服部竜也さんの取っ手の壊れた黒いマグカップの漆金継ぎ修理 2/2 蒔絵完成まで

 

※ 取っ手が3ピースに割れたマグカップの金継ぎ修理のやり方を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち、〈布貼りの2回目~蒔絵完成まで〉のやり方を解説していきます。

 ちょっと端折り気味ですが、布貼り補強だけは詳しく解説していますのでご参考にされてください。

 

 

金継ぎstep 07 麻布補強2回目


 麻布補強作業で使う道具と材料

まずは漆を使って接着剤を作ります。 ▸ 麦漆の詳しい作り方

 

あらかじめ麻布をはさみで切っておきます。

取っ手の補強のやり方としては麻布を巻いて麦漆で接着する

まずは取っ手の下の付け根のみに麻布を貼って補強をします。

画像をとっていなかったので(スミマセン)言葉で解説です。
①布貼り一回目と同様に、器の方の貼り付ける部分に麦漆を塗っておきます。(付け箆を使うか、ヘラではやりづらかったら毛質の固い筆を使って塗布する)
②バイアスの布目になるように切った麻布の網目をうまく寄せたり広げたりしながら布の形を変形させつつ、取っ手の形に添うように貼っていきます。(固い毛質の筆を使うと便利です)
③布の上から麦漆を塗り込みます。

で、いったん麦漆を乾かします。1週間くらい待ちます。

 

次に取っ手全体を巻きます。

麦漆を先に塗った後に麻布を貼っていく

 取っ手を一回りちょっと巻きたいので、取っ手幅の2倍ちょっとの布幅にしました。(Bの幅の2.3倍くらい)

金継ぎでも麻布を使って補強ができます

 ここでも同様に
①器の方に麦漆を塗ります。
②麻布を置いてヘラで押さえて、麦漆に馴染ませます。
③布の上から麦漆を付けます。

麦漆で麻布を貼って乾かす

で、乾かします。待つこと1週間。(いや、漆は「待ち」ですね)

金継ぎの布着せ作業が完了

 これで十分な強度が出たと思います。十分すぎるくらいだと思います。
布貼りは1回だけでも大丈夫だったと思います。が、大事を取って今回は二回行いました。その分、少し取っ手が厚ぼったくなってしまいましたが、そこはまぁ仕方がないです。
スタイルよりも強度を取りました。

 

 

金継ぎstep 08 布目揃えと研ぎ


 金継ぎの麻布研ぎで使う道具

  • 道具: カッター、空研ぎペーパー(#240~320くらい)…空研ぎがなかったら耐水ペーパーで。

 

前回貼った布の余計な部分をカットします。

麦漆で貼った麻布の余計な部分をカッターで切り離す

飛び出た余計な麻布部分をカッターでカットして、きれいに揃えます。
その際に重要なのが刃を斜めに入れて、カット断面を斜めにし、滑らかに器素地につながるようにする…ということです(なるべく)。↑画像で赤いラインで描かれているようにです。

麻布に切り込みを入れた後、余分な部分を気を付けて剥がします。
カッターの刃でガリガリはつりながらやるといいかと思います。

麻布を取った後のその場所には麦漆がついていますので、ペーパーで軽く研いでおきます。

麻布を空研ぎペーパーで軽く研ぐ

布部分を全体的にペーパー(#240~320くらい)で軽く研ぎます。

麻布を研ぐときは、研ぎ過ぎないように注意する

取っ手の上の部分も、先ほどの下の付け根部分と同様の作業をします。 
ビロビロと出た余計な布部分を切り取ります。

金継ぎの麻布研ぎ作業が完了

 研ぎ過ぎて布の繊維を断ち切らないように気を付けてください。強度が落ちますので。

 

 

金継ぎstep 09 錆漆付け→研ぎ


金継ぎの錆付けで使う道具と材料(▸ 錆漆付けで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: プラスチック箆、付け箆(▸ 付け箆の作り方)、綿棒、豆皿
  • 材料: 生漆、砥の粉、水、テレピン

錆漆を作ります。 ▸ 詳しい錆漆の作り方

 

 錆研ぎで使う道具と材料

  • 道具: 耐水ペーパー(#320~400くらい)、水、豆皿、ウエス

 

金継ぎの錆漆付け作業

ヘラで(使いづらければ筆で) 錆付けを行います。布とマグカップ本体との段差を埋めて滑らかに繋がるようにします。

麻布とマグカップ本体との段差を錆漆で埋める

錆付け1回目で麻布の「布目」を埋めるようにします。
縦横斜めとヘラを動かしてしっかりと布目に錆漆を詰め込みます。

錆漆が乾いたら耐水ペーパーで水研ぎする

 1~2日乾かした後に、ペーパーで軽く水研ぎします。ここでも研ぎ過ぎ注意です。

錆漆2回目を行う。

 錆付け2回目を行います。今回は薄目に付けました。これ以上、取っ手が厚くなるのはちょっと避けたかったので。

錆が乾いた後、ペーパーで水研ぎします。

 

 

 

金継ぎSTEP 10 漆の下塗り→研ぎ→中塗り→研ぎ


金継ぎの下塗りで使う道具と材料(▸ 漆の塗りで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: 小筆、付け箆 
  • 材料: 漆(今回は呂色漆)、テレピン、サラダ油、ティッシュペーパー

漆の研ぎで使う道具と材料

  • 道具: 耐水ペーパー(#400~800くらい)、水、豆皿、ウエス

 

まずは使う前に筆をテレピンで洗って油を洗い出します。
 ▸ 詳しい筆の洗い方

 

金継ぎの漆塗り作業。取っ手に呂色漆を塗る。

 今回は黒色の漆を塗りました。

漆が乾いたら耐水ペーパーで水研ぎする

漆の下塗り→研ぎ(耐水ペーパーの#400~600)→
→漆の中塗り→研ぎ(耐水ペーパーの#800)

漆は下塗り、中塗りと繰り返す

漆は塗った後、湿した場所(湿度65%~)に置きます。
2~3日硬化を待ってください。

その後にペーパーで水研ぎをします。

 

塗り終わったら油で筆を洗います。 ▸ 詳しい筆の洗い方

洗い終わったら筆にキャップをつけて保管します。
キャップがなかったらサランラップで優しく包んでください。

 

 

金継ぎSTEP 11 漆の上塗り→蒔絵完成


金継ぎの上塗りで使う道具と材料(▸ 漆の塗りで使う道具・材料の入手先・値段

  • 道具: 小筆、付け箆 
  • 材料: 漆(今回は呂色漆)、テレピン、サラダ油、ティッシュペーパー

 

蒔絵で使う道具と材料

  • 道具: 毛質の柔らかい小筆
  • 材料: 錫粉

 

 画像解説ないです。スミマセン。

薄目に呂色漆を塗ってから錫粉を蒔きました。

4,5日して蒔絵がしっかりと乾いた後、その上から漆で固めました。

壊れた取っ手の金継ぎ修理が完了

 蒔絵紛固めの際に、↑画像でわかるように、取っ手の下の付け根部分は黒っぽくなるようにしました。
どーやったかというとナイショです。うそです。こんなのすぐにわかります。呂色(黒色漆)をテレピンで薄めたもので固めました。
その他の部分はいつも通り生漆で固めました。

壊れた取っ手の金継ぎ修理が完了

 で、なんでこんなテクスチャーがついているのかというと、ちょっと耐水ペーパー(#1000くらいだったかな?もう、覚えていません)で軽く研いだからです。

それから錆漆の段階で下地を滑らかにし過ぎない、それと上塗りの漆の厚み、蒔く錫粉の量などを少し意識してコントロールしました(ような気がします。実はあまりよく覚えていません。もう、半年以上前だし)。

そのうち、同じような仕上げをしたときに詳しく解説します。

壊れた取っ手の金継ぎ修理が完了

 取っ手の下の付け根部分の色合いはマグカップ本体の外側に違和感なく繋がっていくように黒っぽくしました。
他の部分の色合いはカップの内側のシルバー色に呼応するようにしました。

壊れた取っ手の金継ぎ修理が完了

 それからざらついたテクスチャーはカップ外側の肌合いを意識しています。

壊れた取っ手の金継ぎ修理が完了

 なかなかいい具合に落ち着きました。どうでしょうか?

 

 

 

前の作業を見る ▸ ①布着せ1回目まで

 

 

 

 

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