真っ二つに割れた水色平皿の金継ぎ方法 3/4  蒔絵まで(毛塚ゆりさん)

本漆金継ぎ

 

欠けた器の金継ぎ修理が終了した絵

※ ダイナミックに割れたお皿の金継ぎ修理の方法を説明していきます。本物の漆を使った修理方法ですので「かぶれる」可能性があります。ご注意ください。

今回は金継ぎの工程のうち、〈漆の下塗り研ぎ~蒔絵まで〉のやり方を解説していきます。

 

〈 目次 〉

 

STEP 4.1  下塗り研ぎ

金継ぎの下塗り研ぎで使う道具と材料

  • 道具: 豆皿、ウエス
  • 材料: 耐水ペーパー、水

金継ぎの下塗り研ぎ作業で使う道具。豆皿、ペーパー、水、ウエス

漆研ぎで使う道具たちです

漆塗りを研ぐために小皿に水を少し注ぐ豆皿に水をいれます。

豆皿に入れた水に、漆の研ぎで使う耐水ペーパーを入れる

小さく切って三つ折りした耐水ペーパーに水を少しつけます

折り畳んだペーパーで水をつけならが漆を研いでいく。

下塗りした漆を研ぎます

なるべくはみ出さにように気を付けます

下塗りした金継ぎの漆を研いでいく。

漆を研ぎます

指先でペーパーを押さえつつ漆を研ぐ

爪先や指先でペーパーを押えて
研ぎます

金継ぎの漆研ぎ作業では研いだ研ぎ汁をウエスで拭きとる。

ちょくちょくウエスで漆の研ぎ汁を拭き取り
研ぎ具合をチェックします

平滑になっていない場所を重点的に研いでいきます。

 

STEP 4.2  漆の上塗り

 金継ぎの上塗り作業で使う道具と材料

  • 材料 : 漆(呂色)、テレピン、ティッシュ
  • 道具 : 小筆(面相筆)、付け箆(▸ 付け箆の作り方
  • 掃除用、その他 : 定盤(作業台)、サラダ油、小箆、ウエス、テレピン

 

筆を使う前に筆の中にある油分を洗い出してください
 ▸ 使用前の詳しい筆の洗い方

 

金継ぎの上塗りでは「薄く、均一に」をこころがけてください

作業板の上に上塗り用の漆を出す

定盤の上に漆を出します

筆に漆を付ける

筆に漆をつけて、定盤の上で馴染ませます。
定盤の上で何本か線を引いてみて
漆の含み具合をチェックします。

薄い線が引けるように調節します。
かすれちゃだめです。

筆に漆を付けて器の継いだ部分を塗っていく

いきます

弁柄漆で金継ぎの上塗りを行う。なるべくはみ出さないように、均一の厚みに塗っていく。

どこから線を引き始めても構いませんが
線を引いていっても後の作業がしやすいように
考えてスタートします。

「表側を塗るときはここら辺を持つ予定だから
その時、持ちやすいようにここは塗り残しておこう」
とか

上塗りの漆を塗っていく。筆ははみ出さないよに塗っていく

はい、ただ塗っているだけです

金継ぎの上塗り工程では漆は均一に塗る

漆は薄く、均一にです

割れた器の継いだ部分に漆を塗っていく

塗っている時の目線は

「塗っている場所」ではなく、「いま塗っているそのちょっと先」です。

金継ぎの上塗り作業では漆を薄く均一に塗っていく

漆を線描きしていく。下塗りした上を塗っていく。

 

金継ぎの上塗り作業中。高台の部分に漆を塗っていく。

さらに弁柄漆を塗っていく。太いラインは何度か筆を通す。

そうすると何となく不思議で、だけどしっくりくる線が引けています

金継ぎの上塗り作業が完成しました。

金継ぎの上塗り作業が終了

金継ぎの漆の上塗りが終わりました。
ご苦労様でした。

この後、漆が乾かないうちに金属粉を蒔きます。
が、漆が乾き始めるまでしばらく時間がかかりますので、
その間にいろいろと用事を済ませてしまいます。

 

そうしたら定盤の上に残った漆を片付けましょう。捨てちゃダメです。
▸ 余った漆の保存方法

作業が終わったら油で筆を洗います 。
▸ 使用後の詳しい筆の洗い方

 

 

 

STEP 4.3  蒔絵

 金継ぎの蒔絵作業で使う道具と材料

  • 道具: 柔らかい穂先の小筆
  • 材料: 金属粉(真鍮粉)

金継ぎの蒔絵で使う真鍮粉の包み紙を小石で押さえて広げる

金属粉の入った包み紙を開けて小石で押さえます。

小石がいいです。やっぱり。鎌倉の海岸で拾います。
トンビにドーナツを取られたとしても

真鍮粉から筆の穂先で粉を掬い取る

筆の穂先で金属粉を掬い取ります

蒔絵作業では筆先で掬った金属粉を上塗りした漆に載せる

真鍮粉が穂先に載っています

金継ぎの蒔絵紛を漆の上に載せる

はい、器に乗せます。

漆の上に載せた蒔絵紛を筆先で軽く掃いていく

ハタハタと優しく金属粉を掃きます

金継ぎの蒔絵紛を漆につかないように気を付けながら掃いて乗せていく

はい、きれいです

蒔絵紛を筆先で払ってコントロールしていく

金属粉を乗せて
優しく掃く

金継ぎの時に使う蒔絵紛をはたはたと筆で払う

光っています

同様にして器の継いだ部分の漆に蒔絵紛を乗せていく

同様に繰り返します。
蒔絵紛を筆で掃いて漆の上に載せていきます。

金継ぎの蒔絵紛を乗せていく

器の手前に向かって蒔絵紛を筆で払ってのせていく

さらに蒔絵紛を継いだ部分の漆の上に掃いていく

はい、蒔き終わりました
蒔絵、終了です。

湿した風呂に入れて2~3日しっかりと乾かしてください。

 

 

金継ぎの蒔絵紛を掃いた筆を洗う

金継ぎの蒔絵紛を掃いた筆を軽く掃除します

エタノールを用意します

エタノールを作業板の上に垂らして、筆につける

2~3滴、定盤にエタノールを垂らします

それを筆に含ませ
定盤の上を転がしたり、捻ったりします

蒔絵作業で使った筆をティッシュの上できれいにする

ティッシュに吸い取ってもらいます

これを2~3回繰り返します

蒔絵作業で使った筆が綺麗に掃除できた

はい、きれいです

何でこんなことやってるの?というと金属粉を掃いたときにほんのちょっと毛先に漆が付いていたりすることが多いのです。

そのほんのちょっとを繰り返していくといずれ毛先に小さな丸い球のようなものができてしまいます
(歯ブラシの「毛先が球」です)

ですのでエタノールで毎回、漆を拭き取ります。
エタノールがなければテレピンでも灯油でも

これも、とある師匠から教わりました。
東博の地下にいる師匠です。

 

 

次の作業工程に進む ▸ ④ 完成まで

その他の作業工程を見る

▸ ① 麦漆接着まで
▸ ② 漆の下塗りまで