※ 金継ぎ修理の刻苧付けやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
動画を作りました。
刻苧漆の充填のやり方、ご確認ください◎
|
<使う道具・材料>
- 刻苧箆、付け箆、サランラップ
- 刻苧漆、麦漆
step 01 刻苧漆を用意する
金継ぎの刻苧付けで使う道具と材料
- 道具: 刻苧箆( ▸ 刻苧箆の作り方 )、サランラップ
- 材料: 生漆、小麦粉、水、木粉
まずは刻苧漆を作ってください ▸ 刻苧漆の詳しい作り方
刻苧付けにちょうどいい欠け具合の器があったのでこちらでご説明していきます。
なんで割れを直しているのに欠けだけ直してないの?って。
まぁ、諸事情がございまして…ごにょごにょ
10㎜×10㎜くらいの欠けです。
step 02 サランラップをスタンバイする
まずはサランラップを用意します。
手ごろな小ささに切ります。はさみで切ってもいいし、手で切ってもオッケーです。今回は適当に5㎝×10㎝くらいに切りました。
まずは器の外側から欠けた部分にサランラップを当てます。
サランラップの上から欠けた部分を指で押さえます。
器の内側から見ると↑のようになります。
指をぴったりと器に付けてください。
ぴたりとついています。
このサランラップ&指を防波堤となるようにして、器の内側から刻苧漆をモリモリ盛っていきます。
ちなみにこのやり方は昔、うずまこ陶芸教室のTeimour SABOURI先生に教わりました。陶芸家なのになぜか知っていた。頭キレキレのイランの紳士です。
step 03 刻苧漆を適量、詰め込む
刻苧を詰めていきます。いっぺんに沢山盛るよりは少な目に盛っていきます。
刻苧を盛りつつ、器の欠けた断面と密着するようにしっかりと詰めていきます。
盛ります盛ります。
器外側から当てている指はしっかり器に密着させて押さえてください。
器の内側から刻苧を詰めたら今度は器の外側から作業をします。
今度は内側からサランラップを当てます。
サランラップをくるっと回す必要はありませんでした。
器の内側にサランラップをセットしてください。
サランラップの上から指で押さえます。
表側から刻苧を盛っていた時にちょっと油断していました。しっかり押さえきれていなかったようです。でも大丈夫。
器の内側から指でしっかりと押さえます。防波堤のように断固、固定してください。
外側からへらで押し込んで刻苧同士が密着するように、それから刻苧と欠けた断面とが密着するように詰め込んでいきます。
ある程度しっかり詰め込めたら最後の仕上げに移ります。
step 04 刻苧漆の形を整える
内側から当てていたサランラップをそのまま器の外側にぐるっと出します。
欠けに詰め込んだ刻苧漆を巻きます。
刻苧漆をぐるっと巻いてあります。
サランラップの上から親指、人差し指で軽く抑え込んで形を整えます。
今度は器の縁部分に形を作ります。
親指、中指で刻苧を挟んで…
人差し指で押し込んで、縁部分になる形を作ります。
パチンと勢いよくやる必要はありません。やっちゃいけません。
あとは気になるところの形を整えたり、圧力を加えて密着させたりします。
いろいろな角度からチェックしてラインが綺麗に繋がっているかを確かめます。
とくに器の縁部分はラインが目につくところなのでなるべくきれいになるように頑張ります。
刻苧漆を付けた段階できれいになっていなくても、刃物で削ったり錆漆をつけたりして修正できますので大丈夫です。ですが、きれいに成形できるようになると後の作業が楽になりますし、最終的な仕上がりもよくなるような気がします。
step 05 サランラップを取る
まぁ、きれいにできていそうなのでこの辺で刻苧の成形作業はやめます。
サランラップを取ります。
刻苧をなるべく引っ張らないように気をつけながらサランラップを引いて取ります。
気を付けて…取ります。
取れました。もし、この時に刻苧漆が少し動いてしまったら、サランラップをほんの軽く当ててその上から指で修正します。
ちょっとへこんでいるところもありますが、錆漆で修正しますのでいいとしましょう。
サランラップと指できれいに成形できました。
ぜひぜひこのやり方をマスターして刻苧の達人になってください。
おっ!ハトだ。
その他の参考ページ ▸ 割れた竹筒カップの金継ぎ方法(極詳述) 3/6 刻苧漆の充填