割れたマットさん平皿の本漆金継ぎ修理 1/5 ~接着まで

割れた器のピースを嵌めていく

割れた器の金継ぎ修理前

※ 3ピースに割れた平皿の金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

金継ぎとは


金継ぎとは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

 

STEP 1 割れた器の診察


器 information

  • 器の作家: マットさん(アメリカ人)
  • 器の特徴: ちょっとマット気味(ツルツルはしていないけどザラザラというほどでもない)
  • 破損状況: 本体+割れたピースが2つ
  • 破損個所: 縁の部分
  • 破損個所の大きさ: 幅10㎝、 奥行3㎝
  • 器の大きさ: 直径21㎝ × 高さ4㎝

 割れた平皿の修理前

実際の金継ぎ修理に入る前に
器の特徴(特に釉薬がツルツルしているのか
それともマットでザラザラしていのか…などを
チェックします。

今回はツルツルした釉薬ではなくちょっとマットな感じですが、
錆漆がついてもきれいに取れそうなので、
マスキングはしません。

割れた器の修理前の破片

それから破損状況も詳しくチェックします。
「極小の欠け」やうっすらとしかみえないような「ひび」が
ないか、よく見てください。

割れた器の傷をチェックする

次は割れた断面のエッジを削ります。

 

STEP 2 割れた器の素地調整


割れた器の断面を削るやり方

 使う道具: ダイヤモンドのリュータ―ビット(▸ 素地調整で使う道具・材料の入手先・値段

欠けた部分を研ぐダイヤモンドビット

 ホームセンターなどで手に入るリュータ―のダイヤモンドビットを使います
  ▸ダイヤモンドビットのカスタマイズ

 

割れた断面のエッジを削ります。

器の表・裏の両方とも削っていきます。サラサラと軽くでオッケーです。

平皿の縁周り当たる部分の尖がっているところも
忘れずに削ってください。

割れた器の断面を削り作業を終わったエッジの削り作業が終わりました。
ほとんど分かりませんが、うっすらエッジが面取りされています。

2つの割れたピースも同様に表・裏両側とも
ダイヤモンドビットを当てて削ります。

 

STEP 3 割れた器の素地固め


割れたお皿の断面に薄めた漆を塗っていく使う道具・材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 材料 : 漆(生漆)、テレピン、ティッシュ
  • 道具 : 小筆(面相筆)、付け箆(▸ 付け箆の作り方
  • 掃除用、その他 : 定盤(作業台)、サラダ油、小箆、ウエス、テレピン

筆を使う前に筆の中にある油分を洗い出してください

img050▸ 使用前の筆の洗い方

 

 素地固めで使う漆は  < 生漆(10) : テレピン(3) >

くらいの割合で漆を薄めてください。
漆を緩めて浸み込みやすくするということです。

欠けた器の断面に塗布していきます。

 

特に注意するところは…ありません。

 割れたピースの方の断面にも漆を塗って
浸み込ませていきます。

 

漆の塗布が完了したら、吸い込まなかった漆を
ティッシュで拭き取ります。

 

 畳んだティッシュを優しく押し当てて漆を吸い取ります。
ティシュの拭き取る面を変えて、
漆がティッシュにあまりつかなくなるまで
拭き取りを繰り返します。

この作業は厳密にやる必要はありませんが
ある程度しっかり拭き取った方がいいです。

割れた器の固め作業が終了拭き取り作業が終わりました。

作業が終わったら油で筆を洗います。▸ 使用後の筆の洗い方

 

次は接着です。

 

STEP 4 割れた器の麦漆接着


割れた器の麦漆接着のやり方麦漆接着で使う道具と材料(▸ 麦漆接着で使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: プラスチック箆、付け箆
  • 材料: 生漆、小麦粉、水

麦漆を作ってそれで接着します。 ▸ 麦漆の作り方

 

金継ぎの麦漆接着の方法

麦漆はなるべく薄く塗っていきます。
カスカスじゃだめですが。

麦漆の厚みがあるほど
接着したときのズレがどんどん大きくなっていきます。

 

 割れた器の本体です。断面に薄く塗っていきます。

 

 割れたピースの断面も麦漆を塗っていきます。割れた断面の全てに塗っていってください。

 

麦漆を塗り終わったら湿したムロにしばらく入れます

欠けたピースの方は板の上にでも置いておくと
持ち運びが楽にできます。

割れたピースの方は板の上に置いてムロに入れて置く

今回はムロ(温度23℃、湿度60%)に入れて
40分後に接着作業に取り掛かりました。

 

 麦漆の表面の艶が軽く引けたくらいが頃合いです。
といってもよくわからないですよね。

漆自体の個性だったり、配合の具合、温度、湿度、
それから麦漆の塗布した厚みで乾き具合が変わってきますが、
およそ30~50分くらいを目安に接着作業に入られてはいかがでしょうか?

 

 一つ嵌めるごとにぐりぐり押し込んでいきます。

できるだけ押し込めるようにしてピース同士の隙間をなくします。

全てのピースを嵌めた後、改めて全体をいろいろな角度から見て
ズレを修正していきます。

けど、やっぱり少しはズレます。これはしょうがないですよね。
ピースが多いほどズレやすくて難しいです。

 

麦漆で接着した器を立てて乾かす

重力を考えて圧着される置き方にします。
何を使ってもいいので安定するように置いてください。

このまま2週間くらいを目安に安置しておきます。

 

 

 

次の作業工程に進む ▸ ② ~錆漆付けまで

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▸ ③ 錆漆の削り・研ぎ
▸ ④ ~下塗り研ぎまで
▸ ⑤ ~蒔絵・完成まで

 

 

 

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