馬膏袢(ばこうはん)という有名な鎹(かすがい)継ぎの修理がなされたものが東京国立博物館にありますが、なんとも心が惹かれてしまいますよね。
中国の昔の器修理技術ようです。詳しくは知らないのですが。日本の金継ぎとはまた別の魅力を感じます。「かすがい」って縁起よさそうですしね。
となると、やってみたくなりますよね。
で、やってみました。「鎹継ぎ」もどきです。
陶器の鎹継ぎ
↑去年、初めて簡易金継ぎをやってみました。いやー、やりませんよ。漆が使えるのだから。
わざわざ合成樹脂でやる必要がなくていままでやったことがなかったのです。でも、誰かがやらないとですよね。こういうことは。漆の金継ぎを知る人が合成樹脂の金継ぎにフィードバックする。より良い手順を考えたりしてナビゲートする。
世の中には「誰かがやればいいのだからわたしには関係ない」という人と、「それはわたしが引き受けます」という人の二種類がいる…と内田先生は仰ります。多くの人が前者の立場を取ります。私もいつもはそうです。
で、たまには(本当にごくごくたまにですが)「それはわたしが引き受けます」ということでやってみました。
話が逸れてしまいました。基本的に日本の修理技法の「(簡易)金継ぎ」で仕上げた後に「加飾」として鎹を打ち込みました。
打ち込んだというより接着した感じです。麦漆でくっつくけました。
鎹自体で器が止まっているわけではありません。あくまで飾りです。
器にリューターで穴を少し開けて、麦漆を塗り、そこに真鍮の鎹を打ち込みました。
真鍮の鎹は真鍮釘を玄翁で叩いて鎹にしました。多少は面倒ですが、技術的に難しいということは全くありません。今度、やり方をご紹介します。
木地器の鎹継ぎ
木の器の鎹継ぎです。これは何となくできそうなイメージが浮かびますよね。鎹さえ手に入れば。
この器は一度欠けてしまったものを漆継ぎしました。そして鎹継ぎした時のイメージをつかむために練習台になってもらいました。錐(きり)で下穴をあけて、そこに打ち込みました。
こちらも真鍮製の鎹です。お飾り。強度はありません。
真鍮にも軽く拭き漆をしてエイジングしたようにしました。