※ 2ピースに割れたガラスの簪です。その金継ぎ修理の方法を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※今回は金継ぎ工程のごくごく概要のみを解説していきます。
金継ぎとは
金継ぎとは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。
簪 information
- ガラスの簪(ガラス部分 直径25㎜くらいだったかな?)
- 金属軸
- 破損状況: 割れ2ピース
知り合いづてにこの簪の金継ぎ修理依頼がきたのですが、
その壊れた簪の画像を見せていただいたときに「これは直さないと」
…と勝手に責任を感じてしまいました。
理由はわかりません。不思議なものです。
割れたピースを合わせたときにできるラインの一本が↑の曲線です。
もう一本が↑の直線のラインです。
なるべくだったら、この「壊れた時に生じた世界」を取り込んだ直しをしたいと思っています。
それが自然である気がするのです。はい。
1. 金継ぎ修理の素地調整
ダイヤモンドビットを付けたリュータ―で接着面に傷をつけていきます。
傷をつけて漆の食いつきをよくします。
接着断面のエッジも軽く削ります。
接着するすべての面に傷をつけていきます。
2. 麦漆で接着する
今回は接着するガラスの色が黒かったので漆を選択しました。
明るい色のガラスを麦漆で接着すると、もろに接着している面が見えてしまって(ガラスなので中がみえてしまうのです)、ガラスの透明感のある雰囲気を壊してしまうことがあります。
そういった場合は合成接着剤を使います。
金継ぎの麦漆接着では全ての面に麦漆を塗っていきます。
薄く塗ります。
本体の方の接着面にも麦漆を塗ります。
湿度のあるところに40分くらい置いて、乾き始めのときに接着します。
ぐりぐり圧着させます。
ぐりぐりです。
2週間くらい放置して、麦漆を乾かします。
3. 麦漆の削り
はみ出た麦漆を彫刻刀で削ります。
指を削ると痛いですので気を付けます。はい。
4. 漆の試し塗り
続いて、ひとまず漆の「塗り」を入れてみます。
どのくらい平滑な面がでているのかチェックするための試し塗りです。
で、漆が乾いた後チェックしてみたら接着面が意外とデコボコしていました。
ので、マスキングをして錆漆を2回行いました。
続きを見る ▸ ② ~完成まで