欠けてひびの入ったマリナーズ・マグカップの金継ぎ修理のやり方 03 蒔絵・完成

 

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※ 口元が割れた蕎麦猪口の金繕い修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金繕い工程の内の〈錆漆の研ぎ~蒔絵・完成〉までの方法を解説していきます。

 

 

久しぶりの金継ぎ工程解説です。
このマリナーズ・マグカップは4ヶ月ぶりのアップ…お、遅い!すみませんでした。

 

 

自分の周りで誰かが「助けを呼ぶ声」を発した時、人間の「聴き取る能力」は瞬間的に限界を超えるような気がします。
日常感覚では聞き取ることが不可能なような「か細い声」や、はるか遠くで発せられた声に対して、人間はそれ以外の「雑音」から選択的に聞き分け、理解する。

それは「音」を聴き取っているというよりも、その「振動」のようなものに素早く同調しているのかもしれません。

修理もそのような「チューニング」能力が必要とされる行為だと思います。
その能力を高める第一歩は「傷んだ人へ想いを馳せる」です。(おっ、医療と同じですね~)

 

 

 前回の作業工程を見る

ひびの入ったマグカップの金継ぎ修理のやり方

 ▸ 錆漆の充填まで

 

 

 

〈金継ぎの工程 08〉 錆漆の研ぎ


金継ぎのエポキシペースト研ぎ作業で使う道具と材料

錆漆の研ぎで使う道具と材料

  • 道具: ③ 豆皿(水入れ用) ④ ウエス ⑤ はさみ(ペーパー切り専用にしたもの)
  • 材料: ① 耐水ペーパー(今回は#600) ② 水

ペーパーの使い方です。

 

  1. ペーパー研ぎで使う道具たち
  2. ペーパーを1㎝×1㎝くらいの大きさにハサミで切る
  3. 三つに折る
  4. 少量の水を付ける

 

もし、もっこりと錆漆が盛られている場合は、まずは刃物で削ってから研ぎ作業に入った方が効率がいいと思います◎

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今回は結構、きれいに錆付けできているのでペーパーだけでいきます。

 

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水を付けながら研ぎます。

 

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はい、きれいです。ね◎

 

 

 

 

〈金継ぎの工程 09〉 漆の下塗り


金継ぎの漆の上塗り作業で使う道具と材料
漆の塗りで使う道具と材料

  • 道具: ② ティッシュペーパー ③ 付け箆 (▸ 付け箆の作り方) ④ 小筆 ⑦ 作業板(クリアファイルなど)
  • 材料: ① サラダ油 ⑤ 精製漆(今回使ったのは呂色漆) ⑥ テレピン

 

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方

毎回、作業が終わったときに筆を”油”で洗っているので、使うときにはまず筆の中の油を取り除きます。

  1. 作業板の上に数滴テレピンを垂らす。
  2. その上で筆を捻ったりしてテレピンをよく含ませる。
  3. ティッシュペーパーの上でヘラで筆を優しくしごく。

 

筆の準備が済んだら、今度は漆の用意をします。

  1. 漆のチューブの蓋を開ける。
  2. 作業板の上に少量の漆を出す。
  3. 筆に漆を馴染ませる。
  4. 作業板の上に何本か線を引き、漆の量を調節しつつ、含み具合をチェックする。

 

漆の中にゴミがたくさん入っている場合などは濾し紙で漆を濾してきれいにします。必要な方はこちらをご覧ください。
 ▸ 基本的な漆の扱い方・濾し方

 

 

筆と漆の準備が済んだら塗りに入ります。

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ひび部分を塗ってきます。
どこから塗っても構いません。

 

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漆は厚くなり過ぎないように気を付けてください。
厚く塗りすぎると「縮み」という現象を起こします。

そうなるとかなり痛い「ミステイク」です。
やる気を削がれる可能性があるので、ご注意ください。

 

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欠け部分も塗っていきます。

 

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なるべく均一な厚みになるように気を付けて
筆を動かしていきます。

 

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マグカップの内側も塗っていきます。

 

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できました◎

内側はちょっとやりづらいです。特にコップの底。

 

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湿度のある場所(65%~)に2日程度置いて、漆を硬化させます。

 

 

作業が終わりましたら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。
キャップがない、もしくはキャップを作りたいという方向けに ▸ 筆のキャップの作り方 ページを作りましたので、ご覧ください。

 

 

 

 

〈金継ぎの工程 10〉 漆の研ぎ


金継ぎのエポキシペースト研ぎ作業で使う道具と材料

漆の研ぎで使う道具と材料

  • 道具: ③ 豆皿(水入れ用) ④ ウエス ⑤ はさみ(ペーパー切り専用にしたもの)
  • 材料: ① 耐水ペーパー(今回は#800) ② 水

 

 

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研ぎ作業がしやすいように、まずはペーパーを小さく切ります。

 

  1. ペーパー研ぎで使う道具たち
  2. ペーパーを1㎝×1㎝くらいの大きさにハサミで切る
  3. 三つに折る
  4. 少量の水を付ける

 

 

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陶器の釉薬より、ペーパーの「硬度」の方が高いので、釉薬を研ぐと傷つきます。
ですので、なるべく「修理箇所のみ」を研ぐようにします。

けど、ちょっとはみ出したところまで研がざるをえません。よね。

 

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水をちょっと付けて、研ぎます。

 

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ひびに塗った漆も研ぎます。
なるべく修理部分からはみ出さないように研ぎます。

 

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研ぎ終わりました。

…けど、まだきれいな「平滑面」になっていません。
デコボコしている箇所があります。

 

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ちょっとした凹みを埋めるためと、
より平滑な面を出すために、もう2,3回「漆の塗り→研ぎ」を繰り返します。

(げっ、面倒!って思いましたか?)

 

 

 

 

〈金継ぎの工程 11〉 漆の上塗り→蒔絵


金継ぎの漆の上塗り作業で使う道具と材料
漆の塗りで使う道具と材料

  • 道具: ② ティッシュペーパー ③ 付け箆 (▸ 付け箆の作り方) ④ 小筆 ⑦ 作業板(クリアファイルなど)
  • 材料: ① サラダ油 ⑤ 精製漆(今回使ったのは弁柄漆) ⑥ テレピン

 

納得のいく「平滑面」が出たら、いよいよ蒔絵を行います。

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

 

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慎重に漆を塗っていきます。

漆は薄目で、均一の厚みになるように…

 

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細い筆で、「縁取り」します。

 

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縁取り、フチドリ

 

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筆を変えて、今度は内側を塗り潰します。

 

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薄く、均一に

 

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面を塗り潰したら、最後に筆を通します。

「上→下」へ筆を揃えて通していきます。
「上→下」へと通したら、今度は「下→上」へ、筆を通します。

 

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今度は「左→右」へ。
それが済んだら「右→左」へと筆を揃えて通します。

 

 

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マグカップ外側のひび部分にも弁柄漆を塗っていきます。

 

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もうちょい。

 

漆塗りが終わったら、湿した場所(湿度65%~)に置いて
乾きの兆候がでるのを待ちます。

どのくらい待てばいいかと申しますと…漆の性質、湿度、気候などによりけりだと思います。が、60分程度でしょうか?15分と書いてある本もありますねぇ…。

 

 

作業が終わりましたら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

金継ぎの蒔絵作業で使う道具と材料
蒔絵で使う道具と材料

  • 道具: ① あしらい毛棒(柔らかい毛質の筆) ③ 重石
  • 材料: ④ 蒔絵紛(今回は真鍮粉を使用)

 

 

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真鍮粉を蒔いていきます。

真鍮粉を筆で掬い取り、漆を塗った上にバサッと乗せます。

 

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粉の上を筆を動かす感じで掃いていきます。

 

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毛先に漆が触れないように、真鍮粉が少なくなって来たら補充します。

常に十分な真鍮の粉が乗っている状態にしてください。

 

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マグカップの外側にも真鍮粉を蒔いていきます。

 

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バサッと多目の真鍮粉を乗せて、筆でサラサラと掃いていきます。

 

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掃いて掃いて…フィニッシュ!

 

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出来ました!

 

作業が終わったら湿した場所(湿度65%~)に置いて3日くらいは待った方がいいと思います。しっかりと漆が硬化するのを待ちます。

 

漆がしっかりと乾いたら、食器洗い用の柔らかいスポンジで水洗いします。
真鍮粉を洗い流してください。

 

 

 

 

〈金継ぎの工程〉 完成! 


 

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