※ 鳩屋が蒔絵の技術を習いに蒔絵師さんのところに通い始めました。
そこで習ったことをひとまず備忘録的な感じでまとめ、その情報を多くの方とシェアしよう…というがこのシリーズです。
後日、「初心者でもできちゃうぜ蒔絵シリーズ」のようなコンテンツに落とし込むのが密かなる野望です◎(シクヨロです)
※作業工程や説明が間違っていたら、後日、師匠や同門の生徒さんからツッコミが入ると思います。そうしたら訂正してきます。
かめばかむほど蒔絵の奥深さよ
金継ぎ図書館は現在、「漆工房 皎月こうげつ」の↑かめ師匠のところで修行中です◎
かめ師匠は蒔絵の本場・石川県の輪島で修行された方です。
漆工房皎月は東京の「駒込」「練馬」「青梅市」で金継ぎ教室も開催しています。
輪島で蒔絵の修行をされたかめ師匠と、東京藝大出身の福田さん(女性、僕の先輩です)の二人体制で丁寧に教えてくれます。至れり尽くせり!
都内で金継ぎ教室をお探しの方、金継ぎ図書館が100%の自信をもっておススメします◎(はっきり言って、最強の金継ぎ教室だと思います。)
詳しくは皎月さんのHPでチェックしてください。
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「切金きりがね」ってなに??
今回の「富士と雲霞の肉合研出蒔絵」は雲霞の部分に「切金きりがね」という技法を使います。
切金というのは
↑こんな感じのものです。このちょっと大きめの「つぶつぶ」です。
どうして、昔の人って、こう、「うねうね」って地面とか植物を描くんでしょうね?ちょっと怪しいですよね~。
【切金】
金・銀の薄板を細かい方形や長方形、菱形に切って、地描きした上に漆で貼って、金銀を蒔き、平面に研ぎ出す
室町時代にこの技法が盛んに用いられるようになった。
~漆芸辞典p198より
ということです。わかりましたか?わかりませんよね◎
「地描きじがき」ってなに?「平面に研ぎ出す」ってどうゆうこと??
はい、「地描きは」この後、ご説明します。「平面に研ぎ出す」は作業が進んでいったら、おいおいご説明します◎
~「漆芸品の緩衝基礎知識」p27
↑こんな感じに使われたり…
~「松田権六の世界」展図録p93
↑こんな感じに使われていたりします。
~「松田権六の世界」展図録p90
なるほどね~。蒔絵とは違うニュアンスが出せるんですね。
蒔絵だけだとどうしても単調になってしまう。そういった時にリズムを変えるために使う感じでしょうか。
本日のメモ01/〈富士と雲霞の肉合研出蒔絵〉地描き
使った道具・材料
【道具】
・黒軸丸筆(中)
【材料】
・呂瀬漆(呂色漆+生漆)
切金を貼る前に、貼るその個所に漆を薄く塗っていきます。
これが「地描き(地塗り)」です。
漆を塗って、それが乾く前に切金を貼るということです。
今回はこの↑雲霞の一か所だけ、作業します。
【地描き(=地塗り)】
蒔絵において紋様になる部分を(蒔絵をする前に)漆で塗りつぶすこと。です。
↑これが完成イメージです。
この完成イメージに沿って、切金を置く部分にあらかじめ漆を薄く塗っておきます(黒く塗ってある箇所です)。
今回の漆の使われる「用途」としては切金をくっつけるための「接着剤」として使われます。
今回使っているのは「呂瀬漆ろせうるし」です。
「ろせうるし」…って何??
【呂瀬漆ろせうるし】
呂色漆 10:7~10 生漆
くらいの割合で練り合わせた漆のことです。(呂色に対して生漆は3~5割くらい)
呂瀬漆の特徴としては
- 乾きがよい(生漆が入っているから)
- 薄く塗れる(生漆は粘度が低く、サラサラしているので)
です。
この漆を薄く塗ります。「薄く」です◎
薄く塗っても十分に接着力があるそうです。むしろ薄く塗らないと「えらいこと」になると思います。えらいことです。
なので「薄く」塗ってください。
「黒軸丸筆」を使うと薄く塗りやすいそうです。
(鳩屋としてはまだその実感が薄いので、かめ先生のアドバイスです)
全体に漆が置けたら、最後に筆を「縦」と「横」に細かく通していきます。
この作業をすることで、漆の厚みが「より均一」になります。面倒ですけど、やってくださいね◎
本日のメモ02/〈富士と雲霞の肉合研出蒔絵〉切金置き
使った道具・材料
【道具】
・切金棒(朴材)
【材料】
・切金(銀 0.3㎜厚)
地描きをした箇所に切金を置いていきます。
切金は対角線上に綺麗に並べていくのがセオリーだそうです。
「切金を置いているうちに、漆が乾いちゃわないのですか??」と思いますよね。
はい、乾いていきます◎
手持ちの漆の乾くスピードにもよるのですが、切金を置いていく作業に結構、時間がかかるようだと、だんたんと漆が固くなってきてしまいます。
漆が固くなり過ぎると切金がくっつかなくなってしまいます。
ですので、自分が作業できるスピードに合わせて、無理のない範囲に小分けにして、仕事をしていきます。
とくに初心者は小さい範囲ずつ、作業を進めていった方がいいです。切金を置くのは意外と時間がかかりますよー◎
切金の入った薬包紙(パラフィン紙)を「粉鎮」で押さえます。
粉鎮は書道用のものでもいいし、東急ハンズなどで金属棒を買って加工してもステキです。
そういったものがない場合は何でも構いません。小石でもいいです◎
じゃん!
切金がずらりと並んでいます。これら、大きさが違います。
左から、0.6、0.8、1.0、1.2㎜角の4種類です。
1種類だけじゃダメなの??
はいー、そうですね。1種類だけだと多分、「単調」なリズムになってしまいそうな気がします。できたら数種類の大きさの切金があった方がいいと思います。
ちなみに切金は漆屋さんや、金箔屋さん、金粉屋さんなどで売っています。
数種類買おうとすると、結構、お金がかかりますね。「銀」だったらそこまで高くないからいいですけど、「金」はちょっと辛いですね。
切金のお値段はいくらくらいなんでしょう??
ちょっと分からないので、後ほど漆屋さんのHPをチェックするか、次回、かめ先生に聞いておきます。
作業に入ります。
どうやって切金を置いていくのかといいますと…
なんと、一枚一枚地道に置いていきます。じみーですね◎
使っているのは↑こんな感じの「木の棒」です。
材質は「朴」で、かめ先生が作りました(授業中、その場で生徒さん用の棒を作っていました)。
固い木や竹だと切金に傷が入ったり、凹んじゃったりする可能性があります。「柔らかめ」の材がいいようです。
片側は「平べったく」て、もう片側は「ほっそり」しています。
こちらが平べったい方です。
ヘラのような形ですが、先っちょは薄く鋭くはなっていません。むしろ「平面」を残しています。この平面を残しておいた方が使いやすいのだと思います。(←鳩屋はまだ作業をしていないので、実感なし)
こちらはほっそりとしている方です。
中心軸は少し片側に寄せてありますね~。それからこちらも先っちょは鋭くしていません。「平面」があります。
それで、この「切金棒」をどうやって使うかといいますと、、
棒の「ほっそりと」した方の先っちょをちょっと舐めて(べろにちょっと付けて)、それから切金に触れると、自然と吸い付てくるのです◎
え~、人前で「べろんちょ」なんてナメるなんて恥ずかしくてできないわーー(涙)という方、隠れてこっそり舐めてください◎
水でも代用できるのかな?ちょっとわかりません。
金継ぎ作業する時はちょっと「てやんでー」調キャラでいってみるのもいいと思います◎ ナメちゃってください。
ナメて→切金を拾って→塗った漆の上に置く
を一粒ずつ繰り返します。永遠と。はい、永遠とです。
ちなみに切金を置く順序としては「大きいピース」のモノから置いていった方がいいそうです。
今回は一番大きい1.2㎜のものから置いていきました。
漆の上に切金を一つ置き、それから置いた切金を動かして位置を揃えていきます。
おー、こう切金を並べてみると壮観ですね。
かめ先生、地道に置いていきます。
大きいパーツを置き終わったら、次の大きさの切金パーツを置いていきます。
対角線上に綺麗に並ぶように気をつけながら置いていきます。
一粒置いて、一粒置いて、さらに一粒置いていきます。
飽きましたか?
徐々に小さい切金に替えて、置いていきます。
↑この画像は僕たち生徒が、体験して置いていったので、ちょっと並びが悪くなっています(苦笑)
いや、僕はいまいちよく分かっていません。
途中途中で、全体の並びを整理し、揃えます。
切金を置いた範囲の「終わり(周辺部分)」は少し「ぼかす」ようなリズムで置いていきます。
これが、規則的に置き過ぎていると、「バツっ」と紋様が切れているように見えてしまいますので、注意が必要です。
ランダムに置く…って難しいですよね~。
はい、切金置き作業はこれで終了です。
この後、「灰」をかけたり、「濡れティッシュ」で覆ったりします。
その説明はまた続きのページを作ってということで。
いやー、いつもの金継ぎ説明でしたら結構、スムーズにページが作れるのですが、蒔絵関係は説明し慣れていないのでえらく時間がかかっちゃうのです。
地道にページ制作をしていきます。お付き合いください◎