割れたマットさん平皿の本漆金継ぎ修理 2/5 ~錆漆付けまで

 麦漆を彫刻刀で削る

 ※ 3ピースに割れた平皿の金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

 

 

STEP 1 麦漆の削り


麦漆削りで使う道具と材料(▸ 使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: 彫刻刀(もしくはオルファのアートナイフプロ、メスなど)

 刃物の詳しいご紹介はこちらです。 ▸ 金継ぎで使う刃物の選び方

 

乾いた麦漆を削っていきます。

麦漆を彫刻刀で削る

彫刻刀の刃表(刃が斜めになっている側です)を使って器の表側を削ります。
このとき、刃が器にあたっても大丈夫です。私はちょい当てくらいで削ります。
あまりがつがつ器に当てると刃の切れ味がどんどん悪くなってきますのでご注意下さい

とはいえ、どのみち刃の切れ味は落ちてくるので「こりゃ切れんわ」と思ったら
彫刻刀を砥石で研ぎます。

麦漆を彫刻刀で削る

器の裏側も同様にはみ出した麦漆を削っていきます。

金継ぎ工程 麦漆の削り

器の裏面の麦漆の削り

麦漆の削りかすが出ますので、削り作業が終わったらウエスできれいに拭きとります。

削った麦漆の削りかすを拭き取る

 

接着した破片同士の間に少し深めの隙間ができていたので、それを刻苧(こくそ)漆で埋めます。

 

STEP 2 刻苧漆の充填


刻苧付けで使う道具と材料(▸  刻苧漆の充填で使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: プラスチック箆、刻苧(こくそ)箆(▸ 刻苧箆の作り方
  • 材料: 生漆、小麦粉、水、木粉

 

↑の材料を使って穴に埋めるパテ状のものを作ります。

▸ 刻苧漆の詳しい作り方

麦漆で接着したものが乾いている

 ↑ちょっとした隙間ができていました。
これを錆漆で埋めてもよいと思います。というか、このくらいでしたら錆漆の方が楽だったと思います。うう…

金継ぎの刻苧漆を充填するやり方

 刻苧箆で刻苧を少量、すくい取って充填箇所に置きます。
それからグイグイ押し込みます。力を入れる必要は全くありません。が、いつの間にか力が入っています。

刻苧漆を箆で少しずつ充填する

こんな感じでいかがでしょうか?
表側はこの一箇所のみ刻苧漆で埋めました。他にも細かい段差や隙間がありますが、
それは錆漆で埋めていきます。

器の周りの面とレベルが合うくらい(ほぼジャスト)を狙って、刻苧漆を充填します。私は。

刻苧漆は硬化するとともに水分が抜けて少し「痩せる」ので、あらかじめもっこり盛る人の方が多いと思います。

このくらいの少量の刻苧漆でしたら通常3日くらいでしっかりと硬化します。

 

 

STEP 3 錆漆付け


錆付けで使う道具と材料(▸ 使う道具・材料の入手先・値段

錆漆を作る前にSTEP2で充填した刻苧漆のはみ出た部分を削ります。

彫刻刀を使います。

乾いた刻苧漆を彫刻刀で少しずつ削っていく

器の表側はここしか刻苧漆を充填していませんのでササっと削って次へ進みます。

 

刻苧漆を彫刻刀で削り終わったらウエスで拭き取る

できました。
器の裏側も同様にはみ出た刻苧漆を削ります。

削りかすをきれいに拭きとったら次に錆漆を作ります。
▸ 錆漆の作り方

 

付け箆に錆漆を少しだけ付けて準備する

付け箆を使います。
箆先で少量の錆漆を取ります。(と書いてもよくわからないですよね。そういえば…。 作業板の上で錆漆を少量だけ薄く広げてそこから箆先で取っていきます。いや、画像がないとよくわからないですね。次回、写真を撮りたいと思います。)

錆漆を取った箆を接着部分に置き、少し手前に動かし隙間に錆漆を入れていく

 錆漆を埋める溝に平行になるように箆を置きます。
↑の画像ですと、ぞのほんの少し上に箆を置き、それからちょっと下に引く。

一回目で置いた錆漆のすぐ横に二回目の錆漆を置いて、同様に少し手前に引いて接着部分に詰め込む

 再び作業板から箆先で錆漆を取って、今度は②の位置に錆漆を付ける。
(①で付けた錆漆と少し重なるようにします)

箆を動かして錆漆をしっかりと隙間に埋めていく

こんな感じです。これを繰り返します。

この「ちょんちょんちょん」と錆漆を置いていく作業を繰り返すのですが、放っておくと錆漆がどんどん乾いて硬くなってきてしまいます。ので、錆漆が柔らかいうちに接着した溝に沿って箆を通します。

下の画像でご説明します。

金継ぎ錆漆付け方法 1,2,3と錆漆を付けていく

①、②、③と錆漆を置いていきます。

5㎝くらい箆で錆漆を置いたら、今度は接着部分に沿って平行に箆を動かし錆漆を隙間に押し込む

それからザーっと接着した溝に沿って箆を通します。
左→右へ。それから右→左へと箆を往復させてしっかり溝に錆漆を入れていきます。
錆漆がしっかり溝に入っていないと意味がありませんのであります。ご注意下さい。

今回は2~3センチくらい錆漆を置いた後、すぐに箆を左右に通す――を繰り返していきました。
器の形状や、錆漆をつける箇所の接着ラインの複雑さによりますが、こまめに箆を通した方がいいと思います。錆漆が硬くなると箆を通した時、錆漆がボソボソになって汚くなったり溝にきれいに入ってくれなくなりますので。

器の裏側も同様に作業していきます。

器の裏側も同様に行う。1,2と錆漆を付けた箆を接着ラインに対して直角に動かして、錆漆を隙間に入れていく

以上です。

錆漆は1日放置しておけば硬化して次の作業に移れると思います。

 

ではではどうもお疲れ様でした。

 

 

次の工程に進む ▸ ③ 錆漆の削り・研ぎ

他の修理工程を見る

▸ ① ~接着まで
▸ ④ ~下塗り研ぎまで
▸ ⑤ ~蒔絵・完成まで

 

 

 

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