蒔絵レポート3日目(その1)/鳩屋は【蒔絵教室】に行ってきました

かめかめ蒔絵教室

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   修行!!

金継ぎ図書館は生きていた!

※いきなり「3日目」で済みません。近日中に「1,2日目」の方もページを作ってアップします。

 

 

「鳩屋は【蒔絵教室】に行ってきましたの」シリーズとは


わたくし、鳩屋が蒔絵の技術を習いに蒔絵師さんのところに通い始めました◎
そこで習ったことをひとまず備忘録的な感じでまとめ、その情報を多くの方とシェアしよう…というがこのシリーズです。

 

金継ぎ教室・蒔絵教室を開催している「漆工房皎月こうげつ」さん

このシリーズは、ひとまず「メモ」のような感じのままで情報発信をします。
本来であれば一般の方でも分かるように手順をまとめ、それを解説していく…というコンテンツを作っていきたいところなのですが、現状では蒔絵についての詳しい手順や解説をするだけの経験値・力量が私にないのです(涙) まだまだ「まとめる」力がないのです。
それでもせっかくの機会を私一人で「消費」してしまうには勿体なさすぎると思い、蒔絵手順をまとめられずとも「今日は~をやりました」くらいは皆さんにお伝えしようと考えたわけです。
それにこういう情報を発信することで、「蒔絵をかじったことがある」もしくは「金継ぎをある程度やっている」…という人にとっては役に立ったり、ヒントになるのではないかな?と思っています。

えっ?それじゃ「初心者」は置いてけぼり…??
えーっと、済みません。そうなる部分も多いと思います。が、ビギナーの方にも少しでも楽しんでもらえるようにちょこちょこ解説していきたいと思っています◎

それで半年、一年くらい先になると思いますが、私が蒔絵をしっかり習得した後に、金継ぎシリーズと同様、「初心者でもわかる」ようなコンテンツに落とし込んで、「ビギナーでもできる蒔絵シリーズ」を作りたいと思っています。

ちなみに、蒔絵を教えてくれる先生は蒔絵教室で習ったことの情報発信について快諾してくれています◎
←これ、スゴイですよね!普通の先生は技術や知識を隠します。もしくは「換金」できる場合のみ情報発信を認める…という人が多いと思います。
そもそもこの蒔絵を教えてくれる先生は金継ぎの教室や修理業もやっています。ということは、「金継ぎを生業にしている人」…つまり、私に技術や知識を教えるということは同業者を「育ててあげる」ということになります。

同業者の私に受講を許し、さらにはその授業内容を公開することを快諾してくれる…いやー、いい先生に出会えたのです◎

 

 

金継ぎ師なのに、何で蒔絵を習っているの?


↑師匠の手板(蒔絵サンプル)

 

ところで、なんで「金継ぎ」の人が蒔絵を習いに行き出したわけ??

それはですね、金継ぎは「最後の仕上げの工程」で金や銀を蒔いて装飾するわけです。この時に用いられる技術が「蒔絵」という技術なのです。

この「蒔絵」という技術は奥が深く、「蒔絵」という工程だけを専門職する「蒔絵師」という職業があるくらいなのです。

私自身、大学で蒔絵を習いました。とはいえ、蒔絵師さんが長い年月をかけて磨いてきた技術に比べたら、はっきり言って「素人レベル」です。
ということで、「さらなる高見を目指して蒔絵スキルをブラッシュアップすべく蒔絵師さんの元で学び始めました!」…と格好をつけたいところですが、全然、そういう感じではなく、要するに私の蒔絵技術が恥ずかしいくらいに低いから…というのが本音なのです。

でも…ですね、これは「よい」点もあるわけなんです。私の現状が「初心者に毛が生えた程度」だとすると、蒔絵を学んでいく工程が「初心者目線」に近いことになります。
そうなると、なるべく近い時期にまとめようと考えている「初心者向け蒔絵シリーズ」がよりわかりやすいコンテンツになる可能性が高くなります。これ、よさそうですよね◎ 楽しみにしていてください。

 

 

蒔絵師匠


↑師匠です。漆塗りの本場・輪島で修行された蒔絵職人さんです。
いえ、中央の人ではなく、左にいらっしゃる「かめさん」が師匠です。はい◎

 

漆器の産地で本気の修行をされた「職人」の漆先生です。
ところで「美大系」の漆先生と「職人系」の漆先生とでは何が違うかと言いますと、美大系は基本的に「デザインができる、アイデアを出せる」…というところが特徴で、職人系は「高い技術、豊富な知識」を持っている…と考えればいいと思います。(もちろん個人差はあると思いますけど)

残念ながら美大を卒業しただけではあまり高い技術は習得できません。(特に不真面目な学生時代を過ごした人は。…あたしかしら??)

 

それで、この「かめ師匠」は手先が(異常なほど)器用なのはもちろんなのですが、「気づき」がスゴイのです◎

例えば↑この鉛筆!(ネズミにかじられたわけじゃない。そうではない。削っていたら割れちゃったわけでもない。そんなわけない)

 

これは「意図的」に削られているのです。
何のために??と言いますと、このように削ると、立体物のアウトラインを紙に写し取るときにすごく便利なのです◎

 

例えば↑のようなことです。
気に入ったバターナイフがあり、その図面を書き起こしたいとき、普通はシャープペンなりを使ってバターナイフのアウトラインを紙に写していくわけです。

 

でも、そうするとですね、↑画像の左側のようにバターナイフとの隙間ができてしまいます。シャープペンの「芯とホルダーの外周までの距離」分の隙間ができてしまいます。書き写したバターナイフは一回り「でかく」なってしまうのです(涙)

ところが↑画像の右側のように「ホルダー部分が削ってある」とピタリとバターナイフのアウトラインに沿わせることができます。(厳密にいえば多少の隙間はできますが、それを言っちゃあ御終いよ)

こういった「ちょっとしたこと」に気が付ける師匠なわけです。
この「気付き」には正直ビビりました!ホント。いやー、これってスゴい気づきだと思うんですよね。何か、「核心」部分にも触れているような気がします。何の核心かはわからないのですが。

 

ちなみに漆工房皎月は東京の「駒込」「練馬」「青梅市」「あきる野市」金継ぎ教室も開催しています。都内で金継ぎ教室をお探しの方、金継ぎ図書館が100%の自信をもっておススメします◎
詳しくは皎月さんのHPでチェックしてください。
▸ 漆工房 皎月Facebookページ

 

 

 

本日の蒔絵 Memo-01/絵漆で線描き


【使った道具・材料】
道具: 爪盤、赤軸根朱替わりあかじくねじがわり筆、筆洗いベラ
材料: 絵漆(弁柄漆)、菜種油(筆の掃除用)

 

高蒔絵」と呼ばれる蒔絵の工程です。今日は「肉付け」の一回目の作業をしていきます。

「高蒔絵」とは簡単に言うと「レリーフ状に立体感のある蒔絵」のことです。立体にするためには漆などを数回に分けて塗り(漆は一回で厚塗りできませんので)、少しずつ「高低差」を作っていくのです。

 

師匠にデモンストレーションをしてもらいます。

「変なもの」が師匠の手についています。

 

↑これは何かというと「爪盤つめばん」と呼ばれる小さな漆用のパレットのことです。爪盤の下に紐が括りつけてあり、そこに親指を通して使います。これ、便利です◎

爪盤は3センチ角程の「皿状」のものです。素材は水牛の角やべっ甲、要らなくなったメガネレンズ(!)などです。木を削って、それを漆で塗ってもいいと思います。

金継ぎでもこれがあると塗り作業がやりやすそうですね~◎

 

師匠にやってもらいます。

 

↑これが何回か漆などを重ねて盛り上げた状態です(未完成です)。これを目指しての、今回は第一回目ということです。

 

最終的には↑こんな感じのレリーフ状の立体的な蒔絵になります。

ちなみに今のところ、金継ぎ図書館館長はおぼろげにしか、この作業工程の意味が分かっていません。はい。

 

漆の板に「手脂」がつかないように「指サック」を装着します◎
油、大敵です。

 

さくさく線描きが進んでいきます。手が早いです。しかも線がぶれません。スゴイです。はい。

ちなみに今回使っているのは「赤軸根朱替りあかじくねじがわり」という筆です。なんか凄い名前ですね。意味わかりませんね。(ネジ=ネズミ…という意味だとも言われているようです)

この筆は「細くて、厚みのある線」が描ける筆とのことです。

 

キュッキュッツと描き進んでいきます。師匠はいとも簡単そうに描き進めていくので、ついつい「俺でもできそうだな~」って思ってしまいます。
が、いやいや、これはこれですごく奥が深いのです。

何気なく漆の線を描いているように見えて、実は一本の線の中に「抑揚」をつけているのです。

 

最終的な完成のレリーフ状の凹凸をイメージして漆の厚みに「抑揚」をつけます。

「厚い」部分、「薄い」部分、「急激に厚く」「なだらかに薄く」…とさまざまな高低差をつけていきます。

漆を厚くしたい部分は筆に含ませる漆の量を多目にして、さらに、筆を「ゆっくり」と進めながら描きます。
逆に漆を薄くしたい部分は、筆に含ませる漆を少なくし、さらに、筆は「早く」進めます。

 

高上げ一回目の漆の線描きは↑こんな感じで完了です。この後すぐに「銀の丸紛7号」を蒔きます。
丸紛を蒔くことで、漆だけで塗り重ねて高くしていくより、「エッジを断たせる(ぴりっとした感じ)」ことができます。

うー…、↑画像ですけど、全部のアウトラインを漆の線で括るわけじゃないんですか??描いていないところがいっぱいありますけど。

えーっとですね、多分、「レリーフで一番高くしたいところ」を今回、線描きしたんだと思います◎ (←館長、イマイチ理解していないのです(笑))

この後、銀粉を蒔きます!
つづきは、また次回で◎
さようならー

 

 

次の作業工程を見る

▸ 3-2 高蒔絵/高上げ一回目の粉蒔き

 

 

 

漆工房皎月は東京の「駒込」「練馬」「青梅市」「あきる野市」金継ぎ教室も開催しています。
輪島で蒔絵の修行をされたかめ師匠と、東京藝大出身の女性(僕の先輩です)の二人体制で丁寧に教えてくれます。至れり尽くせり!
都内で金継ぎ教室をお探しの方、金継ぎ図書館が100%の自信をもっておススメします◎(はっきり言って、最強の金継ぎ教室だと思います。)

詳しくは皎月さんのHPでチェックしてください。
▸ 漆工房 皎月Facebookページ