※ 3ピースに割れたカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
step 01 刻苧漆の充填2回目
前回おこなった刻苧漆の充填で埋まりきらなかったぶんを2回目できっちり埋めていきます。
使う道具・材料(▸ 刻苧漆の充填で使う道具・材料の入手先・値段)
- 道具: プラスチック箆、刻苧(こくそ)箆(▸ 刻苧箆の作り方)
- 材料: 生漆、小麦粉、水、木粉
↑の材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。
▸ 刻苧漆の作り方
少量の刻苧漆を箆にとって、充填していきます。
しっかり押し込んで、隙間がないようにします。
周りの面と同じレベルになるように、「摺り切りいっぱい」という感じで盛ります。
器の内側からも刻苧漆を詰めていきます。
隙間なく押し込めます。
箆先を使ってキワの部分もしっかり押し込んでいきます。
できました。
次は成形が必要な口周りの欠けの充填です。
刻苧漆を少量ずつ箆で盛っていきます。
箆でしっかり押し込みます。
今回もサランラップにアシストしてもらいます。
器の外側からサランラップを当ててガイドとします。
器の内側からさらに刻苧漆を盛っていきます。
箆で押し込めます。
サランラップを外側から内側へぐるっと巻いて、その上から指で押さえます。
指で形を作っていきます。
サランラップを広げると…あら、きれい!
外側からも刻苧漆を盛って、押し込んで、
そしてその上からサランラップを当てます。
指で成形します。
器の口周りの形になるように成形します。
サランラップをはがすと…あら、きれい!!
うむ、なかなかきれいであります。
ちょっと出っ張っているところがありますけど、全然オッケーです。
乾いたら削れるので。
刻苧漆の充填は「ちょい少な目」よりかは「ちょい多目」の方がいいです。
が、ジャストくらいがいいような気がしています。
今のところ私はジャスト狙いでやっています。
このあと刻苧漆を乾かすのに1~2週間置いておきます。
特に湿した場所に置く必要はありません。
step 02 刻苧漆の削り
刻苧の削りで使用する道具: 彫刻刀など(メス、カッターなどでもオッケー)
乾いた刻苧漆を削っていきます。
他の削っている画像も見てもらえると気が付くかと思いますが、
できるだけ刃の半分くらいが器のほうに乗っかっています。
刃の裏側を器の方に乗せる(押し当てる)ことで、
間違いなく器と同じレベル(水準)まで削ることができます。
充填した刻苧漆が周りの器とフラットにつながっていきます。
カップの口元、縁部分の刻苧を削るときも、
なるべく周りの陶器本体に彫刻刀の裏を押し当ててガイドとします。
左手の親指で彫刻刀をコントロールします。
器の内側も削ります。
まずは充填した刻苧漆と陶器との境目から削っていきます。
刃の半分くらいを器の方に当てつつ削ります。
充填した刻苧の中の方も削っていきます。
周りとラインがスムーズにつながるように気を付けて、少しづつ削ります。
できました。
もし、少し削りすぎてへこんだとしてもこの後、錆漆を付けていきますので
それでへこみを埋めていきましょう。
器の内側も削れました。
ちょっとした穴、隙間があってもそれは次の錆漆で埋めていきますので
大丈夫です。
口元のラインもなかなかきれいにつながりました。
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