小さく欠けた白いマグカップの金継ぎの方法 2/3 ~錆漆まで(岡田直人の器)

金継ぎ修理した器の絵

※ 口元が一か所、小さく欠けたカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち〈欠けた部分を錆漆で埋める〉やり方を解説していきます。

マスキングをするかどうかの判断

この次の金継ぎ作業工程(錆漆付け)では錆漆が修理箇所のまわりにもついてしまいます。

錆漆が付いても取れやすい釉薬の場合(ツルツル・ピカピカのガラス質)は
特にマスキング作業をしなくてもいいと思います。

ザラザラ・マットな釉薬、または釉薬がかかっていない場合(焼き締め)は
マスキングをしておいた方が無難です。
錆漆が付くときれいに取れなくなって、うっすら黒っぽくなります。

 

修理部分のマスキング作業

マスキングに使う道具と材料

道具 : はさみ
材料 : マスキングテープ

金継ぎ修理の方法。まずは養生のために使うマスキングテープを切って、お碗の縁に並べて付けておく。

千切ったマスキングテープをあらかじめ用意しておきます。
ご参考に→マスキングテープの切り方・ちぎりるやり方

金継ぎ修理の方法。漆で修理する欠けた部分をマスキングしていく。

マスキングテープを欠けたラインに沿って一枚ずつ
貼っていきます

マスキングの詳しい貼り方はこちらを参照してください
マスキングテープを貼る方法

金継ぎ修理の方法。欠けた箇所にマスキングテープを貼っていく

マスキングはマスキングテープを少しずつ指でちぎって貼っていた方が、
ちょうどいいラインに整えられます。

マスキングテープ同士が重なってもオッケーです。

金継ぎ修理の方法。漆で直す部分にマスキングをする

器の内側のマスキングが終わりました

金継ぎ修理の方法。漆で直す器の外側のマスキング

器の外側もしっかりマスキングしていきます

マスキングは手間がかかります。
このくらいの規模でしたらほとんど苦になりませんが、
木っ端微塵系の修理の時はゲンナリします。

 

漆金継ぎする器のマスキングが完了

マスキング作業が完了しました。

 

錆漆を付ける(一回目)

欠けがうまく、綺麗に埋まれば1回でもオッケーです。
が、だいたいどこかしら凹んでいたりするので2回目も行うことが多いです。

錆付けで使う道具と材料

  • 道具 : 練り箆
  • 材料 : 漆(生漆)、砥の粉、水、
  • 掃除用、その他 : 定盤(作業台)、ウエス、テレピン、サランラップ

今回は修理部分の欠けが小さいので錆漆で埋めていきます
錆漆の作る方法はこちら

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆を付けていく。箆に少量の錆漆を取る。

錆漆を小さな箆を使って欠けた箇所に補填します。

定盤(作業台)の上に置いてある
錆漆を適量すくって補填箇所にのせます。

 金継ぎ修理の方法。錆漆を箆で均す

陶器の欠けた部分に置いた錆漆を
箆を使って均します

金継ぎ修理のやり方。錆漆の置き方の説明。

器の陶器の部分と錆部分の接点・接地面(キワ)にきちんと
錆漆が充填するように箆でならしてください

錆漆は一回にどのくらい盛っていいのか?疑問ですよね。

錆漆は一度に厚盛すると中が乾かなくなってしまします。
(1ヵ月くらい待てば乾いたりしますが、それじゃあね)

目安は2~3㎜といったところでしょうか。

ついつい面倒なので一度で済ませてしまおうと厚盛りしたくなりますが、
そうするとなかなか乾かずにかえって痛い目に合います。

ご注意下さい。

 

金継ぎ修理のやり方。直す欠け部分に錆を置く

錆漆は生クリームのような、練りからしのような固さですので、
慣れるまで扱いが難しいです。
あまりきれいにいかなくても気にしないでください。
私もこの程度です。

 金継ぎ修理のやり方。欠けた部分に錆漆を置いていく。

錆漆がはみ出してもマスキングしてあるから大丈夫なのです◎

 金継ぎ修理のやり方。箆で錆漆を置き、それから箆で平らに均す。

錆漆の充填が完了しました。

錆漆自体に水が含まれているので
基本的にはムロ(漆風呂)に入れなくても乾くはずです

が、すごく乾燥した季節ですとか、生漆が古くて乾きが悪い場合は
湿したムロにいれてください

 金継ぎ修理のやり方。錆漆を箆で均す。

ちょっと凹んでいますが、無理して厚盛りしないように
気を付けてください。

「うんじゃいます」よ

 金継ぎ修理のやり方。錆漆付けが完了。

 

錆漆1回目の乾きのチェックと研ぎ

金継ぎ修理のやり方。錆漆がしっかり乾いているかどうかをチェックする。

 錆漆1回目の乾きチェックです。

しっかり乾いている場合、爪で引っ掻くと白く線になります。

乾きが甘いと引っ掻いても白くなりません。
その場合はもう何日かしっかり湿した風呂に入れておいてください。

 万が一、錆漆が1,2日で乾かなかった場合

 

…原因としては
  1. 作業中に錆漆の中の水分が飛んでしまった
    (直射日光が当たるような場所で作業をしていたとか)
  2. 生漆が古い
  3. 錆漆を厚く盛り過ぎた

あたりが考えられます。

対応策としましては、それぞれ

  1. 錆漆を作り直す
  2. 生漆を買い直す
  3. 錆漆を付け直す

です。

 
いずれにせよ、乾かない(乾きにくい)錆漆は取ってしまって、
再度、錆漆を付けた方が時間的には早くいきます。

乾きにくい錆漆は本当に乾くのに時間がかかりますから。

 

錆漆を取る場合、竹串などを使って除去してください。

除去した後、錆漆の「カス」のようなものが
残っていると思いますので、テレピン(またはアルコール)を
染み込ませたウエスなどできれいに拭きとってください。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆1回目の乾きを見る

錆漆はカチカチに固まっています。

 金継ぎ修理のやり方。錆の乾きを確認する。

作業する前に1回目の錆漆がバリバリとがっているようですと、
次の錆付け2回目がやりづらいので

刃物で軽く(おおざっぱにササッと)削るか、
粗目のペーパー(#240くらい)で軽くバリをはつります。

 

錆漆を付ける(2回目)

錆付けで使う道具と材料

道具 : 練り箆
材料 : 漆(生漆)、砥の粉、水、

掃除用、その他 : 定盤(作業台)、ウエス、テレピン、サランラップ

前回「錆漆 1回目」と同様の作業を行います。

では錆漆2回目を付けていきます。

錆漆の作り方です
錆漆の作る方法はこちら

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆を欠けた部分に載せる

錆漆を適量(少な目)、箆にのっけて

器の欠けた箇所に置く

金継ぎ修理のやり方。錆漆を箆で均す方法

そして錆漆を箆で均す

金継ぎ修理のやり方。錆漆付け二回目が終了

均す

いや、でもなかなかうまくいきませんよ。

まぁ、そこそこで。

 

金継ぎ修理のやり方。錆漆の工程が完了

 

こんなもんで大丈夫です。

もし、ほんの少し凹んだり”ス”(小さな穴、ピンホールのような)があったら、
乾いてからもう一度(錆漆3回目を)やればいいのです。

漆は気長にやるしかないのです。
急いでもろくなことがないのです。

本当に。

 

このときに「少し多めに錆漆を盛ってください」
という方もいらっしゃいますが、
私は基本的にはジャストを目指して盛ります。

ほんの(本当に)わずか盛るくらい。
それにマスキングをした場合、
マスキングテープ分の”厚”みもありますから、
なるべくジャストを目指してください。

 

次の作業工程に進む  ▸ ③ 完成まで

他の作業工程を見る ▸ ① 素地固めまで

 

 

 

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