今回は「木」のお椀を直す金継ぎ方法の《刻苧(こくそ)飼い~刻苧削り》までを解説していきます。
ところで鳩屋くん、君、漢字、間違っているよ。「器」の字が「大」じゃなくて「犬」になっているよ。
おっ!ホントだ。でもこれでいいんです。もともと「犬」だったみたいですよ。気になる方はちょっと調べてみてください。「器」ってそんな意味だったの!って驚きますよ。ふふふふ。
「漢字」って呪術なんですね~。魅力的です。
〈木の器の金継ぎ工程 03〉 刻苧漆を充填する
使う道具・材料(▸ 刻苧漆の充填で使う道具・材料の入手先・値段)
↑の材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。
▸ 刻苧漆の作り方
※ このページも刻苧漆の使い方を詳しく説明していますが、もうちょい(くどいくらいに)説明したページを作りました。ご興味のある方は覗いてみてください。
▸ 刻苧漆のつけ方・使い方
さぁ、V字に彫った箇所を刻苧で埋めていきましょう。
刻苧箆を使って少量ずつ刻苧を詰めていきます。
しっかりと押し込んで木地に密着させます。
少しずつ刻苧を足していきます。
口元部分に刻苧を盛る場合は「支え」となるものがないので、サランラップを後ろから当てがって「壁」を作ります。
それから刻苧を詰めていきます。
お椀の内側も同様に刻苧を詰めていきます。
最後にサランラップをぐるっと巻いて、その上から指でしっかりと押し込みます。
押し込みます。
刻苧充填作業、完了です。
刻苧漆はほぼフラットか、ほんの少し盛り気味になるようにします。
硬化とともに刻苧に含まれる水分が飛びますので、その分盛った箇所が「痩せ」ます。
刻苧漆の一回の盛り厚は5ミリ弱程度で抑えた方がいいと思います。(毎回、言っている数値が変わっているかもしれませんが)
深い溝を彫った場合は2回に分けて刻苧を盛ってください。(1回に3㎜程度とか)
刻苧漆の乾きに2,3週間待ってください。
(刻苧に含まれる漆の割合、木粉の割合、漆自体の活力、気温などによって乾きのスピードが異なります)
〈木の器の金継ぎ工程 04〉 刻苧漆の削り・研ぎ
刻苧漆削りで使う道具(次のいずれか、もしくは複数) ▸ 金継ぎで使うおすすめの刃物のご説明
- 道具: ① メス(先丸型) ② オルファのアートナイフプロ(先丸型) ③ カッターナイフ(大) ④ 彫刻刀(平丸)
おススメは平丸の彫刻刀です。かなり作業が楽にきれいに、さらには楽しくできます。(言い過ぎかしら) ▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ方法
出っ張った刻苧やはみ出した刻苧を刃物で削っていきます。
ほんのちょっと刻苧が盛り気味です。
これを削っていきます。
陶器の場合と違って、木の器は刃物で削れてしまいます。
ですので十分気を付けて刻苧を削っていきます。
器の外側を削るときは彫刻刀の刃の裏側を器に押し当てながら削っていきます。
口元周りを削るときも刃の裏側を器に当てながら削ります。
器の内側を削るときは彫刻刀の刃の表側を器に当てながら削ります。
刻苧削り作業、完了です。
なかなか綺麗に削れました。
刃物を扱うのが苦手な方はあまり無理せずそこそこでやめておいてください。
うっかり器を彫っちゃうとすごく悲しくなりますので。
そういう方はペーパー研ぎで頑張りましょう。
綺麗に削れた方は空研ぎペーパーの#320程度で軽くさささっと研いでください。
刃物の後を消す程度に。
刃物できれいに削れなかった方はペーパーの#180か#240程度でしっかりと研いで形を作っていってください。
その際に、当てゴム(①、②)を使うとときれいな面を作りやすくなります。
①は市販の消しゴムです。柔らかいので素地の「凹凸」を比較的よく拾ってしまいます。けど、入手が簡単なのでこれでひとまずやってみてもいいと思います。
②はホームセンターやハンズなどで売っている「ゴム板」を切って成形しました。¥200~¥300程度で入手できるかと思います。使ったのは板厚10㎜のものです。
カッターで小さく切り、それから大雑把に曲面に削ってからペーパーで丸みをつけました。
固目のゴム質なので、研いだ時にも「形」を作りやすくなります。
ペーパーを適当な大きさにハサミで切って、それを当てゴムに巻いて使います。
刻苧漆を研ぐときのペーパーは「空研ぎ」用のモノが目詰まりをおこしにくいのでお勧めです。
「耐水」ペーパーを持っているし、わざわざ「空研ぎ」を買うのもちょっと面倒…という方は「耐水」でもそこそこ用は足ります。
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