはヘラを接着ラインに沿って通します。新うるし錆を均一に均します。
今度は接着ラインに対して「直角」にヘラを通します。小刻みに通していきます。
わずかな隙間の中に新うるし錆が入り込むようにします。
その後、反対方向にもヘラを通してください。
最後に新うるし錆の表面を均します。
取っ手周りの新うるし錆付け…難しいですね。
新うるし錆の扱も、乾きが早かったりで、まだ慣れていません。周りについた錆を掃除する余裕もありませんでした。
でも今回の修理物件はツルツルしているので、錆が乾いた後でもすぐに取れます。
新うるし錆の扱で要注意点としましては、「厚盛り厳禁」です。
1㎜厚未満 でお願いします。少しでも厚くなると乾きが異常に悪くなります。
少しでも厚くしたい場合は新うるし錆を2回に分けて盛ってください。
※ 現在(2020-04-04)の考えとしては市販の「ペースト状のパテ」を使った方がいいと思います。
新うるし錆の乾きに2,3時間~2日待ってください。
付けた厚みによって乾きが全然異なります。ご注意ください。
〈step 07〉新うるし錆の削り・研ぎ
道具:下記のいずれか
① 〈平丸〉の彫刻刀
② 〈平〉の彫刻刀
③ 〈カーブ刃〉のカッター
④ 普通のカッター(大)
※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
初心者さんには「障子用のカーブ刃」のカッターが扱いやすいかと思います。
替刃式なので、切れ味が落ちたら刃を変えられますし◎
「普通のカッターナイフ(大)」も100均で購入できるので、できれば「障子用カッター&普通のカッター」の二刀流で作業してもらえたらはかどると思います。
刃物を砥石で研ぐことができる方におススメの刃物は「平丸」の彫刻刀です。かなり作業が楽にきれいに、さらには楽しくできます。(言い過ぎかしら)
▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ・ページ
新うるし錆が乾きました。
↑画像ですが、隙間の分部が少し凹んでいます。
新うるしが乾いていく過程で新うるしを希釈していた成分が揮発して痩せたのだと思います。
しっかりと綺麗な「平滑面」で仕上げたいとお望みの方はもう一度、新うるし錆を付けた方がいいです。
ちょっと面倒かもしれませんが、結局はそうするのが一番よいです。
それでは錆がしっかりと乾いたので刃物で削っていきます。
いつもは彫刻刀の「平丸」だけ使っていたのですが、今回はそれだけではちょっと無理でした。
取っ手の付け根は小さめの「丸刀」(3㎜幅)を使いました。
削りすぎないように、少しずつ削っていきます。
周りについている新うるし錆は彫刻刀の平丸でコリコリ取っていきます。
簡単に剥がれます。
平丸で削れる部分はなるべく平丸でやります。
彫刻刀でなるべく綺麗に成形してしまいます。
周りに付いた新うるし錆もなるべく刃物で除去してしまいます。
次に耐水ペーパーで研いでいきます。
道具:
③ ウエスまたはスポンジ ④ はさみ(切れ味の落ちたもの)
⑤ 豆皿(水入れ用) 〇 水桶
材料:
① 水差し
② 耐水ペーパー(今回は#600)
※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
耐水ペーパーは小さく切って使います。
切れ味の落ちたハサミで、耐水ペーパーを1×1㎝くらいに小さく切ります。
それを「三つ折り」にします。
ペーパーに水を少量つけながら研ぎ作業をおこなってください。
彫刻刀の削り跡を消すような感じで研いでいきます。
時々、ウエスで研ぎ汁を拭き取って、いろいろな角度からチェックします。
平滑なラインが器の方に繋がっているか確かめます。
研ぎ作業が完了です。
本当はもう一度、新うるし錆を付けた方がよいです。が、今回はこのままでいってみたいと思います。
↑ちょっと凹んでいます。
ファイツ!!
〈step 08〉新うるしの塗り
道具:
① サラダ油 ② ティッシュ
③ 作業板(クリアファイルなど)
④ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
⑤ 小筆 ⑥ ゲル板
材料:
⑦ テレピンもしくは薄め液
⑧ 新うるし(今回は「ゴールド色」)
※ 簡易金継ぎで使うおススメの道具・材料一覧(購入先も)を↓こちらのページにまとめました。
※ チューブを使い始める前にぜひ、見ておいて欲しい!
「使っているうちにチューブの蓋が固まって開かなくなる問題」につての解決方法↓
まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
▸ 〈使用前〉の洗い方ページ ‣〈使用前〉の洗い方動画
毎回、作業が終わったときに筆を”油”で洗っているので、使うときにはまず筆の中の油を取り除きます。
① 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
② その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
③ ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。
※ ティッシュの上じゃなくて「ゲル板」↓の上でやった方が筆の痛みが軽減されるので、現在はゲルを使うことをおススメしています。
続いて新うるしを塗る準備をします。
1⃣ 作業板の上に少量の金属粉をヘラで取り出します。
2⃣ 新うるしも少量だけ作業板の上に出します。
3⃣ ヘラでよく混ぜ合わせる。
作業板の上で何本か線を引いて、筆に含まれる新うるしの量を調整します。
塗りに入ります。
特に注意点はないのですが、厚くなり過ぎないように気を付けて塗ります。
厚いと乾きが異様に遅くなります。
今回の器はすごくツルツルした表面なので、新うるしの食いつきがかなり悪いです。
ですので、はみ出した新うるしは結構、取れやすいと思います。
けど、どうしたってはみ出しますよね。しかも「新うるし」は細い線が描きづらいです。
新うるしは硬化が早いのでなるべく手早く塗っていってください。
もし、塗る面積が広くて、描いている途中で新うるしに粘り気がでてきてしまいましたら、テレピン(もしくは専用の薄め液 )を混ぜて緩めてください。
- 新うるしの横に1,2滴テレピンを垂らす。
- ヘラでテレピンを掬う(”濡らす”程度)。
- それを新うるしに混ぜる。
ただし、テレピンを何度も混ぜているとどんどん新うるしの濃度が低くなってしまいます。
「薄くなりすぎたかな…」と思ったら、新たに金属粉と新うるしを混ぜ合わせたものを作り直してください。その方がきれいな仕上がりになると思います。
ひび部分にも新うるしを塗っていきます。
線が太くなってしまいました。新うるし…難しいぜ…。
使い終わったら油で筆を洗います。
① 筆に油を含ませて、作業盤の上で筆に馴染ませる
② ティッシュの上(ゲル板の上の方がベター)に筆を置き、ヘラで優しくしごく
※ ティッシュの上じゃなくて「ゲル板」↓の上でやった方が筆の痛みが軽減されるので、現在はゲルを使うことをおススメしています。
筆は付属のキャップを嵌めて保存します。
キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに簡単なキャップを作るページありますので、ご覧ください。
▸ 筆のキャップの作り方ページ
新うるしの表面は何時間かで硬化しますが、しっかりと固く「締まる」までには2~3日を見ておいた方がいいと思います。
とくに「厚塗り」した時は乾きが遅くなります。1週間くらい待つ感じでしょうか(いや、もっとかも)。
使い出すまで、ちょっと辛抱してください。(新うるしの”匂い”が取れるのに数日かかりますので、どのみち待ちたくなると思います)
簡単金継ぎ完成!
パテ(粘土状の固形のもの)では充填しづらい「細い隙間」とか「わずかな凹み」などに充填する素材として「新うるし錆(新うるし+砥の粉)」「エポキシ錆(接着剤+砥の粉)」「エポキシペースト(パテ+接着剤)」などを、これまで試してきました。
が、「ペースト状のパテ」が市販されていたんですね!!知りませんでした(涙)
こちらの商品↓をちょっと使ってみた感じ、好感触でしたので、お奨めします◎