※ 3ピースに割れたカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。
step 01 錆漆の付け方
錆付けで使う道具・材料(▸ 使う道具・材料の入手先・値段)
- 道具: プラスチック箆、付け箆(▸ 付け箆の作り方)、綿棒、豆皿
- 材料: 生漆、砥の粉、水、テレピン
錆漆を作ります。 ▸ 詳しい錆漆を作る方法
まずは接着した破片同士のわずかな隙間に錆漆を詰めていきます。
(大きな溝、深い穴は刻苧漆で埋めました。前回をご参照ください ▸ ④ ~刻苧漆削りまで)
少量の錆漆を箆にとります。
接着したラインに対してやや直角気味に錆漆を付けます。
隙間に入れ込む感覚で。
再び作業板の上の錆漆を箆で少量とって「直角気味に」隙間に入れ込みます。
これを何回か繰り返します。
4~5㎝錆漆を盛っていったら、今度は接着ラインに沿って「平行に」箆を
通して錆漆を詰めていきます。「行って、帰って」で往復させます。
おう、鳩屋さん、何でそんなにめんどくせいことするんだい?一回詰め込めばいいじゃないかい。
いや、これには深い事情がございまして…
というほどのことではありませんが。上下左右と箆を通した方が錆漆が隙間にしっかり入り込むのであります。
これやらないと意外とちょっとした隙間ができてたりしてもう一回錆漆をやるはめになるんです。よ。
適度な範囲(例えば↑の画像で説明した4~5㎝の範囲)に錆漆を付けたら、
綿棒にテレピンをつけて、それで作業箇所周りについてしまった余計な錆漆を拭き取ります。
豆皿にテレピンを少量出しておきます。
ちょちょっとそのテレピンに綿棒を漬けます。
特に回す必要はありませんが、さらさらと周りについてしまった錆漆を
拭き取っていきます。
綿棒の一つの面が汚れてきたら他の面に変えて拭き取っていきます。
綿棒で錆漆を拭き取ります。なるべく溝に埋めた錆漆には触れないように。
こんな感じです。完全には錆漆は取れませんが、それでもある程度この時点で拭き取っておくと、錆漆が乾いたときに研ぎ作業が楽になり、かつ器へのダメージも少なくなります。
が…この作業を繰り返そうとすると錆漆付けに手間がかかって、作業板の上の錆漆が乾いていったりでどうも効率がいいのかあまりよろしくないのか今のところちょっと判断できないところです。
もう少し検証していきます。
再び錆漆付けです。錆漆を接着ラインに対して「直角気味」に付けつつ、
溝に入れていきます。
錆漆が溝に入っています。はい。
今度は箆を接着ラインに「平行」に通して、きちんと錆漆が溝に入るようにします。
それからはみ出て付いている周りの錆漆をある程度、箆で取っておきます。
テレピンのついた綿棒で周りに残った錆漆を拭き取ります。
接着部分の隙間はこれを繰り返していきます。
↓欠け部分も錆漆を薄っすらと付けていきます。
刻苧の段階でほとんど形はできているので、錆漆は薄っすらお化粧程度に付けていきます。あとは小さな隙間、穴ぼこ、へこみを埋めます。
錆漆の作業が完了しました。
錆漆の乾燥に1日(~2日)あれば十分だと思います。
step 02 錆漆の研ぎのやり方
錆研ぎに必要な道具と材料: 耐水ペーパー(#400~#600)、はさみ、水、豆皿、ウエス
私は耐水ペーパーを1㎝×1㎝くらいの小ささにはさみで切り、それを三つ折りにして使っています。豆皿に出した水を少しだけつけて錆漆を研いでいきます。
水を付けて研ぎます。なるべく錆付け範囲からはみ出さないようにして研いでいきます。でもはみ出してついている錆漆を研がないといけないですよね。そこはサササと最小限の研ぎで収まるように気を付けつつやってください。もしくは激落ち君に任せるか。
器の外側の欠け部分も研いでいきます。
研ぎ汁をウエスで拭き取って研いだ形をチェックしてください。
まだ研ぎ足りない部分を確認してそこを重点的に研いでいきます。
接着部分に付けた錆漆も研いでいきます。
といでいったらところどころ錆漆の厚みが足りなくてへこんでいる箇所があったので、もう一度、錆漆の付けを行いました。
次の作業工程を見る ▸ ⑥ ~蒔絵完成まで
その他の工程