(2017-04-16 追記)
※ より初心者に使いやすいと思われる「竹の割り箸で作る”幅広の練りベラ”の作り方」が見つかったのでアップしました。
そちらの方がおススメかもしれません。
▸ 竹の割り箸で作る”幅広の練りベラ”の作り方
ひのき |
メリット ・加工がすごく楽 |
デメリット ・ホームセンターで売っているヒノキだと、 |
|
竹 |
メリット ・ほとんど折れない ・弾力性がある |
デメリット ・幅広のものの入手が難しい ・加工がちょっと厄介(かも) |
といことで私の結論としては、
ビギナー向けには「竹」をおススメします◎
金継ぎ図書館はあくまで「自分で作る」を基本姿勢としています。Do It Yourself です。ですので、なるべくなら箆も出来合いのものを買うのではなく自分で素材から加工して作り出す。そうするとカスタマイズも自分でできるようになります。例えば「細く」とか「箆先に丸みを強くつける」とか。さらには「ヘラの腰を強く」とか「柔らかく」とかもできます。
ホームセンターで売っている「檜の板」と「カッターナイフ」でやってみました。出来ました!しかもわりあい作業が楽でした。力も技術もあまり要らない。もちろん慣れてきた方が微妙な匙加減ができますが、初めての人だって「それなり」に箆が作れそうな感じがしました。
自由自在に皆さんが箆を作れるようになって、気持ちよく作業ができるようになっていただけたらと思います。
2016-12-18 動画を作りました。
↗動画が6分以上と長いので、4倍速バージョンもご用意しました。
お時間の無い方、要点だけチェックしたい方はこちら↙をどうぞ◎
へらの作り方の解説ですが、少し長くなりそうなので何ページかに分けさせてください。一気に書こうとするとえらく疲れるので。済みませんがお付き合いください。
ひのきべらとは
檜(ひのき)で作った漆用の箆です。
檜は木目が通っているので加工が容易です。(カッターナイフでもいける!)
以下の作業時に使うのがおススメです。
※ 少し「厚め」に作った方が折れにくいです。
- 錆漆を作る
- 麦漆、刻苧漆を作る
- エポキシペースト、エポキシ錆を作る
- 筆を洗う
錆漆、麦漆、刻苧漆などを練るとき、ヘラの「腰」がある程度強く、かつ「しなる」方が使い勝手がいいです。
プラスチック箆ですと今、入手が簡単なサイズの最小幅は30㎜だと思います。これだと金継ぎで使うにはデカすぎます。よね。
さらにプラ箆ですと「しなり具合」がイマイチなのです。これは材質上、どうしようもないのかもしれません。
檜箆ですと自分にフィットする腰の強さ、しなり具合、「しなり始めるポイント」を自由に設定することができます。
今まで、どうも「箆ワーク」が苦手だった人(錆漆を作るとき、砥の粉がどうしてもまとまらなかったとか)、もしかしたら箆が問題だったのかもしれませんよ。
今回は錆漆、麦漆、刻苧漆練り用を想定して、腰が強めの箆を作ります。ヘラ幅も板材いっぱいいっぱいの15㎜幅で作ります。
ヘラ幅を狭くして、もう少し腰を弱めにして薄く削ればもちろん金継ぎ用の「付け箆」としてすごく使い勝手よく使えます。
檜ベラ作りで使う道具と材料
ひのきベラ作りで使う道具と材料
- 道具: ② 30㎝定規 ③ 糸鋸 ④ 筆記用具 ⑤ カッターナイフ(大) ⑥ 作業台
- 材料: ① 檜の板材 ⑦ 空研ぎペーパー(#320、#800)
刃物…小刀(切り出し)を持ってる方はそちらを使った方が数段、楽です。
檜の板材…ホームセンター、ハンズなどで入手できます。
サイズ (板厚)5×(幅)15×(長さ)90㎜ 価格¥100-前後
▸ ひのき板材の選び方
板材を選ぶ基準(これすごく重要です)
- 柾目(木目が平行に並んでいる)
- ① 目が通っている(木目が直線に通っている。できるだけ板の先からお尻まで通っている方がいい。③のように木目が「斜め」に通って切れているのはちょっとダメ)
- ② 目が細かい(木目がの間隔が「密」)
ハンズの木材売り場で店員さんに怪しい目で見られたとしてもじっくりと「いい材」を選んでください。
※ 漆屋さんで売っている「箆木」の方が本当はいいです。「ヘギ板」といって木の繊維に沿って割って作られた板です。「割っている」のです。すごいですね。ヘギ板だと繊維が切断されていないので箆が反ったり、割れたり、折れたりといったことがほとんどありません。板を薄くしても「腰」がしっかり残ります。
ですが、カンナをかけて平面を出したりといった製材の作業が必要だったりするので、入手が簡単で「そこそこ問題なく使える」ホームセンター系の板材をおすすめさせていただきます。
〈檜箆の作り方 01〉 箆の長さを決めて、鋸で切る
まずはヘラの長さを決めます。
何となくのおススメですが、箆の長さは230㎜くらいです。
もちろんもっと長くても短くても構いません。ご自身で使いやすい長さにしてください。
長さを決めたら、鋸で切ります。
いつも通り、糸鋸の持ち方が間違っています。カメラに入るよう「やらせ」ポーズです。
〈檜箆の作り方 02〉 箆の形に板を割る
長方形の対角線に線を引きます。
板の裏側も同様の場所になるように対角線を引いてください。
A→Bへ斜めに線が引かれました。
ここのラインで割るようにします。
対角線の上に定規を当てて、その中央付近のCからBへとカッターナイフを「軽く」引いていきます。
押さえている左手の親指に気を付けてください。
カッターが近くなったら離してくださいね。
板を反転させます。今度はCからAへとカッターを通します。
指を切らないように気を付けつつ、3回ほど軽くカッターを通してください。
カッターで引いたところが少し溝になっていますので、今度は定規を外して力を入れてカッターを引いていきます。
これも3回くらいカッターを通してください。
けっこう、刃が板の中に食い込みます。
対角線の中央付近からカッターを引いて→反転させて→再び、中央付近からカッターを引く
板の裏側も同様の作業をおこなってください。
3回ほど軽くカッターを入れ→続いて3回ほど強くカッターを通す。
割ります。
ぐりぐりやってください。
ぐりぐり…って、何て言えばいいんでしょうか?
カッターで切れ込みを入れた部分を奥に押したり、手前に押したりします。
手前に押し出します。
割れ…た!
そうです。意外とカッターで割れちゃうんです。
箆ができました。
終了ですー。うそです。
〈檜箆の作り方 03〉 箆の持ち手側先っちょを削る
この後、箆を薄く削っていくのですが、その前に持ち手側の先を丸く削っておきます。
ここが尖っていると削り作業の時に痛いのです。
先っちょが細くなっていますので、少し厚みがついている部分まで削って短くしていきます。
私は何となく20㎜くらい削りました。
そういえば…この作業はノコギリで切ればよかった!
皆さんはノコギリを使ってください。
カッターでやる場合は、板に対して垂直に刃を入れるんじゃなくて、斜めにカットしていってください。
いや、垂直でも数回カッターを通せば切れそうですね…。
その場合は作業板の上に置いて、表と裏から切れ込みを入れれば簡単に折れると思います。
…いろいろ「詰め」の甘さが露呈してきました。
反対側からも斜めにカットします。
最後にそこそこ平らにします。
〈檜箆の作り方 04〉 箆の側面を綺麗にする
板を割った時の「ささくれ」が側面に残っていますので、これを削ってしまいましょう。
鉋を持っているようでしたら、それを使ってください。
もっているわけないじゃん!という方は、カッターで削ります。
さささっとささくれを削っていきます。
箆の側面も綺麗な直線ラインが出ているのが理想ですが、カッターではそれはなかなか難しいですので、完成前の作業でペーパーを使って直線を出します。
この段階では少しラインがよれよれしていても気にしないでください。
しょーがないッス。
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