ファイツ!!
現在全面改訂中
artist 百田輝さんの器
超・初心者向け
難易度:
使用粉:錫粉(銀色の金属粉)
仕上げ:簡単・お手軽
今回のシリーズはあまり「完成度の高さ」にこだわらずに、「そこそこ」に仕上げます◎
【前回の作業工程を見る】↓
※ 口元が欠けたお椀の「伝統的な本当の金継ぎ修理」のやり方を説明していきます。
このページでは金継ぎの工程のうち
〈欠けた部分の器の素地をやすりで削る~欠けを錆漆で埋める(1回目)まで〉
のやり方を解説していきます。
【金継ぎ修理を始めるその前に…】
本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。
※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。
油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。
※ もし、かぶれてしまい、それがひどくなるようでしたら、医者に行って処方してもらってください。
【道具・材料と購入先を見る】↓
作業を始めるにあたって、まずは装備を…
金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。
ゴム手袋は必需品です◎ 漆をなめちゃいけません◎
※ 作業後、油分多めのクリームを手、腕など、肌が露出していたところ(夏場は脚・足にも)に塗っておくと、カブレにくかった…というコメントをいただきました。
(塗り忘れたときは、毎回、痒くなった…そうです)
気になる方はやってみてください◎
注意:
修理箇所に油分をつけてしまうと、その箇所だけ漆が乾かなくなります。(手脂でも乾かなくなります)
ご注意ください!
※ 修理箇所に油分が付いてしまった場合は、エタノールで入念に拭きあげるか、台所用中性洗剤で洗えば大丈夫です◎
step 06 錆漆の削り研ぎ
錆漆削りで使う道具(次のいずれか、もしくは複数) ▸ 金継ぎで使うおすすめの刃物のご説明
- 道具: ① メス(先丸型) ② オルファのアートナイフプロ(先丸型) ③ カッターナイフ(大) ④ 彫刻刀(平丸)
おススメは平丸の彫刻刀です。かなり作業が楽にきれいに、さらには楽しくできます。(言い過ぎかしら) ▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ方法
錆漆を彫刻刀で削って成形します。
器の外側と口周りは基本的に彫刻刀の「刃裏」を器に当てつつ削っていくのがいいと思います。
器の内側はカーヴしているので彫刻刀の「刃表」を使います。
彫刻刀で削りすぎないように気を付けてください。
削りすぎたら…錆漆をもう一度です。悲しくなりますのでご注意ください。
私もたまに削りすぎます。
彫刻刀である程度きれいなラインが出たら、続いて耐水ペーパーで水研ぎします。
エポキシペースト研ぎで使う道具と材料
- 道具: ③ 豆皿(水入れ用) ④ ウエス ⑤ はさみ(ペーパー切り専用にしたもの)
- 材料: ① 耐水ペーパー(今回は#600) ② 水
耐水ペーパーをハサミで小さく切って、それを三つ折りします。
ペーパーに水を少量つけながら研ぎ作業をおこなってください。
↑画像では「木賊」という植物を使っています。
家で育てているようでしたら使ってみてください。何とも言えない使い心地です。私は結構、好きです。
自己流の木賊の使い方ですが、まずは乾燥させます。
乾燥すると緑色から茶色になります。
使うときは節ごとに千切って小さくします。
10~20分くらい水に浸けっ放しにしておいて柔らかくします。
それを使う箇所で二つに折り曲げて水を浸けつつ研ぎます。
錆研ぎ完了です。
step 07 漆塗り
- 道具: ② ティッシュペーパー ③ 付け箆 (▸ 付け箆の作り方) ④ 小筆 ⑦ 作業板(クリアファイルなど)
- 材料: ① サラダ油 ⑤ 精製漆(今回は弁柄漆) ⑥ テレピン
まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方
毎回、作業が終わったときに筆を”油”で洗います。 ですので使うときにはまず筆の中の油を取り除きます。
- 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
- その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
- ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。
筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。
- 漆のチューブの蓋を開ける。
- 作業板の上に少量の漆を出す。
- 筆に漆を馴染ませる。
- 作業板の上に何本か線を引き、漆の量を調節しつつ、含み具合をチェックする。
漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは濾し紙で漆を濾してきれいにします。必要な方はこちらをご覧ください。
▸ 基本的な漆の扱い方・濾し方
筆と漆の準備が済んだらいよいよ塗りに入ります。
漆は薄目に塗っていきます。
漆の厚みがなるべく薄く均一になるように、最後に筆を上下左右に通してください。
塗り終わったら湿した場所(65%~)に40~50分入れて、漆に乾くきっかけを与えてください。
その間に油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方
筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに ▸ 筆のキャップの作り方 ページを作りましたので、ご覧ください。
step 08 蒔絵1回目
- 道具: ① あしらい毛棒(柔らかい毛質の筆) ③ 重石
- 材料: ④ 蒔絵紛(今回は錫粉を使用)
それでは錫粉を蒔いてきます。
あしらい毛棒(柔らかい毛質の筆)を使います。
包み紙の中から筆で錫粉を掬い取ります。
蒔絵紛を漆の上に乗せて、筆先で軽く掃いていきます。
ソフトタッチでお願いします。
口元部分は粉が蒔きづらいです。
包み紙の上で紛蒔き作業をして、錫粉が無駄にならないようにします。
蒔き終わりました。
湿した場所(65%~)に2~3日置いて、しっかりと漆を乾かしてください。
これで完了でもいいのですが、ちょっと寂しい感じがしたのでもうひと手間加えて加飾することにしました。
step 09 さらに蒔絵2回目→完成
1回目の蒔絵が乾いた後、さらに蒔絵を2回ほど行いました。
1回目が輪島地の子(黒い色の分部)で、2回目が真鍮粉(金色の分部)です。
修理にはこのカップのデザインを引用させてもらいました。
この後、うっすらとひびが入っているのを発見してしまいました。
で、ひびも修理しました。
そちらも近日中に金継ぎ図書館にアップします。
本日の作業はここまでです◎
お疲れ様でした。
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