修行のお時間!!
※鳩屋が蒔絵の技術を習いに蒔絵師さんのところに通い始めました◎
そこで習ったことをひとまず備忘録的な感じでまとめ、その情報を多くの方とシェアしよう…というがこのシリーズです。
※作業工程や説明が間違っていたら、後日、師匠や同門の生徒さんからツッコミが入ると思います(苦笑) そうしたら訂正してきます。
今回は「筆に関するプチ情報」のみです。
本当はこういった情報もしっかりまとめ、内容の精度も上げた後にWEBにアップした方がいいとは思うのですが、そんなことを考えているといつまで経っても情報発信ができなくなるので、ひとまず書いちゃいます◎
かめばかむほど蒔絵の奥深さよ
金継ぎ図書館は現在、「漆工房 皎月こうげつ」の↑かめ師匠のところで修行中です◎
漆工房皎月は東京の「駒込」「練馬」「青梅市」「あきる野市」で金継ぎ教室も開催しています。
輪島で蒔絵の修行をされたかめ師匠と、東京藝大出身の福田さん(女性・僕の先輩です)の二人体制で丁寧に教えてくれます。至れり尽くせり!
都内で金継ぎ教室をお探しの方、金継ぎ図書館が100%の自信をもっておススメします◎(はっきり言って、最強の金継ぎ教室だと思います。)
詳しくは皎月さんのHPでチェックしてください。
▸ 漆工房 皎月Facebookページ
ぷち備忘録/その①
金継ぎをやっている皆さん、ならびに漆を習っている学生さん(←学生さんでこのHPを見ている人はいなそうですが)、「”筆”ってどれを買ったらいいんですか??おススメがあったら教えてください」という方は多いのではないでしょうか?
金継ぎ図書館にもたまにそういったご質問が来ます。(けど、今まできちんと答えられませんでした(涙))
で、かめ師匠に聞きました!蒔絵師の師匠に教わったお薦めの「蒔絵筆」です。
「しっかりと蒔絵をやりたい」という人ならとりあえずこの3本!
(値段は箕輪漆行/2017-09-03 現在)
- 黒軸根朱替り筆くろじくねじがわりふで/¥5,292-
- 黒軸丸筆(中)くろじくまるふで/¥7,020-
- 赤軸根朱替わり筆(20㎜)あかじくねじがわりふで/¥3,996-
「久野製」がおススメ。他に大野製、村田製(通称:むらく)などがあります。
うっ…。いきなり3本も買うのはちょっと負担です…(涙) という方。
ひとまず初心者が一本買うなら「黒軸根朱替わり筆」です◎ 一番よく使う筆です。
□ 黒軸根朱替り筆くろじくねじがわりふで/¥5,292-
- 初心者におススメ「始めの一本」
- 線を描く、点を打つ、自在に使える
- 低い線(薄い線)が描ける
- 模様を塗り込むときのアウトラインを描く(塗り絵でいうところのフチ取り)
□ 黒軸丸筆(中)くろじくまるふで/¥7,020-
- 面を塗る(黒軸根朱替わり筆で模様のアウトラインを描いた後、その内側を斑なく薄く塗る)
- 他の筆と同様に毛先が細く見えるが、漆をつけると毛先が横に広がり、漆をある程度の幅で薄く塗ることができる
- 「中」は「小」を兼ねるので、ひとまず「中」一本でよい
この「丸筆」も使用頻度が高いので、少しでも「使いづらい」とすごくストレスが溜まるし、だいいち、早くて綺麗な仕事がしづらくなる…とのことです。
ですので、この筆も「できたら手に入れたい一本」ということになります。
うー…高いよ~。筆一本で7千円か~(涙)
□ 赤軸根朱替わり筆(20㎜)あかじくねじがわりふで/¥3,996-
- 線を描く。細くて高い線(漆が盛り気味になる。フチ高になる)
- 高蒔絵のとき、特に使う
【蒔絵筆の長さの調節】
実は蒔絵筆の構造というのは以下のようになっています。
(「蒔絵 高野松山」p118より)
↑こんなことになっているのです。
図じゃわからない…。ナルホド◎
↑こんなことになるのです。穂先が引っこ抜けるのです。(上の画像よりもう一段階、分解することができます)
皆さんがお使いの蒔絵筆の先が引っこ抜けたとしても不良品じゃないので、ご安心ください◎ というか引っこ抜けないといけないのです。(安価な筆は抜けないものもあります)
麻紐で毛を結わえてあって、それが竹製の小軸の中に仕込まれているのです。(恐るべし!蒔絵筆作りの職人技!!)
それで、なんでわざわざ「引っこ抜ける」ように作ってあるのか?と言いますと、「毛先の長さを自分で調節できるように」なのです◎
(蒔絵 高野松山/p34)
↑こんな感じに麻紐を親軸にぐるっと巻いて、引っ張ります。そうすると毛が引っ込んで短くなります。
引っ張り過ぎて、短くなったら…どうするのでしょう??
漆屋さんで聞いた話だと、その場合は引っ張り切ってしまって、一度、根元の方から抜いてしまいます。そして再度、小軸の先っちょの方から麻紐の先を通して、また根元の方に引っ張っていく…ということでした。
僕はこの「引っ張り込んで、抜いてしまう」ということは試したことがありません。万が一、上手く入らなかったら…悲しいので。
ということで、穂先を短くするときは慎重におこなった方がいいと思います◎
↑師匠が引っ張っています◎
こんな感じで、ゆっくり慎重に引っ張って短くしていきます。
メーカーによってだとは思いますが、「久野製」は結構、硬くて、引っ張るのが大変でした。
力を入れて、「んっ!…」て感じで引っ張り込んでいきます。力を入れるけど、一気に引っ張り込んでしまわないように気を付けて引っ張ります。緊張感があってちょっと怖いですよね~(笑)
それで、どのくらい短くしたらいいのか…分かりませんよね。
人それぞれ、自分が使いやすいと感じた長さで留めればいいようです。
ただ、初心者の人は「短い方が使いやすい」と感じることが多いのですが、あまり短くし過ぎない方がいいと思います。
基本的には穂先が「長い=腰が柔らかい」「短い=腰が強い」となります。
短くし過ぎると、特に丸筆の場合、筆先の「まとまりが悪くなる」そうです。ご注意ご注意。
【かめ先生の筆の長さ】
一応、参考までに…
黒軸丸筆(中)
元々の長さ 16㎜ → 調整後「 12.5㎜~13㎜」
黒軸根朱替わり筆
元々の長さ 24㎜ → 調整後 「20.5㎜~22㎜」
赤軸根朱替わり筆
元々の長さ 26㎜ → 調整後 「21㎜~22㎜」
※ あくまで「参考」です。筆先の好みの長さは職人さんによりけりです。かめ先生は他の職人さんと比べると比較的「短め」だそうです。なので、もう少し「長め」に設定してもいいと思います◎
ぷち備忘録/その②
わたし、初心者なのですが、いきなり蒔絵筆は高すぎる!もっと安価で、それでもそこそこ使えるようなおススメの筆はありませんか??
オッケー◎ かめ師匠に教わりました。初心者の方にお薦めのリーズナブルな筆です。金継ぎ初心者にもおススメです◎
「インターロン」という名前の筆です。「世界堂」という画材屋さんに置いてあります(←すごい名前ですね~)。基本的には水彩画用の筆だと思うので、きっと街の画材屋さんにも置いてあるんじゃないでしょうか。
【インターロン】
穂の毛質…ナイロン毛
ナイロン毛の内側にカールをつけてある。そのため穂先が外側にバラつかず、しなやかなうえに適度な腰の強さと抜群の耐久性がある。
…ということです。「内側にカール」って、よくわかりませんがスゴイですね◎
追記2017-10-12
※筆の毛先がケバケバに広がってきたら、熱湯につけると元にもどるようです!スゴイですね~◎復活するって嬉しいですね~。
僕はまだ試したことがないのですが、またテストしたら掲載します◎
↑こちがが【インターロン 417 丸0号】という大きさ…¥370-
これで細い線を描きます。
※ この筆は筆の軸に「白い線」が入っていません。筆の軸に白い線が入っているもので「1026 丸0号」という種類もありますが、そちらは少し太いです。
※ 「1026 丸0号」も持っていても使い勝手がいいです◎
↑こちがが【インターロン 1026 丸2号】という大きさ…¥450-
こちらはちょっと広めの面積を塗ります。
この2本があればひとまずオッケーです◎
「いきなり蒔絵筆は値段的にもハードルが高い…(涙)」という方はこれで蒔絵の線を描いたり、面を塗ったりしてください。
「いやいや、蒔絵の筆はやっぱり高くても”蒔絵筆”を使います!」という方でも、蒔絵粉を蒔いた後の「粉固め作業」にはこれがおススメとのことです。
蒔絵粉は金属の粒子なので、それ自体がじゃりじゃりしている「ヤスリ」のようなものです。その上を筆で擦るとどうしても毛先が痛むのが早くなります。なので「粉固め作業」に蒔絵筆を使うのはちょっと勿体ないということです。
実は僕自身、この筆は使ったことがありません。かめ師匠の教室に来て、初めてこの筆のことを知りました。
今まで初心者の方にお薦めするのにちょうどいい安価な筆を探していたのですが、決定打に欠けていたんです。安価だと使い勝手がイマイチな筆しか見つけられずにいました。
ということで、蒔絵師の先生から教えていただいて助かったな~と思っています◎
この筆ですが、自分自身で使い心地を検証したら、またご報告したいと思います。
漆工房皎月は東京の「駒込」「練馬」「青梅市」「あきる野市」で金継ぎ教室も開催しています。
輪島で蒔絵の修行をされたかめ師匠と、東京藝大出身の福田さん(女性・僕の先輩です)の二人体制で丁寧に教えてくれます。至れり尽くせり!
都内で金継ぎ教室をお探しの方、金継ぎ図書館が100%の自信をもっておススメします◎(はっきり言って、最強の金継ぎ教室だと思います。)
詳しくは皎月さんのHPでチェックしてください。
▸ 漆工房 皎月Facebookページ