ファイツ!
※ 多くのご要望に応えまして「付け箆の作り方 ~4th edition」、作り直しました。
というか、「分かりにくいのね、金継ぎ図書館さんは」というご指摘に後押しされまして、全面的に改訂を施しました。
2016-12-15 動画を作りました。ご参考までに。
使う道具・材料
- カッター(大)
- 平竹串
※ ほぼ極限まで先っちょが薄くなってからハサミを入れてください。
じゃないと、「パチッ」と割れてしまいますー。
2017-04-30
「竹の割箸」でも作ることができました!
↑これでイケちゃいました◎
▸ 竹割り箸で作る金継ぎ用の「付けベラ」の作り方
さらに幅広(12㎜幅)の”練りベラ”も竹割り箸で作れます!
こちらもおススメ
▸ 「竹の割箸」で幅広(12㎜幅)の”練りベラ”を作るやり方
付けべらとは
以下の作業時に使います。
- 麦漆やエポキシ接着剤を割れた器の断面に付ける
- 錆漆やエポキシペーストを欠けた場所などに付ける
- エポキシ接着剤やエポキシペーストを混ぜ合わせる
- 筆を洗う
付け箆を作りましょう。ぜひ。
プラベラ…でかすぎませんか?つねづね疑問だったのですが。
このヘラを作れば細かい作業は断然、作業しやすくなります。作業に適した大きさのヘラを自作しましょう。何種類か持っているとさらに便利ですし、作っていると愉しいのであります◎
「その道の人」しか知らないトリビアルなポイントも2点ほどご紹介します。その2点を抑えて「この人、金継ぎ上級者かしら!?」と勘違いされてください。(いや、でも素人の人が知らないことなので、気が付いてもらえないですよね。でも漆職人さんは当然のこととしてやっていることです)
付けへら作りで使う道具と材料
付けヘラ作りで使う道具と材料
- 道具: ①カッター(大) ②はさみ(何に使うの?) ③書くもの ④紙やすり(#400) ※⑤ライター、ロウソク、ロウソク立て ⑥定規 ⑦
糸鋸(ノコギリでオッケーです)済みません!糸鋸いりませんでした ⑧削る時の木の作業台 - 材料: ⑨平竹ぐし(長さ18㎝ × 20本入りで¥120-くらい)
※ ⑨ 平竹串サイズ…長さ180㎜×厚み3㎜×幅6㎜ のものを使いました。長さは18㎝か21㎝のものがいいと思います。15㎝だと少し短くてやりづらそうです。幅は6㎜がベストだと考えています。
※ ⑤ はヘラ先を曲げたい時に使います。器の内側などでどうしても通常の箆では作業がやりづらい時に「曲げ箆」を作って対応してください。
※ もっと簡易的な箆で十分ですという方は ▸ 割り箸で作る超簡易付け箆(但し、折れやすいです)
(2016-08-03 追記)
錆漆を「付ける」用の箆は確かにこれでひとまずオッケーなのですが、
錆漆、麦漆、刻苧を「練る」用の箆はこれだとちょっと細過ぎて厳しいのです。
そこでもう少し幅広の竹串を試してみました。
「つくね串」 幅9㎜×長さ180㎜ ¥2,450-/100本
です。(100本もいらないよー)
作り方はこのページで説明しているやり方と一緒です。ただし、もう少し「腰」が強くなるように「厚目」に削ります。
これですと金継ぎで使うにはそこそこちょうどいい感じがしました。
金継ぎで作る錆漆や刻苧の分量ってほんの少しですから。
ただ、問題が…。あまり売っているお店は無さそうなのです。私も唯一、東京の河童橋道具街で見つけました。なのでこれをアナウンスしても意味がないかもしれないのですが、一応。
↓の 〈step 01〉糸鋸で先端を切る作業はいりませんでした。済みません!
〈付けへら作り STEP 01〉 竹串の先端を切る
まずは竹串のとんがっている先端を切ってしまいます。ここは使いませんので。
糸鋸、ノコギリなどなんでも構いません。
※ 後程、先端は〈はさみ〉で切るので、わざわざ糸鋸で切る必要はありませんでした。
うっかりしてました。すみません。(2016-04-22改訂)
〈付けへら作り STEP 02〉 カッターで竹串を削って薄くする
竹串の先端が薄くなればどうやったって構いません。が、一応、カッターで削るのに効率的かなと思えるやり方をご説明していきます。
削っていくのは竹の内側(竹の皮と反対側)です。ここ間違えないでください。
竹串の先端をノコギリで切った後、その切った場所から55~65㎜くらい下のラインから削って薄くしていきます。(※ 以前は「40~55㎜」と書いていましたが、もう少し長くとった方が「しなり」がソフトで使いやすかったので訂正させていただきました。2016/02/21)
目印として55~65㎜の場所に鉛筆などでラインを引いておきます。
ある程度、薄い部分に長さがないと使いやすい「しなり」がでてきません。長過ぎると「しなりすぎる腰の弱い箆」ができてしまいますのでご注意ください。
まずは右半分を削ります。
↑横から見た画像です。とりあえず半分くらいの厚さを削り取ります。
正面から見た時、45度くらいの角度で刃が入るようにして削ります。
なんでわざわざこんなやり方をしているのかと言いますと、この方が刃に対する「抵抗」が少なくなるので、カッターでも比較的楽に削れるからです。
いきます。さわさわと、表面をちょっとずつ削るのではなく、一気にグサッと刃を食い込ませます。竹はこの方が楽に削れます。
刃はなるべく進行方向に対して斜めになるようにした方が、より抵抗が少なくなって削りやすいです。↑画像よりもう少し斜めの方がいいと思います。
3回くらい刃を通して削っていきました。
いったん、ここで右半分を終了してください。
次に左半分です。
厚みも半分くらい削り取っていきます。
刃をグッと食い込ませます。
はい、刃物の前には指を置かないように気を付けてください。
こちらもカッターを3回くらい通して削っていきます。
左半分の削りも終わりました。
ホームベースのような形になりました。別にこんなに綺麗に形を整えなくても大丈夫です。
今回は「魅せる削り」をやっています。いつもはもっとワイルドです。
右半分の二回目の削りです。図で示してある「青い斜線」を削ります。
削れました。
↑今、こんな感じです。右半分の面積が広くなっているはずです。
続いて、再度、左半分です。図の「青い斜線部分」を削ります。
カッターを2,3回通して削ってください。
薄く平べったくなってきました。
今度は尾根の部分を削ります。
刃は進行方向に対して斜めにします。↑よりもっと斜めの方が抵抗が少なくなって削りやすいです。
尾根が削れました。
けっこう平べってくなりました。薄くなってきたので、空中で削ろうとすると竹がしなってしまいます。
いらない木の板(なんてありませんよね?いらない雑誌などで代用してください)の上に竹を置いて削ります。
このあたりになると慎重に厚みを気にしながら削ってください。
薄く削ろうとすると刃の抵抗が大きくなりますが、ここは頑張って少しずつ削ってください。
厚みを薄くしながら、時々、ヘラ先をしならせてみます。ほどよいしなりになるまで作業を繰り返します。
「しなり」に関しては個人の好みでいいと思います。私は0.5㎜厚くらいが使いやすいです。
ヘラの「先っちょ」だけ薄くしてもしなりの具合はよくなりません。もっと根元、30~40㎜くらいのところからしっかりと薄くしていってください。
〈付けへら作り STEP 03〉 はさみでヘラ先をカットする
好みのしなり具合になったら、次はヘラ先を加工します。
※ ほぼ極限まで先っちょが薄くなってからハサミを入れてください。
じゃないと、「パチッ」と割れてしまいますー。
ヘラ先を斜めにカットします。はさみで。ちょんっと切ります。
は?…さみ…?と思われますか。はい、私もそう思います。はさみはないでしょーと思います。けど意外とうまくいくのです。カッターで削ろうとすると大変なんですよ。
やってみてください。
はさみはこれで使っちゃうと多分、刃がおバカになって紙が切れなくなると思います。ので、「耐水ペーパーを切る用のはさみ」を一本こしらえて、それを使ってください。100均のはさみで十分です。
さらにとんがった先っちょを切ります。
先ほど切ったラインに対して90度の角度です。あまり厳密になる必要はありません。
この「先っちょカット」は素人は知らない「隠れテク」ですので、この加工をすることで「通」ぶってください。
「え~、何で先っちょカットしてるの?」って聞かれたら、「うふふふ、ナイショよ」とごまかしてください。先っちょをカットする理由は…うふふふ、ナイショです。
「通」っぽく見えることが重要です。
できました。へらっぽい!おー、ヘラじゃん◎
ヘラの裏側(竹の皮)から見るとこんな感じです。
〈付けへら作り STEP 04〉 ヘラ先を整える
いよいよ最終コーナーです。箆先をきれいにします。
紙ヤスリ(耐水ペーパーでオッケー)の#400くらいの上でヘラ先を動かして、きれいにします。
この時、ヘラ先のラインにほんの少し丸みをつけます。これをやっているとさらに「知っている人」になります。私はこの加工をしている人に出会ったらひとまず用心します。明らかに「トーシロー」ではないからです。「身なり、道具類からうっかり、素人だと思って侮っていたが、よくみればこのヘラ…!もしや手練れの金継ぎ師では…!?」
ぜひ、やってください。
なぜ、ヘラ先を丸くするのか?って。それもナイショです。ふふふふ。いや、説明するのが面倒なだけです。
ちなみに、ヘラを使っているうちに箆先の丸みが削れてきます。内側に凹んできます。ですので時たまメンテナンスして丸みをつけてください。ペーパーでじょりじょりです。
ヘラ先の平たい部分も綺麗にしちゃいましょう。
接着剤や錆漆などを使っているといつの間にかそれが箆にこびりついてきます。ですので時々ペーパーできれいにしてあげてください。キープクリーンです。
へらが綺麗にメンテナンスされていると「上手な人」に見えます。逆に箆が汚い人は「下手な人」に見えます。汚い箆を使い続けていると自分で自分のことを「この人は下手な人」だと無意識的に思い続けることになります。自分をその立場に縛り付けることになります。そうすると金継ぎが上達しません。いや、ほんと、そんなものです。
ですので道具はぜひぜひきれいにされてください。
私の道具は…きたない。きれいにします。
できました!
※ この付け箆の薄くなった部分をロウソクの火で熱して曲げると「曲がり箆」が作れます。
お茶碗の内側などに錆付けする際に便利です。
「ヘラの作り方~1st edition」 よりかなり分かりやすくなったのではないでしょうか?あぁ、読んでませんと。
それでもいいです。
ぜひ、ヘラを自作して金継ぎライフをより良いものにしてください。
刻苧漆こくそうるし(パテ)を付けるときに便利なヘラの作り方も見てみてください
錆漆、麦漆等の「練り箆」としておススメなのが
幅広(12㎜幅)の”練りベラ”も竹割り箸で作れます!
こちらもおススメ
▸ 「竹の割箸」で幅広(12㎜幅)の”練りベラ”を作るやり方