初めての簡単金継ぎ! 縁の〈欠け〉た器を修理する方法

※ 縁の欠けた中国湯呑の合成樹脂を使った金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆は使っていません。ご注意ください。

 

ふぐ印の「新うるし」の販売元・桜井釣漁具株式会社の説明:

植物性のうるし系塗料です。
・本品は毒性の強い物質ではありませんが念の為、食器等口に含む恐れの有る物に塗装しないでください

「危険性がないわけではない。安全とは言い切れない」…といった感じなんでしょうか。(なんか、「原発は…」と同じような言い方ですね)
こういった場合は己の「感覚」「直感」で判断するしかないと思います。

「何でも安全、安全、って言い過ぎだよ。過剰にアナウンスしすぎ」と思われる方もいると思います。
ただ、一つ言えるのは「もし、何かあった場合でも、会社側は責任を負わない」ということだけは確かです。「食器等口に含む恐れの有る物に塗装しないでください」と明記してあるので。

みなさん、どうせなら「本漆」、やってみませんか?(笑)

2016-12-20加筆
”鉛”が含まれています。ただ、金継ぎで使用する「量」が微々たるものなので、気にするレベルではないと思いますと説明されました。…パッケージの裏書きをなぜ、書き直さないのでしょうね?不思議ですね。これをどう捉えるかは自己判断ですよね)

 

 

 

今回は簡単金継ぎの工程のうち、〈欠けた縁をやすりで削る~新うるしで仕上げるまで〉のやり方を解説していきます。

 

チャイナカップ簡易金継ぎシリーズ第三弾です。
これまで「割れ」「ひび」ときましたので、最後の「欠け」修理のやり方をアドバイスしていきたいと思います。

 

 

簡単(簡易)金継ぎとは


金継ぎとは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。本来は漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。
その伝統的な本漆金継ぎに対し現代、開発された素材である「新うるし」や合成樹脂の接着剤パテなどを使うことで時間、手間を簡略化したものが「簡単(簡易)」金継ぎです。

※ 「新うるし」(合成うるし)は植物性の樹脂を主原料にした塗料です。ただし、食器用に使うには安全性が保障されているわけではありません。

 

 

 

金継ぎする器 information


  • 器: メイドインチャイナの湯呑。現代の量産品です。
  • 器の特徴: 磁器の絵付け、ややピカピカの釉薬
  • 器のサイズ: 直径75㎜、高さ55㎜
  • 破損状態: 口元に欠け(大きさ5×10㎜) 

このくらいの傷の修理ですと早ければ(順調にいけば)2,3時間でできると思います。

 

簡単な金継ぎ修理で直す湯呑

今回修理する器はこちらです。

簡単な金継ぎ修理で直す湯呑

ちょっとした欠けです。
このくらいの大きさの欠けですと、パテでいくかそれともエポキシペーストでいくか迷うところです。

今回の欠けは「成形」が必要なのでパテの方がよさそうですね。

簡単な金継ぎ修理で直す湯呑

ひびは入っていません。間違いなく入っていません。
欠けだけです。

簡単な金継ぎ修理で直す湯呑

久しぶりの鳩登場です。

簡単な金継ぎ修理で直す湯呑

 

 

 

 

step 01 素地調整


簡単な金継ぎの素地調整作業で使う道具

簡単金継ぎの素地調整で使う道具: ① ダイヤモンドのやすり(ホームセンター等で入手 価格\600‐~) ②③ リューターのダイヤモンドビット (ホームセンター等で入手可能/価格 \200~)

▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法

 

 

湯呑の欠けた箇所を鑢でやする

簡単に欠け部分のエッジをやすります。

 

 

 

 

step 02 エポキシパテの充填


金継ぎ修理のエポキシパテ充填作業で使う道具と材料

エポキシパテの充填作業で使う道具と材料

  • 道具: ② 作業板(クリアファイルなど)) ③ 刻苧箆(▸ 刻苧箆の簡単な作り方
  • 材料: ① ゴム手袋 ⑤ エポキシパテ ⑥ サランラップ ④ テレピン

今回使っているエポキシパテは「セメダインのエポキシパテ木部用」です。
柔らかくて使いやすいです。

エポキシパテで深い穴や大きな欠け部分を補修します。
極小の穴や、わずかな隙間はエポキシペーストを使います。▸ 簡単金継ぎのエポキシペーストの作り方と使い方

 

エポキシパテは2剤をよく練り合わせます。詳しく見たい方は ▸ 簡単金継ぎのエポキシパテの使い方

※ パテは2剤を等量、しっかりと混ぜ合わせないとなかなか硬化しないパテになってしまいます。1週間経っても硬化しなかった時がありました。そのときは諦めてパテを剥がし、やり直しました。

 

それではパテを埋めていきます。

欠けた箇所をパテで埋める

まずは小さくちぎったサランラップを充填箇所のバックにスタンバイし、その後ろから指で押さえます。
パテを盛っていくときの「壁」にします。

欠けた箇所をパテで埋める

刻苧箆を使って少しずつパテを盛ります。

欠けた箇所をパテで埋める

器の素地にしっかりと密着するように押し込んでいきます。
欠け部分の体積よりほんの少し多目に盛ります。

欠けた箇所をパテで埋める

次に器の表側からサランラップで押さえ、内側からパテを押し込みます。

欠けた箇所をパテで埋める

欠けた箇所をサランラップでぐるっと覆います。

欠けた箇所をパテで埋める

その上から指で押さえて圧力を加えます。
器にパテを密着させつつ、指先でパテの形を微調整していきます。

欠けた箇所をパテで埋める

こんな感じです。

サランラップを剥がすときにパテを引っ張らないように気を付けてください。
もしくはサランラップがついていてもパテは硬化しますので、サランラップはそのまま放置しておいてください。

欠けた箇所をパテで埋める

欠け部分に埋めたパテが少し出っ張るくらい盛ってください。
硬化したあと削ります。

欠けた箇所をパテで埋める

パテが完全に硬化するまで待ちます。

今回使ったのが30分硬化型でした。安心して削れる強度になるには1時間くらい待ちました。(用心しながらでしたら30分後でもいけるかもしれません)

 

 

 

 

step 03 エポキシパテの削り・研ぎ


簡単な金継ぎの接着作業で出た接着剤を削る道具 

 エポキシ接着剤を削る道具: 次のいずれか、または複数。

  • ① メス(先丸の刃) ② オルファのアートナイフプロ(先丸の刃) ③ カッターナイフ(大) ④ 彫刻刀(平丸)

おススメは断然④の平丸彫刻刀です。彫刻刀は研がないといけませんが。
100均の彫刻刀から作る平丸彫刻刀ページを作ってみました。ちょっと手間がかかりますが、ぜひチャレンジしていただけたらと思います。 ▸ 彫刻刀のカスタマイズ方法

 

パテが硬化したら彫刻刀で削って成形します。

金継ぎ修理の削り作業

器の外側を削るときは彫刻刀の「刃裏」を器に当てながら削ります。

金継ぎ修理の削り作業

少しずつ削っていってください。
削りすぎて凹んでしまった場合、また充填作業に戻ります。

金継ぎ修理の削り作業

口周りを削るときにも刃裏を器に当てながら、それを基準面のガイドにして削ります。

金継ぎ修理の削り作業

内側は彫刻刀の刃表を使って削ります。
この時もなるべく刃の半分くらいを器に当てながら作業します。

いろいろな角度から修理箇所をチェックして、削り足りないところがないかを確かめます。

この「削り」の段階でなるべくきれいに成形しておいてください。この後、耐水ペーパー(紙ヤスリ)で研いでいくのですが、ペーパーは表面を滑らかにするのが主な役割ですので、「形」自体はあまり修正できません。(ゴリゴリやすっていけばできないこともありませんが)

 

続いて耐水ペーパーで水研ぎします。

金継ぎのエポキシペースト研ぎ作業で使う道具と材料

エポキシペースト研ぎで使う道具と材料

  • 道具: ③ 豆皿(水入れ用) ④ ウエス ⑤ はさみ(ペーパー切り専用にしたもの)
  • 材料: ① 耐水ペーパー(今回は#600) ② 水

耐水ペーパーを三つに折って、それに少しだけ水をつけて研いでいきます。

 

エポキシペーストを耐水ペーパーで研ぐ

研ぎ作業の写真を撮り忘れていました。済みません。
他の修理画像から借りてきました。

金継ぎ修理の削り作業

刃物できれいに成形できていればペーパー研ぎはさらさらと行うだけでオッケーです。

 

 

 

 

step 04 新うるし塗り


簡単な金継ぎの新うるし塗り作業で使う道具と材料

新うるし(合成うるし)塗りで使う道具と材料

  • 道具: ③ 付け箆(▸ 付け箆の簡単な作り方) ④ 小筆 ⑤作業板(クリアファイルなど)
  • 材料: ① サラダ油 ⑥ テレピン ⑦ 新うるし(合成うるし。今回は「ゴールド色」)

 

 

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

毎回、作業が終わったときに筆を”油”で洗います。 ですので使うときにはまず筆の中の油を取り除きます。

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。

 

続いて新うるしを塗る準備をします。

 

1⃣ 作業板の上に少量の金属粉をヘラで取り出します。
2⃣ 新うるしも少量だけ作業板の上に出します。
3⃣ ヘラでよく混ぜ合わせる。

 作業板の上で何本か線を引いて、筆に含まれる新うるしの量を調整します。

 

それでは塗りにはいります。

新うるしを塗る

新うるしは硬化が早く粘り気が出てきてしまいますので手早く塗っていきます。

金継ぎ修理で新うるしを塗る

縁部分も丁寧に塗ります。

 

もし、塗る面積が広くて描いている途中で粘り気がでてきてしまいましたら、テレピンを混ぜて緩めてください。

  1. 新うるしのに1,2滴テレピンを垂らす。
  2. ヘラでテレピンを掬う(”濡らす”程度)。
  3. それを新うるしに混ぜる。

ただし、テレピンを何度も混ぜているとどんどん新うるしの濃度が低くなってきます。
「薄くなりすぎたかな…」と思ったら、新たに金属粉と新うるしを混ぜ合わせたものを作り直してください。その方がきれいな仕上がりになると思います。

 

金継ぎ修理で新うるしを塗る

  できました。

金継ぎ修理で新うるしを塗る

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

 

 

新うるしの表面は何時間かで硬化しますが、しっかりと固く「締まる」までには2~3日を見ておいた方がいいと思います。とくに「厚塗り」した時は乾きが遅くなります。1週間くらい待つ感じでしょうか。

使い出すまで、ちょっと辛抱してください。(新うるしの”匂い”が取れるのに数日かかりますので、どのみち待ちたくなると思います)

 

一応これで完成なのですが、もしもっときれいで滑らかな表面にしたいーーと思うようでしたら、新うるしの硬化後にペーパー研ぎを行い、再度「塗り」をしてください。

ちょっとした応用として「蒔絵」風な加飾もできます。
一度目は上記の工程通り「面」を塗り、それが乾いた後にその上から「線」(紋様)を描き加えることができます。

金継ぎ修理で新うるしを塗る

部分的に線を塗り重ねることで↑こんな風に「高蒔絵」風にもできます。
器で使われているデザインを引用して仕上げました。

 

 

チャイナ湯呑の簡単金継ぎ完成


金継ぎ完成

 

金継ぎ完成

少し手直しを加えました。器に入っている紋様に合うようにデザインし直しました。

金継ぎ完成

 

金継ぎ完成

 

金継ぎ完成

 

金継ぎ完成

 

 

 

 

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