※ 2ピースに割れたガラスの簪です。その金継ぎ修理の方法を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
※今回は金継ぎ工程のごくごく概要のみを解説していきます。
1.漆塗りと研ぎ
錆漆を研いだ後、金継ぎの漆塗り作業を行います。
漆の塗り→研ぎ→塗り→研ぎ…と繰り返していきます。
今回は弁柄漆(赤茶色の漆)で繰り返し塗り重ねていきました。
接着した細いラインの「面が平滑になるまで」と
ラインが「すこしふっくらと厚みがつくまで」塗り重ねました。
2. 蒔絵 → 紛固め
弁柄漆を薄く塗り、3時間くらい湿した風呂に入れて漆の乾きを促進させます。
金粉を蒔き再び湿した風呂に入れて3,4日、漆がしっかり乾くのを待ちます。
定着しなかった金粉を柔らかい小筆で払ってから
金粉をしっかり固定する作業に取り掛かります↓
金継ぎの蒔絵紛を固める工程です。
テレピンで希釈した生漆を金粉の上から塗っていきます。
「塗る」というより、筆を置いていく感じです。
塗るように筆を動かすと金粉の上をざらざら擦る感じになってしまい、
定着の弱かった金粉が動いてしまします。
ですので、ポンポンポンと優しく筆を置いていく感じです。
後でティッシュで拭き取りますので、しっかり金粉に漆が含まれるように漆を塗っていきます。
次にティッシュで漆を吸い取ります。
ティッシュは動かさないようにして、優しく押し当て漆を吸い取ります。
漆の吸い取りはティッシュに漆がつかなくなるまで
ティッシュの吸い取り面を変えつつ繰り返します。
金粉の固め終了です。
湿した風呂に入れて2,3日置いておきます。
3. 紛磨き
金継ぎの蒔絵紛磨きの工程です。
金属粉に被せた漆ががしっかり乾いたら金粉を磨きます。
↑は鯛の牙で磨いています。
が、どうもきれいに光沢が出なかったので磨き粉で磨き作業をすることにしました。
豆皿に磨き粉を少量出します。
磨き粉はサンジェットの L-676 です。漆屋さんでしたらだいたいどこでも置いてあります。
豆皿に出した磨き粉を指に少し付けます。
磨く箇所に磨き粉を点付けします。
優しく磨きます。すりすり。
手のひらのぷくぷくした部分を使ってもオッケーです。
紛磨き終了です。
この後、ちょっとしたはみ出しを修正しようと布団針でちょちょちょと蒔絵を引っ掻いていたら…簡単にパリパリ蒔絵が剥がれてしまいましたのです。無念の失敗。
もう一度塗りから金継ぎをやり直しました。
作業中からずっと「色漆の方が合うかも」と気になっていたのでそちらに方向転換しました。
写真がうまく撮れなかったのですが(…ガラスって難しいですねえ~)
なんとなく収まりがよくなった気がしました。
ガラスの簪の金継ぎ修理が完了しました。
絵漆で描いた彼岸花がガラスの中のもともとあった彼岸花と響きあって
幻想的な雰囲気が出たような気がしました(気のせいかしら?)
現実世界(此岸)の彼岸花とあちらの世界(彼岸)の彼岸花が
それぞれに呼応しているような妄想を楽しませていただきました。
前の作業工程を見る ▸ ① ~塗りまで