欠けた斎藤裕美子さんブルーカップの金継ぎのやり方 1/4 ~ペースト付けまで


size19
   ファイツ!!

※ 口周りが欠けてしまったカップの金継ぎ(金繕い)修理
やり方を説明していきます。
本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります
ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに
「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい

油?? そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。
その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金継ぎの工程のうち、
〈欠けた部分の器の素地をやすりで削る~欠けを錆漆で埋める(1回目)〉
までのやり方を解説していきます。

 

 

 

 

私、初めてなんですけど、どんな道具とか材料を買えばいいんですか?
どこで買えるんですか??

 

↓ こちらのページを参考にしてください◎

 

 

▸ 本漆金継ぎで必要な道具と材料/そのお値段と買えるお店のご紹介

 

 

 

金継ぎでは本漆を使うので「ディフェンシブ」に行きましょう。
ゴム手袋は必需品です◎

 

 

 

 

 

金継ぎとは


欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。
漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、
最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

本漆金継ぎでは漆を使いますので「かぶれ」のリスクがあります。
ですがそのリスクを引き受けてでもやるだけの価値があると思います。
なんといっても「大切な想い」の詰まった器が直せるのですから。

それにしてもどうして金継ぎって壊れたところをそのまま
目立つように直すのでしょうね。
「壊れたまま直っている」「直っているのか壊れたままなのかわからない」、
その中途半場な状態をキープするのが目的なのではないか?
とさえ思われる時があります。

内田樹先生の文章の中に

コミュニケーションの基本はまず「聴くこと」である。
君たちの耳にはとりあえず「ノイズ」にしかきこえないシグナルを
「メッセージ」として読み解くこと、
それがコミュニケーションの基礎である。

ノイズをメッセージに繰り上げるためには、
聴く君たちの「理解のスキーム」のどこかに
「外部へひらくドアをあける」ことが必要だ。
それは「理解できないことばに耳を傾ける」という構えによって示される

という言葉がありました。

金継ぎという技法を
「日本人にしかわからない美の感覚」とか「わび・さび」、「景色」とかの
既存のストック・ワードに簡単に回収して片付けてしまうのではなく、
「これはいったい何のメッセージなんだろう?」と耳を澄ませる姿勢が
求められているのではないでしょうか。

 

 

 

 

器 information



金継ぎする器の壊れ具合を確かめる。今回は欠けの修理  【 information 】 


  • 器の作家: 斎藤裕美子さん
  • 器のサイズ/特徴: 直径85㎜×高さ85㎜ /マットだけど締まった感じの釉薬
  • 傷の場所/サイズ: 欠け、口元の縁部分、10㎜×8㎜
  • 金継ぎの仕上げ: 真鍮粉仕上げ(金色)

 

まずは金継ぎ修理する器をしげしげと眺めます。
まさしく「ターコイズブルー」というような釉薬の色です。
いやー、本当にきれいです。この色の器を修理するのは初めてです。

ファーストインプレッションで何か「いい」感じがしました。
こういう感覚って大切ですよね。
自分にとっても意外な金継ぎができそうな気がします◎

 

修理する器の壊れた部分を確かめる

依頼された傷以外にも損傷がないかチェックします。
いろいろな角度から見ます。
よくあるのが「ごく小さい欠け」と「うっすらと入ったひび」です。

↑これを見逃さないようによく調べてください。
今回は「ひび」「極小の欠け」はありませんでした◎

 

金継ぎの方法をかけた部分を確かめながら考える

欠けた箇所の形がとんがっています。
このラインをそのまま拾うかどうか考えないとです。

 

 

 

▮ 修理の手順・方向性をイメージする


 

❖ ピカピカしたガラス質の釉薬ではなくマットな釉薬なので、
金継ぎの錆漆作業の際にマスキングをするかどうか迷います。
今回は「釉薬が締まっている」感じなので
錆漆がはみ出してもきれいに取れそうだと判断しました。
→ということでマスキングはおこなわない方向で考えています。

❖ 欠け部分が深くない(パテを盛って直すほどではない)
→なので錆漆さびうるし(ペースト)を2回くらいで欠けを埋めようと思います。

 

金継ぎの欠けた部分の外側から見て修理方針を立てる

❖ 〈器自体の持っている雰囲気〉…
形としては丸みを帯びた柔らかな感じ。
釉薬は少しもったりとした重厚な質感で、色がとにかく魅力的です。
地中海あたりの海のイメージがしました。夜の海景です。

❖〈依頼主の雰囲気〉…
依頼主はこの器の作家・斎藤裕美子さんです。
個展のために作った器が欠けてしまいました。
3年半ほどずっとこのペルシャブルーの釉薬に惹きつけられて
様々な器を作ってきました。
アジアの東の果てから遥か彼方、アジア最西端ペルシャの地に
想いを馳せた器です。

こういう感覚というのは日本人なら
多くの人が共感できるのではないかと思います。
遠い異国の地をノスタルジックに思い浮かべる時、
それはヨーロッパや南米、アフリカ大陸ではなく、
日本人である「私」の身体感覚が最大限遠くまで引き延ばせるぎりぎりの距離、
それが「アジア大陸」最西端の地、ペルシャなんだと思います。
実感として感じられるような気がする遥か彼方にある場所を
人は求めて止まない。
--それは「逃れの町」のようなものかもしれませんね。
(いや、まったく違うかもしれませんが)

 

金継ぎ修理をする器の全体から見て手順を考える  
などなどを考慮して(かなり恣意的になっているかもしれませんが)、
金継ぎの仕上がりのライン・形・テクスチャーをイメージします。
→今回は傷のラインをビビットに拾う(ガタガタしている)よりかは
シンプルなラインに整理した方がよさそうだなと思いました。

この段階で明確に完成図が見えないことがほとんどです。
「何となくの方向性」がとりあえず立てられればいいと思います。
実際に修理していく中で「もうちょい、こうした方がいいな」
と思い浮かぶことの方が多いです。

 

 

 

 

step 01 器の素地調整



  【 金継ぎの素地調整で使う道具 】    ▸ 道具・材料の値段と売っているお店 info


  • 道具: ① リューターのダイヤモンドビット ▸ 作り方  ② ダイヤモンドやすり

 ※ 今回は「砲弾型」のものを使っています。

ダイヤモンドビットは市販のものを購入したままだと使いづらいので、
簡単なカスタマイズをすると使いやすくなります。
▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法 

 

 

 

まずは修理する部分の器の素地にやすりをかけます。

器の欠けた部分を金継ぎの素地調整としてヤスリで研ぐ

 使っているのは棒の先端にダイヤモンドの粒子のついたヤスリです。

本当はリューターという機械にセットして使います。
けど、このままでも意外と使い勝手がよろしいのです。

 

器の欠けのエッジをやすりでほんのり研いでいく。

欠けた箇所のとんがっているエッジを軽く削っていきます。

 

金継ぎの素地調整では欠けた部分を丁寧に研いでいく

 赤点線の部分を中心にヤスリがけしていきます。

 

 

 

 

step 02 錆漆一回目を付ける



 【 錆漆(ペースト)作業で使う道具と材料 】   ▸ 道具と材料の値段と売っているお店



 

 

錆漆さびうるし(ペースト)を作ります。

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

 ▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

 

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

 

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。
作ってから2~3日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、
残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

錆漆の作り方動画

 

 

 今回は金継ぎする傷が浅いので錆漆を使います。
錆の盛り厚は1回につき1.5㎜以下くらいがいいと思います。
なので今回は2回にわけて欠けた部分を埋めていきます。
傷が深い場合は刻苧漆を使って埋めてください。
▸ 刻苧漆の作り方

 

金継ぎの錆漆付けの方法では箆先にのせた錆漆を少量

 この金継ぎの工程では欠けた部分に錆漆を付けていきます。

 錆漆はちょっとずつ付けていきます。

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)を
ヘラの先で少量取ります。

 

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

器の欠けた部分に錆漆をのせていく。

ヘラ先にのせた錆漆をかけた部分外側のエッジで「切る」ようにして
欠けた部分に置いていきます。
ヘラはエッジに沿わせます。

 

金継ぎの錆付けのやり方としては乗せた錆漆をヘラで押さえて、手前に通す。

 欠け部分に置かれた錆漆をヘラで押さえて広げていきます。
まずは手前にヘラを引いていきます。

 

器の欠け部分にのせた錆漆を今度は奥の方に箆でもっていく

 次に奥側にヘラを通します。

 

欠けにのせた錆漆が足りなかったらもう少しヘラにとって、それをのせていく

 錆漆が足りないのでもう少し足します。

 

金継ぎの錆漆のやり方ではヘラをスライドさせつつ錆漆を欠けのエッジにのせていく

 欠けのエッジで錆漆を切りながらヘラを右下に引いていきます。

 

ゆっくりとヘラを引きながら欠けた部分に錆漆を付けていく

慣れないうちはゆっくりとでいいので、
ヘラの動きに意識を止めながら作業を進めてください。

 

金継ぎの錆漆付けが完了

 少し凹んでいますが、一回目の錆付けはこんなもので。

 

金継ぎ修理の錆漆付け工程が終了

 錆漆は厚盛り厳禁です。ご注意ください。

 

金継ぎんの錆付け作業の説明が終わりました。

これで金継ぎの錆漆付け作業の一回目が終了です。

※欠けた箇所に錆漆をつける方法の詳しい
(かなりしつこい)ページをつくりました。
ご興味のある方は覗いてみてください。 
▸ 金継ぎで役立つ錆漆付けのコツ

 

 

 錆漆さびうるし(ペースト)はそれ自体に「水分」が入っているので、
とくに湿度のある「漆風呂」に入れなくても
しっかりと硬化してくれます。

けど、古い生漆や乾きの悪い生漆を使っていたり、
数日、取り置きしておいた錆を使った場合は
乾きが悪いかもしれません。
その場合は漆風呂に入れて、湿度を与えてください。

 

 

※ 水を固く絞った布を中に入れて湿度を高くしてください。

もうちょい詳しく見たい方は↓こちらへ


▸ 段ボール漆風呂の作り方

 

 

 

【次の作業工程を見る】


 

 

▸ Page 02 / 錆漆の削り・研ぎまで

 

 

青いカップの他の修理工程を見る

 

 

 

Pocket