金継ぎ作業が楽になる◎「削り」で使うおススメの刃物/改訂版

金継ぎの道具・素材

⑤障子紙用丸刃カッター

金継ぎ作業を綺麗に、かつ楽にしてくれる便利な刃物をご紹介します。

金継ぎ作業の中で

  • 麦漆の削り
  • 錆漆の削り
  • 刻苧漆の削り

…などが一番手間のかかるやっかいな部分ですよねー。(いや、ほんと難儀です)
これを紙ヤスリをメインに作業しようとするとだんだん嫌になってきます。

金継ぎで使う刃物の選び方

使い勝手のいい刃物を使うことで手早くきれいに仕上げられ、金継ぎ作業全体の効率化に繋がります。
ぜひ、検討してみてください。

 

 

金継ぎで使うおすすめの刃物

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アイテム 値段と売っているお店
 ① メス(刃先がカーブしているもの) (本体)値段¥800~ (替刃)値段¥75~  東急ハンズ/彫金屋さん
 ② オルファ アートナイフプロ (本体)値段¥800~ (替刃/XB157k ポリシース)値段¥200~/3枚  東急ハンズ/ホームセンター
 ③ カッター(大きいもの) ※かなり使い勝手が悪い 値段¥100~  どこでも
 ④ 平丸」の彫刻刀(刃先の形状が「平丸」…でも研げないと使い捨てになってしまします) 値段¥100~  100均/ホームセンター
⑤ 障子紙用 丸刃カッター

・(替刃)値段¥148-値上がりして¥198‐/3枚 ホームセンター

・又は アサヒペン 障子紙用丸刃カッター 983 ¥250~ ホームセンター

※ ⑤は「カッター、刃物コーナー」ではなく、「障子貼りコーナー」に置いてある可能性があります。チェックしてみてください。

※ この他の刃物としては特殊ですが ・小さな槍鉋(生ぞり) ・小さな前鉋(まい鉋、バンガキ)  などがあります。すこぶる使いやすいですが研ぎが難しいのと値段が4,5千円からとなります。

おススメの順位としては以下になります。

  • 1位 平丸」の彫刻刀
  • 2位 障子紙用 丸刃カッター
  • 3位 アートナイフプロ② と メス①
  • 4位 カッターナイフ(大)③

 

 

おススメ 「平丸」の彫刻刀 ④


 

刃先の丸まった「平丸」の彫刻刀を強くおススメします。(「丸刀」ではないです。ご注意ください)
私はこれ一本でほとんどの形状の器に対応できています。

彫刻刀の利点

  • 彫刻刀は裏が平面になっていて、それを利用した削りができます。そうすると断然「きれいに、早く」作業することができます。
  • 刃が厚いので、安定した削りができます。(刃がブレない。たわまない)
  • 刃が「前方」についているので、力を入れなくても(アートナイフなどに比べると)削れます。ですので、コントロールがしやすい。いろいろな動かし方ができ、いろいろな形状の器に対応できます。(意外かもしれませんが)

彫刻刀は表も裏も両方とも使います。

 

ただし、問題点がいくつかあるかと思います。そのご回答を用意しました。

  • 研げない!→「彫刻刀の研ぎ方」ページを作りました。ぜんぜん、うまく研げていなくていいです。とんがっていれば大丈夫です。
  • 入手が少し厄介?値段が高い?→100均でも「平丸」が売っていることがあります。ホームセンター、東急ハンズでも取り扱っていたりします。だけど、手に入らない、ちょっと高いなーという時は自作しましょう。100均で「平刀」を入手してそれを加工します。簡単です。そのやり方もご紹介しています。
    ▸ 平丸の彫刻刀のカスタマイズ方法

 

錆漆、エポキシペーストを削る

一度、この「平丸」彫刻刀を使ってしまうと、アートナイフやメス、カッターには戻れなくなります。

 

 

(2016-08-17 追記)

おススメ 障子紙用 丸刃カッター ⑤


今まで「障子紙用」とういのはノーマークでした!いや、これ、なかなか使えます!!

もちろん「平丸」彫刻刀の方が使えますが、このカッターもなかなかのものです。アートナイフやメスと比べると刃が(側面ではなく)前方についているので、こちらの方が削りやすいです。刃の厚みも幾分か厚いので削り心地が安定しています。

刃物の「研ぎ」ができない方にはこの「丸刃カッターの替刃」が現時点ではベストかと思います。

丸刃カッターは「替刃」を買えば、それを普通のカッターホルダーに差し込んで使えます。(刃幅9㎜のものが入るホルダー。 ↑画像もカインズPBの刃をオルファ(というメーカー)のホルダーに差し込んでいます)
これは有り難いですね◎

※ 「アサヒペン 障子紙用丸刃カッター 983 / 値段 ¥250-くらい」 より 「カインズホーム PB」の方がおススメかな?と思っています。刃のカーブの具合が金継ぎにより適していると思います。 (好みにもよりますが)

※ 「MOLZA(モルザ) R5 障子貼用カッター / 値段 ¥600-くらい」 よりカインズやアサヒペンの方が使いやすいのではないかと思います(実際に試したことはありません。見た感じの判断です)。

 

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オルファアートナイフプロ(曲線刃)②とメス(曲線刃)①


 

「彫刻刀はなー…ちょっと」という方におススメしています。替刃もあって便利です。
①も②もいくつか刃先の種類があるのですが、刃先が丸まってカーブしているもの(曲線刃)が使いやすいです。

利点

  • 「曲線刃」を使えば(カッターナイフよりかは)いろいろな形状の器に対応できる
  • 替え刃があるので研がなくていい

問題点

  • 刃が薄いので削っているときに刃がしなってしまう。安定しない。(その「湾曲」を利用して、器の内側も削れたりしますが)
  • 刃が「横」についているので、コントロールしづらい。力を入れないといけない。

アートナイフもメスももともと「切る」ためのもので「削る」ためのものではないのでしょうね。確かに「切る」にはすごく便利です。

オルファは3種類の刃が付いていて有難いのですが、作業中にいちいち刃を替えるのは手間です。なのでオルファを使う時にもカッター併用の方がいいかと思います。

オルファが「平丸」形の替え刃式のものを販売してくれたら助かりますよね。刃が肉厚であれば言うことなしです。金継ぎ人口が増えてくればそのうち…。期待しましょう。

 

 

 

カッターナイフ③


 

パテ、刻苧削りに使うカッター

大きなカッター

カッターナイフは刃先が直線なので器の外側は削りやすいのですが、内側は…どうするんでしょう?
金継ぎ本を見るとだいたいカッターナイフを紹介しているのですが
器の内側のことは解説していないんですよね。スルーしています。

メリット

  • 入手が楽…もう持っている。どこでも売っている。\100から買える。
  • 替え刃式なので研ぐ必要がない。
  • アートナイフやメスよりも刃が肉厚なので安定した削りができる。

デメリット

  • 刃が直線なので、器の外側しか削れない。(内側も刃の先っちょで削れますが、器の「中」の方はちょっときつい)

 

 

 

「で、あたしは何を使えばいいのですか?」

ひとまず、お手持ちのカッターナイフ(大)を使ってみてください。使いやすければそのままで。
「ちょっと、使いづらいな~」と思ったら、ぜひ平丸の彫刻刀へ。「いや、でも研ぐのは無理」という方は「障子紙用・丸刃カッター」を使ってみてください。
障子紙用・丸刃カッターを使ってみたけど「どうも痒いところに手が届かないな~」という物足りなさを感じたらもう彫刻刀に行くしかありません。

平丸彫刻刀は本当に便利ですし、研ぎも難しいものではありませんのでぜひチャレンジしてみてください。
私も頑張って参考のためのページも作ったので、ぜひ。 ▸ 金継ぎで使う彫刻刀のカスタマイズ方法

 

 

※質問をいただくことなのですが、
「刃物で接着剤やパテを削っているとガリガリ音がします。これって陶器が削れている音じゃないんですか?」という質問です。

この音は陶器じゃなくて刃物の先の方が削れている音なんです。
陶器の硬さに負けて刃先がガリガリ削れていきます。
(いや、そんなにあからさまには削れないですよ)

なのでご心配なく。