欠けた抹茶茶碗の金繕い修理のやり方 01/錆漆付けまで

抹茶茶碗の金繕い方法

※ 小さく2か所欠けた抹茶茶碗の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎ(金繕い)工程のうち、〈欠けた個所の素地調整~錆漆で欠けを埋めるまで〉のやり方を解説していきます。

 

 

 

金継ぎ(金繕い)とは


金継ぎ(金繕い)とは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

 

 

 

金繕いする器 information


  • 器の作家: どこかの窯元でしょうか?不明です。
  • 器の特徴: ややピカピカした釉薬。
  • 器のサイズ: 直径123㎜、高さ75㎜
  • 破損状態: 欠け2か所…口元の欠け15×8㎜、外側の側面に欠け5×3㎜
  • 持ち主: お隣に住む・やさしい小牟田さん

 

お隣に住むご婦人の抹茶茶碗です。お茶の先生から頂いたものだそうです。
お隣さんにはすごくお世話になっています。
私の家の草むしりを手伝ってくれたり(!)、ご飯のおすそ分けをしてくれたり。
めちゃくちゃ有り難いです。今時、こんな方がいるんです。
まさしく「贈与する人」です。

なのでたまには器の修理で「返礼」したいと思います。

 

金繕い修理前の欠けた抹茶茶碗

縁の部分が少し欠けています。

 

金繕い修理前の欠けた抹茶茶碗

もう一か所、欠けがあるのですが、今回はこの欠けのみの修理をご説明していきます。
もう一か所もほとんど同じような欠けなので。

 

金繕い修理前の欠けた抹茶茶碗

比較的「よくある」ベーシックな欠けパターンです。

 

金繕い修理前の欠けた抹茶茶碗

欠けの深さからいって、錆漆一回で穴が埋められそうです。

釉薬も少しツルツル目のものなので、修理箇所の周りが汚れなくて済みそうです。

ガラスのようなピカピカ釉薬でもないので、そこそこ漆の食いつきもよさそうです。

この手の器は直すのが比較的、楽です。

 

金繕い修理前の欠けた抹茶茶碗

 

 

 

 

 

 

<金繕いの工程 01> 素地調整


金継ぎの素地調整で使う道具と材料

簡漆金継ぎの素地調整で使う道具: ②③ リューターのダイヤモンドビット (ホームセンター等で入手可能/価格 \200~)、① ダイヤモンドのやすり

▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法

 

まずは欠けた箇所のエッジをやすりで軽く削ります。

 

抹茶茶碗の欠けた箇所をダイヤモンドビットで鑢る

 

 

抹茶茶碗の欠けた箇所をダイヤモンドビットで鑢る

サラサラと軽目に鑢がけします。

 

 

 

<金繕いの工程 02> 素地固め


金継ぎの素地固め工程で使う道具の画像

素地固めで使う道具と材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ⑥ 小筆 ⑤ 付け箆 
  • 材料: ⑦ 生漆 ① テレピン ② サラダ油 ② ティッシュペーパー ③作業板(クリアファイル、ガラス板など)

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
 ▸ 詳しい筆の洗い方

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。

次に、浸み込みやすくするために生漆をテレピンを混ぜて希釈してください。
作業板の上でヘラを使ってよく混ぜ合わせます。

生漆 10 : 3 テレピン
くらいの割合で生漆を希釈します。

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

欠けた箇所を筆でなぞっていきます。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

十分に漆を浸み込ませてください。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

こんな感じです。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

器の木地が吸い込まなかった余分な漆をティッシュで拭き取ります。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

折り畳んだティッシュをそっと欠けた箇所に押し当てます。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

ティッシュが表面に残った漆を吸い取ってくれます。

この作業をティッシュの面を変えながら、漆がほとんどつかなくなるまで繰り返します。

 

金繕いの木地固め作業。生漆を欠けた箇所に浸み込ませる

漆の拭き取り作業終了です。

器を湿した場所(湿度65%~)に置いて、漆が半乾きになるまで待ちます。
2~3時間といったところでしょうか?(かなりあてずっぽ)

「固め」の漆が硬化し過ぎると(1ヶ月置くとか)、錆漆の食いつきが極めて悪くなります。ですので「半乾き」は無理だとしても、1,2日後くらいに次の作業に取り掛かってください。

 

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方 

  1. 筆に油を含ませる
  2. 作業板の上で優しく捻ったり、クネクネ(?)させたりする。(こんな表現でいいんでしょうか?)
  3. ティッシュの上で、ヘラを使って優しくしごく
  4. 筆の中の漆分がほとんどなくなるまで、<1~3>の作業を繰り返しす
  5. 綺麗な油を筆に軽く含ませてキャップを被せる

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに ▸ 筆のキャップの作り方 ページを作りましたので、ご覧ください。

 

 

 

 

 

<金繕いの工程 03> 錆漆付け


金継ぎの錆漆付け工程で使う道具の画像

金継ぎの錆付けで使う道具と材料(▸ 錆漆付けで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ①プラスチック箆、②付け箆(▸ 付け箆の作り方)、
  • 材料: ④生漆、⑤砥の粉、⑥水、③作業板(クリアファイル)

錆漆を作ります。 ▸ 詳しい錆漆の作り方

 

今回の抹茶茶碗の欠けた箇所は、傷が浅いので錆漆で補修していきます。

もし、皆さんの欠けた傷が深い場合は刻苧を使ってください。
刻苧漆の〈作り方〉 ▸
刻苧の〈使い方〉 ▸

 

それでは器の欠けた凹みに錆漆を充填していきます。

 

と、その前に<箆テク>をご紹介します。

  1. 作業板の上で錆漆を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

慣れてくるとテンポよく作業ができて、それだけで気持ちがよくなります。
<同一動作の反復>というのは集中していくととても心地いいものです。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

それでは錆漆付け作業に取りかかります。

ヘラ先にちょこっと錆漆をとります。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

抹茶茶碗の口元のエッジを利用して、錆漆を「切って」いきます。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

欠けのエッジに擦りつけるようにヘラを通していきます。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

錆漆が欠けた箇所に乗りました。

まだ「乗ったまま」です。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

次にヘラで錆漆を押さえていきます。
先ほどとは反対がわにヘラを通します。

ヘラの面で錆漆を軽く押し付けるようにして欠けた箇所に密着させます。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

密着。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

さらに反対方向にも箆を通します。
箆を左右に通すことで、錆漆を軽く「動かし」、器の素地との密着度を上げます。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

こんな感じです。

まだ少し凹んでいますね。錆漆が足りていません。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

再び、箆先に錆漆を少量取って、それを付けます。

器のエッジを利用して錆漆を乗せます。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

乗っかりました。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

こんな感じです。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

その錆漆を押さえていきます。
今回も左右にヘラを通してください。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

オッケーです。

ちょい盛り気味になってしまいましたが、硬化後に削りますので大丈夫。

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

 

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

 

 

金繕いの錆付け作業。錆漆を欠けた箇所に充填する

錆漆が乾くまで1~2日待機してください。
(調子のいい生漆を使うと4~5時間後に次の作業ができますが、一応大事を取って「待って」ください)

 

 

次の作業工程を見る

macha001

▸ Page 02 / 蒔絵・完成まで

 

 

 

 

 

Pocket