【初心者向け】 金継ぎレスキューセット!~器を救え!!

本漆金継ぎ

 

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※ 2017-03-01 加筆

※ 最近、なぜかこのページを見ている方が多くなってきているのですが…
まだ販売はしておりません。よ。ホント販売していませんので。
ごめんなさい。はい。正直、済みません。
…というか、「挫折」気味です。

 

金継ぎ入門者のための金継ぎセット

一家に1セット。もしもの時の救急セット…っていかがでしょうか?
救急箱や裁縫箱と同じように「金継ぎ箱」みたいのもあるといいですね。
そうなると「日本ではどのご家庭でも”金継ぎ箱”というものが置いてあり、器が壊れると、自分で直す不思議な国なのです」…ってなりますね。おー、変わった国ですね。

 

金継ぎ完成

 

これまでの市販の金継ぎセットでは「あれが足りない」「これは要らない」「あれは量が多すぎ」「これは使えない」などなど、痒いところにいまいち手が届かない…ということが多かったのではないでしょうか?

金継ぎ図書館ではこれまで「金継ぎのやり方」を隠し事なしでバンバン出して、「みなさん、ぜひご自分でやってみてください!」とアナウンスしてきました。
そして、そのフォローとして、しっかりと「”使える”金継ぎセット」を用意する責務もあるような気がしてきました。

これらの道具・材料があれば金継ぎ図書館でやっている修理ができる(はず!)というものを取り揃えました。全て金継ぎ図書館で紹介しているものを入れたので、サイト内のコンテンツにリンクを張って詳しくフォローもできるはずです。

 

 

金継ぎ入門者のための金継ぎセット

あっ!(いつもの邪魔な)ハトだ!
いやいや、この箱は君の「巣」じゃないぞ。

 

 

金継ぎセットの内容/マニアックなラインナップです


 

金継ぎセットに入っている道具と材料:


① 木粉 ② 砥の粉 ③ ※1障子紙用丸刃カッターの替刃 ④ ダイヤモンドビット ⑤ 蒔絵紛 ⑥ 顔料 ⑦ ガラス定盤(作業台) ⑧ 計量スプーン ⑨ 生漆 ⑩ ガラス棒 ⑪ 筆類 ⑫ 箆・筆置き ⑬ 箆類 ⑭ 自作用の箆材 ⑮ ※2テレピン ⑯ 耐水ペーパー ⑰ ゴム手袋

※ 鳩は入っていません。

※1 替刃のみが入っています。ホルダーは普通カッターのものが使えます。
※2 テレピンの「配送」が受け入れられない業者さんがありましたので、これを除外することにしました。各自でご購入ください。「灯油」でも「燃料用アルコール」(ドラッグストア、ホームセンターで¥400‐/500mlくらいで売っています)でもオッケーです◎

 

 

※ ご自分で用意していただく道具・材料:


・ 普通カッターのホルダー ・ サランラップ ・ サラダ油 ・ ティッシュペーパー ・ ウエス(ボロ布) ・ マスキングテープ ・ 小麦粉 ・ 水 ・ 綿棒 ・ 小石2つ(蒔絵紛の包み紙を開けた時に、その紙の端っこを押えるもの) ・ ハサミ(ペーパーを切ってもいい、安いもの) ・ ゴム手袋(セットに入っている枚数では足りないので)

※ 個人での入手が楽なものに関しては、各自で購入してもらう形を考えています。(ほとんどがスーパーマーケットやドラッグストアなどで手に入るくらいのものだと思います)

 

 

 

 

金継ぎ図書館の金継ぎレスキュー・セットの特徴


レスキュー・セットの特徴としましては、とにかく「金継ぎ初心向けに特化している」という点です。

  • なぜか「計量スプーン1/4」が入っている…これを使って計ることで初心者でも錆漆、麦漆などの配合比をミスすることがなくなります(ことを切に願っています)
  • 「金継ぎ図書館」のウェブ・コンテンツと連動している…道具の使い方、材料の調合の仕方が詳しくわかる。
  • 仕上げは金・銀ではなく、真鍮(金色)・錫(銀色)をチョイス…これなら失敗しても痛くない。気軽に何度でもやり直せます。
  • 箆の種類がやたら充実している…道具次第で作業がやりやすくも、やりづらくもなり、ひいては作業の”愉しさ”にも影響すると考えています。
  • 箆が小さい…金継ぎ作業に適した小さいサイズのものを使っていただきたいと考えています。
  • 漆が「生漆」の1種類しか入っていない…塗り用の漆は自分で精製していただきます(精製に要する時間10~15分程度)。実際のところ、「塗り用の漆」って金継ぎではわずかな量しか必要ないと思います。なのでわざわざ「塗り用漆」を買うよりも、「漆の自家精製方法」を憶えていただいた方が余計な”損失”がなくなると思います。

 

”金継ぎ用として実際的に使いやすい”道具を用意し、必要な材料を、本当に”必要な量だけ”取り揃えることを念頭に置いています。

 

 

 

それぞれの道具・材料の説明(こだわり、ややしつこい言い訳)


ラインナップがマニアック過ぎるので、それぞれの道具・材料の説明をさせてください。(じゃないと、金継ぎ図書館はアホかと思われるので)

 


① ガラス定盤(作業台)…約21×17cm ② ※1障子紙用丸刃カッターの替刃(3枚) ③ ダイヤモンドビット(先っちょは”球”) ④ 耐水ペーパー#320と#800(各、約14×11.5cm) ⑤ ※2テレピン(180ml)


※1 替刃のみが入っています。ホルダーは普通カッターのものが使えます。
※2 テレピンの「配送」が受け入れられない業者さんがありましたので、これを除外することにしました。各自でご購入ください。「灯油」でも「燃料用アルコール」(ドラッグストア、ホームセンターで¥400‐/500mlくらいで売っています)でもオッケーです◎

 

①…作業台として使います。この上で錆漆(漆ペースト)を作ったり、生漆を精製したりします。

金継ぎセット

 

②…はみ出した錆漆(漆ペースト)や麦漆(漆接着剤)を削ったり、刻苧漆(漆パテ)を成形したりするのに使います。
「ベスト」の刃物ではありませんが(金継ぎ図書館では「平丸」の彫刻刀をおススメしています)、ベターな選択かと思っています。刃先が少し曲線になっているので、器の内側でもある程度作業ができます。「使い捨て」用ですが、研げば使い続けられます。(もしも「研げる」人なら、やっぱり「平丸の彫刻刀」がおススメですが)
ホルダーは普通のカッターのもので装着可能です。「ストッパー付き」がおススメです◎

 

 

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③ ▸ 動画を見る「「ひび」のヤスリがけ/素地調整」

「ひび」の入った器を修理する時に使います。これで「ひび」部分を軽く研いで、漆の「食いつき」をよくします。
金継ぎ図書館内での協議の結果(一人会議)、先っちょは”球”のビットをチョイスすることにしました。

金継ぎセット

 

④…錆漆(漆ペースト)や塗った漆を研ぎます。#240と#800の2種類を用意しようと考えています。
#240はゴリゴリ研ぎたい時(主に刻苧漆や錆漆を研ぐ時用に)。#800は研ぎ肌を綺麗にしたい時(主に錆漆の仕上げ研ぎ、漆の研ぎ用に)。

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⑤…テレピンを入れる容器です。容器の尖がった先っちょをカッターで切ればこのまま使用が可能です。テレピンは100mlでは少ない気がするので180ml入るものを選びました。
※ テレピン…漆を薄めたり、筆に含まれた油を除去する時、作業板やヘラについた漆を拭き取るとき(掃除)に使います。(テレピンの代わりに”灯油”でも代用できます)

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金継ぎ入門者のための金継ぎセット


① 顔料の黒(5g) ② 顔料の赤(5g) ③ 生漆(20g) ④ 計量スプーン(1/4) ⑤ 面相筆


 

①② は生漆を精製したもの(素黒目漆)に混ぜて色を付けます。2色あった方が便利です。黒漆で塗った上を再び黒漆で描こうとすると、色が被ってしまい、「キワ」まで塗れているかどうか分かりづらいのです。
あとは真鍮粉を蒔く前に使う漆は「赤色」の方が、真鍮粉の発色がよくまります。錫粉の前は「黒色」の方が落ち着いた感じになります。(もちろん好みによりますが)
顔料の混ぜ方はこちらのページを参考にしてください。
 ▸ 〈生漆→塗り用漆〉へ自分で精製して、さらに顔料を混ぜて「赤漆」を作る方法

 

 

③ は錆漆(漆ペースト)や麦漆(漆接着剤)、刻苧漆(漆パテ)を作るときに使います。さらには精製して「塗り用」としても使います。「漆の自家精製のやり方」は金継ぎ図書館内のコンテンツとしてご紹介していますので、そちらを見ながら作業ができます。
 ▸ 〈生漆→塗り用漆〉へ自分で精製して、さらに顔料を混ぜて「赤漆」を作る方法

※ 「生漆」は「消費期限のようなもの」があります。保存状況、もともとの漆の質によりますが、時間の経過とともに少しずつ乾きが悪くなっていきます(やがてほとんど乾かない漆になってしまします)。だいたい1~1.5年以内に使った方がいいと思います。金継ぎでは基本的にたくさん漆は使いませんので、少量ずつ買い足していった方が、漆が”ムダ”になりません。

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④ は錆漆(漆ペースト)、麦漆(漆の接着剤… ▸ 麦漆の作り方 )、刻苧漆(漆パテ)、それから「色漆」(色のついた塗り用漆)を作る際に、量を計るのに使います。

「極小の計量スプーン 1/4 」を使うメリットとして

  • 配合比を失敗しない
  • 金継ぎに適したほんの少量の錆漆などが作れる(「少量」というのが意外と難しいのです)。
  • (いままでその大部分を廃棄していた)大量の錆漆などを作らなくて済むので、生漆や砥の粉なども少ない量だけ購入すればよく、「ムダ」が激減する。

 などが挙げられます。

”ほんの少量”の錆漆などを作ろうとすると、ちょっとした分量の誤差で「乾かない錆漆」になってしまったり、「もろい錆漆」になってしまったりすることがあります。計量スプーンを利用すればミスなく作れると思います。金継ぎで使うにはこの1/4の大きさがベストだと考えています。

※ 慣れてきたら計量スプーンなしでも「感覚」だけで作れるようになります◎

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⑤ は漆を塗るときに使う筆です。
ビギナー用といったクオリティーですので、金継ぎにハマっていったらぜひぜひ本物の「蒔絵筆」にチェンジしてください。蒔絵筆はやはり使いやすいです。高いですが(笑)。漆屋さんで¥4,000~¥5,000くらいで売っています。

 

 

 


金継ぎ入門者のための金継ぎセット


① 錫粉(3g) ② 真鍮粉(2g) ③ ガラス棒 ④ あしらい毛棒(として使用)


 

①② の蒔絵紛はこのくらいの分量で十分かと考えています。この2種類で小さめの修理でしたら20個くらいは余裕でこなせると思います。(20個も器、壊れていませんよね??)
「金継ぎ」なのに「金」も「銀」もはいっていない!…ええ、そうなんです。入れておりません。

みなさん本当に「金」で直したいですか?本当ですか??実は「金」で直すかどうかはあまり関係がないんじゃないですか?それよりも「あの大切な器を直す」ことこそが一番やりたいことなのではないでしょうか。「金」を使うかどうかは意外と優先順位は低いはずです。
それに…いきなり「金」ってビビりませんか?
金継ぎ初めての人が、誰に教わることもなくいきなり金を使ってみる。(例えば)手元の金はわずか0.2g!失敗は許されません。金を蒔く前の漆の厚みは?蒔くタイミングは?これでいいのかしら…??と不安になりながらやってみる。…で、イマイチきれいにいかなかったら……(涙)
これだったらほんの僅かな「金」や「銀」が入っているよりも、初めは失敗しても痛くない「真鍮」や「錫」が入っている方がガシガシ金継ぎにチャレンジできるのではないでしょうか?ある程度慣れてきて、さらに本格的に金継ぎを続けていきたい!と思った方は、そのあと「金粉」や「銀粉」を自身で購入する方がいいかと考えているのです。いかがでしょうか?

 

※ 色味としては 錫…銀色、真鍮…金色 です。

 

③ は錫粉を磨きます(※ 真鍮粉は磨かないでください)。ご自分で金粉、銀粉をご購入された場合、それらもこのガラス棒で磨けます。

 

④ は蒔絵紛を蒔くとき、掃いていくときに使います。

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※ 「蒔絵」というとあの「ストローみたいな筒」をイメージする方もいると思います(”紛筒”と言います)。蒔絵では「紛筒」「真綿」「あしらい毛棒」の3種類を場合によって使い分けます。この金継ぎセットに入っている真鍮粉と錫粉に関しましては「あしらい毛棒」が一番使い勝手がいいと思います。

 

 

 


金継ぎ入門者のための金継ぎセット


① 砥の粉(30g) ② 木粉(8g) ③ ビニール手袋(3双)


 

① ▸ 動画を見る「初めての錆漆の作り方 / 漆のペースト

  注意 !  砥の粉は細かく粉砕していません(ちょっとゴリゴリした”だま”がある状態です)。使う際は細かく砕いてからお使いください。(あらかじめ砥の粉を細かく粉砕して、小さいタッパーなどに入れておくと使いやすいです◎)

砥の粉ですが100gとか50gあっても使わないと思います。30gで十分だと思います。
一般の初級経験者の方の中で「砥の粉が30gでは少ないのでは??」と思う方もいらっしゃるかと思います。そう考えるのも無理からぬことだと思うのですが、でもこのくらいの分量で十分足りるはずだと金継ぎ図書館では考えています。(もう少し検証していきたいとは思いますが)
初級者の方はおそらく、実際に使うよりも「大量の」錆漆を作っていて、その大部分を捨てていると思います。その捨てている分の砥の粉をそもそも使わずに済めば、このくらいの分量で十分だと思うのです。
「ほんの少しの量の錆漆を作る」対策として金継ぎ図書館では「計量スプーン 1/4 」を使うことをおススメしています。(あと、箆の幅が小さい…というのも)

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※ 「砥の粉」…漆とを混ぜ合わせて「ペースト」を作り(←これを錆漆と言います)、それを使って「小さめ」の欠けを埋めます。 
 ▸ 錆漆の作り方

 

 

② ▸ 動画を見る「初めての刻苧漆の作り方 / 漆のパテ

木粉ですがこちらも小さい欠けでしたら、これで何個も直せるはずです。もし足りなくなったら自分で鋸を挽けば作れます。
▸ 木粉の作り方

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※ 「木粉」…小麦粉と漆と混ぜ合わせて「パテ」を作り(←これを刻苧漆こくそうるしと言います。それを使って「大き目」の欠けを埋めます。
 ▸ 刻苧漆の作り方

 

 

③ はディフェンス用の手袋です。3組しか入っていません。これじゃ絶対に足りません。これは各々、ご購入いただけたらと思います。ホームセンターでもドラッグストアでも売っています。

 

 

 

 


 

金継ぎ入門者のための金継ぎセット


① 檜箆(幅15㎜) ② 練り箆(幅9㎜) ③ 刻苧箆 ④ 先丸箆 ⑤ 付け箆(幅6㎜) ⑥ 箆・筆置き ⑦ 自作用の竹材 ⑧ 自作用の檜材 (←これ取り消します


 

「金継ぎ図書館」って箆、入れ過ぎよね。意味わかんないー(アホ)…って声が聞こえてきそうです。
ええ、分かっておりますとも。賛同は得られないでしょう。他のどの金継ぎセットだってプラスチック箆1本ですもんね。
でも、いつかきっとわかってもらえるはずです。鳩屋が箆にこだわる理由が…(”箆フェチ”じゃないですからね)

 

① の檜箆は只今、入れようか入れまいか迷っています。生漆を精製する時に幅15㎜前後の箆があると便利なのです。

 

② は錆漆(漆ペースト)、麦漆(漆接着剤)、刻苧漆(漆パテ)を練るときに使います。練るときにはヘラの「腰」が強い方がいいので、少し固めのしなり具合になっています。
金継ぎではこのくらいの幅で十分な大きさだと思います。プラスチック箆の30㎜は金継ぎにはちょっとデカすぎる気がするのです。

 

③ は刻苧漆(漆パテ)を充填する時に使います。

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④ は軽量スプーンから漆を掻き出す時に便利です。かなり薄めに削っているので、よくしなります。使いやすいと思います。

 

⑤ は錆漆(漆ペースト)や麦漆(漆接着剤)を塗布する時に使います。やや腰が柔らかめです。

 

⑥ は付属の釘を打ち込んで「箆・筆置き」として使います。
釘はあらかじめ打ち込んでおいてもいいのですが、少しでもご自分で作業をした方が楽しいと思うので、このままお渡しようかと考えています。(余計なお節介?)
 ▸ 箆・筆置きの作り方

 

⑦⑧ は、ぜひぜひご自分でヘラを作ってみていただきたいので付けようと考えています。自分で道具が作れるようになると、いきなり視界が開けます。
これはホント、間違いのないことです。「身の回りの材料から自分で道具を拵える」というのは、人類初期からの「宿命」であり、「愉悦」でもあると思います。
日本の伝統工藝はいまだにこの「宿業」と「快楽」を引き継いでいる分野です。
ぜひ、皆さまにもこの「面倒な愉しみ」を感じていただけたらと思っています。

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▸ 檜箆の作り方

▸ 付け箆の作り方

▸ 刻苧箆の作り方

…って、自分で作れるんだったら買う必要ないじゃん!
おっ!なるほど。そうですね~。でも最初だけ買ってくださいー◎

 

 

 

金継ぎ入門者のための金継ぎセット

Rescue Your Memories !