真っ二つに割れた水色平皿の金継ぎ方法 1/4 麦漆接着まで(毛塚ゆりさん)

※ ダイナミックに割れた器の金継ぎ修理の方法を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち、〈割れたところの素地をやすりで削る~パーツの接着まで〉のやり方を解説していきます。

金継ぎとは


欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。
本漆金継ぎでは漆を使いますので「かぶれ」のリスクがあります。ですがそのリスクを引き受けてでもやるだけの価値があると思います。なんといっても「大切な想い」の詰まった器が直せるのですから。

〈 目次 〉

 

STEP 1.1 

割れた器の診察/金継ぎの方法

器 information

  • 器の作家: けづかさん
  • 器の特徴: 水色の釉薬、ピカピカしてはいないけどそこそこツルツルしている。のでマスキングの必要はなさそう
  • 修理箇所: 中央で真っ二つに割れ
  • 破損状態: 破片が4パーツ
  • 器の寸法: 直径 22㎝ 高さ 2.5㎝

まずは依頼品の釉薬や傷のチェックをして修理方針をイメージします。

金継ぎの修理依頼を受けたお皿。しっかり割れている

画像が黄色くなってしまっていますが、本当はほんのり水色です。

依頼された傷以外にも損傷がないかチェックします。いろいろな角度から見ます。
よくあるのが「ごく小さい欠け」と「うっすらと入ったひび」です。

割れた器の状態を調べる

と同時に修理の手順・方向性をイメージします。

❖ 釉薬はややマットですが、錆漆がついても「激落ち君」で汚れが落とせそうです。
→ということで基本的にマスキングの必要はなさそうです。
ただし、高台の裏には釉薬がかかっていないので錆漆の際、そこだけはマスキングをします。

❖ 器自体の持っている雰囲気…今回の器は色あい、デザインともに控えめで緩やかです。描かれている数個の円は手書きのノイズをそのまま受け入れたような有機的なラインです。小学生のころ顕微鏡で見たような。
依頼主の雰囲気…やわらかなお人

などを考慮して、金継ぎの仕上がりのライン・形をイメージします。
→今回は傷のラインをビビットに拾う(抑揚をつける)部分と、少しシンプルなラインに整理したところが部分的にあってもよさそうだなと思います。

この段階で明確に完成図が見えないことがほとんどです。何となくの方向性がとりあえず立てられればいいと思います。実際に修理していく中で「もうちょい、こうした方がいいな」とわかることが多いです。

 

STEP 1.2 

割れた器の素地調整

金継ぎの素地調整で使う道具: リュータ―・ダイヤモンドビット、マスク

欠けた器の断面をリューターにダイヤモンドビットを付けて削っていく。

リュータ―を使って割れた断面のエッジを削っていきます
リューターを持っていない方は(普通持っていませんよね)、ビット部分だけを購入してこの作業を行ってください。
▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズのやり方

金継ぎの素地調整作業で、割れた器のエッジをリューターで削っていく。

ほんとにうっすらとだけ、割れた断面の面取り(エッジを削る)をします。

表も裏も

金継ぎ工程の面取り作業。リュータービットで角を削っていく

小さなパーツも面取りします

リューターのビットで面取り作業を行う。特に「縁」部分はお忘れなく

 

STEP 1.3 

割れた器の素地固め

素地固めで使う道具と材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 材料 : 漆(生漆)、テレピン、ティッシュ
  • 道具 : 小筆(面相筆)、付け箆(▸ 付け箆の作り方
  • 掃除用、その他 : 定盤(作業台)、サラダ油、小箆、ウエス、テレピン

 

筆を使う前に筆の中にある油分を洗い出してください
 ▸ 使用前の詳しい筆の洗い方

 

テレピンで生漆を緩めます。 生漆 10 : 3 テレピン くらいの割合です。
それを筆に含ませ塗布していきます

こちらを参考にしてください→

金継ぎの素地固め工程では割れた器の断面に漆を塗っていく。

金継ぎの素地固め作業では希釈した生漆を割れた断面に塗っていきます。

金継ぎの素地固め作業が完成。

はい、破片のほうは塗布終了です

 続いて本体の方に漆を塗っていきます。

金継ぎの素地固めの方法としては筆にしっかりと漆を含ませてたっぷり塗っていく。

金継ぎの素地固め作業では漆をたっぷりと素地に吸わせます。

漆を十分に素地に吸わせる。

あまりはみ出さないように気を付けて漆を塗っていきます。

はみ出したらテレピンのつけたティッシュや綿棒で拭き取ってください。

金継ぎの素地固め作業が完了

生漆を塗布し終わったら
吸い込まなかった生漆をティッシュで
押えて吸収します

 

割れた器の断面に漆を塗り終えた

はい、本体終了です

 

作業が終わったら油で筆を洗います 。
▸ 使用後の詳しい筆の洗い方

 

 

 

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STEP 1.4 

 割れた器の麦漆接着

 金継ぎの麦漆接着で使う道具と材料

漆を使って接着剤を作ります。 ▸ 麦漆の詳しい作り方

金継ぎ工程の麦漆を塗布する前にあらかじめどのパーツがどの部分に来るか確認しておきます。

できれば接着する順番に並べておいた方が、
あとで「これどこだったっけ?」と焦らずに済みます。

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まずは小さい破片から麦漆を付けていきます。

金継ぎの麦漆塗り工程ではなるべく麦漆は薄く均一に塗っていく。

金継ぎの麦漆接着ではなるべく薄く均一に塗っていきます。

金継ぎの麦漆付けが完了しました。

小パーツの麦漆付けが完了しまいした。

大きな器の破片の方にも麦漆を塗っていく。

割れた器の大きい方のパーツにも麦漆を付けていきます。

付け箆を使って麦漆をなるべく薄く均一に塗っていく。

こちらもなるべく薄く均一に麦漆を塗っていきます。

大きいピースの金継ぎ麦漆塗り作業が無事完了です

大きい破片も完了です。
この金継ぎの麦漆付け作業はすべてのパーツ、全ての断面に行ってください。

 

このあと30、40分くらい放置して麦漆が乾き始めるのを待ちます。

麦漆が乾き始めるのを見計らってから接着作業に入ります。

器を接着します。

金継ぎの麦漆接着方法では破片同士をしっかりぐりぐりと押し込めるようにしてくっつけます。

ぐりぐりしっかりとパーツ同士が食いつくようにしてください。
麦漆がはみ出してきて大丈夫です。

はみ出した麦漆は乾いた後に刃物などで削り取ります。

金継ぎ麦漆作業が済んだら、接着したまま重力がうまい具合にかかるように安置する。

重力で接着箇所が加圧されるような
ポジションを考えて固定します

金継ぎの接着作業の方法解説が終わりました。

これで金継ぎの麦漆接着作業が終了しました。
麦漆がしっかり乾くまで1~2週間じっくりと待ってください。

ご苦労様でした。

 

 

次の作業工程を見る ▸ ② 漆の下塗りまで

その他の作業工程を見る
▸ ③ 蒔絵まで
▸ ④ 完成まで

 

 

 

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