小さく欠けた白いマグカップの金継ぎの方法 3/3 ~蒔絵完成まで(岡田直人の器)

金継ぎした器を持つ絵

※ 口元が一か所、小さく欠けたカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち〈乾いた錆漆を彫刻刀で削る~蒔絵を施し完成させる〉までのやり方を解説していきます。
※かなり端折っています。すみません。

錆漆2回目の乾きチェック

 前回付けた錆漆がしっかり乾いているかどうか
爪で軽く引っ掻いてチェックしてみてください
(直接触るのが嫌な人は爪楊枝などで引っ掻いてみてください)

 カリッとしていて、引っ掻いた跡が白く残れば
しっかり乾いている証拠です

乾いていなければ湿した風呂に入れて
1,2日待機していてください

焦りは禁物です

 金継ぎのやり方。錆漆の乾きを確認する。

 マスキングテープを取った状態です。

マスキングテープ分の厚みが付いています

 

錆漆の削り・研ぎ

錆漆の削り研ぎに使う道具 : 刃物、耐水ペーパーの#600、はさみ(ペーパー専用にしてしまいます)、水、ウエス

刃物は次のいずれか(でなくてもいいですが。前鉋とか槍鉋はすこぶる使いやすいです)

  • 彫刻刀
  • メス
  • オルファアートナイフプロ
  • カッターナイフ

 刃物の詳しいご紹介はこちらです
金継ぎで使う刃物の選ぶ方法

 錆漆を削ります

 (金継ぎのやり方)錆漆を彫刻刀で削る

 私は彫刻刀を使います。

この形(刃先が丸まっている蛤型、平丸)が一番使いやすいです。

金継ぎではこれ一本でほとんど用が足りています。
かなり便利です。

金継ぎのやり方。盛った錆漆を彫刻刀で削っていく。

 削ります。

あっちこっちの角度から見て少しずつ削っていきます。

 金継ぎのやり方。器の内側から錆漆を削る

 彫刻刀の刃の表も裏も使います。

錆漆で補填した箇所がその周りとフラット(段差がなくなり、
滑らかにつながる)になるまで削っていきます。

一気に削ろうとすると削り過ぎて凹んでしまったりします。

ので、ちょっとずつ、いろいろな角度からみてチェックしながら
削っていってください

 金継ぎのやり方。欠けた部分に盛った錆漆を削る

 錆漆を削ると刃の切れ味はどんどん悪くなります。
土を削っているということですから。

切れ味が悪くなったら砥石で研ぎます。
#800~#1000くらいの砥石を使います。
金継ぎ専用の彫刻刀として使っていますので、
仕上げ砥石は使いません。

 削り終わりました

 ※質問をいただくことなのですが、
「刃物で麦漆やコクソ漆を削っているとガリガリ音がします。
これって陶器が削れている音じゃないんですか?」
という質問です。

この音は陶器じゃなくて刃物の先の方が削れている音なんです。
陶器の硬さに負けて刃先がガリガリ削れていきます。
(いや、そんなにあからさまには削れないですよ)

なのでご心配なく。

 金継ぎのやり方。錆漆を削り終わった

錆漆の削り完了です。

金継ぎのやり方。錆漆を削り終わった

刃物だけでこれくらいはきれいにできます。
なるべく刃物で形が整えられるときれいな平滑面が作れます。

ペーパーに頼り過ぎない方がいいです。
が、刃物に慣れていないと思いますので削りは
そこそこにしておいて
ペーパーの力をお借りしましょう

 

 

 ペーパーでゴリゴリ削って形を作っていきたい方は
#240くらいの粗さのペーパーを使ったらいいと思います

金継ぎのやり方。錆漆を削り終わった

 この後、耐水ペーパー#600で水をつけながら研ぎます。
錆漆の表面を滑らかにします。

 

 

漆の下塗り

漆の下塗りで使う道具と材料

道具 : 小筆(面相筆)
材料 : 黒漆(蝋色とよんでいます)

掃除用・その他 : 定盤、テレピン、サラダ油、ティッシュ、ウエス、筆洗い用の小箆

 

 

筆の扱い・漆の塗り方の詳しい説明です。
使用前の筆の洗う方法
漆の塗り方

 

金継ぎのやり方。研ぎ終わった錆漆の上に漆を塗っていく。

 今回の金継ぎの下塗りには黒漆(呂色)を使っています

黒漆を塗るときは厚塗り厳禁です。
厚すぎると”ちぢみ”が生じます。しわしわになります。
しかも中が乾きません。

一か月くらい待てば乾きますが。

…済みません。これ以降、仕上げまで写真を撮っていませんでした。

この後の作業は、

黒漆で塗り→研ぎ→黒漆で塗り→研ぎ…と3回くらい繰り返します。
「塗りは一回でいいじゃん」と思うでしょうが、塗って、研いでみると結構デコボコしているのがわかるのです。なので塗り、研ぎを繰り返して平滑できれいなラインを作ります。

それからこちらも少しマニアックかも知れませんが、漆は3回くらい塗り重ねた方が柔らかい感じが出ます。塗り1回と塗り3回では微妙なのですが雰囲気が違います。(二つ並べて見比べるとその差はわかります)

 

 

 

塗りが終わったら筆を洗います

 →使用後の筆の洗う方法

 

漆の下塗り研ぎ

塗り→研ぎ→塗り…と3,4回繰り返し平滑な面を作ります。

 

 
蒔絵前の研ぎはペーパーの
#800~#1000くらいで行います。

 

漆の上塗り

漆の上塗りで使う道具と材料

  • 道具 : 細い筆(面相筆など)
  • 材料 : 絵漆(赤い色の漆)
  • その他 : テレピン、筆洗い用の箆、サラダ油、ティッシュ、ウエス、

 今回の金継ぎでは金粉を蒔くので、その前の塗りに赤い色の漆(絵漆)を使います。

漆塗りの参考に ▸ 漆の塗り方

 

金継ぎのやり方。漆の上塗り
金属粉を蒔く前に何色の漆を接着剤代わりに塗るかで
仕上がりに影響します。

赤い色の漆を使えばその上に蒔いた金属粉は
うっすら赤味を帯びて華やかな感じになりますし、
黒い色の漆を使えば控えめの落ち着いたトーンになります。

二種類を並べて見比べるとよくわかります。

 

金継ぎのやり方。漆の上塗り

 金粉を蒔く前の漆はなるべく均一に薄く塗ります。
縦、横、斜め…と何度か筆を通して均一になるように心がけます。

 

金継ぎのやり方。上塗り

 塗り終わりましたら、漆が乾き始めるまで待ちます。

乾き始めたかどうかの判断は
漆の塗膜に湿度を込めた(!?)息を「はぁー」とかけて、
塗膜がほんの一瞬青白い色合いを示せば乾き始めのサインです。

 でもわかりにくいので難しいです

 

金粉を蒔く

蒔絵で使う道具・材料・その他

  • 道具 : 真綿(綿は不可です)
  • 材料 : 金粉(丸粉2号)

 

粉蒔きは真綿か柔らかい毛の筆を使います。

金粉を蒔いた画像がないので、ひとまず真鍮粉仕上げのものを
参考にしてください
粉蒔きのやり方

 

蒔絵粉の固め作業

 紛固めで使う道具・材料・その他

  • 道具 : 小筆、ティッシュ
  • 材料 : 生漆、テレピン

 

作業を始める前に柔らかい穂先の小筆
で定着しなかったり周りに付着した金粉を払います。

ご参考に
粉払いのやり方

(漆を塗るものではなく、
金属粉を払う用の筆を1本用意してください。
漆屋さんでは「払い毛棒」というものが売っています)

払う金粉が多いようでしたら頑張ってかき集め、
金粉の包み紙に戻してください。

では固めます。

生漆にテレピンを3割くらい混ぜて緩めます。
これを小筆に含ませて、蒔いた金粉の上をなぞります。

なぞるというよりやさしく置いていくといった感じです。

こちらもご参考に
粉固めのやり方
拭き取りのやり方

 

金粉の磨き作業

蒔絵の磨き作業で使う道具 : 鯛牙棒(メノウ棒でもオッケーです。東急ハンズに売っています)

 

メノウ棒でもいいのですが、ちょっと大振りでどんくさいのです。
ピンポイントで磨くには少し不便なので、できたら鯛の牙を調達してみては。

鯛の牙を持っていると何となく気分いいですよ。金継ぎ師っぽくて。
磨くのも愉しくなりますし、何よりも作業がやりやすい。ピンポイントで狙ったところが磨けます。
鯛牙棒を作るのも大して手間はかかりませんのでそのうちページを作ります。

 

漆継ぎの金粉磨き

金属粉の磨き方
粉磨きの道具とやり方

金継ぎ完成

欠けたマグカップの金継ぎ完成

欠けたマグカップの金継ぎ完成

欠けたマグカップの金継ぎ完成

 欠けたマグカップの金継ぎ完成

 これで欠けた器の金継ぎが完了しました。

 

 

他の作業工程を見る

▸ ① 素地固めまで
▸ ② 錆付けまで

 

 

 

 

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