注ぎ口が欠けた食器(作・岡田直人)の金繕い修理のやり方 03

size19
  ファイツ !

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

※ 口周りが欠けたピッチャーの金繕い修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですのでかぶれる」可能性があります。ご注意ください。

※ 万が一、漆が肌に付いた場合はすぐに「油(サラダ油など)」でよく洗って下さい。油??そうです。「油」をつけ、ゴシゴシ漆を洗い落としてください。その後、その油を石けんや中性洗剤で洗い流してください。

今回は金繕い工程の内の〈漆塗り~蒔絵〉までの方法を解説していきます。

 

 

前回の作業工程を見る

▸  Page 02 / 錆漆の研ぎまで

 

 

<金繕いの工程 08> 漆の塗り1回目


金継ぎの漆の上塗り作業で使う道具と材料
漆の塗りで使う道具と材料

  • 道具: ② ティッシュペーパー ③ 付け箆 (▸ 付け箆の作り方) ④ 小筆 ⑦ 作業板(クリアファイルなど)
  • 材料: ① サラダ油 ⑤ 精製漆(今回使ったのは呂色漆…黒色) ⑥ テレピン

 

 

前回、研いだ錆漆の上を漆で塗ります。

 

まずは筆をテレピンで洗って筆の中の油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方

使うときにはまず筆の中の油を取り除きます。(←作業が終わったときに筆を”油”で洗っているので)

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。

 

 

筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。

 

  1. 漆のチューブの蓋を開ける。
  2. 作業板の上に少量の漆を出す。
  3. 筆に漆を馴染ませる。
  4. 作業板の上に何本か線を引き、漆の量を調節しつつ、含み具合をチェックする。

漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは濾し紙で漆を濾してきれいにします。必要な方はこちらをご覧ください。
 ▸ 基本的な漆の扱い方・濾し方

 

 

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

塗ります。

修理部分の周りに薄っすらと「錆漆」が残っています。
これは漆を塗って、それが乾いた後に「激落ちくん(メラミン・スポンジ)」で磨いて取ります。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

漆は厚く塗ると「縮む」可能性があります。
ですので、基本的には「薄く」「均一」になるように塗っていきます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

塗りづらい…

場合は、器物をぐるぐる回して、塗りやすいポジションで塗ってください。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

はい。鳩も厚くなるとダメと言っています。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

塗り終わりました。

でも「御終い」じゃありません。
まだまだ作業は続きます。

 

これを湿した場所(湿度65%~程度)に2日くらい置いて、
漆が硬化するのを待ってください。

 

 

作業が終わりましたら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

  1. 筆に油を含ませ、作業板の上で捻ったり、回転させたりする(←意味わかりますか?)
  2. ティッシュの上でヘラを使って優しくしごく
  3. 筆の中の漆がほどんどでなくなるまで繰り返し新しい油を付けて洗う

 

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに ▸ 筆のキャップの作り方 ページを作りましたので、ご覧ください。

 

 

 

 

<金繕いの工程 09> 漆の研ぎ


金継ぎのエポキシペースト研ぎ作業で使う道具と材料

漆の研ぎで使う道具と材料

  • 道具: ③ 豆皿(水入れ用) ④ ウエス ⑤ はさみ(ペーパー切り専用にしたもの)
  • 材料: ① 耐水ペーパー(今回は#800) ② 水

 

研ぎ作業がしやすいように、まずはペーパーを小さく切ります。

 

  1. ペーパー研ぎで使う道具たち
  2. ペーパーを1㎝×1㎝くらいの大きさにハサミで切る
  3. 三つに折る
  4. 少量の水を付ける

 

 

塗った漆をペーパーで研ぐことでさらに平滑な面、きれいなラインを作り出します。

漆を研いでいきます。

 

で…その前に。
今回の依頼品は「注ぎ口」の修理ですので、その「水切れ」のテストを行いました。

「漆塗り」の前(錆漆を研ぎ終わった段階)でも、「水切れ」のテストを行い、
さらに漆を塗って乾いた段階でもテストを行いました。

キリッと水が切れました◎

もし、水切れが悪かったら…錆漆を付けたり、削ったりして注ぎ口の成形をやり直さなければいけません。

今回は一回で上手くいきました◎

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

まだまだ作業は続きます。

一見きれいな「面」になっているように見えても、実はデコボコしているんです。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

水を少し付けながら研いでいきます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

なるべく「修理部分」の上を研ぐようにします。

ペーパーの方が器の釉薬よりも「硬度」が高いので、釉薬が傷ついてしまいます。
ですので、理想的には修理部分のみを研ぐようにします。

けど、実際には少しその周りも研いでしまいますが。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

きれいな平面(平滑な面)が出るまで研ぎたいところですが、
適度なところで作業を止めます。(「適度」ってどんな??)

適度…ですね。それは

あまり深い凹みがあるようでしたら、もう一度その部分だけ錆漆を付けた方がいいですし、
僅かな凹みでしたら、漆の塗りで埋まるかと思います。

ある程度、研いだところでこのジャッジをしてください。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

気になっていた修理部分周りの錆漆の「汚れ」を激落ち君で磨いて取り除きます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

激落ちしています◎

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

漆を研いだ部分をよく見ると「白く光っている」部分がちらちら見えています。

これはまだ「研ぎ」が当たっていないからです。(凹んでいる箇所です)

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

↑画像の器の素地との接線部分(黒いラインで見えているところ)が少し凹んでいます。

このくらいの凹みでしたら漆を1~2回塗り重ねれば埋まると思います。

 

深い凹みを発見してしまった場合は、残念ですがそこの箇所だけ「錆漆」を施してください。
けど、意外と手間ではありませんよ◎

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

↑この画像では「黒く見えている点」が 少し凹んでいる箇所です。

 

 

この後、2~3回、漆を塗り重ねては研いでいきます。
けっこう面倒かもしれませんが、塗り→研ぎ→塗り→研ぎ…と繰り返すことで
すごくきれいな面が作れます。

と同時に修理箇所が漆特有の「ふっくら」とした柔らかな表情になっていきます◎

 

 

 

 

<金繕いの工程 10> 上塗り→蒔絵


金継ぎの漆の上塗り作業で使う道具と材料
漆の塗りで使う道具と材料

  • 道具: ② ティッシュペーパー ③ 付け箆 (▸ 付け箆の作り方) ④ 小筆 ⑦ 作業板(クリアファイルなど)
  • 材料: ① サラダ油 ⑤ 精製漆(今回使ったのは弁柄漆…赤茶色) ⑥ テレピン

 

#800~#1000くらいの耐水ペーパーで研いだ上に漆を塗っていきます。

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

塗っていきます。

鳩が「薄く」と言っています。きっと彼の言っていることはあっていると思います。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

まずは細い筆の筆先を使って「輪郭」を塗っていきます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

輪郭が塗り終わったら、その「中」を中くらいの太さの筆で塗っていきます。
(筆を数種類、持っている場合)

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

漆は「均一な厚み」「薄目」になるようにします。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

全部塗り終わりました!

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

 

作業が終わりましたら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

 

このあと、本来であれば漆が乾き「始める」タイミングを待ちます。
1時間でも、2時間でも漆の具合を見ながら待ちます。

乾き始めるタイミングとは…塗った漆に「はぁー」と息を吐きかけた時に一瞬、塗膜が「虹色」に変化するタイミングです。(何のこっちゃ??わかりませんよね)

けど、「意味、わからん(鳩屋の説明、ヘタ)」「そんな余裕はないぜ(忙しいのだ)」「乾きかけが判断できないわよ」という方も多いかと思います。

 

ひとまず便宜的に20~30分ほど、湿した場所(湿度65%~)に置いて、漆が乾く「きっかけ」を与えるとしましょう◎

 

 

 

金継ぎの蒔絵作業で使う道具と材料
蒔絵で使う道具と材料

  • 道具: ① あしらい毛棒(柔らかい毛質の筆) ② 真綿 ③ 重石
  • 材料: ④ 蒔絵紛(今回は金粉を使用)

 

 

今回は「金」を使います。(金の丸紛2号です)

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

風、ダメです。
金粉が飛んじゃいます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

真綿に「しっかり」と金粉を取ります。
ここはビビらずに「多目」に付けてください。

じゃないと、真綿の繊維で漆を引っ掻いてしまいます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

金粉をつけた部分を漆を塗った箇所にソフトタッチで押さえていきます。

優しく優しく…

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

 はい、「金」が付きました◎

 

 壊れた器の金継ぎ修理のやり方

注ぎ口の外側も金粉をつけていきます。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

金粉が落ちても回収できるように、
なるべく金粉の包み紙の上で作業します。

真綿に大目に金粉を付けて…

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

ソフトにタッチしていきます。

 

 

金粉が蒔き終わったら湿した場所に入れておきます。
※ 湿度65%~くらい(水気を固く絞った布を入れた段ボールの中とか)

20~30分経ったら蒔いた金粉の様子をチェックします。

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

金粉が沈んで、薄っすらと漆が表面に浸みて(濡れ色になって)いるようでしたら、
再度、真綿に金粉を付け、濡れ色のところに優しく押さえていきます。

そうしたら、

湿した場所に置く→
→20分後くらいにチェック→
→濡れ色になっているところがあったら、金粉を蒔く→
→湿した場所に置いて乾かす

で、だいたい大丈夫ではないでしょうか◎

蒔絵作業、終了です。

 

壊れた器の金継ぎ修理のやり方

作業が終わったら湿した所に置いて
丸三日は乾かしてください。
※ 湿度65%~くらい(水気を固く絞った布を入れた段ボールの中とか)

 

お気づきかもしれませんが、そうです。「金」なのに「黄土色」です…。
黄金色に光っておりません。

でも大丈夫◎ この後の作業で最後はピカッと光ります。

その作業は次回のページで~

 

 

次のページを見る

岡田直人の器の金継ぎ修理方法

▸ Page 04 / 完成まで

 

 

 

 

 

Pocket