小さく欠けた白いマグカップの金継ぎの方法 2/3 ~錆漆まで(岡田直人の器)

欠けた部分錆漆を置く

size19ファイツ!!

 

※ 口元が一か所、小さく欠けたカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

金継ぎ修理した器の絵

今回は金継ぎの工程のうち〈欠けた部分を錆漆で埋めるまで〉のやり方を解説していきます。

 

前回の作業工程を見たい方は
欠けた岡田直人のマグカップの金継ぎ修理▸ p01/素地固めまで

 

 

マスキングをするかどうかの判断


この次の金継ぎ作業工程(錆漆付け)では錆漆さびうるし(ペースト)が修理箇所のまわりにもついてしまいます。

錆漆が付いても取れやすい釉薬の場合(ツルツル・ピカピカのガラス質)は特にマスキング作業をしなくてもいいと思います。

ザラザラ・マットな釉薬、または釉薬がかかっていない場合(焼き締め)はマスキングをしておいた方が無難です。錆漆が付くときれいに取れなくなって、うっすら黒っぽくなります。

 

 

 

修理部分のマスキング作業


道具 : はさみ
材料 : マスキングテープ

 

金継ぎ修理の方法。まずは養生のために使うマスキングテープを切って、お碗の縁に並べて付けておく。

千切ったマスキングテープをあらかじめ用意しておきます。
▸マスキングテープの切り方・ちぎりるやり方

 

金継ぎ修理の方法。漆で修理する欠けた部分をマスキングしていく。

マスキングテープを欠けたラインに沿って一枚ずつ貼っていきます。

マスキングの詳しい貼り方はこちらを参照してください。
マスキングテープを貼る方法

 

金継ぎ修理の方法。欠けた箇所にマスキングテープを貼っていく

マスキングはマスキングテープを少しずつ指でちぎって貼っていた方が、ちょうどいいラインに整えられます。

マスキングテープ同士が重なってもオッケーです。

 

金継ぎ修理の方法。漆で直す部分にマスキングをする

器の内側のマスキングが終わりました。

 

金継ぎ修理の方法。漆で直す器の外側のマスキング

器の外側もしっかりマスキングしていきます。

マスキングは手間がかかります。このくらいの規模でしたらほとんど苦になりませんが、木っ端微塵系の修理の時はゲンナリします。

 

漆金継ぎする器のマスキングが完了

マスキング作業が完了しました◎

 

 

 

錆漆を付ける(一回目)


道具 ③作業板 ▸作り方  ④付けベラ ▸作り方  ⑤練りベラ ▸作り方
材料 ①水  ②生漆  ⑥砥の粉

▸ 道具と材料の値段と売っているお店


 

 

錆漆さびうるし(ペースト)を作ります。
この「錆漆」ですが、ペースト状のものなので、「小さい欠け」や「細かい隙間」などを埋めるのに適しています。

 

体積比(目分量)… 砥の粉 10 : 8 生漆  ※ 水は適量

 ▸ 詳しい錆漆の作り方ページ

 

  1. 砥の粉を潰す
  2. 水を少量ずつ足しつつ、練る。
    チューブ入りの練りからし」くらいの状態になるまで水を加えつつ練る
  3. 次に「漆」を少しずつ足しつつ、練る
  4. 完成

 

※ 錆漆の「作り置き」はおススメしません。「使うときに作る」が原則です。作ってから2~3日くらは乾きますが、どんどん乾きが悪くなっていきます。

とはいえ、「明日も他の器を直すので」という方は、残った錆漆さびうるし(ペースト)を保存してください◎
 ▸ 余った錆漆・麦漆・漆の保存方法

 

【錆漆の作り方動画】

 

錆漆さびうるしという細かいペースト状のものを付けていきます。

1回で欠けた箇所がうまく、綺麗に埋まればオッケーです。が、だいたいどこかしら凹んでいたりするので2回目も行うことが多いです。

 

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆を付けていく。箆に少量の錆漆を取る。

 錆漆はちょっとずつ付けていきます。

まずは作業板の上にある錆漆さびうるし(ペースト)をヘラの先で少量取ります。

  1. 作業板の上で錆漆さびうるし(ペースト)を薄く均一に広げる。
  2. ヘラを少し寝かしつつ、横から滑り込ませる。
  3. 右側から左側へ通す。
  4. そうするとヘラの先っちょだけに錆漆がつきます。

 

 

錆漆を小さな箆を使って欠けた箇所に補填します。

定盤(作業台)の上に置いてある錆漆を適量すくって補填箇所にのせます。

 金継ぎ修理の方法。錆漆を箆で均す

陶器の欠けた部分に置いた錆漆を箆を使って均します。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆の置き方の説明。

器の陶器の部分と錆部分の接点・接地面(キワ)にきちんと錆漆が充填するように箆でならしてください。

錆漆は一回にどのくらい盛っていいのか?疑問ですよね。

錆漆は一度に厚盛すると中が乾かなくなってしまします。(1ヵ月くらい待てば乾いたりしますが、それじゃあね)

目安は2~3㎜といったところでしょうか。

ついつい面倒なので一度で済ませてしまおうと厚盛りしたくなりますが、そうするとなかなか乾かずにかえって痛い目に合います。

ご注意下さい。

 

金継ぎ修理のやり方。直す欠け部分に錆を置く

錆漆は生クリームのような、練りからしのような固さですので、慣れるまで扱いが難しいです。あまりきれいにいかなくても気にしないでください。私もこの程度です。

 金継ぎ修理のやり方。欠けた部分に錆漆を置いていく。

錆漆がはみ出してもマスキングしてあるから大丈夫なのです◎

 金継ぎ修理のやり方。箆で錆漆を置き、それから箆で平らに均す。

錆漆の充填が完了しました。

錆漆自体に水が含まれているので基本的にはムロ(漆風呂)に入れなくても乾くはずです。

が、すごく乾燥した季節ですとか、生漆が古くて乾きが悪い場合は湿したムロにいれてください。

 金継ぎ修理のやり方。錆漆を箆で均す。

ちょっと凹んでいますが、無理して厚盛りしないように気を付けてください。

厚くなり過ぎると、表面だけ乾いて、内側が全く乾かない「膿む」…という現象が起こってしまいます。よ◎

 金継ぎ修理のやり方。錆漆付けが完了。

 

 

 

錆漆1回目の乾きのチェックと研ぎ


金継ぎ修理のやり方。錆漆がしっかり乾いているかどうかをチェックする。

 錆漆1回目の乾きチェックです。

しっかり乾いている場合、爪で引っ掻くと白く線になります。乾きが甘いと引っ掻いても白くなりません。その場合はもう何日かしっかり湿した風呂に入れておいてください。

 

 万が一、錆漆が1,2日で乾かなかった場合…

【原因としては】

  • 作業中に錆漆の中の水分が飛んでしまった
    (直射日光が当たるような場所で作業をしていたとか)
  • 生漆が古い
  • 錆漆を厚く盛り過ぎた

あたりが考えられます。

対応策としましては、それぞれ

  1. 錆漆を作り直す
  2. 生漆を買い直す
  3. 錆漆を付け直す

です。

 
いずれにせよ、乾かない(乾きにくい)錆漆は取ってしまって、再度、錆漆を付けた方が時間的には早くいきます。

乾きにくい錆漆は本当に乾くのに時間がかかりますから。

 

錆漆を取る場合、竹串などを使って除去してください。

除去した後、錆漆の「カス」のようなものが残っていると思いますので、テレピン(またはアルコール)を染み込ませたウエスなどできれいに拭きとってください。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆1回目の乾きを見る

錆漆はカチカチに固まっています。

 金継ぎ修理のやり方。錆の乾きを確認する。

作業する前に1回目の錆漆がバリバリとがっているようですと、次の錆付け2回目がやりづらいので刃物で軽く(おおざっぱにササッと)削るか、粗目のペーパー(#240くらい)で軽くバリをはつります。

 

 

 

 

錆漆を付ける(2回目)


 

前回「錆漆 1回目」と同様の作業を行います。

 

では錆漆2回目を付けていきます。

錆漆の作り方です。
錆漆の作る方法はこちら

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆を欠けた部分に載せる

錆漆を適量(少な目)、箆にのっけて器の欠けた箇所に置く。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆を箆で均す方法

そして錆漆を箆で均す。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆付け二回目が終了

ヘラの面で錆漆さびうるし(ペースト)を均していきます。けど、でもなかなかうまくいきませんよね。

まぁ、そこそこで。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆の工程が完了こんなもんで大丈夫です。

もし、ほんの少し凹んだり”ス”(小さな穴、ピンホールのような)があったら、乾いてからもう一度(錆漆3回目を)やればいいのです。

漆は気長にやるしかないのです。急いでもろくなことがないのです。本当に。

 

このときに「少し多めに錆漆を盛ってください」という方もいらっしゃいますが、
私は基本的にはジャストを目指して盛ります。

ほんの(本当に)わずか盛るくらい。それにマスキングをした場合、マスキングテープ分の”厚”みもありますから、なるべくジャストを目指してください。

 

 

次の作業工程を見る

  ▸ ③ 完成まで

 

 

他の作業工程を見る ▸ ① 素地固めまで

 

 

 

 

 

Pocket