【初心者Web金継ぎ教室】割れたお茶碗の修理方法②-1前編~マスキングテープを貼るまで

投稿日 2019/06/18▸ 更新日 2019/06/20

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  ファイツ!!

パックリと割れてしまったお茶碗の金継ぎ(金繕い)修理のやり方を説明していきます。
今回は修理作業の〈接着剤を削り、汚れ防止のマスキングテープを貼る〉までのやり方を解説します。

 

本日の「道のり」はというと…

前半戦、最大の山場「錆付け」に向かっての準備をしてきます。

 

 

 

 

 

 

前回の作業ご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。↓

 

前回の作業〉

‣ page①後編~接着まで

 
 

 

動画でも本日の作業内容が確認できます。
まずはこちらをご覧いただければ今日の作業の全体感が掴めると思います◎

 

テープで養生するまで~

□□□□□□□□

※ Step03~6:50までです)

▫▫▫〈動画もくじ〉▫▫▫▫
0:32~ ① 器のズレを削る
1:20~ ② 接着剤の削り
3:52~ ③ 養生をする
▫▫▫▫▫▫

 

 

「割れた器の直し方」の”ダイジェスト”動画(5分強)を作りました。

‣ 【ダイジェスト版】割れた器の金継ぎ動画
(YouTubeに跳びます)

「ざっくりとした修理全体の流れ」とか、ご自分の修理工程の「現在地」を確認したい方はご覧ください◎

 

YouTubeにも「”動く”金継ぎ図書館」をご用意しております。
よろしかったら覗いてみてください。どんどんコンテンツを増やしていきます◎
→ ‣ ”動く”金継ぎ図書館

 

 

 

 

 

 

 

① 乾いた麦漆のチェック

 

前回、割れた破片を「麦漆(漆の接着剤)」で接着してから2~3週間ほど経ちました。
まずは麦漆が乾いているかをチェックします。

 

 

はみ出している麦漆を爪で引っかいてみて、固くなっていたらオッケーです◎
万が一、「ぶにぶに」と弾力があるようだったら、まだ乾いていません

乾いていなかったら、そのままさらに1~2週間放置するか、もしくは表面にはみ出している麦漆を軽くはつってから1~2週間放置してください。

麦漆をはつってから放置した方が乾きが良くなります。
が、まだこの接着剤が乾いているわけではないので、はつり作業中に器に「大きな圧力」がかからないように注意してください。
せっかく接着した破片がガバっと取れてしまいます。
なるべく圧力がかからないよう、「軽く」麦漆をはつってください。

 

 

今回の麦漆はしっかりと乾いています◎

 

内側からはみ出している麦漆も乾いております。

 

 

 

 

② 接着のズレを削る

初心者作業時間/約10分

 

②-1. ズレを削る理由

 

接着した時にわずかにズレが生じました。。。。
これは致し方ないですよね~。割れた断面に何も塗らなければ「ピタッと」くっつくのですが、本来は何もなかったはずの断面に接着剤(麦漆)を塗るので、どうしても「異物が挟み込まれた」形になります。

そうなるとズレが生じやすくなってしまいます。
ただ、接着剤が「薄い」ほど、隙間なくピタッとくっ付くはずなので、その技術はあげていかなくちゃいけませんね。

 

ちなみに↑の画像の「ズレ」をどう処理したらいいでしょう?

拡大するとこのように「ズレ」ているわけです。

 


このズレをそのままにして錆漆(漆のペースト)で段差を慣らしていく作業をするのも「あり」だと思います。

ただ、この時の問題点としては…

器の釉薬(ツルツルした器の表面)の上に錆漆が乗っかることになります。となると、「食いつき」が悪くなります。それはつまり「剥がれやすい」ということになります。

なので、鳩屋の提案としてはこの段差を「削ってしまえ!」ということです。(わぉ!)

↑上図のように「V字」に削るのがいいのではないか?と考えています。

 

そのV字に削った箇所に錆漆を充填するというわけです。

こうすると錆漆が釉薬の上に乗っかっているわけではないので、器の素地への食いつきが良いですし、修理箇所の見た目も良いような気がします◎(僕だけ?)

ただ、この提案の欠点としては「大切な器を傷付けてしまう」ということです。「大切な器なので、なるべく余計な傷を付けたくない…」という方はこの方法は避けてください。

 

 

 

②-2. ズレ削りで使う道具

 

  道具 
② ダイヤモンドやすり(半丸)

▸ 道具・材料の値段/販売店 


 「ダイヤモンド」なら器が削れます◎
すごいですね!

 

 

 

②-3. ズレの削り作業

 

それでは削り作業に入りましょう。

▪ズレを削る▪~

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 作業工程
① 初めは力を入れず、とにかくやする場所を外さないようにだけ気を付けて、やすりをサラサラと小刻みに10往復くらいさせる。
② 浅い「溝」ができたら、あとはある程度ストロークを大きくして、ガシガシやすっていく。

 

 

「ダイヤモンドヤスリ」を使ってヤスっていきます。

これで擦っていくと、ガリガリと器が削れて行きます。ダイヤモンドって固いんですね~(‘;’)

 

 

狙いを外すと簡単に器に傷が入りますので、気を付けてください。

やすり作業の初めは、慎重に、小刻みに、かつ「軽く」ヤスリを動かしていきます。
ある程度、溝が引けてきたら(窪みができてきたら)、あとはそれほど気を遣わなくても狙いを外さずにやすることができますので、勢いよくやすっていきます◎

 

↑こんなふうに「Vの字」に溝が切れたらオッケーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

③ 麦漆を削る

初心者作業時間/約20分

③-1. 麦漆削りで使う道具

 

  道具 
③ 障子用のカッター(刃先がカーブしたもの) ④ カッターナイフ(大)

▸ 道具・材料の値段/販売店 


 ③の「障子用カッター」ですが、普通のカッターナイフ・コーナーなどで売っている「デザイン・カッター」の刃先がカーブしたものよりも使い勝手がいいです。
刃に「厚み」があるので、削る時、安定して削りやすいです。それからカーブの具合も障子用の方が「急なカーブ」でして、そちらの方が使い勝手がいいです◎

 

 

 

③-2. 麦漆を削る

 

 

 

▪麦漆を削る▪~

□□□□□□□□

 作業工程

 

 

 

 

接着の際にはみ出した麦漆を削っていきます。

金継ぎで使うカッターは「障子用のカッター」がおススメです。
「デザイン用」のカーブしたカッターの刃先よりも、「障子用」の方がカーブの具合が「急(Rがきつい)」なので、使い勝手がいいです。

それと、デザイン用よりも刃に「厚み」があるので、削るときに安定します。刃が薄いと、結構ぶれるので削りづらいのです。

 

もし、作業しやすい刃物を持っていたらそれをお使いください。麦漆が削れれば何を使っても構いません。

 

 

ガシガシとはみ出した麦漆を削っていきます。

器に刃が当たると「ガリガリ」と音がします。「がーん…。器が削れた!?」って思うかもしれませんが、大丈夫です◎
カッターの刃よりも器の方が断然、固いので、器は削れません。むしろカッターの刃の方が削れて行きます。

 

 

この作業はあまり気を遣わずにどんどんやってください。
指の怪我にだけは気を付けてください◎

 

 

削るときに「空いている方の手」(持ち手じゃない方)の「親指」でカッターを押してあげると削る作業がやりやすいです。

 

 

初めのうちは慣れないかもしれませんが、親指を添えるとカッターの刃の動きが安定します◎

 

 

外側の作業が終わったら、器の内側も同様に作業を行います。

内側にも麦漆がはみ出していますので、お忘れなく。

 

 

すぼまっている器の内側、特に「器の底」の作業をおこなうのが大変です。
どこにでも売っている「斜めの刃」のカッターナイフだと、こういった場所の削りはかなり厳しいのではないでしょうか?

この「カーブした刃」でもかなり削りづらかったです。(ぎりぎり何とかできましたが)

 

 

麦漆を削ってみると分かるのですが、意外と接着した個所に「わずかな隙間」が生じています。

 

ちなみにこの「接着箇所のわずかな隙間」対策として、「あらかじめ接着時に麦漆を厚めに塗っておく」…という手も考えられます。
が、ご承知のように接着剤が厚ければ厚いほど、接着したときに「ズレが大きく」なります。

僕としては「ズレを最小限にする」方を優先させたいです。

 

 

接着箇所に「わずかな段差」が生じている箇所もあります。

これらの「隙間と段差」を漆で作ったペーストで埋めていきましょう◎

 

 

 

 

④ マスキングをする

初心者作業時間/約20分

 

④-1. マスキングで使う道具

 

  道具と材料 
[テープで行う場合]
① マスキングテープ ② 棒

[液体で行う場合]
③ マスキング液 ④ 水筆


 

 

 

④-2. テープを貼る

 

 

▪マステで養生▪~

□□□□□□□□

 作業工程

 

 

 

この次の作業で「錆漆」という漆喰のようなペースト状のもの(泥?)を接着箇所の段差や隙間に付けていきます。

その際、器が汚れないように接着箇所の周りにテープを貼って養生しておきます。

 

今回、使うのはこのテープです。

ホームセンターで買った普通のマステですが、皆さんお手持ちの可愛らしいマステでもオッケーです。

(テープ幅が広過ぎたので、カッターで真ん中あたりに切れ込みを入れて、半分の幅で使っています)

 

 

あらかじめテープを切っておくと作業がスムーズにいきます。

 

 

接着箇所を挟むように、両脇にテープを貼っていきます。

 

 

で…。で、なのですが、今回、ミスをしてしまいました!
うっかり、接着箇所とテープとの隙間を大きくしてしまいました。

次の作業で「錆漆(漆のペースト)」を付けるのですが、その錆漆が器の素地にこびりついてしまって、それを除去するのにすごく時間がかかってしまいました(涙)

器の表面がツルツルとしたガラス質のもの(釉薬)だったら、錆漆が付いても簡単に除去することができますので、このくらいテープを離してオッケーです。

ですが…

 

今回のように↑「ザラザラした肌の器」の場合は接着箇所のぎりぎりにテープを貼ってください

 

 

接着箇所を挟んで、反対側にもテープを貼ります。

 

 

ちょっと面倒ですが、なるべくギリギリに貼ります。

ただ、「ピッタリ」過ぎると、次の作業の錆漆がその隙間に入り込みづらくなる感があるので(私だけかしら?)、ほんの少し(1~2㎜程度)隙間を開けておいた方がいいかと思います。

 

 

「欠け」の周りにもテープを貼ります。

↑この画像よりももっとギリギリに貼ってください◎

 

 

「曲線」部分はテープを短く切って、カーブに合わせて貼っていきます。

 

器の内側にもテープを貼っていきます。
内側は貼りづらいです。

 

 

はい!間違ったマスキングテープの貼り方ですが、完了しました◎

 

 

器の内側も外側も全てにテープを貼りました。

 

 

くどいようですが、接着箇所のぎりぎりに貼ってくださいね。

 

 

 

それでは準備が整ったところで、接着した隙間や段差を埋めるためのペースト作りをしていきましょう。

 

毎度のことながら、どえらく長いページになってしまい、「前編」「後編」と分けさせていただきました。(T_T)

後編へと移動していただけたらと思います。宜しくお願い致します。

 

 


後編は只今、制作中です。申し訳ございませんが、しばらくお待ちいただけたらと思います。


 

 

 

「独学でやってみよう!」と思った人向けに、作業工程ごとに詳しい解説動画も作りました。
こちらを参考にぜひチャレンジしてみてください◎

 

割れた器の直し動画(YouTubeに跳びます)


‣ 「割れた器直し」の詳しい解説動画

▫▫▫〈作業工程別〉(YouTubeに跳びます)▫▫▫▫▫▫

①~割れたパーツを接着する
②~接着箇所の隙間をペーストで埋める
③~もう一度、欠けた箇所をペーストで埋める
④~漆を塗る(1回目)
⑤~銀粉を蒔く
⑥~磨いて完成

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