蒔絵の時の真綿の使い方

かめかめ蒔絵教室

 

イマイチ、よくわからん…

 

金継ぎの最後の仕上げに「消し粉」や「平極粉(平粉)」、「丸粉の1~3号」を蒔く場合は「真綿まわた」を使うのですが(「綿蒔きわたまき」というようです)、その真綿、どうやって使うと綺麗に蒔絵粉が蒔けるのか…ご存知ですか??

金継ぎ図書館内のこれまでのコンテンツでは「なんとなく」「あやふや」にしか説明していませんでした。(実は僕自身の理解が「あやふや」だったからです。済みません~)

それで先日、蒔絵師のかめ師匠にしっかりと聞いてきましたのでどうぞお聞きください◎

※ 後日、かめ先生や先輩方にこのページをチェックしてもらい、間違いや説明不足を指摘してもらおうと思っています。なので、このページは後日、加筆修正するかもしれません◎

 

話は少しずれますが…

  • 真綿で蒔く…「綿蒔き」
  • あしらい毛房(ふさふさした毛先の筆)で蒔く…「毛房蒔き」
  • 粉筒で蒔く…「筒蒔き」

綿蒔き…消し粉、平極粉、丸粉1~3号くらいの時に使用
毛房蒔き(+フィニッシュに真綿)…丸粉3~5号くらいの時に使用
筒蒔き…丸粉5号くらい~の時に使用

 

 

まずは地描き


蒔絵粉を蒔く前に、まずは絵漆(弁柄漆)を「均一に」「薄く」塗ります。

※ 漆を塗る前に、柔らかな穂先の筆などを使って(漆の塗りで使う筆とは別の筆を用意する)、塗る箇所の埃を払っておいてください。

 

金継ぎの上塗り作業ではうるしは薄く塗っていく。粉を蒔く前の漆はとにかく「”超”薄く」塗ります。
「薄く、薄く、薄く…」です。はい。

 

 

割れた蕎麦猪口の金継ぎ修理方法。蒔絵のやり方

初心者さんは薄く塗ったつもりでも、結構、厚くなっています。(ぶっちゃけ、「激アツ」です!)
なので、自分の感覚でいう「薄さ」のさらに4段階くらい上をいく薄さになるよう、漆を塗ってみてください。
(えー!こんなに薄くていいのかしら??ってくらいです)

かく言う私も、つい最近まで薄く塗ったつもりがかなり厚かったということが判明しました。師匠に指摘されました。(おー、情けない…(涙))
今だに蒔絵教室に伺うたびに「まだ厚いね~」と言われます。

 

 

蒔絵のための金粉を用意する。

漆が塗り終わりましたら、蒔絵粉の包み紙を広げ、重石で押えます。

 

金継ぎの蒔絵の方法としては真綿を使って金粉を蒔く

ちょい大きめのミニトマトくらいに千切った真綿を丸くまとめます。

その真綿に蒔絵粉をつけます。

 

真綿に金粉をたっぷりととって、それを漆の上にのせていく蒔絵粉はびびらずに、「しっかりと多目に」付けてください◎

蒔絵粉は手早く」「一気に」のせていかないと、きれいに仕上がりません。ので、「うー、金粉が…なんかもったいない~」と躊躇しちゃいけません。
腹を括って「多目」に蒔絵粉を真綿につけてください◎

※ ゆっくり蒔いていくと(粉蒔きに時差が生じると)、先に落ちた粉が漆を吸い上げてしまい、「石目肌」という「ザラザラ、ごりごり」した肌になっちゃいます。

 

 

それでは作業に取りかかります。
ここからは「手早く」作業を遂行してください。

 

まずは真綿につけた蒔絵粉を、漆を塗ったすぐ脇に付けます。

直接、漆の上に蒔絵粉を落としては(付けては)ダメです。
「漆の脇」です。

 

 

どうやって蒔絵粉を脇に付けるの??かといいますと、真綿を器に「トン」と当てて(軽く叩いて)、地塗りした脇に蒔絵粉を落とします。

 

 

↗こんな感じに漆の脇に蒔絵粉をつけます。

 

 

真綿を使って、落とした蒔絵粉を「払い込む」ように掃いて漆の上に乗せていきます。

真綿を「筆」のように使う…って感じでしょうか。

 

 

「手早く」蒔絵粉を払い込んでいきます。

すぐさま真綿を「クルクル」回しながら撫で付けていきます。

 

 

反対側からも払い込んでいきます。

「すみやかに」作業することが肝要です◎

 

この後、漆の上に載った蒔絵粉を撫で付けるようにさらに真綿をクルクル動かしていきます。

 

全体にしっかりと粉が付いたら、指で真綿をトントンと叩いて、真綿に付いている大きい粉を落とします。

 

そのあと、真綿に「はぁー」っと息を吐きかけて(湿気の多い息をかけてください◎)、「湿気」を帯びさせます。

その湿気を利用して器の上に残っている「細かい粉」を真綿で絡め取りながら、粉を蒔いたその上を撫で付けます。くるくると。

細かい粉??
ってどういうことでしょうね?

例えば「金粉の丸粉3号」といっても、全部同じ大きさの粒子が完璧に揃っているのかというとそんなことはなくて、前後10%くらいは大きさに差があります。中にはもう少し細かい粒子も混ざっています。それらの「細かい丸粉」を最後に蒔き付けるということです◎

こうすると漆の地描きの上にビッシリと粉が詰まっていきます。

蒔き終わったら、直ぐに湿し風呂に入れます。
これで作業終了です。

 

綿蒔きで使った綿の中に、蒔絵粉が残っていますので、粉の包み紙の上で、真綿をトントンと叩いて、中の粉を落とします。

 

 

 

 

蒔絵の失敗しやすいやり方


 

「失敗」といいますのは、仕上がりが「石目肌」という「ザラザラ、ごりごり」した肌になってしまうことです。

どうするとそうなってしまうのか?といいますと…

 

 

真綿を「直接」漆を塗った箇所に当てるように蒔いていくと…

 

蒔絵粉が「大量に落ちる」箇所と「少量しかつかない」箇所とができやすい。

大量に蒔絵粉がついた場所は周りの漆を吸い上げてしまい、その個所は大量に蒔絵粉が付着します。

 

その後、その周りにもしっかりと蒔絵粉を蒔いたとしても、先に大量に蒔いた箇所に漆を吸い上げられてしまっているので(吸いムラができるので)、凸凹が生じやすくなります。

 

※ そもそも漆を「均一」に塗れていないと(塗り厚に差があると)、↑こんな感じになりやすくなります。
あと、塗り厚が「厚い」と石目肌になりやすいと思います。

 

女性ですと、いつもの「お化粧」でお顔をパフパフしている要領で真綿も直接、漆の上を狙ってパフパフしてしまいがちです。

 

 

 

 

金継ぎで役立つ【裏技】


 

金継ぎではカップなどの内側にも蒔絵をほどこすことが、たびたびありますよね。

その際、手の入りづらい器もあります。底が深い器や、間口が狭い器などなど。

そういった器の内側の蒔絵作業をするのに、手を突っ込んでやろうとすると、突っ込んだ手で視覚を遮ってしまい、うっかり手に漆がついてしまったり(涙)、しっかりと蒔絵粉が蒔けているかわかりづらくなります。

そういった時に役立つ裏技です。(かめ師匠が使っているグッズです◎)

竹串など、弾力性のある素材の先の方を細く削って、弾力性を持たせます。
そして、先っちょに真綿を巻き付けます。
少しフワフワになるように巻いていきます。(ぎゅうぎゅうにきつく巻かないようにします)

 

↗こんな感じに柔らかく「しなる」といいです。しならないと、漆を引っ掻いてしまいやすくなります。

こういう真綿棒を用意すると、コップなど器の内側に手が入りづらいものに蒔絵粉を蒔くとき、作業がしやすくなります。

視覚が確保されるので、蒔き具合もしっかりと確認しながら作業ができます。
真綿棒は重宝します◎ ぜひ、作ってみてください。