雑木林です。おそらく市所有の。
で、この雑木林の手入れをしてくれているのがどこぞかのおじいさんです。多分、「勝手に」手入れしています。
朝早く、かなり暗いうちから隠れるようにしながら、ガサガサと枝を切ったり鎌で下草を刈ったりしています。知らない人が通ったら多分、ビビると思います。
ちなみにおじいさんに挨拶をしても返事はありません。
こういう人知れぬところで「雪掻き仕事」をしてくれている人がいるんですね。
注意を向け始めると以外と出くわします。世の中にほんの数パーセント、こういった人たちがいてくれるおかげで世の中や共同体の秩序が保たれているのだと内田樹先生(思想系武道家)は仰ります。なるほど、確かにですね。
「マンション住まいの方でも作れる」をコンセプトに木のスプーンの作り方を考えました。音が出なくて、小スペースでできて、道具も最小限でできるよう、手順、道具、材料を考えました。
できたら会社勤めの人に、休日、ふと「スプーン、作ってみようかな…。愉しいかもな…」と思ってもらえたら嬉しいです。
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Wood spoon
DIY 木のスプーンの作り方
Page 01 アウトラインを糸鋸で切る
Page 02 スプーン表側のラインを立体的に彫る
Page 03 スプーン裏側のラインを立体的に削る
Page 04 ヘッドの裏側・アウトライン、ネック部分を仕上げる
木のスプーンを作る時に最低限必要なものって何だろう??
と思う方は↓こちらをご覧ください。
Step 15 スプーンヘッドの内側部分の横彫り
ついにヘッド内側を彫っていきます。
鳩屋では今のところ「ヘッド外側を彫ってから→ヘッド内側を彫る」という手順をおススメしていまうす。一般的にはおそらく逆に「ヘッド内側→外側」だと思います。
何となく外→内の順番の方がしっくりきています。多分、スプーン外側のラインや形の方を重視しているからなのだと思います。彫刻的な見方をしているのかもしれませんね。
この手順だとどうも彫りづらい方はもちろん「ヘッド内→外」で彫っていってください。
それでは彫っていきます。
まずはスプーンを横になるように置いて、木の繊維に対して直角に彫っていきます。
この「横彫り」でゴリゴリと削って深さを出していきます。
・使用している材:朴(ほお) ▸Amazonリンク
・使っているのと同じ構造の作業台: ▸Amazonリンク
スプーンの柄を左手で持ち、作業台に固定しながら彫刻刀の丸刀(▸販売サイトへ)で彫ります。
まずはヘッド中央付近を軽く彫ります。
こんな感じです。
何で真ん中、軽く削るの?といいますと、こうしておいた方がこの後、深く彫っていった時に木の繊維が切れやすくなって、削りカスがスムーズに掃けてくれるからです。
(と思っているだけで、もしかしたら間違っているかもしれませんが)
いや、それ意味ないしーと感じるようでしたらスルーしてくださいね。
次にヘッドの根元(柄に近い部分)を削っていきます。
そして、ヘッドの先っちょの方を削ります。
で、手前を削ります。
こんな感じです。
手前半分がおおよそ削れました。
削っているときは時々、ヘッドの「厚み」をチェックしてください。
指でつまんで「感覚」で厚みを判断します。
今回使っている「朴」は比較的柔らかくて粘りがない材なので、あまり薄くしないようにしてください。何ミリ厚かは…よくわかりません。
この後、まだ「仕上げ彫り」がありますのでこの段階で薄くし過ぎないようにご注意ください。
今度はスプーンの柄が向かって右側になるように設置します。
この時はさすがに柄を手で持って作業することができないので、クランプを利用して固定してください。
ヘッド部分の厚みを確認しながら彫っていきます。
Step 16 スプーンヘッドの内側部分の〈縦彫り〉
今度は木の繊維に沿って彫っていきます。
使うのは丸刀です。
スプーンの柄をFクランプ(▸Amazonリンク)で固定して、ヘッドの先からヘッド中央に向けて彫ります。
ゴリゴリ彫るというよりかは、この段階では「厚みの調整」と「ラインをきれいにしていく」ことを意識します。
横彫りで「深さ」を出して、縦彫りで「仕上げ」ていく感じです。
ヘッド中央で彫りを止めます。
これ以上先に(柄の方に)彫ろうとすると木の繊維が「逆目」になってきれいに削れません。
今度は柄の方(A)からヘッド中央(B)に向かって彫っていきます。
まずは左半分を削ります。
この時、↑画像の青色のAラインが綺麗に繋がるように削っていきます。
スプーンを持ち替えて、再びヘッドの先から中央に向けて表面の皮をサラサラと削るように、バリを削って仕上げます。
次に右半分を削ります。
AからBへと削っていきます。
↑画像の青色ライン部分がもう少し深くなるように削ります。(私の好みとして)
丸刀を横にスライドさせるようにして削ります。
ヘッド中央に向かって何回か彫って、厚みを調整しつつ、きれいなカーブを作ります。
スプーンを持ち替えて、ヘッド先から中央に向かって彫ります。
仕上げを意識しながら彫ります。
この持ち方…、刃物の先に手があるので危ないですよね。こりゃ怖いという方はクランプで固定して安全第一で作業をしてください。無理なさらず。
慣れてきて刃物の微妙なコントロールができるようになってきたら↑画像のようにやってみてください。といっても私もそんなに上手じゃありません。慣れです。
ちなみに職人さんの刃物の使い方って結構、手前(からだ)に向かって使うことが多々あるような気がします。
桶職人さんやわっぱ職人さんが使う「銑」はもちろん手前に向かって刃物を使いますが、それ以外の職業でもよくある気がします。漆の作業工程の「布払い」という作業でも、小刀を手前に向かって動かしていきます。
刃物を手前に動かしちゃダメとか刃物の先に手を置いちゃダメというのは戦後の学校教育が作ってしまった風習なのかもしれませんね。未確認ですが。
話が逸れました。
こんな感じでフィニッシュです。
ラインが多少、気持ちよくなりましたかね?
Step 17 スプーンヘッド内側の仕上げ彫り
ヘッドの先っちょを仕上げます。
※ もう少し手前の段階でこの作業をした方が効率がいいかもしれません。カイゼンの余地ありです。
先端がちょっと、ガタピシしています。
A部分の傷が消えるまで削るのと、Bの出っ張りが目立たなくなるように削っていきます。
下の図のCラインになるように削ります。
平刀( ▸販売サイトへ)を使って削ります。
危険を感じるようでしたらスプーンの柄をクランプで挟んで固定してください。
傷がなくなり、ラインもきれいになりました。
が、厚みが出てしまいました。ので…
最後に丸刀を使って先っちょを仕上げます。
薄くしていきます。
ヘッド内側が仕上がった段階の写真を撮り忘れていました。
ですので他のスプーンを作った時の画像から借用します。
こんな感じになります。
ヘッド内側をもっと深く彫り込みたい場合は…「曲がり」「スクイ」と呼ばれる首が曲がった丸刀を使えば綺麗に彫れると思います。
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