《本漆/簡漆/簡易》金継ぎの比較とメリット/デメリット

 

size19 ども!

金継ぎに3種類?それって何ですか??

 

な!
「金継ぎ」っていろいろな種類があるの??

いや、本来は1種類よ!
「本物」は一つだけ◎

そうなんです。
「本物の金継ぎ」は一つなのですが、近年に合成塗料とか接着剤を使った「なんちゃって金継ぎ」が2種類増えたので、合計すると金継ぎは「3種類ある」ってことになっています。

 

修理する際に「使う素材」の違いによって、下記の3種類に分けられます。

 種類   使う素材 
本漆ほんうるし金継ぎ

「本物の漆のみを使う伝統的な金継ぎのやり方
※ 漆の木から採れる天然の樹液

簡漆かんしつ金継ぎ

合成樹脂」と「本物の漆」とを併用する現代的なやり方

簡易かんい金継ぎ

「合成樹脂のみ」を使う一番お手軽・簡単なやり方
※「塗り」には「釣り具用の塗料」を使います

※ 「本漆金継ぎ」が「本当の金継ぎ」で、「簡漆/簡易金継ぎ」は「なんちゃって金継ぎ」です。
世間で一般的に「金継ぎ」という言葉が使われるときは「本漆金継ぎ」のことを指します。

 

 

ええい!
そんな「パッチもん金継ぎ」なんて
ダサいから、鳩さんはやりたくないぞ~!

鳩さんは「本物の金継ぎ」しか認めないお立場のようですが(まさかの本物志向!?)、最近は「パッチもん金継ぎ」も意外と流行ってます

 

本来は…
「本物の漆」を使って壊れた器を修理することを「金継ぎ(漆継ぎ)」と呼ぶ
…ので、「3.簡易金継ぎ」は金継ぎとはいえません。
(「2.の簡漆金継ぎ」も微妙なところですね)

 

とはいえ、もし「3.簡易金継ぎ」の呼び名を…

【樹脂継ぎ】
▪▪▪

壊れた器を〈合成樹脂〉と〈釣り具用塗料〉で直す、現代的な修理法!!
※ 合成樹脂しか使わないので、本物の漆で直すより、断然お手軽!カブレないよ(^_^)

…と改名させちゃったら、
「え!?合成樹脂しか使わない?…それって嫌だな~(’з`)」
って世間が気が付いて、誰もやらなくなりますよね。

そうなるとこの修理方法で「金継ぎ師」と名乗っている人の商売が立ち行かなくなっちゃいます。(何も知らない素人さんを「騙している感」はありますけど)
可哀そうですよね。

そういうことで、地道に「本物の金継ぎ」を守ってきた「本物の金継ぎ師」さんたちも声高に「”金継ぎ”っていう言葉を使うな!!」と抗議するでもなく、見て見ぬふりをしてあげている…というのが金継ぎ界の現状といったところです。

 

 

3種類の金継ぎの比較

 

業界内の論争と、
「使っている素材が違う」というのは分かりました。

他に違いって何かあるの??

 

 

「修理の作業手順」自体は3つともほぼ一緒です。
が、「本漆/簡漆/簡易」の金継ぎ方法それぞれによって、違いがあります。

 

まずは
① 作業工程ごとに使う素材
が違います。

それから、代表的な違いとして下記の項目が挙げられます。

② 食器として使う際の安全性
③ カブレるリスク
④ 素材/道具の値段
⑤ 修理に掛かる時間
⑥ 技術/知識的な難易度
⑦ 伝統文化への貢献度
⑧ これから未来への可能性

 

それでは、それぞれを詳しく比較していきましょう◎

作業工程ごとの使う素材の違い

 

まずは、それぞれの修理方法が「作業工程ごと」に、どういった素材を使うのか?を軽くご説明します。

 

金継ぎの
 種類 
 接着で使う 
 材料 
 穴埋めで使う 
 材料 
 塗りで使う 
 材料 
本漆
金継ぎ
本物の漆
+
小麦粉
本物の漆
+
小麦粉/木粉
または
砥の粉
本物の漆
簡漆
金継ぎ
エポキシ
接着剤
または
瞬間接着剤
エポキシ
パテ
本物の漆
簡易
金継ぎ
エポキシ
接着剤
または
瞬間接着剤
エポキシ
パテ
釣り具用

合成塗料

…安全 …口を付けるのは不適合

 

 

【本漆金継ぎ】


漆の木から採取した本物の漆と小麦粉、木を砕いた粉、細かい土の粉などを用いて修理します。
オール・自然素材だけを使って修理する、本物の伝統的な金継ぎです。

 

【簡漆金継ぎ】


接着作業や穴埋め作業は合成樹脂を使います。
最後、表面の「塗り」だけは「本物の漆」を使います

現代になってやられるようになった「なんちゃって金継ぎ」です。

 

【簡易金継ぎ】


接着作業から穴埋め、最後の「塗り」作業までオール・合成樹脂を使います
最後の「塗り」で使う「新うるし」などの合成うるしは、釣り具用塗料として開発されたもので、(商品名に「うるし」を使っていますけど~)「本物の漆」ではありません

最近になってやられるようになった「パッチもん金継ぎ」です。

「新うるし」について詳しく知りたい方は↓こちらの記事をご覧ください。
‣「新うるし」って何?安全なの??

 

食器として使う際の安全性

【食器用修復素材としての安全性の高さ】
 ※ カブレやすさとは違います。

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

簡易金継ぎは安全性が低いです。

安全性!?
 
って、安全性に不安があるの??
それって器の修理に使って大丈夫???

「本物の漆」だけを使っている「本漆金継ぎ」はもちろん大丈夫◎
 
だけど、「新うるし」を使っている「簡易金継ぎ」は…
微妙です~

 

 素材   安全性 
本物の漆

古代から器に塗られてきたので、その安全性は実証済み
※ 漆が塗られた縄文土器も出土されています。

合成うるし
(新うるしなど)

商品の裏書には…
「本品は毒性の強い物質ではありませんが念の為食器等口に含む恐れの有る物に塗装しないでください」…と書かれています。

そうなんです。実は新うるしなどの合成うるしは「口をつけるような食器に塗らないでね」って書いてあるのです。

 

ですので…

【簡易金継ぎ】 1.0


・ 接着、穴埋めに合成樹脂素材を使い、さらに表面塗装に合成うるしを使う「簡易金継ぎ」については、正直「安全性が低い」と言わざるを得ません

・新うるしなどの合成うるしの塗膜強度が本物の漆と比べると劣る感じがします(個人的な実感に過ぎませんが…)。
塗膜の耐摩耗性が低い場合、使っているうちに下地のエポキシパテやエポキシ接着剤が表面に出てきてしまいます。これらの素材は「口を付けるのは不適合」な素材です。

以上を踏まえると、「簡易金継ぎは安全性が低い」という結論になります。

 

【簡漆金継ぎ】 3.5


「簡漆金継ぎ」については、「接着作業」や「穴埋め作業」で使っている素材は安全ではありません(口を付けるのは不適合)が、「塗り作業」で「本物の漆」を使って接着剤やパテをコーティングしてしまいます
ですので、「比較的、安全性が高い」と言えると思います。

とはいえ、漆塗りの時に「塗り残し」があったり使用しているうちにだんだん漆が剥げてきて、下地のパテや接着剤が表面に出てきた場合、それらの素材に「直接、口を付ける」ことになりますので、結果、簡漆金継ぎも100%安全とは言えません

 

【本漆金継ぎ】 5.0


安全が実証済みの「本物の漆」を使っていて、接着、穴埋めにも、一切、合成樹脂を使っていないので、本漆金継ぎはぶっちぎりで安全な修理方法だと断言できます◎

ちなみに、金継ぎ図書館では「合成うるし」の扱いについて以下の使い方をおススメしています。

合成うるしで壊れた器を直してもOK!

ただし、「合成うるし」を使って直した(簡易金継ぎ)器は直接、修理箇所に口を付けない使い方を強くおススメします。

 例えば 
・食器として使わない(大切な思い出の品として飾っておく・小物入れとして使う)
・食器として使う場合は「乾きもの」を入れる程度の使い方に限定する(菓子器として使うとか)

金継ぎ図書館ではこのような使い方を前提にして、「簡易金継ぎのやり方」を解説しています。

 

「合成うるし」の安全性については↓こちらのページに詳しく書きましたので、ご覧ください。

 

 

カブレるリスク

【カブレるリスク】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

 

【本漆金継ぎ】 5.0


「本物の漆」を使っているので、3つの金継ぎ方法の中で、カブレるリスクが一番高いです。

「カブレ」は純粋に個人的な「漆との相性」(体質)だと言えます。
(「花粉症」などのアレルギー反応と同じということなんでしょうか?)
・全くカブレない人
・時々、ちょっとカブレる人
・しょっちゅう酷くカブレる人
まで、いろいろな人がいます。

漆に弱い人は(漆との相性が悪い人は)ゴム手袋などで完全防備していても、カブレる場合があります。
(コワイですね~)

ちなみに、長年、漆を扱っているとだんだんカブレなくなってきます

 

「漆カブレ」について詳しく知りたい方は↓こちらのページをご覧ください。

 

 

【簡漆金継ぎ】 3.0


「本漆」を扱うのは「塗り」のときだけなので、本漆金継ぎに比べるとカブレのリスクは格段に低くなります。
とはいえ、本物の漆を扱う以上、カブレるリスクはあります。

 

【簡易金継ぎ】 1.0


「新うるし」などの合成うるしでカブレる人は「ほとんどいない」と考えていいと思います。
本物の漆は使っていないので、そりゃそうですよね~◎

※ 僕はこれまでで、1人だけ、ごく軽くカブレた人に出会いました。

 

 

材料/道具の値段

【材料に掛かる費用】

本漆金継ぎ≒簡漆金継ぎ≒簡易金継ぎ

…となります。

「漆=高価」というのが一般的なイメージだと思いますが、実は「合成うるし」とほぼ等価なのです。

本物の生漆…1g=¥28-(40g=約¥1,100-)
合成うるし…1g=¥30-
(10g=約¥300-)

 

なっ!?
びっくし!!

他の使う材料といえば…
「砥の粉」「木粉」「エポキシ接着剤」「エポキシパテ」etc.…
…などなどになりますが、価格はほとんど変わりません。

 

「本当の金継ぎ」って「本物の金粉」を使わなくちゃいけないから、その分、やっぱり材料代が高くなるんじゃないの??

なるほど、それも一般的なイメージかと思います。

実は「本漆金継ぎ」の仕上げに「本物の金粉」を使う必要は必ずしもありません。
金粉の代わりに簡易金継ぎで使っているような「真鍮粉(金色の金属粉)」を使ってもオッケーなのです。

そうなると、どの金継ぎ方法でも材料費という点では掛かる費用は同じになります◎

 

ナルホドね~。
 
でもさ、「材料代」は同じだとしても、
「道具代」はやっぱり「本漆金継ぎ」の方が高いんじゃない??
 
本漆金継ぎは「本格的な道具」を使わなくちゃいけないんでしょ?

なるほど、ナルホド。それも一般的なイメージですよね。

これも金粉の時と同様の答えになるのですが、「本漆金継ぎ」だからといって、「本格的な道具」を揃える必要はありません。

オール100均で集めた道具で作業したって、何ら問題は無いのです◎

 

 

修理に掛かる時間

【修理に掛かる時間】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

簡漆/簡易金継ぎは1日で出来ちゃいます。
本漆金継ぎは1週間~1カ月程度かかります。

 

【本漆金継ぎ】 5.0


通常、1週間~1カ月程度かかります。

ただ、この「期間」の中には「乾き待ち」といった何もしない時間(放っておく時間)も多く含まれます
さらに、「修理期間が1週間」といっても、毎日ぶっ通しで作業するわけじゃなくて、1日の作業時間は30分~1時間程度だったりすることがほとんどです。

 

例えば「小さな欠けの修理だったら1週間かかる」といった場合の作業時間の内実は…


1日目:作業時間15分
2日目:作業時間30分
3日目:漆の硬化待ちで放っておく(作業時間0分)
4日目:作業時間30分
5日目:漆の硬化待ち(作業時間0分)
6日目:作業時間30分
7日目:漆の硬化を2日間待って完成


合計作業時間:1時間45分

「実働時間」はかなり少ないのです。

これら実情を踏まえた上で下記の「修理期間」を見ていただけたらと思います。

・大き目の欠け:2~3週間
・割れた器:1カ月
・ヒビの入った器:2日
…といったところでしょうか。

 

【簡漆金継ぎ】 2.0


1日でできます

ざっくりとした仕上がりでも構わないのであれば…
・欠けた器:1.5時間
・割れた器:4~5時間
・ヒビの入った器:1時間
…程度で、出来ちゃいます。

 

【簡易金継ぎ】 1.0


1日で出来ちゃいます

大雑把な仕上がりでも気にしないのであれば…
・欠けた器:1時間
・割れた器:3~4時間
・ヒビの入った器:30分
…で、出来ちゃいます。

早いです◎

 

 

技術/知識的な難易度

【技術/知識的な難易度】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

 

【簡易金継ぎ】 1.0


※ カレーで言ったらレトルトの「カレーの王子様」で作るカレーライスのレベル。

画像元:Amazon

レンジでチンして、封を開けるだけじゃん!! 

 ●〈自分の器を直す場合〉

特別な知識・技術が必要ないので、非常に簡単です◎
小学校の頃、図工の時間が好きだった人なら、自分の器を直すくらいは、HPを見ながら簡単に修理できます

 

 ●〈指導者レベルを目指す場合〉

修業期間…1~4日

手先の器用な人、要領のいい人でしたら「誰にも習わなくても」、直ぐにでも他人に教えられます。

実際のところ、簡易金継ぎを教えている人の中に「私は、〇〇先生の元で〇年間修業しました」…なんて人は一人もいません。なぜなら何の知識も技術も要らないからです◎

ちょっと不器用な人の場合、1,2回、「簡易金継ぎワークショップ」に参加して、後は3~4日、自習で頑張れば習得できると思います。

独学でも余裕でできます◎

 

 

【簡漆金継ぎ】 2.5


※ カレーで言ったら固形ルーの「バーモントカレー」で作るカレーライスのレベル。

画像元:Amazon

 ●〈自分の器を直す場合〉

「本物の漆」を使う際に専門的な知識が必要になるので、難易度が上がります
とはいえ、漆を使うのは「塗る時だけ」なので必要とする知識はかなり限定的です。

器用な人ならHPを見ながら独学で簡単に完成させられるくらいのレベルです。
ただし、「漆の取り扱い方」や「漆の性質」についての知識はしっかりと読み込む必要があります。

 

 ●〈指導者レベルを目指す場合〉

しっかりとした知識を身に着けようとした場合
修業期間…2~4週間

「塗り」に「本物の漆」を使うので、その性質、扱い方を詳しく覚える必要があります。
自分でやる分には「何となく」のフィーリングで済ませられることでも、「生徒さんに教える」となると

基本的な部分は簡単に覚えられますが、

「適当に教えて、万が一、生徒さんから質問が来ても曖昧に答えをはぐらかす」…という程度の教え方でしたら、3∼4日程度の修業期間で十分です◎

 

 

【本漆金継ぎ】 4.5


※ カレーで言ったらスパイスから作る本格的なカレーライスのレベル。

画像元:Amazon

ちなみに艦長は「ライス派」です。

鳩さんは「ナン」を素で食べる派!
ナンにカレーを付けません◎
 
(こんな食べ方の人っていますか??)

 ●〈自分の器を直す場合〉

「本物の漆」の扱いをしっかりと憶えなければならないので、難易度は一気に高くなります。
けど、恐れる必要はありません。
「金継ぎ」というのは

かなり手先が器用な人、DIYが得意な人、Webで調べただけで自作PCが組み立てられちゃうような人だったら、独学でも簡単に直せます。

 

 ●〈指導者レベルを目指す場合〉

修業期間…2~4年

ごくごくベーシックな部分は比較的すぐに覚えられます。
ただし、「漆」自体が「自然物」なので、様々な「条件」に左右されます。「上手くいかなかった」時、その原因を複数の候補の中から特定し、リカバリーできるようになるまでには経験が必要になってきます。
失敗しながら学んでいくことも多いです。

 

 

 

 

副業化への難易度

【副業化への難易度】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

 

【本漆金継ぎ】 4.5


 

 

【簡漆金継ぎ】 2.5


 

 

【簡易金継ぎ】 1.0


 

 

 

簡易→一日でできる

レベル低い 誰でもできちゃう
需要は多いように見えるけど、毎回、一日のために人を集めないといけない。

集客力が必要。自分のSNS、ブログ、YouTubeがつよければいいけど。

 

本漆→マスターまで時間がかかる、競争率は下がる
教室業は一度、集客すれば、ずっと来てくれる。個人的な人間関係で、人柄の良さで、人が通い続けてくれる。
信用が溜まる。

 

 

 

伝統文化への貢献度

【伝統工芸への貢献度】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

 

【本漆金継ぎ】 4.5


 

 

【簡漆金継ぎ】 2.5


 

 

【簡易金継ぎ】 1.0


 

 

 

 

これから未来への可能性

【これから未来への可能性】

本漆金継ぎ>簡漆金継ぎ>簡易金継ぎ

…となります。

 

【本漆金継ぎ】 4.5


 

 

【簡漆金継ぎ】 2.5


 

 

【簡易金継ぎ】 1.0


 

 

 

 

 

 

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金継ぎ、やってみたいと思うんですが、どの金継ぎがおススメですか?

 3つの金継ぎ方法から選ぶ際に2つの大きなポイントがあると思います

  • 食器として使う際の安全性を重視するかどうか。
  • カブレが気になるかどうか。

材料代、道具代はほとんど変わらないと考えていいと思います。

 

 

 

新うるしなどの「合成うるし」の安全性について、みなさん、気になりますよね。
私の現在のところの判断としては、「農薬」と一緒と考えていいのかな、と思っています。

  • 新うるしなどの「合成うるし」で直した器 = 「がっつり農薬を使って育てられた野菜」(人体に有害な物質も含まれている。だけど国が定めた「基準値」よりも下回っているので、「安全」ということが許可されている。「許可されている」というだけであって、本当に身体にとって「安全」なわけではない)
  • 本漆で直した器 = 「無農薬、自然栽培の野菜」

このあたり、個人の価値観次第かなと思います。「安全、安全って気にし過ぎだよ」っていう方もいらっしゃると思います。
私は本物の漆が扱えるので、どうしても「新うるしなどの合成うるしじゃなくて、本物の漆を使った方がいいんじゃない?」とアドバイスしたくなるのですが。
こんなことを言っておきながら、野菜は普通のスーパーで売られている(しっかりと農薬入りで育てられたと思われる)ものを食べています(苦笑)
「身体に入る食べ物こそ気にするべきでしょ!」って言われちゃいますよね。

 

 

 

 

白いマグカップを持った手

 

 

上記の2つのポイントを加味して選んでください。

 おススメする金継ぎ方法   おススメする人
簡易・簡単金継ぎ
  • お仕事柄、絶対にカブレるわけにはいかない。(女優さんとか、接客業の方とか)
  • 顔が命!カブレ、NO!
  • 器は食器として使わなくてもいい(もしくは菓子皿程度の使い道しか考えていないとか)
  • 「安全性、安全性」と言い過ぎでしょうー。少しくらいなら気にしない
簡漆金継ぎ
  • 食器には安全なものを使いたい(だけど、「絶対安全」と言い切れる程には求めない)
  • 少しくらいのカブレのリスクは引き受ける
  • とことん漆がやりたいわけじゃない
本漆金継ぎ
  • 食器には絶対安全なものを使いたい
  • 漆が好きなのです
  • 金継ぎから入って、そのあと漆全般の技法に進みたい
  • カブレてもネタになるのでオッケーです
  • とことん金継ぎ道を追及してみたい

いや、なかなか選ぶのは難しいと思います。

 

 

 

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「本 当に必要なもの、心を満たしてくれるものって何だろう?」と根源的な問いを発したとき、”外側”に新しく何かを求めるのではなく、”自分自身の内側に積み 重ねてきた時間”こそが「かけがえのないもの」であったという「自己を肯定し、受け容れる」動きへと繋がってきたのだと思います。

 

 

今、多くの人が金継ぎ(金繕い)を求めているのはなぜ?

 

 

 

 

 

「本 当に必要なもの、心を満たしてくれるものって何だろう?」と根源的な問いを発したとき、”外側”に新しく何かを求めるのではなく、”自分自身の内側に積み 重ねてきた時間”こそが「かけがえのないもの」であったという「自己を肯定し、受け容れる」動きへと繋がってきたのだと思います。

この「自己受容」の一つの現れが、自身の何でもない日常の記憶が蓄積された器を直す「金継ぎ」なのではないでしょうか。
そして実は器を直すことによって、事後的に「自分の積み重ねてきた時間」に対して揺るぎない「価値」を自分で賦与しているのだと思います。
「今」、自分が取っている行動によって、「過去」の自分が肯定され、「間違いなく幸福であった」というある種の「物語」を紡ぐことができます。「私は素晴らしい時間をこの器と共に過ごしてきた。だから直すのです」と。

 

 

 

 

 

 

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