※ ダイナミックに割れたお皿の金継ぎ修理の方法を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
今回は金継ぎの工程のうち、〈漆の下塗り研ぎ~蒔絵まで〉のやり方を解説していきます。
〈 目次 〉
STEP 4.1 下塗り研ぎ |
金継ぎの下塗り研ぎで使う道具と材料
- 道具: 豆皿、ウエス
- 材料: 耐水ペーパー、水
漆研ぎで使う道具たちです
小さく切って三つ折りした耐水ペーパーに水を少しつけます
下塗りした漆を研ぎます
なるべくはみ出さにように気を付けます
漆を研ぎます
爪先や指先でペーパーを押えて
研ぎます
ちょくちょくウエスで漆の研ぎ汁を拭き取り
研ぎ具合をチェックします
平滑になっていない場所を重点的に研いでいきます。
STEP 4.2 漆の上塗り |
金継ぎの上塗り作業で使う道具と材料
- 材料 : 漆(呂色)、テレピン、ティッシュ
- 道具 : 小筆(面相筆)、付け箆(▸ 付け箆の作り方)
- 掃除用、その他 : 定盤(作業台)、サラダ油、小箆、ウエス、テレピン
筆を使う前に筆の中にある油分を洗い出してください
▸ 使用前の詳しい筆の洗い方
金継ぎの上塗りでは「薄く、均一に」をこころがけてください
定盤の上に漆を出します
筆に漆をつけて、定盤の上で馴染ませます。
定盤の上で何本か線を引いてみて
漆の含み具合をチェックします。
薄い線が引けるように調節します。
かすれちゃだめです。
いきます
どこから線を引き始めても構いませんが
線を引いていっても後の作業がしやすいように
考えてスタートします。
「表側を塗るときはここら辺を持つ予定だから
その時、持ちやすいようにここは塗り残しておこう」
とか
はい、ただ塗っているだけです
漆は薄く、均一にです
塗っている時の目線は
「塗っている場所」ではなく、「いま塗っているそのちょっと先」です。
そうすると何となく不思議で、だけどしっくりくる線が引けています
金継ぎの漆の上塗りが終わりました。
ご苦労様でした。
この後、漆が乾かないうちに金属粉を蒔きます。
が、漆が乾き始めるまでしばらく時間がかかりますので、
その間にいろいろと用事を済ませてしまいます。
そうしたら定盤の上に残った漆を片付けましょう。捨てちゃダメです。
▸ 余った漆の保存方法
作業が終わったら油で筆を洗います 。
▸ 使用後の詳しい筆の洗い方
STEP 4.3 蒔絵 |
金継ぎの蒔絵作業で使う道具と材料
- 道具: 柔らかい穂先の小筆
- 材料: 金属粉(真鍮粉)
金属粉の入った包み紙を開けて小石で押さえます。
小石がいいです。やっぱり。鎌倉の海岸で拾います。
トンビにドーナツを取られたとしても
筆の穂先で金属粉を掬い取ります
真鍮粉が穂先に載っています
はい、器に乗せます。
ハタハタと優しく金属粉を掃きます
はい、きれいです
金属粉を乗せて
優しく掃く
光っています
同様に繰り返します。
蒔絵紛を筆で掃いて漆の上に載せていきます。
はい、蒔き終わりました
蒔絵、終了です。
湿した風呂に入れて2~3日しっかりと乾かしてください。
金継ぎの蒔絵紛を掃いた筆を軽く掃除します
エタノールを用意します
2~3滴、定盤にエタノールを垂らします
それを筆に含ませ
定盤の上を転がしたり、捻ったりします
ティッシュに吸い取ってもらいます
これを2~3回繰り返します
はい、きれいです
何でこんなことやってるの?というと金属粉を掃いたときにほんのちょっと毛先に漆が付いていたりすることが多いのです。
そのほんのちょっとを繰り返していくといずれ毛先に小さな丸い球のようなものができてしまいます
(歯ブラシの「毛先が球」です)
ですのでエタノールで毎回、漆を拭き取ります。
エタノールがなければテレピンでも灯油でも
これも、とある師匠から教わりました。
東博の地下にいる師匠です。
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