ファイツ!!
このページは、こちらの↑「小さく欠けた器」の「修理全体の流れ」を確認するダイジェスト・ページです。
● 今回の修理の参考になりそうなダイジェスト動画です↓
これを見れば「欠けた器のおおよその金継ぎ修理の流れ」が分かると思います。
【この器の修理について】
artist 韓国人作家さんの器
超・初心者向け
難易度:
使用粉:真鍮粉(金色の金属粉)
仕上げ:簡単・お手軽
今回のシリーズはあまり「完成度の高さ」にこだわらずに、「そこそこ」に仕上げます◎
「器の形状」「壊れている箇所の傷」などを見ると、この器の修理は「かなりの初心者向け案件」だと言えます。
それに加え、今回は修理の「仕上げのクオリティー」もあまりこだわらずに「ざっくり」と仕上げました。
「時間/手間/技術の習熟度…などがあまり必要とされないやり方」なので…
・超初心者
・修理にあまり手間暇かけたくない
…という人にうってつけの修理事例です。
【修理する器のチェック】
今回、修理する器です。
今回は欠けが二カ所です。
「小さめ」の欠けなので、「錆漆(漆のペースト)」を使って、埋めていきたいと思います。
【素地の調整】
器の素地をヤスリます。
漆や錆漆の食いつきをよくするためにおこないます。
〈使う道具〉
道具 :
① リューターのダイヤモンドビット
▸作り方ページ
② 半丸のダイヤモンドやすり
▪実作業▪
欠けた箇所のエッジをやすりで軽く削ります。
角が立っているところを中心に軽く研ぎます。
【素地固め】
欠けた箇所を「漆の充填材」で埋める前に、その充填剤が器に食いつきやすくなるように下処理をしておきます。
修理箇所に「生漆」を薄く塗る作業をします。
〈使う道具/材料〉
道具:
③ 豚毛の平小筆
⑤ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
⑥ 作業板(ガラス板など)
‣作り方ページ ‣作り方の動画
○ ゲル板 ○ サランラップ
材料:
① テレピン ② ティッシュ
④ 生漆 ⑦ サラダ油
▪実作業▪
生漆を塗って、十分に浸み込ませます。
漆の塗布が済んだら、ティッシュペーパーで浸み込まなかった漆を拭き取ります。
ティッシュにほとんど漆が残らなくなったらオッケーです。
作業が終わったら、高温度/高湿度の環境に置いて、漆を硬化させます。
高湿度 70∼85%
高温度 20~30℃
今回の「素地固め」では、漆を乾かす時間は「半日~1日ほど」です。
【錆漆を付ける】
欠けた箇所を錆漆さびうるし(漆のペースト)で充填していきます。
〈使う道具/材料〉
道具:
③ 作業盤(ガラスなど)
‣仕立てページ ‣仕立て動画
④ 付けベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
⑤ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
〇 計量スプーン 1/4 (0.25㏄)
錆漆は…
錆漆=砥の粉+生漆
で出来ています。
配合比は…
【目分量の体積比】
砥の粉 10:7~8 生漆
▪実作業▪
ヘラの先に錆漆を取ります。
そ錆漆を欠けた個所に置いていきます。
欠けた部分の上側のエッジを利用して錆漆を切っていきます。
エッジにひっかけるようにしてヘラを右側へとスライドさせていきます。
次にヘラを左から右へと通します。
先ほど置いた錆漆をヘラの「面」で広げつつ、少し押し込むような感覚で欠けた箇所の素地に密着させます。
次にヘラを右から左へと返します。
錆漆を少し「動かす」ことで、欠けた箇所との間にわずかにできてしまった(可能性のある)隙間を潰していきます。
ちょっと錆の表面がガサガサしていますが、まぁオッケーでしょう。
しっかりと固まってくれればよしとします。
が、念のため湿度を「上げ過ぎない」くらいの環境に置いて、硬化させてください。
高湿度 60∼65%
高温度 20~30℃
錆漆の乾きに1~2日間待ちます。
※ 条件がいいと6∼8時間程度で硬化します。
【錆漆を削る】
錆漆が乾いたら削り作業に入ります。
〈使う道具/材料〉
道具: 下記の道具のいずれか、もしくは複数が用意できると作業がしやすくなります。
①〈平丸〉の彫刻刀
②〈平〉の彫刻刀
③〈カーブ刃〉のカッター
④ 普通のカッター(大)
▪実作業▪
カッターナイフや彫刻刀を使って錆漆を削ります。
盛り過ぎた錆漆を「器の形状に沿うように」削っていきます。
【錆漆を研ぐ】
削った錆漆を耐水ペーパーなどを使って、きれいに研いでいきます。
水を使って研ぐ、「水研ぎ」をおこないます。
〈使う道具/材料〉
道具:
③ ウエス→スポンジの方が使いやすい
④ 要らなくなったハサミ
⑤ 小さな水入れ
〇 水桶(もあった方がベター)
材料:
① 水差し
② 耐水ペーパー(使うペーパーの番手は下で説明します)
→実は駿河炭が断然おススメ
▪実作業▪
今回、私は「木賊(トクサ)」を使いましたが、皆さんは耐水ペーパーor駿河炭を使ってください。
少量の水を付けて研いでいきます。
【地塗り(漆の上塗り)】
「蒔絵作業」に入ります。
「蒔絵粉」というのはただの「粉」なので、それ単体では定着してくれません。
修理箇所に定着させるための「接着剤」が必要となります。
「漆(そのもの)」を蒔絵粉の接着剤として使います。
〈使う道具/材料〉
道具:
② ティッシュぺーパー
④ 蒔絵筆またはインターロン筆
⑥ 練りベラ ‣作り方ページ ‣作り方の動画
⑦ 作業盤(ガラス板など)
‣作り方ページ ‣作り方の動画
○ ゲル板 ○ サランラップ
材料:
① アルコール(テレピン、灯油など)
⑤ 精製漆(今回は”弁柄漆”…赤茶色の漆)
⑧ サラダ油
▪実作業▪
今回は「真鍮粉」という「金色」の金属粉を蒔くので、塗る漆には「弁柄漆(赤茶色の漆)」を使います。
漆が塗り終わったら、直ぐに「蒔絵粉」を蒔きます。
(漆は硬化するのにすごく時間がかかるので、焦らずゆっくりと作業してください)
【粉入れ(蒔絵粉を蒔く)】
いよいよ「蒔絵粉」を蒔いていきます。
緊張するかもしれませんが、そんなに難しい作業ではありません◎
〈使う道具/材料〉
道具:
② ティッシュぺーパー
③ 絹の真綿 ⑤ 粉鎮
⑥ あしらい毛房
⑦ 筆洗いベラ
材料:
① アルコール(テレピン、灯油など)
④ 蒔絵粉(今回は真鍮粉)
▪実作業▪
※ 今回は「あしらい毛房(毛先の柔らかい筆)」を使います。
今回は「真鍮粉」を使います。
毛先で優しく軽やかに履いて、漆の上に乗せていきます。
蒔き終わりました。
これで終了です◎
周りに付いた真鍮粉は漆が乾いてから洗い流します。
【金継ぎ完成】
漆が乾いたら、周りに付いている真鍮粉をきれいに洗い流します。
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