縁が欠けた田代倫章さん茶碗の漆金継ぎ修理方法 1/2 錆付けまで

欠けた茶碗の金継ぎ修理

金継ぎで直す欠けた器

※ 縁が少し欠けたスタイリッシュな碗の金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち、〈欠けたお碗の素地調整~錆漆で欠けを埋めるまで〉のやり方を解説していきます。

 

金継ぎとは


金継ぎとは欠けたり、割れたりした器を漆で直す日本の伝統技法です。漆で接着し、漆で欠けや穴を埋め、漆を塗って、最後に金粉や銀粉を蒔いてお化粧をします。

 

器 information


  • 器の作家: 田代倫章(のりあき)さん(作家さんが判明しました!益子の作家さんです)
  • 器の特徴: カップの外側はざらざらした白くマットな釉薬、内側は黒くマットな釉薬
  • 器のサイズ: 直径165㎜、高さ70㎜
  • 破損状態: 口元の縁に欠け 
  • 欠けのサイズ: 8㎜×4㎜

 

器のヘリが欠けている

かっこいい器です。益子の作家さんとのことです。
フォルムがルーシーリーのようですね。ってあまり言わない方がいいかな。
そういえばサインの入れ方も西洋っぽいです。向こうの影響を受けている方なのでしょうか。

お碗の口元が小さく欠けている

器外側のざらざらした肌合いも魅力的です。微妙な色合いもいいし、センスのすごくいい作家さんです。欲しくなります。

ただ、他の器との相性がなかなか難しそうです。こういうスタイリッシュ系をいくつか持っていないと、この器単体だと浮いちゃいそうです。

金継ぎで修理する欠けのアップ

 この欠けを直します。面積が8㎜×4㎜です。浅い傷なので錆漆で十分です。一回で埋まりそうです。

周りの釉薬がざらざらマットでしかも白いので、マスキングします。

   この後、この欠け部分を漆で修理していきます。

修理が「映えそう」な器です。

 

 

金継ぎの手順 01 素地調整 


金継ぎの素地調整工程で使う道具の画像

素地調整で使う道具: ②砲弾型のリューターのダイヤモンドビット (ホームセンター等で入手可能/価格 \200~)

▸ ダイヤモンドビットのカスタマイズの方法

 

金継ぎの素地調整作業では軽く欠け周りのエッジにヤスリをかけます。

欠けた部分をダイヤモンドのやすりでやすっていく

リューターのダイヤモンドビットで軽く研ぎます。

器の欠けにやすりをかける

とんがりを削ります。

金継ぎの欠けを研ぐ作業が終了

金継ぎの素地調整作業が終了です。
やったのかやっていないのか、ほとんどわかりません。

 

 

金継ぎの手順 02 マスキング


マスキングで使う道具と材料(▸ マスキングで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: マスキングテープ

 

次の金継ぎ工程(錆漆付け)で修理箇所の周りが汚れるのを防ぐためにマスキングを行います。

欠け部分の周りを養生するためにマスキングテープをあらかじめ切りそろえて置く

あらかじめマスキングテープを指で小さくちぎっておきます。
この時、千切ったマスキングテープの形状がいろいろあると使うのに便利です。

欠けの周りにマスキングテープを貼っていく

なるべく欠け部分の形に合わせてテープを貼っていきます。
一枚のテープで広い範囲を貼ろうとすると難しいので、小さいテープで小さい範囲を少しずつ貼っていきます。

修理する欠けた部分の周りにマスキングテープを貼っていく

 テープ同士は重なって大丈夫です。
欠け部分に軽くテープを貼ってから爪先で微調整して、欠けたラインに合わせていきます。

刻苧ベラでマスキングテープを貼っていく

 爪先でやりづらい時は刻苧箆を使って微調整するといいです。

金継ぎのマスキング作業が完了

 今回は基本的に器の外側の錆付け作業ですし、内側に錆がついたとしてもすぐに取れそうなので、内側にはマスキングをしません。

養生が終わった

 鳩が邪魔ですが、マスキング作業が完了です。
錆付けが苦手な人(まだうまくできない人)はマスキングの範囲をもう少し広げておくと安心して錆漆付け作業ができます。

 

 

金継ぎの手順 03 素地固め


金継ぎの素地固め工程で使う道具の画像

素地固めで使う道具と材料(▸ 素地固めで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ⑥小筆、⑤付け箆 
  • 材料: ⑦生漆、①テレピン、②サラダ油、②ティッシュペーパー、③作業板(クリアファイル)

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

 

生漆 10 : 3 テレピン
くらいの割合で生漆を希釈します。

それを欠けた場所に浸み込ませていきます。

金継ぎの素地固めでは生漆を筆で塗っていく

生漆を筆に含ませて塗布していきます。
今回は白い釉薬でしかもガサガサしているので、万が一漆が周りに浸みだすと「汚れ」に見えてしまいそうです。
なので、用心して漆を塗る範囲を少し小さくしました。

筆で塗り終わった生漆をティッシュで押さえて拭き取る

ティッシュで押さえて、余分な(浸み込まなかった)生漆を拭き取ります。
ティッシュはそっと当てるだけで、左右上下に動かさないでください。動かすとまわりにも漆がついてしましますので気を付けてください。

ティッシュの面を変えつつ2,3度、押し当てます。

余分な漆をティッシュペーパーで拭き取ったら、乾かす

漆が拭き取れました。

この後、湿した場所(湿度65%~)に置いて、漆を乾かします。
私は1~2時間して半乾きの時に次の錆付け作業を行います。

一日置いてからでも大丈夫ですが、あまり日数を空けない方がいいと思います。漆が乾いて硬く締まりすぎてしまうと、ツルツルして次の作業の食いつきが悪くなります。
と言っても、断面がざらざらした陶器でしたらそれほど神経質になる必要もないかもしれません。

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

筆は付属のキャップを嵌めて保存します。キャップが無かったらサランラップを丁寧に巻いてください。

 

 

 

 

金継ぎの手順 04 錆漆付け


金継ぎの錆漆付け工程で使う道具の画像

金継ぎの錆付けで使う道具と材料(▸ 錆漆付けで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: ①プラスチック箆、②付け箆(▸ 付け箆の作り方)、
  • 材料: ④生漆、⑤砥の粉、⑥水、③作業板(クリアファイル)

錆漆を作ります。 ▸ 詳しい錆漆の作り方

 

器の欠けの凹みに錆漆を充填していきます。

金継ぎの錆漆付け作業

ヘラの先に錆漆を少し取ります。
欠けの下部分のエッジを利用して、そこで錆漆を「切る」ようにして付けていきます。

ヘラの先に取った錆漆を欠けた部分に付けていく

ヘラを斜め右下にスライドさせ、錆漆をエッジに引っ掻けて置いていきます。

欠けた部分に付けた錆漆をヘラを使って密着させる

次にヘラを左→右へと通して、錆漆を欠け部分に密着させます。
隙間がなくなるように錆漆を少し押し込める感じです。(押し込めるといっても力をいれちゃダメですよ)

へらを反対側にとおして錆漆を整える

今度はヘラを右→左へと通します。「行って来い」です。

欠けた部分に錆漆を補充する

 一回目に付けた錆漆の量では足りなかったので、錆漆を付け足します。
再び箆先に少量の錆漆をとります。

今度は器の口元のヘリを利用します。

ヘラを通して錆漆を密着させる

ヘラをスライドさせながら欠けの上部分のエッジに引っ掻けるようにして、錆漆を置きます。

反対側にもヘラを通して錆漆を密着させる。

 もっこりしてりる錆漆をヘラを通して押さつつ密着させます。ヘラを右に通し、続いて左に通します。

金継ぎの錆付け作業が完了

最後にヘラで形を整えます。あまり何遍もヘラで触っていると錆漆の肌がバサバサして汚くなってきますので、 そうなる前に作業を終えます。(諦めます)
どのみち、乾いてから削ったり研いだりできますのであまりお気になさらずに。

金継ぎの錆付け作業が終了

 いろいろな角度からチェックして凹みがないか注意します。
※ 欠けが深い場合には錆漆は2~3回に分けて行ってください。一回で厚盛すると悲惨なことになりますし、かえって作業の進みが遅くなります。 ▸ 錆漆付けの失敗例

金継ぎの錆付け作業が終わったら1~2日、硬化を待ちます。

 

 

 

次の作業を見る ▸ ②蒔絵完成まで

 baner1_1a019
▸ 本漆金継ぎ修理一覧ページに戻る

 

 

 

Pocket