取っ手の壊れた急須の「布着せ」金継ぎ修理01/~接着まで

本漆金継ぎ

 

”金継ぎスピリット”とは「モッタイナイ」や「侘び寂び」ではない。「自我を超えて他者へ繋がろう」とするその飽くなき志向性のことである

※ 「取っ手がバラバラに割れてしまった急須」の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。 油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

このページでは金継ぎ工程の内の〈素地固め~パーツの接着〉までのやり方を解説していきます。

 

 

金継ぎ図書館  ファイツ!!

 

 

作業を始める前に…

金継ぎでは「本物の漆」を使うので、直接、漆に触れると「カブレる」可能性が高くなります。「ディフェンシブ」に行きましょう。ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

直す器 information


壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 information 

  • 器の作り手: 村上躍むらかみやく
  • 器の釉薬: 銀彩
  • 器のサイズ: 直径75 ㎜、高さ80㎜、最大幅120㎜
  • 破損状態: 割れ(本体+破片=5パーツ)
  • 仕上げ希望: 耐久性の高い修理

今回の依頼品は「中国茶用の急須」です。

 

うう…。壊れちゃった…(涙)
これって直るのでしょうか?壊れた「取っ手」も直せますか?

 壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 大丈夫っす◎バッチ直せます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

特に今回の依頼品の急須は、取っ手が「太い」ので直しやすいです。「接着面積」が大きくなりますので「耐久性」も出ます。

  壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

ただ、「取っ手」というのは接着面積に対して掛かる「負荷」が大きい…というのが、ちょっとネックなんです。
いつも通りの「割れ」の直し方でも、多分、接着強度としては大丈夫だと思います。なのですが、数十年経った時、果たしてその接着修理だけで大丈夫なのだろうか??と不安を覚えてしまうのです。(「数年」で取れてしまうなんてことは無いと思うのですが)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

今回の依頼品の急須は取っ手の「断面」が大きいので、接着面積=接着強度も大きくなります。さらに「本体」の方が、比較的「小さくて軽い」(中国茶用の急須です)ので、「普通に接着しただけの割れの修理」でも大丈夫だと思います。
が、何の確証もないです。ということで、「万が一」にも(18年後くらいに)使っていたら突然、取っ手が取れちゃってお茶会が台無しになった…(涙)なんてことにならないように、今回は「麻布を使った補強修理」をすることにしました。

 ちなみに、「麻布補強」をした方がいいと思う場合というのは↓のように、取っ手が薄くて接着面積が小さく、「接着強度」が保てなさそうだな…という時です。

▸ 薄い取っ手の直し方

 このへんの「感覚」というのは、人それぞれだと思います。「補強」しない修理人も多いかと思います。布を貼ると、随分と手間がかかってしまうので、それだけ値段も高くなってしまいます。
 私の場合は、こういった損傷の場合は二通りの方法(「接着のみ」と「布着せ」)の見積もりを提示します。「リスク」に関しても説明します。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 「まぁ、なんだかんだ言って、10年ももてばいいような気がするし…(いつまで経っても問題ないという可能性もあるわけですし)」と考えて、「接着のみの修理」という選択もすごく「アリ」だと思います。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 修理を始める前に、バラバラになったパーツを一度、マスキングテープで借り付けしながらくっ付けてみて、「足りない箇所」や「隙間の具合」、「パーツを接着する順番」を確認します。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方 この「中国茶用の急須」というのが、日本の急須と比べて小ぶりで、なかなか可愛らしいのです。今まで中国茶に全く興味が無かったのですが、「意外といいな~」と思いはじめています。
そう言えば2年前くらいに台湾の人にお茶を頂いて、まだ使っていないのですー(苦笑) 呑んでみましょう◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 今回はこの取っ手の「布着せ修理のやり方」に力を入れてご紹介していきます◎

 

 

 

01 素地固め


この作業は何のためにやるかというと、次の工程で行う「接着作業」の
接着力がより大きくなるようにです。 …が、この「固め」作業に関しては職人さんによって意見の分かれるところでもあります。「やっちゃダメ」という方もいます。
 金継ぎ図書館の見解としては「どっちでもいいんじゃないでしょうか?」です。一応、「セオリー」として固めのやり方を載せておきます◎

 

  道具  ③小筆 ⑤練りべら(大き目のヘラ) ▸作り方 ⑥作業板(ガラス板) ▸作り方
  材料  ①テレピン ②ティッシュ ④生漆 ⑦サラダ油
▸ 道具・材料の値段/販売店


 ※ この作業で使う「小筆」は安価な筆にしてください。陶器の断面に擦り付けるので、毛先が痛みやすいのです。蒔絵筆だとモッタイナイです。

 

 まずは筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。
 ▸ 詳しい作業前の筆の洗い方

※ 何で「油を洗い出す」の?…かといいますと、漆を塗った筆は作業が終わった時に「油で洗う」からなのです(ナント!)。その油を作業前に洗い出します。

 【 作業前の筆の洗い方 】

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しく押さえる

 

 

 

 次に、浸み込みやすくするために生漆をテレピンを混ぜて希釈してください。作業板の上でヘラを使ってよく混ぜ合わせます。

 

 【 生漆の希釈 】

【体積比/目分量】… 生漆 10:3 テレピン ※おおよそ

※ テレピンの代わりにアルコール、灯油でもオッケーです◎

 

 

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

 

 

  それでは実践に入ります。でもカンタン、カンタン◎ 塗って、拭き取るだけです。

 壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

本体の方は、↑画像の取っ手が付いていた箇所の断面に生漆を塗ります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

筆に生漆を十分に含ませて、塗っていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

修理箇所からなるべくはみ出さないように気を付けます。万が一、周りの部分に漆が付いてしまった場合、ウエスかティッシュにアルコールを含ませて、それでしっかりと拭き取ってください。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

全ての断面に漆を浸み込ませていきます。

塗り終わったら、今度は表面に残った漆をティッシュを押し当てて、拭き取ります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

4~5回折り畳んだティッシュを…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

漆を塗った箇所に当てて…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

余分な漆を吸い取ります。これをティッシュの面を変えて、3回くらい繰り返してください。ほとんどティッシュに漆が付かなくなるくらいです。が、そんなに「神経質」にやらなくても大丈夫です◎「そこそこ」きちんとしていればオッケーです。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はい、こんな感じになりました。写真で見てもよくわかりませんね。漆が残り過ぎて「テカテカ」している…というようにはならないように、ご注意ください。

 

急須のバラバラになった「取っ手」の、それぞれのパーツの断面にも漆を塗って、ティッシュで拭き取っていきます。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方塗って…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方塗って…

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方ティッシュで拭き取ります◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

漆を拭き取り終わったら、「漆風呂」に置きます。その際、板などの上に細かいパーツを置いておくと、修理品を移動するのが楽ちんです。

 

漆は湿度の高い場所(65%~)に置くと硬化していきます(それを私たちは「漆が乾く」と呼んでいます)。そう、漆は空気中の水分を取り込んで硬化するのです。不思議な樹液ですね◎

湿度が高い場所…って、お風呂場にでも置けばいいんですか??

 おー、風呂場…でもいいのですが、風呂場って湿度が100%近くにまでなるので、漆を乾かすにはちょっと「どぎつい」環境だと思います。(漆は急激に硬化すると「やけ」「縮み」といった厄介な現象が起こりやすくなります)

もうちょっとソフトな環境を用意してあげましょう◎ そう、実は漆は”やさしさ”で乾くのです。よ◎

 

 【 簡易的な漆乾燥用の風呂 】

湿度が保てる空間を用意します。
※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

↑ こんな感じでいかがでしょうか?

え!段ボール…。こんなんでもいいんですか??

 はい、大丈夫です◎「段ボールなんてダサくて嫌!」という方は↓のページを参考にバージョン・アップさせていってください。

▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

今回の素地固めの作業に限っては、湿度のある場所(65%~)6時間くらい置いて軽く漆を硬化させてください。

 理想的には「漆の乾きかけ」のタイミングで次の接着作業に入れたらステキです。けど、そのタイミングで次の作業に入るのが難しいようでしたら、なるべく1,2日後くらいに次の作業に取り掛かるようにしてください。

 とはいえ、↑これは「厳密に言うと」ということですので、1~2週間空いてしまっても「ヤバイ!」ってことにはなりませんのでご安心ください◎

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。
 ▸ 詳しい作業後の筆の洗い方 

※ 油で洗わないと筆の中に残った漆が硬化するので次第に筆がゴワゴワしてきてしまいます。

【 終わった後の筆の洗い方 】

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする
    (こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しく押さえる
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 最後に綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

※ 極々、ソフトに押さえるようにして筆の中の漆と油を掻き出すようにしてください。強くしごいてしまうと、筆の毛先が痛んで「カール」してしまします。

 

 

 

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方はこちらを参考にしてください。
 ▸ 筆のキャップの作り方 

 

 

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

 厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 

 

02 破片の接着


  道具  ②作業板 ▸作り方 ③練りベラ ▸作り方 ④付けベラ ▸作り方 ⑦マスキングテープ
  材料  ①水 ⑤生漆 ⑥小麦粉
▸ 道具・材料の値段/販売店 


 

※ 麦漆むぎうるし(接着剤)の”消費期限”は2~3日くらいと考えてください。基本的に「使うときに作る」が原則です。保存があまり効かないので、「作り置き」は避けてください◎作った時が一番「乾き」がよく、時間が経つほど、どんどん乾きが悪くなってきます。

 

漆を使って接着剤を作ります。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
 ▸ 麦漆むぎうるし(接着剤)の詳しい作り方

そう、漆と小麦粉で「接着剤」が出来ちゃいます。料理??

【 麦漆むぎうるし(接着剤)漆の作り方 】

【体積比/目分量】… 小麦粉 1:1 生漆  ※水は適量


  1. 小麦粉、水を出します
  2. 水を少しずつ足しつつ、練っていきます(ガムみたいに粘るまで)。※使うのは「竹練りベラ(幅広のヘラ)」です。
  3. 生漆を少しずつ足しつつ、練っていきます
  4. 完成です◎

 

【 麦漆むぎうるし(接着剤)の作り方動画 】

初めのうちは失敗しないように、小さな計量スプーンを使うといいです。
(ベストは1/4サイズです。けど、滅多に売っているお店がありませんー)

 

※ 割れたピースが多い場合は…

麦漆むぎうるし(接着剤)を塗布する前にあらかじめどのパーツがどの部分に来るか確認しておきます。

【 破片が多い時の接着時の注意 】

  1. 接着する前に一度、組み立てます。
  2. そのまま「展開」します。(この置いたポジションをなるべくキープしてください)
  3. 混乱防止のために番号を書いたマスキングテープを貼っておきます。
    番号は何となく「隣合うパーツが連番になっていくように」してください。
    ランダムにナンバーをふったら意味ないです。よ◎
  4. 接着剤を塗ったあと、元あった位置に順番通りに並べていきます。

↑これ、やっておかないと「カオス」になります(涙)

番号をふっておけば、万が一、「並び順」が崩れてしまった時もどこにくる破片か予想がつきやすくなります。

 

今回の「割れ修理」はピースが4つなので、わざわざ↑この作業をやらなくても大丈夫だと思っていたのですが、実際に作業を始めようとしたら割れた破片がみな同じような形で、「どのパーツがどの場所にくるのか?」、かなり分かりづらいことに気が付きました。ですので、マスキングテープでナンバリングをしました。

 

 

器の割れた断面に麦漆を塗っていく麦漆の乾き具合をチェックするためにいらない紙やハガキなどに麦漆を薄く付けておきます。「壊れたパーツの多い、複雑な割れ」の場合、作業始めと、終わりに結構、「時差」ができるので(1時間くらいかかる場合があります)、それぞれのタイミングで麦漆を付けておくといいと思います。

 

 

実践です。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

割れた全ての断面に麦漆を塗っていきます。※使うのは「竹付けベラ(細い方のヘラです)」

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

なるべく薄く、均一な厚みになるようにします。
何で「薄く」つけなきゃいけないの??…といいますと、パーツとパーツの間に挟まる接着剤の厚みが厚いほど、パーツ同士の「ズレ」が大きくなるからです。もともとパーツの間にはそんな異物は無かったものですから、それは確かにズレますよね◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

急須本体の両方の断面に塗り終わりました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

塗った直後はまだ「艶っぽい焦げ茶色」です。これが時間が経つにつれて「黒」になり、さらに時間が経つと艶も引けてきます。

 

次に取っ手の細かいパーツの断面にも麦漆を塗っていきます。
えー、全部塗らなくちゃダメですか?面倒~。
はい、塗っていください◎

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

パーツを接着する順番に並べて置きます。今回はこれ重要でした。
パーツ一つずつも「上下」などの方向が分かるようにしておきます。(「文字」の上下が「パーツ」の上下に連動しています)

今回はですね、それぞれのパーツが「相似形」だったので、これをやっておかないと結構、混乱しました。特に、実際に麦漆を塗って、「さぁ、接着だ!」って時に、パーツを嵌める順番や、その上下がわからないと、結構、テンパります。ご注意、ご注意◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

こんな小さなパーツの断面にも面倒くさがらずに麦漆を塗っていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

こちらもできるだけ「薄く、均一に」です。

塗り終わったら、パーツが置いてあった位置に戻します。こちらもいちいち面倒ですが、これをきちんとやっておいてください◎

 

パーツの方も麦漆を塗り終わりました。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

さぁ、接着!でもいいのですが、お時間と心の余裕があるようでしたら、しばし「待ち」を入れます。

ここで、できたら麦漆むぎうるし(接着剤)が乾き始めるまで待ちます。1.5~3時間程でしょうか。これはみなさんが持っている生漆自体の乾きの早さ、麦漆の配合具合、温度、湿度…などなどによって変わってきます。
もし、「この後、友達と合う予定が…」といったご予定がありましたら、接着しちゃって構いません◎

 器の割れた断面に麦漆を塗っていく

作業始めと終わりに紙に付けて置いた麦漆で乾き具合をチェックします。時々、竹ベラでつついてみて、「わずかにベタつく感じ」にまで表面が乾いてきたら「接着どき」です。
麦漆の場合、表面が乾きかけていても、そのすぐ一層下は全然乾いていません。ですので、「表面が乾き過ぎているようだけど、本当にくっつくの??」って不安になるかもしれませんが、全くもって大丈夫です◎

 

このあとは「くっつける作業」のみですので、掃除・片付けをしてしまいます。

 【作業板のおそうじ】

インターネット上で初心者相手の金継ぎ教室全ての作業が終わったら作業板を掃除します。

 テレピン(又はエタノール、灯油など)を垂らして、
ウエスやティッシュできれいに拭き取ってください。

   caution ! 

 厳密に言うと、素地をし終わった後の作業板の上には「ごくごく薄っすら」と漆の成分が残っています。ですので、この作業が終わるまではしっかりとゴム手袋をして、ゴム手袋を外したあとは作業板を含めて漆の道具類を触らないようにした方がいいです。

 

 時は過ぎ、あれから3時間…

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

おっ、何か黒いぞ。そうです。黒いです。だけど、この黒さはあまり「指標」にはなりません。「乾きがくる」遥か前に黒くなってしまうからです。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 どちらかというと、「表面の艶」の感じの方が参考になると思います。けど、塗ったばかりの「艶っぽさ」なんて覚えてませんよね~(笑) なので、

器の割れた断面に麦漆を塗っていく↑こういった紙に「付け」をとっておいて、それをヘラでつついてみるのがいいと思います◎

 

さぁ、いよいよパーツをくっ付けていきます。

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

今回は急須を横に寝かせて接着作業を行いたいので、急須が安定するように「冶具ジグ(補助具)」を急拵えします。
レンガ?に見えますが、レンガじゃありません。「木」です。たまたま家にあった角材です。(普通の家にはありませんよね。あるわけがない。そしたら、厚い本を何冊か重ねる…ってのはどうでしょうか?辞書とか。でもデジタル時代ですからね~。本ももう持っていない方も多いかもしれませんね)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

布を敷いて急須が傷つかないようにします。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

急須をセット。安定しているか確かめます。鳩が乗っても大丈夫◎

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 接着スタート!
パーツの「向き」と「順番(=ってことはつまり”嵌める場所”)」を確認してから、くっ付けていきます。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

 パーツをくっ付けたら、少しグリグリして、パーツとパーツの間の麦漆が少し外にはみ出るようにします。こうした方が、隙間が空きづらくなります。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

この小さいパーツ2つですが、今回は先にこのパーツ同士をくっ付けてから、本体の方に接着しました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

このパーツ二つが嵌まる箇所が向き(重力)の関係上、一つ一つ付けていくと、 下に落ちちゃいそうなので、先に接着しました。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

トモダチの「ワ!」…輪?はい、わ。
ありったけのトモダチ・パワーを注入してください◎

 全部のパーツをくっ付けたら、再度、全体のズレの微調整をします。できれば「ズレなし」で行きたいところですが、ほんのちょっとはズレてしまいます(接着剤という”異物”が間に挟まっているだから、しょうがないですよね)。ですので、そのズレが一か所に集中しないように(意図的に一か所だけ大きくズラす…というハイレベルの見せ方もあると思いますが)チェックします。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

はい!できました◎

このアーチが重力に耐えられるかどうかは、ひとえに皆さんの「オトモダチ力」次第です。みなさん、「トモダチ100人」いますか?

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

鳩屋は「トモダチ力」がないので、マスキングテープで補強しておきます。(オトモダチがたくさんいるひとも一応、マスキングテープ補強をしておくと安心です。というか、本当に「トモダチ力」って必要なの??はい、すごく必要です◎)

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

この「マスキングテープ貼り」って意外と「曲者」ですよね。貼る時に少し「テンション」をかけたいところなのですが、だからといって引っ張り過ぎると接着箇所がズレる。それならばと、少しも引っ張らずに緩めに貼ってしまうと、「ズレ防止のための仮止め」の効果がない。

少し「引っ張りめ」にテープを貼り、全ての箇所にテープを貼り終わったら、最後にもう一度、ズレが生じていないか、接着箇所すべてを調べ直す…という手順がいいかと思います。

 

壊れた急須の金継ぎ修理のやり方

説明終了です。お、終わった~…。

 

なんか、最近の金継ぎ図書館は説明が長くて細かいですよね。そういう方向に意図的に持っていっているのですが、ちょっとここらへんで見直してみます。
始めてこのサイトに訪れた人にとっては「懇切丁寧」に全ての説明が網羅されている。だけど、ちょくちょく見ていただいている「お得意さん」にとって「解説がジャマだなー」ってことにならないように、余計な説明を削ったり、必要な説明があったとしてもこのページ上では簡単な「ヒント」みたいなものだけを提示して、詳しい解説はリンクで他のページに飛ぶなどの仕掛けを入れていこうと思います。
ページ作りがこれまでのコンテンツ作りの「単純トレース」にならないように、常に、「もちっといい見せ方があるんじゃないのか?」「説明の仕方はこれでいいのか?分からない人、失敗している人がいるんじゃないか??」って危機感を持ちつつ、油断なく進化させていきます。
金継ぎ図書館はまだまだ進化しなければいけない責任がある。と勝手に思います。
 

 

 

 

【 次の作業を見る 】
▸ page02/布着せ一回目

 

 

 

 

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